防災・危機管理情報


 人権侵害の救済を図ることを目的とした「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」は、予定されていた平成18年6月1日の施行を停止して、抜本的な見直しを行いました。

  

1 「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」が成立しました

  鳥取県ではこれまで「人権尊重の社会づくり条例(平成8年制定)」に基づき、差別と偏見のない社会の実現をめざして、県民の皆さんとともに様々な取組みを進めてきました。その結果、人権意識の高まりや主体的な人権学習の取組みが盛んになってきました。
  しかしその一方で、さまざまな人権侵害もあとを絶ちません。例えば、平成16年に鳥取地方法務局に寄せられた人権相談は約3,800件で、そのうち人権侵犯事件は約220件に上ります。また、平成17年2月に実施した鳥取県民の意識調査においても、人権侵害を受けたことがあると回答した人は約23%に上ります。
 人権侵害の最終的な救済は、司法の場で行われますが、現状では司法救済は時間的にも、心理的にも手軽ではなく、差別や虐待などの被害を受けた弱い立場の方が、自らの力で裁判制度を利用することは、現実には容易なことではありません。そのため、裁判制度を補完し、より身近で迅速に人権侵害を救済する仕組みが求められています。先の県民意識調査でも、公的機関への相談を希望すると回答した人は約65%に上ります。しかし、国は、人権救済制度の早期整備の必要性から人権擁護の法律制定に取り組んでいますが、成立の目途は立っていません。
  こうしたことから、鳥取県独自の救済制度を設けることが、県民の皆さんの期待に応え、きめ細かで迅速な救済をつながるものと考えます。
  なお、この条例は、議員提案条例で、平成16年12月に知事が提案した条例案を議会が審査する中で様々なご意見をふまえて新たな条例案として議員が提案されたものです。廃案となった知事提出の条例案は、平成14年6月定例県議会における議員提案を受けて、平成15年度から人権各分野に関係する県民の方で構成する「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会」等で検討していただき、県民の皆さんのご意見を募集し、これらを踏まえて県議会に提出したものです。

ページのトップにもどる  >>

2 救済制度の概要

  1. 人種等を理由とする差別的取扱いや言動、社会的信用を低下させる目的で公然とひぼう・中傷する行為などは人権侵害として禁止されます。
  2. 議会の同意を得て知事が任命する5人の委員からなる人権救済推進委員会(以下「委員会」という。)を設けます。
  3. 委員会は、人権侵害を救済するため、県民のご相談に応じます。
  4. 委員会は、当事者からの聞き取り等調査を行って事実関係を確認し、調査結果は当事者に書面で通知します。
        調査結果に不服があるときは、再調査を申立てることができ、委員会は再度調査を行います。
        また、事案の当事者が正当な理由なく調査に協力しないときは、5万円以下の過料が科されます。
  5. 委員会は、人権侵害を救済する必要があると認めるときは、次の措置を講じます。
    (1)関係者に助言、関係機関の紹介等の援助を行うこと。
    (2)人権侵害を行った者等に説示、人権尊重理念の啓発等の指導を行うこと。
    (3)被害者等と加害者等の関係を調整すること。
    (4)犯罪に該当すると考えられる人権侵害について告発すること。
  6. 生命、身体に危険を及ぼす行為、公然と繰り返される差別的言動等重大な人権侵害が現に行われ、被害を救済するために必要な場合には、委員会は人権侵害をやめることを勧告し、この勧告に従わないときは、委員会はその旨を公表することができます。この勧告、公表いずれも行う前に、あらかじめ弁明の機会が設けられます。
  7. この条例は、延長その他の所要の措置が講じられないときは、4年間(平成22年3月31日)で効力を失います。

ページのトップにもどる  >>

3 救済手続きの流れ

4 条例に関する経緯

時期

内容

平成14年6月   知事、県議会一般質問に対し地方レベルの人権救済制度の必要性を表明
平成15年6月  人権救済制度導入検討経費を計上
平成15年9月~  鳥取県人権尊重の社会づくり協議会に制度のあり方、条例案の検討を諮問
平成16年8月  人権救済制度の概要について常任委員会報告及び県民意見募集
平成16年11月  鳥取県人権尊重の社会づくり協議会において最終審議
平成16年12月  「鳥取県人権救済手続条例」を知事提案
 鳥取県弁護士会会長声明を発表
 会派「信」が「鳥取県人権救済手続条例案」を提案
 ⇒知事案、会派「信」案ともに継続審査 
平成17年2月  2月議会で引き続き継続審査
平成17年6月  6月議会で引き続き継続審査
平成17年10月  9月議会で「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」を議員提案
 鳥取県弁護士会会長声明を発表
 ⇒条例可決(知事提案条例案は審議未了廃案)
平成17年12月  鳥取県弁護士会が条例施行規則の検討委員会への会員派遣を拒否
 「人権救済条例に関する懇話会(第1回)」を開催
平成18年1月  「人権救済条例に関する懇話会(第2回)」を開催
 知事から議会各会派へ「人権救済条例に関する懇話会」の意見を伝える。
平成18年2月  知事が2月議会に「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例等の停止に関する条例」と見直し事業予算を提案
平成18年3月  「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例等の停止に関する条例」成立
 見直し事業費について「検討の過程の透明性、公平性を確保しながら見直しに要する期間は必要最小限とし、速やかに実効性のある条例を施行すること」との附帯意見

