平成20年10月教育委員協議会

開催日時

平成20年10月30日(木) 10時30分~11時30分

開催場所

鳥取県庁第2庁舎教育委員室

出席委員

  • 委員長 山田 修平
  • 委員 今出 コズエ
  • 委員 上山 弘子
  • 委員 岩田 慎介
  • 委員 中島 諒人
  • 委員(教育長) 中永 廣樹 

協議事項

平成21年度以降の全国学力・学習状況調査結果の取扱いについて
≪資料 PDF≫

議事録

(委員長)
 それでは、委員協議会を始めます。今日の協議会は全国学力・学習状況調査の平成21年度以降の結果をどうするかという件にしぼって議論いただきたいと思います。詳しくはまた見ていくんですが、振り返ってみますと、8月11日の臨時教育委員会で、我々が平成19、20年度の調査結果については非開示、平成21年度以降に関しては今後検討するという決定をいたしました。9月の議会で最終日に開示決議がなされました。10月21日に市町村教育委員会、22日に校長会で今までの経緯とこれからのことを説明して、意見交換をいたしました。その間、我々は3回くらい、委員は初めてで申し訳ないんですけれども、21年度に向けて協議を重ねてきました。今日は、出来れば、21年度のある程度の方向性を決められたらいいなという会議でございます。最終的には、方向性が決まったら、教育委員会の最終議案として議決したいということで、11月14日の教育委員会で最終的には決定したいということです。今は、ざっとした流れを説明したので、事務局の方から詳細に説明をお願いします。
(次長)
 それではお手元の資料をお願いいたします。まず表紙に資料目次というものをあげております。今まで公表されているもの、あるいは説明は不要なもの等もありますので、その辺は省かせていただきます。それでは1ページをお開きください。これは、今まで教育委員会、委員協議会で出た経緯をその都度出してきているものに、今回の委員協議会までをまとめたものでございます。ポイントとなりますのは10月2日、9月議会の最中でありましたけれども、議会において条例改正で非開示としていたことの懸念が払拭できるのであれば開示を視野に入れてもいいということがあって、条例改正の権限というのは県民室が持っておりますので、最終的に議会に提案する知事に対して県教委としての改正の検討に入りたいという意思を伝えたということであります。当然開示・非開示の両面で検討しているわけですので、これはあくまで開示をするとした場合に条例改正によって開示の懸念がどれだけ払拭できるのかという検討を進めているという、平行作業的にやらせていただいたということであります。その最中の14日ですけれども、9月議会の最終日に県議会で決議がなされました。11ページに写しを付けております。これはすでに御覧になったり新聞等で御承知だと思いますが、県議会として、教育委員会で条例改正の準備を進めているという状況を踏まえた上で、開示を強く求めるということで、併せて、学力向上の取り組みの充実というのも開示・非開示という問題だけではなくて検討をということで提示されたものであります。1ページにもう一回戻りまして、そういう決議や議会でのやり取りを踏まえまして検討の途中ではありますが、市町村教育委員会や市町村学校長会でその時点で県が進めている検討の状況を御説明しました。それが21日、22日というとこで今回は3ページから6ページに意見交換会の概要をつけております。これはまた後で御説明をいたします。
 それで、今日はさきほど委員長からあったように方向性を議論いただいて、これで条例改正という手法をとるということになれば今後11月14日の定例教育委員会の際に平成21年度以降の件について8月11日に一旦今後検討としていた件についての判断をするという流れになろうかと思います。11月議会も11月22日から始まりますので、知事から議会に条例改正提案がされて最終が12月18日ですのでその中でもし通れば採決されるということであります。ちなみに今まで2回学力学習状況調査がされていますが、その調査をする前に、各市町村に対して参加するかどうかの意向の確認が前年の年末になされておりまして、今回はまだ日程とか、国の3回目の調査の要領が出ておりませんが、もし今まで通りだとすると12月下旬くらいに来年度実施する調査への意向確認があるということになるかと思います。今回色々全国的な動きがありましたので、今までの2年間と同じようにいくかは分かりません。議会が条例をどうするかということが市町村の判断材料の一つにしていただけると思っております。
