占領期の鳥取を学ぶ会

趣旨

 第二次世界大戦後における占領期の鳥取県内の様子については、これまで実態をまとめた資料が少なく、よく分かっていませんでした。しかしながら、新鳥取県史編さん事業の調査により関係資料の所在が明らかになるとともに、近年、戦後に鳥取県に進駐した占領軍の姿が映るカラー映像の発掘や、占領軍が宿舎として使用した樗谿グランドアパートなどの居住空間の解明が進むなど、占領期の鳥取の実態が浮き彫りになってきました。そこで、県内の試みとして鳥取県の占領期を学ぶ連続講座を開催することとし、鳥取市歴史博物館との共催事業として平成29年7月にスタートしました。

活動内容

 テキストとして、鳥取に進駐した占領軍の地方組織である鳥取軍政部(Tottori Military Government)が毎月第8軍司令部に提出した活動報告書 Monthly Activities Report を用います。活動報告書は国会図書館憲政資料室にマイクロフィッシュのかたちで保管されており、鳥取県立図書館を通して複製を入手しました。月例会では参加者の皆さんが英文資料の解読結果を発表し、澤田晶子調査委員(翻訳担当)が訳文の講評を行い、事務局が参考資料の解説を行います。 

令和5年度 占領期の鳥取を学ぶ会 開催要項

 平成29年7月、鳥取県立公文書館と鳥取市歴史博物館は、共催事業として「占領期の鳥取を学ぶ会」を立ち上げ、県民参加による英文の軍政レポートの解読を開始しました。  
 令和5年度においても、鳥取県における占領期研究を一層進めるため、引き続き「占領期の鳥取を学ぶ会」を開催し、県民の方々と共同して占領期の鳥取に関する調査研究を行います。


主催:鳥取県立公文書館鳥取市歴史博物館

開催日時:(令和5年)5月20日(土)、6月17日(土)、7月15日(土)、8月19日(土)、9月16日 (土)、10月21日(土)、11月26日(日)、12月16日(土)

(令和6年)1月20日(土)、2月17日(土)、3月16日(土)  
*いずれも午後2時から午後4時まで

会場:鳥取市歴史博物館(やまびこ館・鳥取市上町88)地下1階 まなびのひろば

活動内容:鳥取軍政部活動報告の解読と解説(聞くだけの参加も可)、会員による調査研究活動の報告会(年1回程度)、占領体験の聞き取りや進駐軍関連施設のフィールドワーク(随時)等

参加者:20名程度(入会は随時受付)

申込先:鳥取県立公文書館(担当:石田) 電話0857-22-4620
    鳥取市歴史博物館(担当:横山) 電話0857-23-2140

令和3年度活動報告会(第1部)

 令和3年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、たびたび開催を中止したため、今年度は、会場に参集できない場合はZoomシステムによるオンライン形式で活動を継続します。第1回目の月例会として、下記のとおり「活動報告会(第1部)」を開催しました。


(日時)令和4年6月18日(土)午後2時~午後4時【オンライン開催】

(報告)「鳥取軍政レポートの翻訳-特徴と課題の翻訳学的考察-(pdf:1943KB)」澤田晶子さん

    「占領期を生きた人々:山根敏子、足羽喜代子、平川唯一」森悟さん

    「各国公文書館の占領期資料の調べ方(pdf:3840KB)」西村芳将さん

      鳥取関係AG文書(立命館大学_GHQSCAP Data Base Server) (pdf:107KB)

      鳥取軍政部活動報告書(軍政レポート)の国会図書館請求記号一覧 (pdf:526KB)


 報告会の様子は「活動日誌」をご覧ください。

令和3年度活動報告会(第2部)

日時:(第2部)令和4年7月17日(土)午後12時~午後4時【オンライン開催】

(報告)  「戦後の食糧危機と鳥取県&GHQ」
       小山富見男さん(鳥取地域史研究会 会長)/杉内智子(公文書館)

(特別報告)「進駐軍接収住宅のトイレ」細井由彦さん(鳥取大学理事・副学長)


 報告会の様子は「活動日誌」をご覧ください。

令和元年度・令和2年度活動報告会

 昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、活動報告会を延期しましたが、このたび令和元年度と令和2年度の2か年分の活動報告会を下記の通り開催します。(終了しました)


日時  令和3年3月6日(土) 午後2時半~5時
    (終了しました。報告会の様子「活動日誌」をご覧ください。)

会場  鳥取県立図書館 大研修室(鳥取市尚徳町101)

定員  先着40名

参加費 無料

参加申込み 2月9日(火)より鳥取市歴史博物館にて受付【申込期限:3月5日(金)】。

詳細は鳥取市歴史博物館「イベントのご案内」をご覧ください。

※新型コロナウイルス感染状況によっては、中止または延期にさせていただく場合があります。

平成30年度第1回の様子(平成30年5月12日)

 1947年5月分の月例報告のうち、本文・別添A(政治行政)・B1(公衆衛生)・E(教育)について高校生3名を含む19名が、英文の読解に取り組みました。

占領期の鳥取を学ぶ会の写真

平成30年度活動報告会

日時 平成31年3月9日(土)午後1時半~4時 会場 鳥取市歴史博物館(終了しました)

 長志珠絵教授の基調講演では、戦後の占領期研究が進まなかった背景に史料の公開の遅れがあること、占領期研究のなかでも国政や憲法の成立など国家的テーマの研究が先行し、地域へのまなざしが後手に回ってきたこと。船岡村奉安殿の移転問題をきっかけに鳥取県への関心が深まりこの会に参加したこと、鳥取県の取組は、新聞などの地域資料・英文資料・インタビューの3つの要素をもつ他の先例となりうる事業だとの評価をいただきました。

