令和5年3月18日(土)に「因幡の中世城館を探る」と題して今年度最後の鳥取まいぶん講座を行いました。
当日は、会場17名、オンライン7名の方にご参加いただきました。
県内では山間部を中心に林産資源活用のためにレーザ測量で取得した地形データが蓄積されつつあります。このデータからは色の違い濃淡で傾斜が判別できる微地形図が作成でき、新たな城跡の発見や、これまでわかっていた城跡についても範囲や構造の違いが見えてくるようになりました。
講座では、戦国時代に在地領主の拠であった伝承が残る山城の立地や構造について、立体的に見える地形図によって見えてきた特徴を解説しました。これらの山城は、因幡国内の交通の要衝に近い山に築かれており、山頂部を削平して大きな曲輪(くるわ)を造り出しています。城跡に残る防御施設として共通するのは、曲輪群の両端に堀切を設けることです。また、後の山城に見られるような曲輪の出入口(虎口:こぐち)を造りこむような造作や横堀といった施設はほとんど設けられないという傾向が見えてきました。
講座の参加者からは、「地形図の見方がわかって、城跡の様子がわかった」、「山城に登りたくなった」といった感想をいただきました。
令和5年度も、埋蔵文化財センターで行っている調査研究事業について鳥取まいぶん講座の中で皆様にご紹介していきます。3月20日(月)から参加募集を行っていますので、奮ってご応募ください。

講座の様子
一部講座を除いて令和5年3月20日(月)から募集を開始します。各回とも募集は開催日の3日前までです。
第2・3回を除き、各回とも会場は鳥取県埋蔵文化財センター(鳥取市国府町宮下1260)、開催時間は13時30分から15時まで(受付開始13時)、定員は会場参加25名、オンライン参加40名です。
御参加を希望される方は各回リンク先の「とっとり電子申請サービス」でお申し込みください。
講座のタイトルは仮題で変更になることがあります。
日程等が変更となった場合には、ホームページでお知らせするとともに、お申し込みされた方にメール又は電話で連絡します。
「とっとり電子申請サービス」が御利用になれない方は電話でのお申し込みも受け付けております。
〇【終了】第1回 令和5年4月15日(土)「曲物の世界」講師 家塚英詞(当センター職員)
○第2回 令和5年6月17日(土)「律令期の木製祭祀具(人形・馬形)-伯耆国・因幡国出土遺跡の特徴」 講師 兵庫県立考古博物館 名誉学芸員 大平 茂氏
○第3回 令和5年8月5日(土) 「奈良時代の娯楽と遊戯」奈良文化財研究所 主任研究員 小田 裕樹氏
- 申込み開始日時・講師・会場・開催時間等の詳細は別途お知らせします。
○第4回 令和5年10月21日(土)「古代山陰道の調査成果」 講師 森本倫弘(当センター職員)
○第5回 令和5年12月16日(土)「東伯耆の中世城館」 講師 未定
○第6回 令和6年2月17日(土)「前方後方墳を考える」講師 未定
令和5年1月21日(土)午後1時30分から当センター東方仁史係長を講師に第4回鳥取まいぶん講座「鳥取平野の前方後円墳」を開催しました。会場・オンライン合わせ、34名の方に御参加いただきました。
鳥取平野の周辺ではこれまでに約50基の前方後円墳の存在が知られていましたが、前方後円墳としての規模や大きさなど、過去に行われた現地踏査から得られた情報しかありませんでした。
近年、鳥取県では、新鳥取県史編さん事業による古墳の地形測量や、林産資源の活用事業に伴って行われた測量として、「航空レーザ測量」という新しい測量方法が行われ、細かな地形データが得られています。この地形データを用いることによって、前方後円墳をはじめとする古墳や山城といった、地形を大きく変えて築かれた遺跡の情報をより詳しく知ることができます。
今回の講座では、こうした測量データをもとに鳥取平野に築かれた前方後円墳について、大きさや形の傾向に関して得られた新たな知見や、未発見の前方後円墳が存在する可能性を紹介し、新たな研究の方向性を提示しました。
参加された方から、「新しいことがわかるのはとても楽しみだ」といった感想をいただきました。