 次の2ページですけれども、さきほども言いました10月21日、22日の2日間、市町村教育長方や小中学校長のみなさんに説明した際の資料の中で、条例改正を視野に入れた場合はどういうことになるかということを説明した資料であります。中身は見ていただければと思いますが、こういう条例改正というのはまず改正ありきということではなくて、なぜするのかという主旨を御説明させていただきました。アンダーラインを引いているところですが、もともと条例の解釈で当然開示になるという意見もありますが、様々な議論がされる中で、なかなか、今の条例の解釈だけでやっていくと膠着状態になりまして、どこまでいっても議論の決着がつかないと。それで、市町村や学校からの懸念の声も強く受け止めているところですので、過去、19年、20年について非開示にしたという理由というものを波線で3つほどあげておりますが、こういったような理由がある程度条例改正で払拭できるのであれば開示という方向もありではないかという前提のもとで説明させていただきました。条例上の対応方針というところで、非開示にした理由というのを1、2、3について条例ではどういう対応になるかということを簡単に触れた上で、条例改正の内容というものを、さきほども申し上げたとおりまだ検討途中でしたので、条文という形では出せませんでしたが、どういった項目を検討しているかということを説明させていただきました。
 次は、3ページから6ページまでが2ページ目の経過をもとにして説明したことに対する、市町村教育長や校長の反応であります。いちいちは説明しませんが、最初の四角での枠で囲ってあるところが主な意見を要約して書いたところでして、市町村教育長からは、条例というのは原則公開を定めたもので、知る権利が最大限尊重されるべきだから、その制限というのは法的に可能だろうかといった疑問、それから、もし条例改正するとしても慎重に進めてほしいという話がありました。次に5ページ、6ページが小・中・特別支援学校長と意見交換をしたもので、主な意見としては慎重に条例改正してほしいという意見や、条例改正は改正として、開示・非開示ばかりではなくて、その結果を活用したどんな取り組みができるのか、それへの支援はどうしたらいいかの議論をもっとしてほしいといった提言的な御意見がございました。こういった意見交換をしまして、それと平行して、事務局、県民室、政策法務室と協議を重ねていたところですが、次の7ページを御覧いただきたいと思いますが、現時点で、おおむねこんな方向の条例改正かと考えているものをあげさせていただいております。
 繰り返しになりますけれども、今回の条例改正の視点ということで、1であげさせていただいておりますように序列化や過度な競争、これは非開示とした一番大きなものですが、これが生じないような配慮、あるいは成長段階にある児童生徒への心情等に対する配慮が必要だということでやる条例改正だと。とは言っても、開示を受けた情報の使用制限は知る権利の制約ということで、非常に重大な意味を持っていますので、その制限にあたっては、必要最小限なものにする必要があると。これはもう一方の重大な視点であろうと思いますので、検討を進めております。
 この視点について補足しますと、次の8ページを御覧いただきたいのですが、この資料は何かといいますと、鳥取県情報公開条例を制定した際にその条例に解釈運用はどうかというのが常に実施機関の中でありますので、それについて県民室が作成した公式の運用解釈の指針ということであります。これは今回のことを踏まえて手を入れたりということは全くしておりません。以前から出ていたものです。この、第4条の説明にアンダーラインを引いているところがありますが、もともとこの条例というのは県民の知る権利を保障するという条例の趣旨から、その趣旨に添った解釈運用をしなさいと示されていますが、とはいっても、この条例によって公文書の開示を請求しようとする人には、それによって得た情報を適正に使用してくださいということがもともと定めてあります。これは、条例全体に対して触れた総則的な理念ですので、この精神は特に法的に拘束力をもっているというわけではありませんが、開示を受けた者はこういう精神に沿って情報を使用してくださいということがもともとあったということであります。アンダーラインを引いているところは、運用によって「公文書の開示によって得た情報を不適正に使用され、又は使用されるおそれがあると認められる場合には、当該使用者にその中止を要請するものとする」とうたってあります。ですから、これは条例を改正しないとできないということではなくて、あくまで開示を受けた者に対してはモラルに訴えるという精神はもともとこの条例は念頭に置いていたということがうかがえます。こういったことを念頭に置いた制限を考えてみました。
 それから、10ページを御覧いただきたいのですが、一番議論になっておりますのが、条例の第9条2項に非開示条項があって、1号から8号までありますが、これに該当する情報については開示しないことができると定めてあるんですが、その中の7号、今回の議論で一番中心となった号ですが、県の基礎学力調査について、10人以下の学級の調査結果だけを非開示とすると。それ以外の調査結果を開示するということが7号に定めてあります。この7号の解釈に書いてあるのが、10ページの一番上の部分ですが、「安易な順位付けや誤った序列意識などにより、成長段階にある児童生徒が劣等感や優劣意識を抱くなど・・・」とあるようにもともと7号は開示ベースという条例にあってやはり配慮がいる部分があるんだということで、議会で議論された上でこの7号が付け加えられたということがこの解釈運用というところにも明記してあります。今回条例改正を検討するにあたってこの観点も当然考える必要があります。
