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 久松山地域は戦国時代以降鳥取城が築かれ、鳥取藩32万石の中心地でした。現在でもこの地域は県庁があり、行政の中心地となっています。

 しかし、戦国時代から遡ること約800年前の奈良時代、県庁から4キロほど離れたこの国府町に国史跡因幡国庁(現在の県庁にあたるもの)がありました。今ではひっそりとした田園地帯ですが、因幡三山(甑山(こしきやま)、今木山(いまきやま)、面影山(おもかげやま))に囲まれ、当時の面影を残す万葉の歴史と古代の出土品にあふれた万葉の里となっています。
 この歴史豊かな万葉の里の一角に埋蔵文化財センターはあります。


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鳥取まいぶん講座

令和7年度鳥取まいぶん特別講座「鳥取県東部における縄文時代~江戸時代の森林の変遷と木材利用」でいただいた御質問への回答(その2) New!

 令和7年8月9日(土)に開催した鳥取まいぶん特別講座でいただいた御質問について、2回に分けて回答します。

【質問8】
 分析の結果、時代ごとに樹種、植生の変化がみられますが、これは森林の様相が変化しているということでしょうか。また現代の里山の様相(森林相)は過去のどの時代に類似しているのでしょうか。
【回答8】
 縄文時代の終わりごろから弥生時代の初めごろに、温暖化により常緑広葉樹を主体とした森に変化して以降、自然状態の森については、基本的にあまり変化がなかったと考えられます。ただし、人が木材を大量に使う時代(中世)からは、二次林が拡大していくことになります。
 里山(二次林を人為的に維持している状態)については、江戸時代のものと類似していると考えられます。

【質問9】
 縄文時代後期に森林の主体が落葉広葉樹から常緑広葉樹に変化することと、大陸(もしくは他地域)からの人間の移動が関係しませんか。また人間の移動とともに木の使用文化もやって来たと考えられませんか。
【回答9】
 植生の異なる他地域から人が移動してきた場合、はじめは元の地域で培ってきた樹種選択をおこなえたかもしれませんが、そのうち周辺に生えている木にあわせた樹種選択をしないといけなくなるため、再び樹種の変化が見られると考えられます。つまり、落葉広葉樹主体の地域に常緑広葉樹主体の地域から人が来たとすると、一旦は常緑広葉樹の利用が増加しますが、その後落葉広葉樹の利用に変っていくことが予想されますが、分析結果からはそうはなっていないため、人の移動は想定しにくいと思われます。

【質問10】
 木材の利用状況から復元した植生と、花粉分析から復元した植生の違いはあるのでしょうか。
【回答10】
 木材の場合は、人が伐採して運んできているものになるため、運搬が可能な範囲内(現状では弥生時代では集落から3km程度)の植生を反映しています。花粉分析については、花粉の飛散距離が木によって異なり、クリのように木が生えている周辺にしか花粉が飛散しないものもあれば、スギのように風によって数十kmも花粉を飛散させるものもあります。そのため、数十kmの範囲内の植生を反映していることになります。

【質問11】
 樹木が直径5cm前後に生育するのに何年くらいかかりますか。直径20cmのケヤキの場合はどうですか。また芯持ち丸木材というのは枝ですか、幹ですか。
【回答11】
 ケヤキについては、年に1cmほど太くなっていくようですので、直径5cmであれば5年ほど、直径20cmであれば20年ほどかかると考えられます。土木用の杭に使われている芯持ち丸木材は、直径が5cm前後であることから、枝の部分を使っていた可能性が高いと考えています。

【質問12】
 木材を他地域から手にいれることがあったとしたら、それはどの地域が考えられますか。またそれは材料として入ってきたのか、それとも完成品として入ってきたのでしょうか(特に弥生時代)。
【回答12】
 木はどこの地域にもある資源なので、弥生時代においては、自分たちで使う分の木材は自分たちで伐採して加工して使うことができるため、木材を他地域から入手するという状況はあまりなかったと考えられます。大阪府(東大阪市周辺)や愛知県(名古屋市周辺)の平野部の遺跡では周りに太い木がなく、数km離れた山に近い集落から、素材の状態の木材を入手していたと考えられる事例もありますが、鳥取では現状そのような事例は確認されていません。
 完成品については、青谷上寺地遺跡で多く見つかっている花弁高杯は、完成品が他地域にもたらされていると考えられているものの一つですが、石川県や島根県で見つかっているものは、鳥取県の資料とは使われている木の種類が異なるため、完成品が動いているのか、各地域でそれぞれ作られているのか、まだ諸説ある状態です。

【質問13】
 九州でのウルシを塗った木器の優品の出土例はありますか。
【回答13】
 九州に限らず、日本全国でウルシ塗りの遺物は出土します。古代ではウルシ塗りの器がよく見られますが、これは高級食器と考えられ、貴族の食卓などで使われていたものです。ちなみに原料のウルシは古代において税として扱われ、因幡国は都へウルシを納めていた国の一つです。


令和7年度鳥取まいぶん特別講座「鳥取県東部における縄文時代~江戸時代の森林の変遷と木材利用」でいただいた御質問への回答(その1) New!

 令和7年8月9日(土)に開催した鳥取まいぶん特別講座でいただいた御質問について、2回に分けて回答します。

【質問1】
 クリの使用が多いのは、縄文時代から食用を兼ねて植林をしていたからではないでしょうか。また古代ではスギなども植林していたことは考えられませんか。
【質問2】
 妻木晩田遺跡でクリを栽培していたと聞いたように思いますが、東部でもクリを栽培していたのでしょうか。またスギ、ヒノキも栽培していたのでしょうか。
【回答1、2】
 東日本の遺跡では、縄文時代にクリを管理していた可能性が指摘されていますが、現状、鳥取ではそのような状況はみられません。堅果類については、鳥取県では、鳥取市桂見遺跡や栗谷遺跡を参考にすると、クリよりも、カシ類、トチ、クルミが多く、食料源の一つでしかない状況です。なお妻木晩田遺跡において、クリが栽培されていたという証拠が見つかっておらず、東部においても同様です。
 スギ、ヒノキについては、花粉分析の結果も考慮すると、自然に生育していたものを利用していたと考えられます。植林については、文献資料からみて、日本では中世の終わりごろ(戦国期)から始められたと考えられています。

【質問3】
 クリが木材として利用されたのは、実の利用のために栽培していたクリの木を木材としても利用したからでしょうか。それとも水に強い材として選択したからでしょうか。
【回答3】
 クリが杭や柱の材として利用されたのは、水や湿気に強く、またタンニンという成分が含まれており、虫害を受けにくい材質であることから選択されたと考えられます。
 クリの栽培については現状確認されていませんが、食料の一つである堅果類の利用と木材利用との関係については、現代のクリ栽培を参考にすると、若い木のほうが実が多くでき、老木になると実ができにくくなるそうです。木材として利用する場合、ある程度の太さがあったほうが良いですので、年数がたったものを木材に利用していたのかもしれません。