ページのトップにもどる  >>

5 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例(全文)

鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例(全文・PDF)

アドビリーダのダウンロード

6 「県民の声」にお寄せいただいたご意見について

(1)意見数(平成17年11月30日現在)

意見総数

 1,389件

媒体別

 E-mail:867件、電話:123件、その他:399件

居住地別

 県内:388件、県外:413件、不明:588件

内容別

 賛成:305件、反対:840件、不明:244件

(2)意見の概要

 主なご意見は次のようなものでした。

反対意見

  • 以前国会に提出された法律案と同じ内容であることに危惧と不安を感じる。
  • 「人権侵害」の定義が曖昧である。
  • 人権侵害救済推進委員会に強大な権限を持たせることに疑問を感じる。
  • 言論の弾圧、逆差別につながる。

賛成意見

  • 人権啓発活動に大いに役立つ。
  • 批判はいつでも言える、まず、第一歩を踏み出すことが大切で、全国に先駆けてその第一歩を踏み出した議会の勇気に称賛の拍手を送る。
  • しっかりと透明性や公開性をもった実効ある人権委員として機能するよう期待します。
  • 加害者の人権にも十分に配慮され心配はないと思う。自信を持って施行して欲しい。

その他の意見

  • 鳥取県産品の不買運動をする。
  • 鳥取県には行かない。関わりたくない。
  • 誹謗中傷など

(3)県の考え方は次のとおりです。「Q&A集」も併せてご参照ください。

 鳥取県ではこれまで「人権尊重の社会づくり条例(平成8年制定)」に基づき、差別と偏見のない社会の実現をめざして、県民の皆さんとともに様々な取組みを進めてきました。その結果、人権意識の高まりや主体的な人権学習の取組みが盛んになってきました。
 しかしその一方で、さまざまな人権侵害もあとを絶ちません。例えば、平成16年に鳥取地方法務局に寄せられた人権相談は約3,800件で、そのうち人権侵犯事件は約220件に上ります。また、平成17年2月に実施した鳥取県民の意識調査においても、人権侵害を受けたことがあると回答した人は約23%に上ります。
 人権侵害の最終的な救済は、司法の場で行われますが、現状では司法救済は時間的にも、心理的にも手軽ではなく、差別や虐待などの被害を受けた弱い立場の方が、自らの力で裁判制度を利用することは、現実には容易なことではありません。そのため、裁判制度を補完し、より身近で迅速に人権侵害を救済する仕組みが求められています。先の県民意識調査でも、公的機関への相談を希望すると回答した人は約65%に上ります。しかし、国は、人権救済制度の早期整備の必要性から人権擁護の法律制定に取り組んでいますが、成立の目途は立っていません。
 こうしたことから、鳥取県独自の救済制度を設けることが、県民の皆さんの期待に応え、きめ細かで迅速な救済をつながるものと考えます。
 なお、この条例は、議員提案条例で、平成16年12月に知事が提案した条例案を議会が審査する中で様々なご意見をふまえて新たな条例案として議員が提案されたものです。廃案となった知事提出の条例案は、平成14年6月定例県議会における議員提案を受けて、平成15年度から人権各分野に関係する県民の方で構成する「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会」等で検討していただき、県民の皆さんのご意見を募集し、これらを踏まえて県議会に提出したものです。

ページのトップにもどる  >>

7 Q&A集

8 教えて!人権救済条例 “県政だより”12月号より

特集3『教えて!人権救済条例』 (HTM)・・・広報課掲載“県政だより”平成17年12月号

特集3『教えて!人権救済条例』(PDF:2.30MB)・・・“県政だより”平成17年12月号 該当ページ

アドビリーダのダウンロード

9 「人権条例に関する懇話会」を開催しました!

 県では、「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」について、有識者の皆さんから御意見をいただく懇話会を開催しました。

人権条例に関する懇話会について

  

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000