会場の様子

測量データからみた前方後円墳
青谷上寺地遺跡ではDNA分析から弥生人の復顔が行われ、弥生時代の新しい事実を発信していることは皆さんの記憶に新しいことと思います。
鳥取県では平成10年以降、青谷上寺地遺跡以外にも、多くの遺跡の発掘調査が行われ、縄文時代から近世にいたる各時代にまつわる歴史的発見が確認されていることはご存じでしょうか。
湖山池の南東に広がる平野に営まれた大桷遺跡(だいかくいせき)では縄文時代晩期から弥生時代前期にかけて、少しずつ生活域が平野部に広がってきたことが明らかとなっています。この遺跡では、古代(8~10世紀頃)にまじないに使われた馬や刀を模造した形代(かたしろ)をはじめ、絵馬や災いや邪気をはらう呪文などが書かれた呪符木簡(じゅふもっかん)など、当時の人々の祈りの形を伝える遺物が多数出土しています。
鳥取西道路の鳥取ICから西へ走ってすぐに見えるトンネルの上には本高古墳群(もとだかこふんぐん))があります。なかでも本高14号墳はこの地域の首長のお墓で、近畿地方とのつながりを持ったことを示す前方後円墳です。しかも山陰地方でも最古級に位置付けられることが発掘調査の中で明らかとなり、その重要性から現地に調査当時の姿のまま保存されることとなりました。
また、大山山麓でみつかった豊成叶林遺跡(とよしげかのうばやしいせき)や下甲退休原第1遺跡(しもぎたいきゅうばらだいいちいせき)の発掘調査では、はるか3万年前の旧石器時代の狩人が残したナイフの形をした石器や、それを作る際に生じた破片が見つかり、重要な発見として豊成叶林遺跡から出土した石器類は鳥取県の保護文化財に指定されました。
第2回鳥取まいぶん講座では、埋文センター40年の歴史(2)「歴史を塗り替えた発見」として、鳥取県の歴史を考える上で注目される遺跡、遺物をご紹介したいと思います。
皆様ふるってご参加ください。
第2回 鳥取まいぶん講座
日時:令和4年7月16日(土)午後1時30分から
場所:さざんか会館大会議室(鳥取市総合福祉センター)
鳥取県鳥取市富安2丁目104-2
※会場参加とオンライン(Cisco Webex Eventsを利用)でのご参加ができます。

ここをクリックしてください (pdf:712KB)
令和4年5月21日(土)、鳥取市総合福祉センター「さざんか会館」の大会議室で、「第1回 鳥取まいぶん講座」を開催しました。新型コロナウイルス対策で広い会場での開催とし、会場での聴講とともにオンライン(Cisco Webex Events)同時配信による開催でした。
講座では、当センター山枡雅美係長が「埋文センター40年の歴史(1)」というテーマで、昭和25年の文化財保護法制定から始まり、経済成長とともに増加する開発事業との調整の中で埋蔵文化財の保護に奔走した鳥取県教育委員会の取り組みと、埋文センターの設立の経緯や意義などをわかりやすく解説しました。当時の発掘調査を当事者目線で振り返るなど、中身の濃い講座でした。
次回は7月16日(土)、「埋文センター40年の歴史(2)」というテーマで予定しております。埋文センター40年の歴史(2)では、2000年代以降に行われた大規模な発掘調査に焦点をあて、妻木晩田遺跡、青谷上寺地遺跡以外にも歴史を塗り替える発見によって注目された遺跡をご紹介します。
会場は同じさざんか会館大会議室で、オンライン聴講も可能です。ぜひとも御参加ください。

講座の様子(1)

講座の様子(2)
今年、鳥取県埋蔵文化財センターは設立40周年を迎えます。
5月21日(土)は鳥取まいぶん講座「埋文センター40年の歴史(1)」としてセンターの歴史を掘り起こし、埋蔵文化財センターがたどってきた40年のうち、前半の約20年の歩みをふりかえってお話いたします。
昭和25年の文化財保護法制定以後、日本が経済成長をとげる中、開発と埋蔵文化財の保存との調整が大きな問題となっていきます。鳥取県内でも同様の問題が生じ、埋蔵文化財の保存、調査、活用などを推進するために埋蔵文化財センターが設置されました。その後、さらに開発事業が多くなるにつれ、埋蔵文化財センターの役割が大きくなっていく歩みをお話いたします。
なお、今年度は「さざんか会館」(鳥取市総合福祉センター:鳥取市富安2丁目104-2)5階、大会議室を講座会場(定員40名)としております。
また、オンライン(Cisco Webex Events利用)参加(定員40名)も募集しています。皆様ぜひご参加ください。
節目の年に当たり、センターの歴史を振り返る企画展「埋文センター40年の歴史(1)埋蔵文化財センター40年の歩み」(4月8日~5月27日)を埋蔵文化財センター展示室で開催しています。21日は午後1時から午後5時まで開館いたしますので、ぜひ御覧ください。

長瀬高浜遺跡、埴輪群出土状況写真
今年度も当センターでは最新の調査研究成果を県民の皆さんにお届けする「鳥取まいぶん講座」を開催します!今年度は、計5回の講座を予定しています。
前半2回は、今年開所40周年を迎える埋蔵文化財センターの歴史と調査研究のあゆみ等についての講座を行います。また、後半3回は、今年度実施する調査研究事業に関連し、因幡(鳥取県東部)の古墳、古代山陰道、中世城館についての講座です。いずれも企画展示と関連する内容となっていますので、講座終了後には埋蔵文化財センターにて展示をご覧いたただけます。どうぞお楽しみに。
なお、講座は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、完全事前申込み制とするとともに、会場を「さざんか会館」としております。また、会場での聴講のほか、オンラインでの聴講も可能です。聴講を希望される方はいずれも講座の3日前までにお申込みください。
新型コロナウイルス感染症の状況によっては、中止または予定を変更することがあります(例:オンライン開催のみ)。その場合はホームページ等でお知らせします。
○第1回 「埋蔵文化財センター40年の歴史(1)」
日時:5月21日(土)午後1時30分から午後3時まで
場所:さざんか会館 大会議室(鳥取市富安2丁目104-2)
定員:会場40名 オンライン40名(先着順)
○関連展示 企画展『埋蔵文化財センター40年の歴史(1)』
日時:4月8日(金)から5月27日(金)
場所:鳥取県埋蔵文化財センター

こちらをクリックしてください→令和4年度鳥取まいぶん講座 (pdf:279KB)