【質問4】
 鳥取県東部地域では、古代以降「クリ」の使用が目立つようになるということですが、県中西部地域では「クリ」の使用頻度は、竪穴建物出土木材の樹種同定をみると弥生時代がピークになっているようです。県中西部の樹種選択性の時代ごとの変化はどのようになっているのでしょうか。
【回答4】
 県中西部地域での建築材の出土例については、現状、米子市の目久美遺跡などがあるものの、時代ごとの検討ができるほど資料がそろっておらず、変化については分かっていません。県中西部地域で竪穴建物にクリが多いことについては、当該地域で焼失住居が多く見つかっており、炭化した建築部材の樹種が調査されているためです。焼失住居は、弥生時代・古墳時代のものがほとんどで、特に弥生時代後半期のものが多くみられます。利用されている木材は、クリやシイノキ属のほか主に広葉樹が使われています。ただ、それ以降の時期については、資料がほとんどなく、検討することができていません。

【質問5】
 古代の伯耆地域の木材利用の様相が都と似ているのは、両地域にどのような繋がりがあったからだと考えられますか。
【回答5】
 古代の伯耆地域は、因幡地域や出雲地域とは異なり、曲物だけでなく土器の面でも都と共通性が高いという特徴がありますが、その繋がりの背景についてはまだよく分かっていません。古代において、伯耆地域に限らず全国各地に都から様々な情報(技術など)が入ってきますが、情報をそのまま取り入れるのではなく、各地域で選択していたようです。

【質問6】
 鳥取県と隣接するとはいえ異なる国であった島根県とは、木材利用の点で相違はみられるでしょうか。
【回答6】
 島根県も鳥取県と同様に、古墳時代までは基本的に周りに生えている木を利用しています。古代以降についても、各地域で対応が異なりますが、中央の影響や樹種の選択性の強まりは見られます。

【質問7】
 針葉樹の用材比率が古墳時代後期まで低かったのはなぜでしょうか。針葉樹の方が利用・加工歩止まりが良いように思うのですが。昔の人がそこに気づくまでに時間がかかったからでしょうか。
【回答7】
 木材の材質は、木の種類によって様々で、使う用途によって適した材質のものが選ばれています。
 針葉樹の材質は、広葉樹に比べると軟らかくて、軽いため、荷重がかかるような場面では、耐久性に劣ります。また、繊維に粘りがない(曲げに弱い)ため、広葉樹に比べて切削加工では曲面を作りにくいです。その反面、針葉樹を使うほうが作りやすい、使いやすいもの(まっすぐの素材が必要なもの、直線的な形態のもの)にはよく使われています。古墳時代までは、針葉樹材よりも広葉樹材のほうが作りやすい、使いやすい工具、農耕土木具、刳物容器などのほうが多く見つかっているため、広葉樹の利用割合のほうが高くなっています。つまり、出土している木製品の器種によって、針葉樹と広葉樹の利用割合が異なりますので、それを考慮して考える必要があります。

令和7年度鳥取まいぶん特別講座「鳥取県東部における縄文時代~江戸時代の森林の変遷と木材利用」を開催しました。

 令和7年8月9日(土)に、とりぎん文化会館(鳥取市尚徳町)で鳥取まいぶん特別講座「鳥取県東部における縄文時代~江戸時代の森林の変遷と木材利用」を開催し、猛暑の中、55名の皆様に御参加いただきました。
 御参加いただきました皆様、ありがとうございました。
 講座は講演とディスカッションの2部構成で行い、講演では鳥取大学地域学部准教授の中原 計先生に「鳥取西道路の発掘調査からみえる因幡地域の森林植生と木材利用」をテーマに、当センターと鳥取大学との共同研究の成果を懇切にお話いただきました。ディスカッションでは「鳥取いにしえの木の文化」と題して、中原先生と当センターの下江健太課長補佐が対談を行って共同研究の成果を掘り下げ、会場にお越しの皆さんにさらに理解を深めていただきました。
 参加された方から「木製品を丹念に調べ、多くのデータから古環境を復元した意義のある研究だと思った」、「時代ごとに木材の選択性が変化していることがよく理解できた」、「自然環境と社会の変化が相互に影響し合い、生活に反映されているところが興味深かった」などの御感想をいただきました。

中原先生による御講演の様子

中原先生による御講演

中原先生と下江課長補佐によるディカッションの様子

中原先生と下江課長補佐によるディカッション


鳥取まいぶん特別講座を下記のとおり開催します【終了しました】

 鳥取県埋蔵文化財センターと鳥取大学は、共同研究を行い、山陰自動車道「鳥取西道路」(鳥取市本高~青谷町間)建設に伴う発掘調査で出土した多数の木製品について、樹種同定や年代測定といった科学分析を実施しました。こうした分析を通して、鳥取県東部(因幡地域)の縄文時代から江戸時代にかけての植生環境の変遷や木製品の木材調達における樹種の選択性について研究を行ったところです。
 この特別講座では、研究を主導していただいた鳥取大学の中原 計准教授に研究成果について御講演いただくとともに、当埋蔵文化財センターの下江課長補佐とのディスカッションで因幡地域の人々が生業や暮らしの中でいかに森林資源を巧みに利用していたのか、その実態について迫ります。
 この機会にぜひ御参加ください。

1 テーマ:「鳥取県東部における縄文時代~江戸時代の森林の変遷と木材利用」
2 開催日時:令和7年8月9日(土)午後1時30分から午後3時30分まで
3 会場:とりぎん文化会館2階 第2会議室(鳥取市尚徳町101-1) 
4 講演:「鳥取西道路の発掘調査からみえる因幡地域の森林植生と木材利用」
     講師:中原 計氏(鳥取大学地域学部准教授)
5 ディスカッション:「鳥取いにしえの木の文化~因幡の人々の木材利用~」
     パネリスト:中原 計氏、下江健太(鳥取県埋蔵文化財センター課長補佐)  
6 参加費:無料
7 定員:60名
8 申込:事前にお申込みが必要です。

(1)申込期間:令和7年7月18日(金)午前8時30分から令和7年8月6日(水)午後5時まで ※定員になり次第、募集を終了します。
(2)申込方法:とっとり電子申請サービスでお申込ください。

 「あおや かみじろう」のイラストをクリックしていただくと、とっとり電子申請サービスの申込フォームにジャンプします。→あおや かみじろう

参加申込QRコードはこちら⇒まいぶん特別講座参加申込QR

※とっとり電子申請サービスを御利用になれない方は、電話(0857-27-6711)でのお申込もできます。

この↓チラシ画像をクリックしていただくと、PDFファイルが開きます。

まいぶん特別講座チラシ表まいぶん特別講座チラシ裏


令和7年度第1回鳥取まいぶん講座を開催しました。

 令和7年5月17日(土)に令和7年度第1回鳥取まいぶん講座「時間よとまれー鉄製品の保存についてー」を開催し、約10名の皆様に御参加いただきました。

 埋蔵文化財センター職員が、鉄製品の製作方法からみる大気中での鉄製品の劣化の必然性、その鉄製品をできるだけ長く保存・活用するために埋蔵文化財センターが行っている処置について解説しました。また、講座終了後には、連携企画展の解説を行いました。

資料の一部

鉄製品を作る工程を説明した資料


「令和7年度鳥取まいぶん講座」を開催します!

