フラビウイルス科フラビウイルス属に属するダニ媒介脳炎ウイルスによる感染症であり、中央ヨーロッパダニ媒介脳炎とロシア春夏脳炎の2型に分けられる。
          
         
        
          
            自然界ではマダニとげっ歯類との間に感染環が維持されているが、マダニでは経卵伝播もありうる。ヒトへの感染は主にマダニの刺咬によるが、ヤギの乳の飲用によることもある。潜伏期間は通常7~14 日である。
  中央ヨーロッパ型では、発熱、筋肉痛などのインフルエンザ様症状が出現し、2~4 日間続く。症例の三分の一では、その後数日経って第II 期に入り、髄膜脳炎を生じて痙攣、眩暈、知覚異常などを呈する。致死率は1~2%であるが、神経学的後遺症が10~20%にみられる。
  ロシア春夏脳炎では、突然に高度の頭痛、発熱、悪心、羞明などで発症し、その後順調に回復する例もあるが、他では髄膜脳炎に進展し、項部硬直、痙攣、精神症状、頚部や上肢の弛緩性麻痺などがみられる。致死率は20%に上り、生残者の30~40%では神経学的後遺症を来たす。
          
         
        
          
          ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からダニ媒介脳炎が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ダニ媒介脳炎患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ダニ媒介脳炎の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ダニ媒介脳炎が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ダニ媒介脳炎により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
エ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ダニ媒介脳炎により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
    
        
            | 検査方法 | 検査材料 | 
        
            | 分離・同定による病原体の検出 | 血液、髄液 | 
        
            | PCR法による病原体の遺伝子の検出 | 
        
            | IgM抗体の検出 | 血清、髄液 | 
        
            | 中和試験による抗体の検出(ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意の上昇)
 | 血清 |