 また7ページに戻っていただきまして、検討していく観点の、配慮と必要最低限の制約という理念のもとで、7ページの2の条例の概要にあげているような条例案で、今検討しているというところであります。まず、条例の中身については、ここに全文はあげておりませんが、さきほどの解釈運用のところにも第9条をあげておりましたとおり、第9条2項に非開示条項が1から8まで並んでいるということ、その中の7号に全県的な調査結果は児童数等が10人以下の学級については非開示とするという規定があったところの解釈がまず不明確だったことが、今回色々議論のきっかけになっております。それから1号から6号までは抽象的累計的な非開示条項、というのは概念が書いてあるんですが、この7号は全県的な調査、基礎学力調査をずばり指していますので、この6号と7号というのは当然重複する可能性が考えられるのですが、その時に我々が6号を理由にして非開示したという考え方と、7号があるからこの精神は全国的な調査も同じだという考え方がぶつかり合ったから糸口が見出せなかったという状況がまずあると。その前提に立って7号に全く手を入れないままということは非常に難しいということがあります。それから、今の解釈論について市民オンブズから提訴されて司法に委ねられている部分がありますが、我々が今検討しているのは21年度以降、これからやるものについての制限のあり方といった話ですので、まず第9条2項については、「全国的な」という文言を加える、これは全国学力・学習状況調査についても非開示条項の中に明確に位置付けたほうがいいのではないかということであります。そうした上で、次に第10条の2で新設と書いてありますが、これは枝番号といいまして、今の条例の中にこれを加えるという意味で新設なのですが、今回、制限付きの開示ということをここに盛り込んではどうかということで検討しているものです。これはさきほど言いました第4条の適正使用の運用解釈の指針に書いてあるような精神の教育的配慮という特定の部分を、条例上ある程度明文化して書いて、中止を要請するというモラルに訴えるものではなくて、やや強い使用制限的な規定を設けてはどうかという主旨で考えたものです。これについては制限のあり方がまだまだ詰まっておりません。アンダーラインを引いた部分が代表的な制限条件の例示でありますが、これだけではかなり包括的な書き方になっておりますので、これを少し具体化できるのか、あるいは法制的にみて耐えられるのかという点は今後まだ政策法務室や県民室と詰めていく必要があると思いますが、このアンダーラインのところを含めて、実施機関は開示請求に係る公文書の中に全部、学力学習状況調査結果に関する情報が含まれている場合には児童等への健全な育成のための教育的配慮が必要と認めるとき開示請求者に対して、その当該情報の使用に対し制限を附した上で開示することができるという文言で整理してみました。これは開示請求者が請求してくるときに制限を加えるという、そういう考え方も最初はあったんですが、知る権利を入り口で制限することはやってはならないことだろうということがまずあります。それから、情報を相手に出す際にあなたの目的は不純だからここは出せませんといった出す情報を制限するということもなかなか難しいと。そうするとどういったことができるかといったところで、さきほどの第4条の適正使用の考え方ということの、子どもたちの情報が含まれているものを使用する際に条件として付けた上で、開示決定をすると。情報は出した上でこういう制限について守ってくださいという事を条例の中に明記してはどうか。これが必要最小限かどうかというのは議論があるところですが、今までいろんな解釈がある中で一つの決着といいますか、考え方を整理するためにはこういったような制限をつけて出すということで市町村や学校や県民のみなさんに県教委の考え方というのを示していけるんではないかと思います。
 その次に、網をかけているところがありますが、罰則を一応あげています。一応というのは、一番最初の検討の視点の中で、必要最小限の制限にとどめる必要があるということがありました。先般、鳥取砂丘を守る条例で罰則が議論になりましたが、もちろん制限に実効性を持たすためだったら罰則というのは理論上は可能ですが、今回の制限というのはさきほど説明したとおり、必要最小限でかつ教育的配慮を求めるといったような抽象的な部分があります。この例示をこれからどれだけ具体化できるかにも関わりますが、これに違反したといったような事実を条例を持っている側も認めることは難しい。どこまで出来るかという事がこれを読んだ使用者の方にもはっきりしないといったような場合に罰則は基本的に不可能じゃないかと考えています。10月21日、22日での会議では、罰則の是非についても検討項目としてもあげて御説明しましたが、現段階でこの罰則というのは基本的に盛り込むことはできないだろうと思っています。