 当センターでは調査研究成果を県民の皆さんにお届けする3回の「鳥取まいぶん講座」と1回の「鳥取まいぶん特別講座」を開催します!

 今年度は、金属製品の保存、木製品の調査研究成果、本高・古海古墳群の発掘調査最新情報についてお話しします。併せて、鳥取大学地域学部准教授の中原計先生と当センターの共同研究成果について紹介する特別講座も開催します。特別講座を除き、オンラインでの聴講も可能です。

 お申込みは、とっとり電子申請サービスを御利用ください。

■第1・2・3回講座は、令和7年4月18日(金)午前8時30分から募集を開始します。

■特別講座は、別途募集します。

■会場参加を希望される方でとっとり電子申請サービスが御利用できない方は、電話でお申込みください。

 なお、日時、内容等は変更になる場合があります。最新情報は、ホームページを御覧ください。

 また、当センターでは鳥取まいぶん講座の内容に関連した企画展を開催します。会場参加の方には講座の聴講に合わせて展示を御覧いたただけます。

どうぞお楽しみに。

会場

■第1・2・3回講座 鳥取県埋蔵文化財センター2階研修室

■特別講座 とりぎん文化会館 第2会議室

日程・演題

1 第1回

(1)日程:5月17日(土)午後1時30分から午後3時まで(午後1時受付開始)

(2)演題:「時間よとまれー鉄製出土品の保存についてー」

(3)講師:鳥取県埋蔵文化財センター 係長 山枡雅美

(4)お申込み先:とっとり電子申請サービス

第1回会場参加QRコード 第1回オンライン参加QRコード 
1回会場参加QR
 1回オンライン
2 第2回

(1)日程:11月8日(土)午後1時30分から午後3時まで(午後1時受付開始)

(2)演題:「木製祭祀具について」

(2)講師:鳥取県埋蔵文化財センター 文化財主事 馬路晃祥

(3)お申込み先:とっとり電子申請サービス

第2回会場参加QRコード 第2回オンライン参加QRコード
2回会場
2回オンライン 

3  第3回

(1)日程:2月14日(土)午後1時30分から午後3時まで(午後1時受付開始)

(2)演題:「古海古墳群の新知見2」

(3)講師:鳥取県埋蔵文化財センター 文化財主事 北浩明

(4)お申込み先:とっとり電子申請サービス

第3回会場参加QRコード  第3回オンライン参加QRコード 
第3回会場
第3回オンライン

4 特別講座

(1)日程:8月9日(土)午後1時30分から午後3時まで(午後1時受付開始)

(2)演題:鳥取県東部における縄文時代~江戸時代の森林の変遷と木材利用」

(3)講師:鳥取大学地域学部准教授 中原計氏

※お申込については、別途お知らせします。

定員 

(1)第1・2・3回講座

  • 会場:20名(先着順)
  • オンライン:定員の制限なし

※いずれも要申し込み

(2)特別講座

  • 会場:60名(先着順)

※オンライン配信はありません。

参加費

  • 無料(オンライン視聴にかかる通信料は自己負担です。)

関連企画展

講座の内容に関連した企画展を開催

(1)会場:鳥取県埋蔵文化財センター1階

(2)内容・期間

  • 「時間よとまれー鉄製出土品の保存ー」

5月9日(金)から7月10日(木)まで

  • 「鳥取県における自然環境と木材利用の歴史」

7月18日(金)から10月16日(木)まで

  • 「木製祭祀具の世界」

10月24日(金)から令和8年1月22日(木)まで

  • 「ここまでわかった!!古海36号墳2」

令和8年1月30日(金)から5月7日(木)まで

 

↓チラシ画像をクリックしていただくと、PDFデータがダウンロードできます。

※チラシの裏面には青谷かみじち史跡公園とむきばんだ史跡公園の土曜講座の情報も掲載しています。

チラシ


「令和6年度 第4回鳥取まいぶん講座」を開催しました!

 令和7年2月15日(土)に今年度4回目の鳥取まいぶん講座は、当センターの森本倫弘が講師を務め、「古海(ふるみ古墳群の新知見」と題し、26名(会場11名、オンライン15名)の皆様に御聴講いただきました。

 当センターでは、「鳥取県内古墳調査研究事業」の一環として、地域の有力者の墓と目される大型古墳が近接して築造されている「本高(もとだか・古海古墳群」を対象に、古墳の出現とその変遷などを明らかにすることを目的とした調査研究を進めており、今年度は古海36号墳の発掘調査を行いました。

 今年度の発掘調査では、古海36号墳の墳長が65.2mであり、地山を削り出して墳丘を成形した可能性が高い(一部、盛土による築造の可能性あり)ことがわかったほか、墳裾(ふんすそから出土した高坏(たかつき坏部により、古墳時代前期に築造された古墳である可能性が考えられることなどがわかってきました。

 講座では、これら古海36号墳の最新の調査成果に加え、今後の課題や計画を報告しました。

R6第4回鳥取まいぶん講座

令和6年度第4回鳥取まいぶん講座のようす

 

また、講座終了後には、関連イベントとして1階ロビーで開催中の企画展示「ここまでわかった!!古海36号墳」を講師が展示解説をしながら参加者に見学していただきました。

企画展示解説

企画展示「ここまでわかった!!古海36号墳」の解説風景



第3回鳥取まいぶん講座「民俗事例からみる考古資料~暮らしのなかの祈り~」参加者の質問への回答

 令和6年11月16日(土)に開催した、第3回鳥取まいぶん講座「民俗事例からみる考古資料~暮らしのなかの祈り~」に対していただいた質問について、講師の鳥取県埋蔵文化財センター係長 原島知子が回答します。

【質問1 流し雛について】
 1年飾った紙雛を流すとのことでした。紙雛は飾り雛とは別に、1年毎に各家々で作られるものでしょうか。
 スライドには押絵雛が飾られた写真がありましたが、昔は押絵雛も流される事があったでしょうか。

