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手仕事探査隊

第8回 とっとり陶磁器の今 その四 生田和孝の弟子たち

  北栄町出身の生田和孝(1927~1982)は河井寛次郎らに師事し、丹波立杭に窯を築き、力強い日用雑器を作りました。 

(生田作灰被りらっきょう徳利(鳥取県立博物館収蔵)へのリンク)
 http://www.z-tic.or.jp/p/museum/digital/sankei/ikutanotokkuri

 生田も鳥取地方の民芸運動指導者になった吉田璋也と出会っています。陶芸家濱田庄司も生田の窯元を訪ね、力強い作陶姿勢に心を打たれました。日本陶芸展文部大臣賞を受賞するなど全国的評価も高まり、作家として期待されていましたが、50代半ばの若さで残念ながら他界しました。

 今年は、生田の業績を再評価する催しが二つも鳥取で企画されてます。鳥取民藝美術館では、特別展「生田観陽コレクション 陶芸家生田和孝」(5月26日~9月30日)、鳥取県立博物館では、常設展示「生田和孝と瀬戸浩~陶芸における2つのベクトル」(5月24日~7月8日)が開催されます。是非、この機会に生田和孝の仕事に触れてみてはいかがでしょうか。

 黙々とダイナミックに日用雑器を作る生田のもとからは、浦富焼の山下碩夫氏、延興寺窯の山下清志氏と福光焼の河本賢治氏の三名の鳥取県出身者が独立し、県内に築窯しています。

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                                 掻き落とし皿 (浦富焼) 

 浦富では陶石が採石され、江戸末期頃数十年間、染付の日用雑器が焼かれていましたが、途絶えていました。山下碩夫氏と清志氏兄弟が1971年再興し、浦富焼と名付け、柔らかい色調の白磁「雪白瓷(ゆきはくじ)」を創作しました。最近の作品では、梵字を彫り込んだ魚の絵付皿など新しい作風にも挑戦しています。また、いろいろな工芸を身近に体験できる「いわみ工芸村」の運営にも活躍されています。  

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                                チチチャン小皿 (延興寺窯)

  浦富焼で経験を積んだ山下清志氏(延興寺窯)は地元で取れる陶土や釉薬の原料にこだわり、1979年延興寺の地に開窯しました。見た目の華やかさよりも見えないところでの気配りを大切にする「用の美」の精神を大切に作陶しています。古来の優れた民芸をお手本に現代生活に合う作品づくりを地道に続けています。沖縄の民芸窯で修業し、帰郷した裕代さんと親子展を開催するなど、また新しい展開を向かえています。 
 

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                                   海鼠釉鉢 (福光焼)

 福光焼の河本賢治氏は、登り窯での焼き上げにこだわり、精力的に制作し、県外での個展等を積極的に開催しています。民芸をベースにしながらも、シンプルで洋風のインテリアにも合う雰囲気が持ち味です。日常使いを意識した作品づくりをしています。近年では、花など自然美から連想した造形的な作品を発表しています。

 この三つの窯元では、若い後継者がそれぞれ先代と一緒に日夜、作品づくりに励んでおり、手仕事業界後継者不足の中、大変頼もしく思います。生田の精神が三世代に渡り、鳥取の地で継承され、次世代の花が咲こうとしています。

 次回は、伝統工芸の世界で現代的表現に挑戦する窯元の紹介です。

更新日:2007年7月17日

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