 最後の欄ですが、以上のような内容について、平成19年度、20年度と平成21年度を分けまして、19年度、20年度については、8月11日の教育委員会で過去にやった、公表されないという前提で参加したものを後で開示し公表といったことになることを避けるため、条例の附則の中に、適用の部分ということで「平成21年度以降に実施される全国学力・学習状況調査から適用」という文言を入れることによって8月11日の結論を出したいということを考えております。こういったような内容の条例改正をするのはさきほどから言っております、知事部局が議会に提案することになりますので、教育委員会の考えとしてこういったような改正の内容をお願いしたいと依頼という形になろうかと思います。こういったような類の条例を改正する際には、いきなり議会に提案ではなくて、その前に改正案についてのパブリックコメントとか電子アンケートで県民の声を聞くといった手順を従来からとっておりますので、今回は9月議会の議論や9月議会の最終日の決議を踏まえてこの検討作業を本格化させて、11月議会を提案ということで、日程が非常にタイトでして、パブリックコメントなりアンケートなりというのは議会で本来コメント案を説明してやるとかそういったような手順が必要だと思われますが、その辺議会からも要請を踏まえた上ですので、日程を詰めてやるというのを御理解くださいというのを、先般の議会の常任委員会の席で了解を得ました。それを踏まえた上で、11月上旬にかけて改正案に関するパブリックコメントやアンケートを実施して、最終的に、委員長の挨拶にもありました11月14日の教育委員会で条例案の確定という、条例改正を依頼する内容を含めた21年度以降の方針の正式な決定ということで会を開くということになると思います。その上で11月の日程がさきほど御説明したようになると思います。
 それから一番最後の12ページですけれども、以前から、国の調査と県の調査が新聞紙上や協議の席で言葉で使っておりますが、実際どんな事をやっているのかを基本認識で踏まえた上で議論しないといけないんじゃないかということがありまして、整理しなければということがありました。簡単ではありますが、県の調査と国の調査について、教科と質問紙に分けて内容について整理させていただきました。今までは教科のテストの点ばかり出ていましたが、この資料を見ていただければ分かるように、質問紙にいろいろな項目が含まれていておりまして、こういうデータといった場合には、これらの質問紙調査の項目も入ってくるということも考えないといけないのかなと思います。説明は以上です。
(委員長)
 色々説明していただきましたが、細かいところでも結構ですので何かありましたらお願いします。よろしいですか。折に触れてまた質問いただければと思います。それで、基本的に7ページの、開示をするとすればこんな内容の条例改正を提案したいということですが、1番のポイントは第10条2のところで、要は市町村別も学校別も開示はしますが、特に学校別に関しては、開示を受けた方は公表に繋がるような使い方はしてほしくない。これが内容だと思います。開示でデータ持たれるのは一向にかまわないけれども、みなさんに流れるということはやめて欲しい。それが我々が盛んに言ってきた序列化、あるいは教育的配慮ということで学校個別名がずらずらと並ぶことは避けたいという、そういう主旨ですね。
(次長)
 はい。
(委員長)
 それで、市町村はそのことはかけないということですね。
(次長)
 10月21日、22日の会議のときに触れたのですが、市町村別の結果は開示請求と開示の関係ではないんですが、県の基礎学力調査の時、結果をホームページに公表しておりまして、今回の部分は市町村別は、県の基礎学力調査の公表とのバランスからいってこれに過度は制限を後からかける必要性はないんだろうなと。もともと必要最小限なんですけれども。懸念されるのは学校別、特に小規模校がありますので、学級別で10人以下といってるのに近い学校別につながることが考えられます。
(委員長)
 そういうような案が、もし条例改正が通れば、市町村学校別は開示ということですね。いかがでしょうか。
(教育長)
 もし、開示の方向にいくと、知る権利を侵さないような必要最小限度の要請をする条件を付けて開示するという案ですが、元々のどんなことがあっても非開示だということなのか、この辺が一番大きな根本的なことがこの改正と連動しながらやらなければいけない。それをここで提言されていると思うんですけれども。その根本的なところを含めながら、意見をそれぞれ言っていくのかなと思います。
(委員)