【質問1への回答】
 近年の流し雛は、「ときわ流しびなの会」が製作されたものが用いられています。手製の紙雛が戦後一時的に各家々で作られていたこともあったようですが、少なくとも明治以降は、行商人や商店から購入することが主流であったようです(参考:鳥取県2019『新鳥取県史 民俗2民具編』p373)。
 講座において、紙雛ではなく、古い雛を流す事例をご紹介しましたが、雛の種類については、「流雛のような小さなものでなく堂々たる大きな内裏雛」(1927年3月23日『鳥取新報』)、「鼻や耳をネズミにかじられた古いひな人形」(四宮守正1981『ふるさとの素顔:因伯民俗めぐり』p43)とあることから、内裏雛などの雛人形が流されていたようです。過去に押絵雛が流されていたかどうかはよく分かりません。


【質問2 関札について】
 正月、5月と儀礼ごとに札が増えていくようですが、古い関札はどこかのタイミングで焚き上げるなどするのでしょうか。
 道切りや境界祭祀というと道祖神やサエノカミも想像するのですが、鳥取県では、関札の行事と道祖神やとんどさん行事との関連がみられる行事やそれらを行っている地域があるでしょうか。

【質問2への回答】
 古い関札は、雨風にさらされて、自然に朽ちていきますので、特に焚き上げなどはされていないようです。新しい関札の近くに古いものがそのまま残されている場合もあります。
 関札に着目した調査はまだ不十分ですが、私の知っている限りでは、道祖神やトンドの行事の際に関札を立てる事例は見当たらないように思います。なお、西伯郡南部町落合地区において、トンドの際に厄除けと称して、村の入口・出口に門松を立てて注連を張り、松の木で作った陽物をつるしていたなど、関札と同様に、年頭にあたって集落に悪いものが入らないような儀礼を行っていた地域があります(鳥取県教育委員会『「弓浜半島のトンド」調査報告書』p209)。

「令和6年度 第3回鳥取まいぶん講座」を開催しました!

 今年度3回目の鳥取まいぶん講座は、当センター係長 原島知子が講師を務め、「民俗事例からみる考古資料~暮らしのなかの祈り~」と題し、11名の皆様に御聴講いただきました。

 

 講座では、「鳥取西道路」の建設に伴う発掘調査で出土した古代の木製祭祀具と鳥取市用瀬地区の流し雛や現代のお日待ち行事で使われる関札などを例として、遺跡から出土した様々な祈りの儀礼に用いた道具と現在の私たちの祈りの場面やそこで使用している道具とを見比べることで、儀礼に込められた願いを読み解きました。会場で御聴講いただいた方からは、「現在と古代の事例が絡め合わせてあり、興味を持つきっかけになった」などの御感想をいただきました。

 

第3回鳥取まいぶん講座1

令和6年度第3回鳥取まいぶん講座のようす

 

 また、講座終了後には、関連イベントとして1階ロビーで開催中の企画展示「民俗事例からみる考古資料~暮らしのなかの祈り~」を参加者に見学していただきました。

 

第3回鳥取まいぶん講座2

企画展示「民俗事例からみる考古資料~暮らしのなかの祈り~」の解説風景



【終了しました】「令和6年度 第3回鳥取まいぶん講座」を開催します!

 第3回鳥取まいぶん講座を下記のとおり開催します。

 参加を希望される方は、11月11日(月)午後5時までにお申し込みください。

 今回は、「民俗事例からみる考古資料~暮らしのなかの祈り~」として、現在の私たちの祈りの場面やそこで使用している道具と遺跡から出土した様々な祈りの儀礼に用いた道具を見比べ、儀礼に込められた願いを考えてみます。

1 開催日時:令和6年11月16日(土)午後1時30分から午後3時まで

2 会場:鳥取県埋蔵文化財センター2階 研修室

※オンラインでも御視聴いただけます。

3 講師:原島知子(鳥取県埋蔵文化財センター係長)

4 参加料:無料

5 定員:会場25名、オンラインは定員なし。

6 申込:事前にお申込が必要です。

(1)申込期限:令和6年11月11日(月)午後5時

(2)申込方法:とっとり電子申請サービスでお申込ください。

※会場参加申込の方で、とっとり電子申請サービスを御利用になれない方は、電話(0857-27-6711)でのお申込もできます。

この↓チラシ画像をクリックしていただくと、PDFファイルが開きます。

第3回鳥取まいぶん講座チラシ

 

第2回鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和5年6月17日(土)に、兵庫県立考古博物館の名誉学芸員である大平茂氏を講師にお迎えし、第2回鳥取まいぶん講座「律令期の木製祭祀具(人形・馬形)-伯耆国・因幡国出土遺跡の特徴-」を会場のとりぎん文化会館第2会議室(写真1)とオンラインとで同時開催しました。

 はじめに「木製祭祀具の種類と使い方」についての概要と、発掘調査の成果から古墳時代から古代にかけての祭祀の変遷、都城で6月と12月の末日に行われていた大祓(おおはらえ)と律令制祭祀具が各地域に広がる様子について解説されました。

 続いて鳥取県内では、伯耆国の大御堂廃寺跡(おおみどうはいじあと)や大鴨遺跡(おおがもいせき)では、寺院の近くで水に関わる祭祀が行われたこと、因幡国では国庁よりも西側の地域で多数の木製祭祀具が出土するとのご指摘がありました。

 大桷遺跡(だいかくいせき)は古墳時代から続く律令制祭祀と、動物をいけにえにする特色ある遺跡であること、青谷横木遺跡(写真2)は木製祭祀具の出土数は兵庫県の袴狭遺跡(はかざいせき)に続き全国第2位であること、青谷横木遺跡や常松菅田遺跡(つねまつすがたいせき)は人形よりも馬形の比率が高く、他の地域と行き来する馬自体が祓(はらえ)の対象になることから、どちらも馬に関係する遺跡の可能性が高いとのことでした。

 参加者は熱心に聴講されており、アンケートでも「分かりやすかった」、「知らなかったことが具体的に分かってよかった」、現在行われている企画展示についても、「これから見たい」というお答えが多く寄せられました。

 企画展「大桷遺跡(だいかくいせき)の木製祭祀具」は728日(金)まで開催しています。

 展示については、こちらをクリックしてください。

 

 次回、第3回は令和585日(土)に鳥取市国府町コミュニティセンターで、奈良文化財研究所主任研究員の小田裕樹氏に「奈良時代の娯楽と遊戯」と題してご講演いただき、講演終了後には実際の古代の遊戯を復元した「かりうち体験会」を実施します。ぜひご参加ください。

 募集は7月上旬までに始める予定です。

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写真1:会場の様子

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写真2:青谷横木遺跡出土の木製祭祀具集合写真


令和5年度 鳥取まいぶん講座を開催しています。

 当センターでは最新の調査研究成果を県民の皆さんにお届けする「鳥取まいぶん講座」を開催しています。

 講座は年6回を予定しており、ただいま第3回目以降の参加者を募集しています。

チラシ画像をクリックしていただくとPDFデータがダウンロードできます↓

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第1回 鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和5年4月15日(土)午後1時30分から当埋蔵文化財センターの家塚英詞文化財主事を講師に、第1回鳥取まいぶん講座「曲物(まげもの)の世界」を開催しました。会場での聴講とともにオンライン同時配信により開催しました。

