製作工程を見せていただく前に、まずは柳屋の二代目・田中勤二(たなかきんじ)さんに、日々の製作に用いている道具と材料についての解説をお願いしました。 まずは張り子作りに欠かせない和紙。長繊維の昔の和紙が張り子面作りに適するため、反故(ほご)紙も使います。 布海苔(ふのり)は煮て溶かし、糊(のり)として使います。見た目がタタミイワシに似ていて美味しそうですよね。 膠(にかわ)は動物の皮や骨などから作られる接着剤です。 胡粉(ごふん)は白色の顔料で、面の下地として使います。 ゼラチンは胡粉の浮き出てくるのを抑えたり表面に艶を与えたりする効果があります。スーパーなどで食用として売られているものですので、これでゼリーやババロアも作れます。 酸性染料・スカーレットで猩々面に特徴的な朱色をつけ、麻の繊維からできる「麻の尾」で前髪を作ります。 |
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道具類はこちら。 刷毛(はけ)、筆、メス、小刀、はさみなど、様々な道具を作業の内容に応じて用います。 鼈甲(べっこう)製のヘラなど、今では入手困難なものもあります。 「ヘラは小さくて、作業をしているとどこにいったかしょっちゅう分からなくなるので・・・」ということで、田中さんは探しやすいように鈴をつけています。 |
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そして、張り子面作りの道具として欠かせないのが木型。(写真上段右から2番目) 先代の田中達之助さんが昭和30年頃に桐材を彫って作成したものを受け継ぎ、今も大切に手入れをしながら使っています。(創業当初のものは昭和27年の鳥取大火で焼失。) さあ、この木型からどんなお面が生み出されるのでしょうか。 次回の「第4回 顔型の作成・下地作り」をお楽しみに。 |
レア情報 「張り子の面と人形の木型」 |
柳屋さんには張り子の面や人形を作るための数多くの木型があります。 張り子面も、張り子人形も、濡らした和紙を木型に貼る→乾燥させた後、切り込みを入れて中の木型を取り出すという工程は共通です。張り子人形やきりん獅子面などの場合は、さらにパーツ(耳や角、手足、しっぽなど)をくっつけます。このパーツ用の木型も各種あり、同じように和紙を貼って作ります。 わらの俵で乾燥中の張り子人形のパーツを見て、「ああ、これは『しょろしょろ狐』の持っている提灯になるんだな」などと想像するのはとても楽しいです。ちなみに上の写真の中央にある目と鼻を持つパーツは、乾燥後に赤く色づけされ、張り子人形「きりん獅子舞」(下の写真)の猩々の顔になります。小さいながらも、きちんと前髪もつけられます。 この首がゆらゆら動く様はとても可愛いです。 |
柳屋さんの木型に関する情報(2008年1月16日付け「手仕事ブログ」) →「使い続けて50ン年。柳屋さんの木型」
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