 いろいろと長い時間協議してきて、時代の流れ、知る権利とか、教育関係だけではなく開示をしてより良い世の中にというのが根本にあるわけです。教育においては教育的配慮は重要なことだし、欠けてはならないことだと思いますが、今の提案についてですが、検討の視点にあるようなことが出来るように最大限の努力をして、必要最小限の制約はやっていかなければいけないと思います。ただ、この公開条例の改正が、どのくらい可能なのかという事が思われますが、新設の第10条の2の部分をさきほどおっしゃいましたけれども、このあたりのことは検討されて、視点がぶれないようにとなるのでしょうか。
(次長)
 議会での議論をかなり意識しておりまして、今のまま、何も手を講じなければ、非開示にした理由はなんら変更する必要はなく我々が正しい解釈をしていると思っているんですが、この改正が必要ないとか、もっと強くとかいう意見がある中でも、さっきの検討の視点に立ってこういう手だてを講じることによって、実際に試験を実施する市町村や学校が、県がただ単に制度論だけで出すのではなくて、分かってもらえるような観点を入れていかないと、即物的な第9条第2項第7号だけが改正されたということになると、これは薄っぺらな改正になると思っています。ただ、10月2日に検討を申し入れて以降も知事部局も議会での議論を聞いていますので、そういったような観点で検討していただけると思っています。これからやるパブリックコメントやアンケートでいろいろな意見が出ると思うので、そういったような意見もできるだけ踏まえながら、最終的に法的な可能性、教育的な配慮の折り合いをつけるのかなと思います。
(委員)
 「公表、提供してはならない」という文言が入るとしても、これで絶対にそれはないという事はいえないと思うんですが、後は、県民のモラルを信じるしかないということになって、そこにもっていっていいのか、本当にそれで大丈夫なのかという不安もありますが、公開条例も尊重しないといけないということを考えると、提示されたものが必要最小限なのかなとは思います。
(委員長)
 初めてで申し訳ないんですけれども、委員何かありましたらお願いします。
(委員)
 私は基本的には情報は公開されればいいと思っています。初めてなので私の考えていることを説明させていただきますと、基本的に学力テストを受けたのは子どもなんですけれども、例えば我々が高校野球のチームを見るときに、このチームは強いとか弱いとかを子どもの顔で能力が高いのか低いのかを必ずしも思わない。何を思うかというと、この学校は指導体制がしっかりしているとか監督がしっかりしているとか後援会がしっかりしてるとか、例えばそういうところを見る。そうすると、これは基本的に小学校、中学校ですし、これを受けたのは子どもだけではなくて、親であり学校であり地域社会であると思っています。だとすると、被験者が情報を出来ない可能性があるというのは良くないと思います。そもそも住民自治のかなり根幹に位置付けられるべき知る権利は最大限の配慮はされるべきだろうなというのが私の考えです。今回、序列云々が出ているけれども、僕は正直、これで序列化が起こるとはどうしても思えない。このように情報の公開の仕方に対して制限を付けると、それはもはや公開と言えるのか。基本的には条件付きではなく公開ということでいいんじゃないかと思います。それで、権利の濫用というものを制限するという抽象的な文言事が付けばいいんじゃないかと思っていたんですが、第4条の2で一般的な総則的なものですが濫用に関して制限するということが入っているのであれば、条例を改正しなければ流れが出ないんだと言われればそれまでなんだけれども、基本的には条例改正は不要だと考えます。
(委員長)
 委員いかがですか。
(委員)
 世の中、約束事というのはとても大切な事だと思うんですが、19年、20年の後出しじゃんけん的な流れ、これはやはり是々非々の前に守られるべきだという事は当然理解できることなんです。そのことはとても感じた。その上に立って、この度の情報開示・非開示ということで、今回の案は若干折衷案的かもしれませんが、しかしながらこれで一回やってみて、どういうふうな結果になるかということを柔軟性をもってやっていくという中のスタート地点に立ったと考えればいいんじゃないかなと。そうしないと、約束事というのはいろいろな考え方があるわけですから、それを今後、どうやって良くしていくんだという事を考えていけばいいと思います。まずは約束事は守るということは前提にないといけないと思います。この格好がスタート台になればいいと思います。
(教育長)
 私も、以前から主張している通りなので、情報公開条例の理念、基本的には情報はすべてに開示されていくべきもの、広がりがあるなら広がりがあってしかるべきだという考えは変わらないです。ただ、議会でたくさんの議論を重ねてきましていろんな方の意見もたくさん聞いてきた中で、やはりどうしても、子どもたちの心情的なもの、メンタルな面に不安が残るという部分はかなり強い意見として依然としてある。それを取り除く事は我々ができる限りの努力はしていくべきじゃないかなという気がしています。そういう意味で、条例の理念を開示という方向にもっていくということを据えて、その上で、問題点を少しでもカバーできるという方向で進んでいくのが、議論を積み重ねてきた今の段階では必要かと思います。