 曲物とは薄い木の板や樹皮を曲げて筒状にし、合わせ目を樹皮でとじ、底板を取り付けて作ります。今回の講座では、曲物の構造や作り方、使われる木材の種類、現代に至るまでの歴史について、遺跡から出土した資料だけでなく、実際の曲物を例に分かりやすく説明しました。

 参加された方の中には、曲物が日本の食文化に与えた影響について興味を持たれた方もありました。

 講演終了後は、当センター展示室で講師による「企画展・曲物の世界」の展示解説を行いました。この展示は526日(金)まで開催しています。

「企画展・曲物の世界」については、こちらをクリックしてください。

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講座の様子

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展示解説の様子

第5回鳥取まいぶん講座を開催しました。

 令和5年3月18日(土)に「因幡の中世城館を探る」と題して今年度最後の鳥取まいぶん講座を行いました。

 当日は、会場17名、オンライン7名の方にご参加いただきました。

 県内では山間部を中心に林産資源活用のためにレーザ測量で取得した地形データが蓄積されつつあります。このデータからは色の違い濃淡で傾斜が判別できる微地形図が作成でき、新たな城跡の発見や、これまでわかっていた城跡についても範囲や構造の違いが見えてくるようになりました。

 講座では、戦国時代に在地領主の拠であった伝承が残る山城の立地や構造について、立体的に見える地形図によって見えてきた特徴を解説しました。これらの山城は、因幡国内の交通の要衝に近い山に築かれており、山頂部を削平して大きな曲輪(くるわ)を造り出しています。城跡に残る防御施設として共通するのは、曲輪群の両端に堀切を設けることです。また、後の山城に見られるような曲輪の出入口(虎口:こぐち)を造りこむような造作や横堀といった施設はほとんど設けられないという傾向が見えてきました。

 講座の参加者からは、「地形図の見方がわかって、城跡の様子がわかった」、「山城に登りたくなった」といった感想をいただきました。

 令和5年度も、埋蔵文化財センターで行っている調査研究事業について鳥取まいぶん講座の中で皆様にご紹介していきます。3月20日(月)から参加募集を行っていますので、奮ってご応募ください。

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講座の様子


【募集を終了しました】令和5年度鳥取まいぶん講座の参加者を募集します。

 一部講座を除いて令和5年3月20日(月)から募集を開始します。各回とも募集は開催日の3日前までです。

  第2・3回を除き、各回とも会場は鳥取県埋蔵文化財センター(鳥取市国府町宮下1260)、開催時間は13時30分から15時まで(受付開始13時)、定員は会場参加25名、オンライン参加40名です。

 御参加を希望される方は各回リンク先の「とっとり電子申請サービス」でお申し込みください。

 講座のタイトルは仮題で変更になることがあります。

 日程等が変更となった場合には、ホームページでお知らせするとともに、お申し込みされた方にメール又は電話で連絡します。

 「とっとり電子申請サービス」が御利用になれない方は電話でのお申し込みも受け付けております。

【終了】第1回 令和5年4月15日(土)「曲物の世界」講師 家塚英詞(当センター職員)

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【終了】第2回 令和5年6月17日(土)「律令期の木製祭祀具(人形・馬形)-伯耆国・因幡国出土遺跡の特徴」 講師 兵庫県立考古博物館 名誉学芸員 大平 茂氏

  • 会場申込みリンク先
  • オンライン申込みリンク先

 

【終了】【7月3日(月)募集開始】第3回 令和5年8月5日(土)開催 講演会と体験会は別のお申込みとなります。体験会だけのご参加も可能です。 1 講演会「奈良時代の娯楽と遊戯」奈良文化財研究所 主任研究員 小田 裕樹氏
  • 会場参加申込みリンク先(200名)
  • オンライン参加申込みリンク先(40名)
2 古代のボードゲーム「かりうち」体験会
  • 体験会申込みリンク先(10グループ、1グループ2名以上4名以下)

 

 

【終了】第4回 令和5年10月21日(土)開催「古代山陰道の調査成果」 講師 森本倫弘(当センター職員)
  • 会場申込みリンク先
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【終了】第5回 令和5年12月16日(土)開催「東伯耆の中世城館」講師 鳥取県立むきばんだ史跡公園 文化財主事 大川泰広氏
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【終了】第6回 令和6年2月17日(土)開催「前方後方墳を考える」講師 とっとり弥生の王国推進課 係長 東方仁史氏
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第4回 鳥取まいぶん講座「鳥取平野の前方後円墳」を開催しました。

 令和5年1月21日(土)午後1時30分から当センター東方仁史係長を講師に第4回鳥取まいぶん講座「鳥取平野の前方後円墳」を開催しました。会場・オンライン合わせ、34名の方に御参加いただきました。

 鳥取平野の周辺ではこれまでに約50基の前方後円墳の存在が知られていましたが、前方後円墳としての規模や大きさなど、過去に行われた現地踏査から得られた情報しかありませんでした。

 近年、鳥取県では、新鳥取県史編さん事業による古墳の地形測量や、林産資源の活用事業に伴って行われた測量として、「航空レーザ測量」という新しい測量方法が行われ、細かな地形データが得られています。この地形データを用いることによって、前方後円墳をはじめとする古墳や山城といった、地形を大きく変えて築かれた遺跡の情報をより詳しく知ることができます。

 今回の講座では、こうした測量データをもとに鳥取平野に築かれた前方後円墳について、大きさや形の傾向に関して得られた新たな知見や、未発見の前方後円墳が存在する可能性を紹介し、新たな研究の方向性を提示しました。

 参加された方から、「新しいことがわかるのはとても楽しみだ」といった感想をいただきました。

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会場の様子

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測量データからみた前方後円墳


埋文センター40年の歴史(2)令和4年7月16日(土)は、まだある埋文新発見

 青谷上寺地遺跡ではDNA分析から弥生人の復顔が行われ、弥生時代の新しい事実を発信していることは皆さんの記憶に新しいことと思います。

 鳥取県では平成10年以降、青谷上寺地遺跡以外にも、多くの遺跡の発掘調査が行われ、縄文時代から近世にいたる各時代にまつわる歴史的発見が確認されていることはご存じでしょうか。

 湖山池の南東に広がる平野に営まれた大桷遺跡(だいかくいせき)では縄文時代晩期から弥生時代前期にかけて、少しずつ生活域が平野部に広がってきたことが明らかとなっています。この遺跡では、古代(8~10世紀頃)にまじないに使われた馬や刀を模造した形代(かたしろ)をはじめ、絵馬や災いや邪気をはらう呪文などが書かれた呪符木簡(じゅふもっかん)など、当時の人々の祈りの形を伝える遺物が多数出土しています。

