伝統的な技術や技法を紹介する連載「匠のお仕事」。 因州和紙に続いてご紹介するのは、郷土玩具の「張り子面」です。 張り子とは「物の形を木型で作り、それに紙を重ねてはり、糊(のり)がかわいてから、木型を抜き去ったもの。はりぬき。また、木・竹などで芯(しん)を組み、上から幾重にも紙を張って作ったもの。」(大辞林 第2版)をいいます。 また、張り子の技法は、室町時代(14~16世紀)頃に中国から伝来したとされていて、その後に日本全土に分布し、現在も郷土玩具などに用いられています。
「日本の郷土玩具 中国・四国(美術出版社)」によると、鳥取の張り子の歴史は天明年間(18世紀後半)に遡ると言われています。 子どもたちが遊ぶ玩具として、かつては盛んに作られていましたが、張り子の人形やお面を製作している事業者は今では鳥取県内に2軒のみです。 |
備後屋・三好明さん
|
柳屋・田中勤二さん
| |
そのうちの一軒が、倉吉・白壁土蔵群のシンボルとも言える「はこた人形」などの張り子人形や面、凧絵を製作する備後屋さん(倉吉市)。 二百数十年前に備後国から倉吉へ来た行商人の備後屋治兵衛は「倉吉張り子の祖」と言われており、備後屋は今の三好明さんで六代目です。
そして、張り子、土製、木製、流し雛など郷土に伝わる多様な玩具類を復興させ、今に伝える柳屋さん(鳥取市)。 本連載では柳屋さんの張り子面の製作現場を取材させていただき、その製作技法をご紹介します。
|
豆知識 「はこた人形」
倉吉の素朴で慎ましやかな娘をモデルに備後屋治兵衛により作られたと伝えられるこけし型の張り子人形。 高さ14cmのものから53cmのものまで6種類があります。 |
| | |