 それから、この議論は開示・非開示だけの問題ではなくて、鳥取県の教育全体をどう我々がこれから議論をしながら深めていくかという方向に行かなければいけないので、私はそっちの方向に、これがいい機会ですので、県民のみなさんの意識も高まったところだし、そっちの方に向けていけたらなと思います。さっき委員が言われたように、もしそこでいろんな問題が起こったらその時点で考えるということももちろんしなければならないという事もあるだろうと思います。委員がおっしゃった原則的な考え方は極めて大事だと思っています。
(委員)
 この前の議会でも、開示イコール公表というスタンスに立った発言が多かったように思いました。開示は個人が受けて個人がどうするかということで、個人が知りたいから情報をもらっても、それは公表ではないです。それが、公表に繋がる、例えば報道関係で一斉に出てしまうというような、そういう事が子どもにとっては教育的配慮が必要ではないかということで私たちは話をしてきたんじゃないかと思っています。何に使ったらいけないのかという事を考えたときに、地域の人が自分の住んでる地域の学校の情報を知るというのは当然あることですし、知っていただいてそれが子どもたちに対する連携の強化に繋がるようなことがあれば進めていけばいいと思っています。そういう開示イコール公表に繋がるおそれが払拭できない状況にあるときに、何でもかんでも開示だろうという話に持って行けないという考えは今でも私の中にはあるんですが、この新設した部分でそれが払拭されるとは言い切れないが折衷案としてはこういうところが着地点かなとは思います。
(委員長)
 微妙に皆さんニュアンスが違うんですけれども、委員のニュアンスは含まれるか分かりませんが、おおむね7ページの案でやってみようということでよろしいでしょうか。
(委員)
 罰則のことですが、委員長もおっしゃったとおり罰則の話を聞いたときにこれにそぐわないような気がして、どういう形にするのかなと思ったのですが、なかなか難しいので、配慮事項は出てくると思うんですけれども、配慮事項を開示請求の方にお伝えしてしっかりとお願いするというのがいいと思います。
(委員長)
 罰則は無い方がいいと。
(教育長)
 私も罰則規定は好ましくないかなと思うんですけれども。
(委員長)
 委員は。
(委員)
 必要ないですね。
(委員長)
 委員の主張からいえば当然無くていいですね。
(委員)
 はい。
(委員長)
 そうするとあえて挙手はしませんが、おおむねこの原案の通り、押さえて提案してパブリックコメントなりを取りながら、もしこれが条例化できるならば市町村も学校も開示という方向でよろしいでしょうか。
(委員)
 これは、他に案は無いんですか。「特定の学校又は学級を識別できる方法による公表、提供をしてはならない。」というよりも、もう少し緩い案は無いんですかね。
(次長)
 7ページの右側の欄に、制限の例示の部分と書いてある部分があるんですが、実はここの波線部分が政策法務室や県民室と検討していく中でまだ議論が尽くせていない部分でして、代表的な制限かなという意味で波線部分で挙げてあるんですが、先ほどの説明でも触れましたが、包括的な書き方すぎて、このことが良いのか悪いのかということが具体的に分からないという懸念がありますので、ここは、大多数の人が納得できるだろう程度に具体性をもたせる、この例示も一つだけではなくて、もう一つ、二つ、使用にあたってのリアリティーがある規定が置けないかなということが、今やり取りの中で一番上がっている部分です。今の委員の意見も踏まえて、特にここについてしようと思います。
(委員)
 僕が例えばテストの結果を知りたいと思ったときに、マスコミの報道がなければ、事実上開示請求するしかないですよ。けれど、実際は忙しいからそういうことは出来ない。結局はマスコミを通じて知るしかない。そうすると、事実上は知る権利が保障されない。もちろんそれぞれの学校で開示すればいいじゃないかと、他の学校のことは探していけば情報は集められるかもしれないが、しかしこれはそこまでしなければいけない種類の情報なのかというふうに思うんです。そうすると、使う人がいるのかいないのか、この人に必要なのか必要ないのかっていう判断をするのではなくて、基本的には情報は人間が生きていくために必要なものなのだから、使う人が少なかろうが多かろうが、どこででも水道が出るように、基本的にはどこにでも行けるために道があるように、情報にはアクセスできるんだという状態をまず作ることが基本的な精神だと私は思うんです。そうすると今回のように知る権利に大きなハードルを設ける事になるのは、やはり住民自治の観点から、僕はかなり慎重にやらなければならないことだと思います。
(委員長)