 鳥取西道路の鳥取ICから西へ走ってすぐに見えるトンネルの上には本高古墳群(もとだかこふんぐん))があります。なかでも本高14号墳はこの地域の首長のお墓で、近畿地方とのつながりを持ったことを示す前方後円墳です。しかも山陰地方でも最古級に位置付けられることが発掘調査の中で明らかとなり、その重要性から現地に調査当時の姿のまま保存されることとなりました。

 また、大山山麓でみつかった豊成叶林遺跡(とよしげかのうばやしいせき)や下甲退休原第1遺跡(しもぎたいきゅうばらだいいちいせき)の発掘調査では、はるか3万年前の旧石器時代の狩人が残したナイフの形をした石器や、それを作る際に生じた破片が見つかり、重要な発見として豊成叶林遺跡から出土した石器類は鳥取県の保護文化財に指定されました。

 第2回鳥取まいぶん講座では、埋文センター40年の歴史(2)「歴史を塗り替えた発見」として、鳥取県の歴史を考える上で注目される遺跡、遺物をご紹介したいと思います。

 皆様ふるってご参加ください。 

第2回 鳥取まいぶん講座

日時:令和4年7月16日(土)午後1時30分から

場所:さざんか会館大会議室(鳥取市総合福祉センター)

   鳥取県鳥取市富安2丁目104-2

※会場参加とオンライン(Cisco Webex Eventsを利用)でのご参加ができます。

ここをクリックしてください (pdf:712KB)


第1回鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和4年5月21日(土)、鳥取市総合福祉センター「さざんか会館」の大会議室で、「第1回 鳥取まいぶん講座」を開催しました。新型コロナウイルス対策で広い会場での開催とし、会場での聴講とともにオンライン(Cisco Webex Events)同時配信による開催でした。
 講座では、当センター山枡雅美係長が「埋文センター40年の歴史(1)」というテーマで、昭和25年の文化財保護法制定から始まり、経済成長とともに増加する開発事業との調整の中で埋蔵文化財の保護に奔走した鳥取県教育委員会の取り組みと、埋文センターの設立の経緯や意義などをわかりやすく解説しました。当時の発掘調査を当事者目線で振り返るなど、中身の濃い講座でした。
 次回は7月16日(土)、「埋文センター40年の歴史(2)」というテーマで予定しております。埋文センター40年の歴史(2)では、2000年代以降に行われた大規模な発掘調査に焦点をあて、妻木晩田遺跡、青谷上寺地遺跡以外にも歴史を塗り替える発見によって注目された遺跡をご紹介します。
 会場は同じさざんか会館大会議室で、オンライン聴講も可能です。ぜひとも御参加ください。

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講座の様子(1)

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講座の様子(2)


第1回鳥取まいぶん講座「埋文センター40年の歴史(1)」を開催します

 今年、鳥取県埋蔵文化財センターは設立40周年を迎えます。
 令和4年5月21日(土)は鳥取まいぶん講座「埋文センター40年の歴史(1)」としてセンターの歴史を掘り起こし、埋蔵文化財センターがたどってきた40年のうち、前半の約20年の歩みをふりかえってお話いたします。
 昭和25年の文化財保護法制定以後、日本が経済成長をとげる中、開発と埋蔵文化財の保存との調整が大きな問題となっていきます。鳥取県内でも同様の問題が生じ、埋蔵文化財の保存、調査、活用などを推進するために埋蔵文化財センターが設置されました。その後、さらに開発事業が多くなるにつれ、埋蔵文化財センターの役割が大きくなっていく歩みをお話いたします。
 なお、今年度は「さざんか会館」(鳥取市総合福祉センター:鳥取市富安2丁目104-2)5階、大会議室を講座会場(定員40名)としております。
 また、オンライン(Cisco Webex Events利用)参加(定員40名)も募集しています。皆様ぜひご参加ください。
 節目の年に当たり、センターの歴史を振り返る企画展「埋文センター40年の歴史(1)埋蔵文化財センター40年の歩み」(4月8日~5月27日)を埋蔵文化財センター展示室で開催しています。21日は午後1時から午後5時まで開館いたしますので、ぜひ御覧ください。

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長瀬高浜遺跡、埴輪群出土状況写真


令和4年度 鳥取まいぶん講座を開催します。

 今年度も当センターでは最新の調査研究成果を県民の皆さんにお届けする「鳥取まいぶん講座」を開催します!今年度は、計5回の講座を予定しています。
 前半2回は、今年開所40周年を迎える埋蔵文化財センターの歴史と調査研究のあゆみ等についての講座を行います。また、後半3回は、今年度実施する調査研究事業に関連し、因幡(鳥取県東部)の古墳、古代山陰道、中世城館についての講座です。いずれも企画展示と関連する内容となっていますので、講座終了後には埋蔵文化財センターにて展示をご覧いたただけます。どうぞお楽しみに。
 なお、講座は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、完全事前申込み制とするとともに、会場を「さざんか会館」としております。また、会場での聴講のほか、オンラインでの聴講も可能です。聴講を希望される方はいずれも講座の3日前までにお申込みください。
 新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止または予定を変更することがあります(例:オンライン開催のみ)。その場合はホームページ等でお知らせします。

○第1回 「埋蔵文化財センター40年の歴史(1)」

日時:5月21日(土)午後1時30分から午後3時まで

場所:さざんか会館 大会議室(鳥取市富安2丁目104-2)
定員:会場40名 オンライン40名(先着順)

○関連展示 企画展『埋蔵文化財センター40年の歴史(1)』

日時:4月8日(金)から5月27日(金)
場所:鳥取県埋蔵文化財センター

こちらをクリックしてください→令和4年度鳥取まいぶん講座 (pdf:279KB)

  

第6回鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和4年3月19日(土)に、第6回鳥取まいぶん講座「因幡の古墳」を開催しました。すでに定員一杯の申込みがありましたが、新型コロナウイルス感染症第6波の収束が見えないことや、会場がやや狭いことなどを考慮し、急遽会場をとりぎん文化会館第4会議室に変更しました。また、合わせて前回同様インターネットでの同時配信を行うこととし、会場での聴講とオンライン聴講を合わせ、18名の方に御参加いただきました。
 今回は、当センター東方係長が「因幡の古墳 方墳から前方後円墳へ」として、今年度から開始した「鳥取県内古墳調査研究事業」のテーマ1「鳥取県内における前方後円墳築造開始期の研究」に関連し、山陰最古級の前方後円墳である本高(もとだか)14号墳の築造に至る背景について、大型方墳に始まる千代川左岸の古墳築造状況や、本高弓ノ木(もとだかゆみのき)遺跡の木製構造物との関連などについて、プレゼンテーションソフトを用いて解説しました。
 会場に参加された皆様は熱心に聴講しており、「ポイントが絞られてまとまっており、分かりやすかった」等との御感想もいただきました。
 なお、今回のまいぶん講座は、現在開催中の企画展「因幡の古墳」(会期:3月31日まで)と関連しており、終了後には企画展観覧のため、特別開館に来館される方もありました。
 さて、今年度のまいぶん講座も、新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い色々と変更等がありましたが、無事6回の講座を行うことができました。参加された皆様に厚くお礼申し上げます。まいぶん講座は来年度も引き続き実施予定で、奇数月の第3土曜日に開催することにしておりますので、どうぞ御参加ください。ちなみに、令和4年は埋蔵文化財センター開館40年という節目で、それにちなんだ内容の講座も予定していますので、お楽しみに。詳細はホームページや年間スケジュールなどを御覧ください。

