鳥取地方の民芸運動指導者になった吉田璋也(よしだしょうや)に影響を受けた窯元を前回に続き紹介します。
岩井窯の山本教行氏は、青年時代に吉田やバーナード・リーチと会い、陶芸を志ざし、島根県出西窯での修行後、独立し、岩井の地に築窯しました。一般的に民芸では、職人が黙々と仕事するイメージがありますが、山本氏の眼は世界中の民芸品にも目を向け、それらのエッセンスを吸収、消化し、今までの民芸にない、おしゃれな独自の作風を創り上げました。
最近では、西洋式倒煙型薪窯を築窯し、黄釉や緑釉の作品を制作するなど、常に作品の幅を広げることに挑戦しています。 また、岩井窯では、音楽会や落語会など文化的で楽しい催しが毎年開催されます。自然豊かで、近くに岩井温泉もありますし、環境抜群の要チェックイベントです。おいしい食事も用意されてます。岩井窯のホームページで紹介してますので、ご興味がある方はどうぞご覧ください。
そんな岩井窯には、全国から修行の問合せが来るそうです。ですが、現実は狭き門でお弟子さんになるのも大変ですが、独立するのはもっと大変です。そんな状況ながら、山根窯と牧谷窯は、岩井窯での修行後、しっかりと鳥取の地で築窯し、がんばっています。
山根窯は、出身地の和紙の産地で有名な鳥取市青谷町に築窯しました。この地では、約1,100年前から和紙が生産され、今でも盛んです。また、民芸運動もこの地にも強い影響を与えました。そんな土地柄の中、世界の民芸を連想させる落ち着いたデザインが作風で、和洋に使える暮らしの中の陶磁器を作っています。登り窯にこだわって作陶しています。因州和紙を紹介する施設「あおや和紙工房」がすぐ近くなので、セットで訪ねられることをお勧めします。また、あおや和紙工房の喫茶「ベリー」では、山根窯の器でコーヒーがいただけます。
牧谷窯は、若くて新しい窯です。風光明媚な浦富海岸の近くにあります。自然素材の釉薬の研究に力を注ぎ、最近では、つや消しの独特の味を持った飴色釉薬を得意としています。気軽に楽しむシンプルな食器や花器などを作っています。最近では、赤釉や金彩の箱物などにも挑戦しています。
岩井窯自身も進化を続けるし、次世代の青年たちは、どのように継承・進化してゆくかどちらも楽しみですね。
次回は、また違った形で吉田璋也の影響が深い窯元の紹介です。