静かな民芸ブームでしょうか?
今まで、日本の民芸品・工芸品は民芸店、和物ギャラリーや百貨店等に置いてありましたが、近頃、おしゃれなインテリアショップやセレクトショップが積極的に取り上げています。若い方から熟年層までちょっとした人気らしいです。
シンプルデザイン。きらびやかな飾りはない、すっきりして無駄がない形だけど、工業製品と違い、手作りの温かさがあります。
例えば、民芸の湯呑みなどは日常生活で使うことを大事に考えて作られたものだけに、手で触ったり、口を付けた感じがしっくりなじんでいて、お茶が飲みやすい。よく見るとなかなかいいカタチをしている。
「意外といいじゃないか。ちょっと枝豆を入れても良さそうだ。草花を活けても映えるなあ。」とか何とも言えない存在感や美しさを感じて、楽しい想像が広がったことがありますよね。
「日用品の中に美しさがある。」
左の写真は、鳥取県岩美町の延興寺窯 山下清志さんが作った湯呑みです。湯呑みの側面は大胆にそぎ落とされています。面取と呼んでいますが、適度に角張っていて、とても手になじんで持ちやすい。また、面取の直線的な出っ張った角は白い釉薬の層が薄く、少し生地の土色が見えて立派なデザインになっていてきれいですね。
韓国文化を代表する朝鮮時代の焼き物(李朝の焼き物)をお手本に今の日本の使い手のことを考えて創られています。
お手本となった李朝の焼き物に興味をいだいた人に大正~昭和にかけて「民芸運動」を起こした美術評論家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎、浜田庄司たちがいました。彼らは李朝の焼き物などに「用の美」を見いだし、追求しました。
柳らに影響を受けた人に鳥取地方の民芸運動指導者になった吉田璋也がいます。山下さんは学生時代に吉田と出会い、その考え方に深く感銘を受け、丹波立杭の生田和孝(鳥取県出身)のもとで陶芸の修行をしました。その生田は河井寛次郎に師事しておりました。こうした人々の出会いと熱意は今も鳥取の地で生きています。
ひとつ鳥取の民芸品を毎日の暮らしに使って体感してみませんか?