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講座の様子


第5回鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和4年1月15日(土)に、第5回鳥取まいぶん講座「因幡の中世城館」を開催しました。定員一杯の申込みがありましたが、年明け以降新型コロナウイルス感染症の変異株が急増し始めた状況を踏まえ、急遽インターネットでの同時配信を行い、来所しての聴講とオンライン聴講を合わせ、20名の方に御参加いただきました。
 今回は、当センター大川文化財主事が「因幡の中世城館」として、昨年度から当センターが発掘調査を行っている「狗尸那(くしな)城跡」(鳥取市鹿野町)と、因幡守護山名氏が本拠とした「天神山城跡」(鳥取市)を取り上げました。天神山城跡では、現在の鳥取緑風高校校舎が建てられる際に発掘調査が行われ、大量の土師器皿(はじきざら;素焼きの皿)が出土しています。この天神山城跡出土の土師器皿は回転台を使わない、いわゆる『京都系土師器皿』と呼ばれるものがほとんどです。一方、狗尸那城跡の発掘調査では、地元の、回転台を使った土師器皿のみが出土しています。これに加え、山名氏が1563年に天神山城から鹿野に退去したことや、現鹿野城も改修されている可能性があることなどをもとに、狗尸那城の築造や改修の背景に迫りました。
 参加者は熱心に聴講されており、アンケートでも「わかりやすかった」などという感想をいただきました。今回のまいぶん講座は、現在開催中の企画展「因幡の中世城館」(会期:2月18日まで)と関連しており、終了後は多くの方が企画展を観覧されていました。
 次回は令和4年3月19日(土)、「因幡の古墳」です。どうぞお楽しみに。

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講座の様子


第4回鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和3年11月20日(土)に、第4回鳥取まいぶん講座「因幡の国府とその周辺」を開催しました。コロナ禍により人数制限をしている中、今年度のまいぶん講座では最も多い、22名の方に御参加いただきました。
 今回の講師は、因幡国古代山陰道発掘調査委員会の久保穰二朗委員長でした。講師の御専門は縄文土器から中世陶磁器まで幅広いのですが、近年は因幡(鳥取県東部)の古代寺院の瓦の研究を精力的に進められており、その成果を当センターの調査研究紀要に発表されています(調査研究紀要6~12掲載)。
 講座では、因幡国府の状況とその周辺の古代寺院について、資料とプレゼンテーションソフトを用いて解説いただきました。これまであまり紹介されていない因幡国庁の調査時のカラー写真や、講師自身の因幡を中心とした古代寺院の瓦等の研究成果を元に、国庁を中心とした因幡の国府について分かりやすく紹介いただきました。さらに、講師は学生時代に因幡国府の発掘調査に実際に参加されており、今回はそうしたエピソードも拝聴できました。
 参加者は熱心に聴講されており、アンケートでも「当時の調査の写真が見られてよかった」「因幡国府についてよく分かった」などという感想をいただきました。なお、今回のまいぶん講座は、現在開催中の企画展「因幡の国府とその周辺」(会期:12月24日まで)と関連するもので、実際に講座でも取り上げられた資料が展示されていたこともあり、終了後は多くの方が企画展を観覧されていました。
 次回は令和4年1月15日(土)、「因幡の中世城館」です。どうぞお楽しみに。

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講座の様子


第3回鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和3年9月18日(土)に、第3回鳥取まいぶん講座「いにしえの田園風景(秋)」を開催しました。会場で11名の方に御参加いただいたほか、今回は初めてインターネットでの同時配信を行いました。
 講座では、家塚文化財主事が企画展「いにしえの田園風景(秋)」に関連し、弥生時代から近代の稲刈りから脱穀・籾すりまでの工程の歴史的な変遷や、お米やさまざまな食物の調理の様子などについて、関連する出土品から分かることなどをプレゼンテーションソフトで解説しました。
 参加された皆さんは熱心に聴講され、「昔の稲作の方法、調理の方法と道具の使い方がよくわかった。」「収穫や調理の道具について詳しく知れて良かった」「丁寧な解説で分かりやすかった」などの感想をいただきました。
 講座終了後には、現在開催中の企画展「いにしえの田園風景(秋)」の展示解説を行いました。展示解説にも多くの方が参加され、実際の出土品を興味深そうに見学されていました。
 なお、今回は新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、まいぶん講座としては初めてインターネットでの同時配信を行いました。今後も状況を見ながら実施を検討していきたいと思っており、その際には改めて御案内します。
 次回は令和3年11月20日(土)、「因幡の国府とその周辺」です。どうぞお楽しみに。

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講座の様子

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展示解説の様子


第2回鳥取まいぶん講座を開催しました!

 令和3年6月19日(土)に、第2回鳥取まいぶん講座「いにしえの器 Part1」を開催しました。今回は16名の方に御参加いただきました。
 今回は、「器」の中でも「花弁高杯」をとりあげ、当センター馬路文化財主事が形態、分布、製作技法などの時期的な変化等について、プレゼンテーションソフトと資料で説明しました。
 「花弁高杯」は、弥生時代後期後葉(2世紀後半頃)を中心とする時期に製作された木製高杯(高い脚のある器)で、脚部の先端部が分割され、杯部の下側に4~6弁の花弁状の文様が表現されるなど、非常に装飾的な器です(写真)。日本海側の石川県から福岡県までの遺跡で見つかっていますが、特に鳥取県東部(特に旧気高郡)の遺跡で多いことが注目されます。
 講座では、形の変遷や製作技法や使用樹種の違いが意味するもの、文様の割り付け方や廃棄時の共通性など、様々な面から検討を加えて解説し、「説明が分かりやすかった」「廃棄の共通性は考えた事がなかったので興味深い」などの感想もいただきました。
 さらに、講座終了後には現在開催中の企画展「いにしえの器 Part1」の展示解説も行いました。参加された皆さんは熱心に聴講されており、展示解説にも多くの方が参加されていました。
 次回は令和3年9月18日(土)、「いにしえの田園風景(秋)」です。どうぞお楽しみに。
鳥取まいぶん講座一覧はこちら→R3まいぶん講座 (pdf:191KB)

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花弁高杯(レプリカ)

講座資料はここをクリックして下さい。

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講座の様子

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展示解説の様子


令和3年度第1回まいぶん講座「いにしえの田園風景(春)を開催しました!