 大前提に、検討の視点のところで、知る権利はもちろん大切だがそれによって傷つく子どもたちがいるということを慮って。だから学校別は出さないということを議論してきたのでそれはきちっとおさえたいと思います。例えば、10人以下はダメだというのはそういう視点だと思いますが、10人以下でも15人でも実質はほとんど変わらないだろうということを思っています。だから、個々の学校がずらっと並べられるということは極力避けたいということです。ただ、高いハードルかも知れないけれども、個々の学校に個々人が聞きに行かれることは仕方ないと思いますが、鳥取県中の学校がずらっと並ぶことは避けたいという主旨です。知る権利と子どもへの配慮のバランスをどう考えるかという議論だと思います。
(委員)
 学力テストはテストと併せて、生活調査も併せてしているんですけれども、生活と学力の相関関係は、これまでの基礎学力テストでも全国の中でもはっきりと出てきている。ところが、報道になると、その前のパーセントの部分しか出て行かない。私たちが報道に出すこと、保護者に出すことも含めて、その生活調査をする意味というのが取り入れるとか、学校で学ぶ事というのはいっぱいあるので、知徳体のバランスとか言っていますけれども、国語と算数だけではなくて音楽もあり美術もあり体育もあるものの中で色々あるものの中の、計ることができる学力の状況というのが今はこれですといったようなちゃんとした内容を出すようにしていかないと、誤解を招くし、問題にしている序列化や過度な競争に対しての理解もきちんと出していかないといけないという感想を持ちました。
(委員)
 それは、分かりますし私もそうだと思います。色んな情報を出しているけれども、数字の部分だけが一人歩きしてというリスクがあるとういのは非常によく分かる。ワイドショー的なものになってしまうというのは非常に良く分かるんですけれども、だからといってそのリスクがあるから出さないんですという事がまかり通るのか。社会というのは振り子のようなもので、これだけ騒がれている以上、いくら言っても、Excelで並べ替えてホームページ上に出す人が出るかもしれない。そういうものは基本的には出るものだと思うしかないと僕は思っているんですよ。出るものだという前提で考えないといけない。振り子の揺れ中で悪しき事態が起こるかも知れない。が、それは社会がそのことをちゃんと受け止めて修正しながらだんだん望ましい方向に行くものだと思います。社会はそのように発展してきました。興味本位の情報の扱いによって生まれるかもしれない傷も、周囲で適切にフォローしていけば、回復不能のものではない。もちろんおっしゃるとおり、「これは数字だけじゃないんです。もっとトータルに判断しないといけないのです」ということは明確に言えばいい。リスクを心配しすぎだと思います。
(委員)
 だから出さない学校が多いとは言っていないですよ。いい具合に活用してくださる方もいるけど、今の場合ですとどの方にも出さないといけませんよね。そうした場合に、困った点とか心配している点は、今おっしゃったように並べようと思ったら並べられる、それはみんなが考えることなので、そこで、それが良い具合に使っていけたらいいけど、なかなかそういう事にはならないし、目の前の子どもたちに実験的なことは許されないし、仕方によって違いますけれども、そういう事を考えたときに、こういう改正案のような歯止めが欲しいということですね。
(委員)
 このような具体的なレベルでのということですか。
(委員)
 この問題を振り返ってみますと、過度な競争、では社会はどうなんだというと競争社会ですよね。過度な競争と競争社会の関係って何なんだろう、競争ってどの辺にあるんだろう、というのを私が入ったときに一番始めに感じたことです。この度の開示請求者にとってもマスコミにとっても、共通事項というのは教育界においても、また我々県民にとってもモラルを統一するということだと思うんです。そういった面で、子どもたちにモラルを問うても仕方がない、では教育者のモラルはどうなんだ、ということが出来てくる気がするんです。今の教育の現場を私たちが推測したり環境を考えた場合に、先ほどいった折衷案的と言っているわけではないけれど、とりあえずこれで前に言ってみようというのが今回の案だと思うんです。そしてモラルに対しての県民の理解度、教育者の理解度がある程度熟してきたら、そこはさらにあがっても良いんじゃないかというようなことを思う。教育というものに対しての手順としてはこっちの方がいいんじゃないかという感じがする。開示・非開示はありとして、それを全面に出すのも手かもしれないけれども、本当に現場のことを考えた上で、これを今後成功に導くならどうすればいいのか考えた場合には、過度な競争、競争ってのはなんなんだ、その辺のことを教育現場で考えていかないといけない。一つの条例改正案が出る、ではどれだけ県民が理解して、ちゃんと守っていけるのかというのは不安だと思うんです。守れないんじゃないかなという感じもある。その時にどういう考え方をするんだと考える。一つ一つやっていったときに、ゴールは迎えられるんじゃないかと思う。