写真1
(写真1)木谷・鳥取市歴史博物館館長のあいさつ

写真2
(写真2)長教授の基調講演「占領期の地域史資料とGHQ文書」

 つづく、西村報告は30年度解読の進捗状況とトピック、チラシに用いた地図・写真の説明を行い、小山報告は主に公文書館が所蔵する学校資料(学校日誌)を用いて軍国主義教育から民主教育に転換が図られた占領改革の学校現場の動きを豊富な事例をもとに紹介しました。澤田報告は、鳥取軍政部教育情報担当将校のJames. K .アリマ中尉の特定、履歴の紹介と軍政レポートにみられる同氏の思想を紹介しました。横山報告は、アメリカからの救援物資に対して礼を述べた児童が戦艦武蔵の最後の艦長猪口敏平氏の子息だということに着目し、当時の人々のアメリカに対する心情を考えさせる内容でした。

写真3
(写真3)西村報告「平成30年度の活動と解読のあらまし」

写真4
(写真4)小山報告「鳥取軍政部が行った学校視察」

写真5
(写真5)澤田報告「鳥取軍政部教育情報担当将校アリマ中尉について」

写真6

 

平成29年度活動報告会

日時 平成30年3月3日(土)午後2時~4時 会場 鳥取市歴史博物館(終了しました)

 当日は計9回の活動報告のあと、西村が「GHQ鳥取軍政部の組織と人事」というテーマで軍政レポート執筆者一覧と県内占領軍の電話回線図を元に解説を行いました。

 鳥取市歴史博物館横山展宏学芸員は、同館所蔵資料中の進駐軍の記事を写真で紹介し、特に当時の「鳥取市報」に掲載される進駐軍からの呼びかけはGHQの市民生活への関与を実感させるものでした。また、翻訳者の澤田晶子さんの「解読と読解のコツ」は、掠れた英文タイプの資料に向き合い格闘した翻訳者の立場から、辞書・WEBなどを駆使した解読手法と、関係新聞記事を用いた読解手法を説いたもので、1946年9月16日付英文レポートの事例を画面に引用しながらの説明は、英語そのものに関心のある参加者の興味を惹くものでした。

 質疑応答のあと西村から、「webで閲覧できる英連邦軍関係写真」を紹介、また解読参加者の上田勝利さんと澤田海宏さんが鳥取大火の米軍救援物資レーションの現物を紹介されました。

澤田さん説明の様子の写真
英文の「解読」と「読解」のコツを説明する澤田さん

フィールドワーク・座談会など

  進駐軍は鳥取でなにをしていたか

 日時 令和元年5月19日(日)午後2時~3時(終了しました)

 会場 鳥取市歴史博物館(おうちだにアカデミーの一環)

 占領期の鳥取を学ぶ会の活動を通して収集した米軍・英連邦軍の写真や資料をもとに、実戦部隊と対敵諜報部隊(情報部)の活動を中心にお話をしました。

5月25日に講演の様子

鳥取に進駐軍がいた頃(座談会)

 日時 平成29年11月4日(土)午後2時~4時(終了しました)

 会場 鳥取市歴史博物館

 鳥取県に滞在していた進駐軍については、県(渉外部)の文書が残されていないこと、占領が終わった昭和27年4月に鳥取大火があり市民の記録も焼失したことなどから、詳しいことは不明でした。そのため、当時のことをご存知の清末忠人さんと松田章義さんをお招きして、進駐軍の経験を伺いました。お二人からは、「鬼畜米英」と実際の進駐軍とのギャップ、進駐軍が自宅を訪問したときの体験、上町の接収住宅と家族用住宅のこと、進駐軍から英語を習った経験などが披露されました。

 

会場の様子の写真
悪天候のなか67名が参加されました。

 

新聞記事を投影している写真
英印軍の鳥取市中行進の新聞記事を投影(1946年5月31日付日本海新聞)

清末さんと松田さんの写真
進駐軍兵士との体験を語る清末さんと松田さん

樗谿グランドアパート見学会

 日時 平成29年10月14日(土)午後(終了しました)

 会場 樗谿グランドアパート(鳥取市上町)

 樗谿(おうちだに)グランドアパートは昭和5年に医院として建てられた後、昭和21年に進駐軍将校宿舎として改修・増築され、ダンスホールや居室などあちこちに進駐軍時代の意匠や備品や残されています。平成28年に鳥取市指定文化財となりました。当日は鳥取市歴史博物館木谷館長によるアパートの建設経緯に関する説明をうけたのち、同アパート保存会の会員で県史現代部会委員の佐々木孝文さんの案内で建物内を巡り、改修の経緯と現在の修復状況について説明をうけました(参加者18名)。

進駐軍時代のグランドアパートを移した写真
1.進駐軍時代のグランドアパートの写真(推定)"B.O.Q Tottori Military Government Team"
出典 Occupational History of Tottori Military Government Team
 (19 October 1945 -19 October 1948)

建物外観写真
2.木谷館長による建物建設経緯と外観の説明(写真1と同じアングルで撮影)
1階ダンスホールの壁に残る女性の絵の写真
3.1階ダンスホールの壁に残る女性の絵
.佐々木氏による螺旋階段部分の説明の写真
4.佐々木氏による螺旋階段部分の説明
進駐軍の居室に残されたベッド写真
5.進駐軍の居室に残されたベッド
進駐軍用の200ボルトコンセント写真
6.進駐軍用の200ボルトコンセント(左)

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