 令和3年4月17日(土)に、今年度第1回の鳥取まいぶん講座「いにしえの田園風景(春)」を開催しました。しっかりとコロナ対策を行い、20名の方に御参加いただきました。
 講座では、当センター下江係長が、弥生時代に始まる水田稲作について、ちょうど今頃の春~夏に行う農作業に関して、発掘調査で見つかった遺物や遺構を、プレゼンテーションソフトと資料で説明しました。また、古代の農作業で使っていた木製農具の製作方法、出土した木簡などからわかる当時の農作業の実態などについての解説も行いました。
 さらに、1時間程の講座終了後には、現在開催中の企画展「いにしえの田園風景(春)」の展示解説も行いました。
 意外にも、実際に米作りの経験がある方は少なかったのですが、逆に関心があったためか、参加された皆さんは熱心に聴講されており、展示解説にも半分以上の方が参加されていました。
 次回は令和3年6月19日(土)、「いにしえの器(うつわ)」です。どうぞお楽しみに。

講座の様子

展示解説の様子

  

令和2年度第7回まいぶん講座を行いました。

 令和2年12月19日(土)に、今年度第7回目(最終回)「戦国期における岩美・八頭郡の主な歴史と関連城郭」を開催しました。

 今回も前回と同じ国府町コミュニティセンターで行い、雪が降るあいにくの天候でしたが、60名の方の参加がありました。

 講師は中世史・城郭研究者の高橋正弘氏にお願いし、因幡の「奉公衆」(將軍の護衛・親衛隊)の成立、制度、地域に与えた大きな影響、守護大名・戦国大名との関係などから始まり、これらの勢力と関連する城郭などを紹介していただきました。

 また、奉公衆が拠点とした城館は、彼らが使用しなくなってから城として重要視されるなど、意外な歴史も教えていただきました。実際に各城を足で歩き、調査されている講師ならではの詳しく、興味深いお話でした。

 皆さま熱心に聞いておられ、「奉公衆という言葉自体知らなかったので、とても勉強になった」、「各城の特徴が分かりやすかった」などの声をいただきました。

 今年度のまいぶん講座は今回で終わりです。新型コロナの影響で2回中止となり、定員を減らしたり会場を変更したりしましたが、多くの熱心な参加者の皆様により、充実した内容で開催できました。

 来年度も様々なテーマでまいぶん講座を開催していきますので、お楽しみにしてください。

 なお、今年度は年明け令和3年2月に第2回調査研究成果発表会を予定しています。追って詳細をご案内します。

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令和2年度第6回まいぶん講座を行いました。

 令和2年11月21日(土)に、今年度第6回目「織田・毛利戦争における東伯耆の中世城館」を開催しました。

 今回は、ソーシャルディスタンスを確保するため、会場を埋蔵文化財センターから国府町コミュニティセンターへ変更して行い、52名の方の参加がありました。

 講師は倉吉文化財協会会長 眞田廣幸さんにお願いし、織田・毛利戦争の中心であった東伯耆の動きに焦点を当て、周辺勢力や有力人物の移り変わり、主要な城などを紹介していただきました。

 皆さま熱心に聞いておられ、「東伯耆に多くのお城があることを初めて知った」「東部と中部の歴史の流れがわかった」などの声をいただきました。

 次回は令和2年12月19日(土)、「戦国期における岩美・八頭郡の主な歴史と関連城郭」です。開催場所は今回と同じく国府町コミュニティセンターで、講師に中世史・城館研究者の高橋正弘氏を迎えての開催です。

 多くの方の参加をお待ちしています!!

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令和2年度第4回まいぶん講座を行いました。

  令和2年9月19日(土)に、今年度4回目「縄文のカゴ、弥生のカゴ」を開催しました。

 今回も引き続き新型コロナウィルス感染拡大防止対策を行い、12名の方の参加で実施しました。

 「カゴ」と一口に言っても、縄文時代と弥生時代では材料や作り方が違います。鳥取の縄文時代は主にヒノキ、スギをヒゴ状にしたものを、弥生時代はマタタビなどのツル系のものを素材にします。

 また、作り方も弥生時代には「ヨコぞえもじり編」という今は使われない編み方をしていたなどの特徴を実際に出土したカゴも使って紹介したところ、皆さま熱心に聞き入っておられました。

 次回は、令和2年11月21日(土)、「織田・毛利戦争における東伯耆の中世城館」です。

 開催場所を埋蔵文化財センターからより大きな会場の国府町コミュニティセンターへ変更しますので多くの方の参加をお待ちしています!!

 

※10月のまいぶん講座は中止、11月・12月は会場の変更があります。詳細はこちらをクックしてください。(PDF:261KB)

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令和2年度第2回まいぶん講座を行いました。

 令和2年7月18日(土)に、今年度2回目「あなたの知らない漆の世界」を行いました。

 今回は前回講座より新型コロナウィルス感染拡大防止策として密にならないよう更に徹底して行い、15名の方の参加で実施しました。

 講座では、漆の種類、性質、歴史、加工方法、佐治漆の歴史などを紹介しました。

 聴講後、参加者の中には企画展示にある下坂本清合遺跡などから出土した漆器をじっくりと見ている方もいました。

 次回は、令和2年8月8日(土)、「埋蔵文化財の科学(自由研究向け講演)」です。

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講座の様子


令和2年度第1回まいぶん講座行いました。

    第1回まいぶん講座を行いました!

 当センターでは、調査研究の成果や、地域の歴史を解説する、「鳥取まいぶん講座」を開催しており、令和2年6月20日(土)に、今年度1回目「古代の因幡~山陰道がつなぐ古代社会~」を行いました。

 新型コロナウィルス感染拡大防止のため延期していましたが、ひと月遅れでようやくの開催となりました。三密をできるだけ避けるため、間隔を空けて椅子のみの席としたほか、大型モニターで講座の様子を別室で中継する、換気を行うなどの工夫をとり、合計33名の方に御参加いただきました。

 講座では、当センター坂本文化財主事が、近年の古代山陰道の発掘調査成果を解説するとともに、発掘調査された古代の役所や駅、文字資料などを紹介し、山陰道の整備とそれに伴い進展した地域開発などについて解説しました。講座終了後は、現在開催中の企画展「古代の因幡」の展示解説も行いました。皆さん熱心に聴講されており、「身近な所の歴史はすごいな」といった声もありました。

 次回は、令和2年7月18日(土)、「あなたの知らない漆の世界」です。

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