(教育長)
 教育の本質論をやり始めると、かなりまた元に戻ってしまうのでやりたくはないんですけれども、おそれが若干あるからといって、あんまりおそれを全面に出していくと、本当は子どもたちも力を持っていたり、学校の教育現場だって案外力を持っているんだけど、それを守りにだけ学校教育を持って行くのは私は必ずしも良くないと思っています。これは冷たいというのではなく、子どもたちは自分の学校が出て、自分の学校の成績が低かったときに、全部自分たちが悪かったと、点が低いのはこの子がいるから悪いといっていじめに繋がっていくというのは、考えられないことはないかもしれないけれども、それは私は高等学校の教員をしていてそんなことばかり多くはないと思うんです。教育をやりだしたらそれぞれの考え方ですから、どうしてもなかなか近づかない部分ではあるんですけれども、ただ、教育はみんなでやらないといけないので、教育関係者だけが情報を握って、そのうちに百年河清を待つでやっていたら絶対良くならない。試験をやって良くなかったらみんなで頑張ろうねっていうのが私は一つのちゃんとした役割だと思っているんです。逆に良かったら良かったで誉めるこれもやればいいと思うんですよね。ただ、これは2教科ですから学校教育をすべて反映するわけではありませんから、そこのところは学校の教職員のみなさんは自信をもって、保護者のみなさんも地域のみなさんも私たちの学校はみんなでやってるから一つのことだけで判断されないよね、だけど一つの指標だから頑張って活かしていこうねという、こういう広い教育論をきちんとやっていくということが非常に大事だと思っているんですよ。そういう意味で、本当はこういう条件つけないで全部開示してというのが本当ですけれども、ただ、みんなで力を合わせてやっていこうというのがまとまりかけている今の段階では、みんなの力を合わせる方向でとりあえずやっていくというのが今必要かなと。そういう意味で、ちょっと妥協的だけれども今の段階ではこうかな。次の段階を考える必要があるかもしれないというのが私の論です。
(委員)
 一点だけ、教育委員会が社会のモラルを測る、社会の成熟を待つ、という立場ではないだろうと。そのスタンスはありえないことは言っておきたいと思います。
(委員長)
 ここに至るまでには、いろんな意見があるわけで、委員あるいは教育長の視点があるし、それから徹底的に子どもたちの事を守りたいという視点で非開示を通したいという視点もある。その中で、でも、妥協という言い方は悪いんですけれども、開示の方向を模索しながら、でもここに書いてあるようなことが起こらないような配慮という事で、この提案としたいと思いますけれどもよろしいでしょうか。
(委員)
 これでとおっしゃるのはこの文章のことですか。
(委員長)
 文章はまだ正式なものではないので、ただこういうアイデア、基本の姿勢で行くということで。
(教育長)
 条例そのものはこれからです。 
(委員長)
 ただ、こういう考え方ということです。ではそういう方向にしたいと思います。
(教育長)
 確認ですが、罰則は設けない。21年度以降ということですね。
(委員長)
 そうです。それでは事務局に今後の確認を再度お願いします。
(次長)
 今日の結果を県民室に伝えまして、パブリックコメント、電子アンケートというのは実際にやるのは県民室ですので、内容的なものはこちらが説明させていただきます。そして11月のなるべく早いうちにパブコメをすると、その際にはこの条例で出しますということで、今までの議論を整理したうえで、こういったような改正で開示の方向でということを問いかけるといったような内容になります。それで、締切がいつになるか分かりませんが、14日の委員会でパブコメなりアンケートなりの結果をある程度まとめて見える状態にして、今度は議案という形で出させていただくということになるかと思います。11月議会は知事が提案をしますが、通常でしたら11月の上旬に議会にかける議案の説明というのを議会側でしますので、その時点ではまだ条例案は固まっておりませんので、おそらく11月議会に追加提案ということも可能性はあると思っておりますので、11月議会には出す予定です。採決は最終日です。
(委員長)
 では、14日に先ほど言ったようなことで、最終的に教育委員会として議案で議決をしたいということです。
(次長)
 繰り返しますけれども、14日は8月11日に保留になっていた21年度以降の取り扱いの正式な決定と、条例案は改正するのは知事ですので、改正を依頼する内容について今日よりより具体的な内容について説明すると。
(教育長)
 今日やったのは協議会であって、今度は議案として出していくと。
(委員長)
 よろしゅうございますか。では今日はこういった内容で終わりたいと思います。
  

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