1階ロビー展示の紹介、第3回です。
鳥取西道路の建設に伴う発掘調査では、これまであまり明らかになっていなかった古代(飛鳥時代~平安時代)の遺構・遺物が多量に確認されました。
この中には、当時の役所(官衙)に関連すると思われるものも多く、文書事務に関わる硯や墨書土器、役人が身につけた帯金具や銭貨などが見つかっています。低湿地の遺跡が多かったこともあり、文字を書いた「木簡」が多く見つかったのは特筆されます。
また、人や馬、刀などをかたどった「形代」や先を尖らした「斎串」などの「木製祭祀具」も多量に見つかりました。これらの木製祭祀具は、公的な施設周辺で執り行われた儀礼で使われたもので、いくつかの遺跡ではまとまって大量に出土しており、周辺にはそうした施設が存在したと考えられます。
展示室入り口横の展示ケースでは、こうした古代の出土品を紹介しています。

[令和2年6月掲載]
1階ロビー展示の紹介、第2回です。
先日紹介した、『鳥取西道路の「名品」』の向かいには、鳥取西道路の発掘調査で見つかった大量の土器から、器の移り変わりを展示しています。
遺跡から必ずと言っていいほど出土する土器。粘土をこねて形作り焼いた土器は、液体を容れることができ、それを火にかけて煮炊きすることもできます。土器の発明は私たちの祖先の生活を大きく変えたと考えられます。
当初は主に煮炊きに使われたことが、土器内外面に残る痕跡から分かりますが、弥生時代以降、こうした痕跡が見られない小型の土器が増加します。この展示では、こうした個人用とも考えられる器を、時代ごとに紹介しています。
ちなみに、写真右下は移動式かまどですが、本体斜め後ろに穴を開けて付属部を付け、土器を載せる掛口を二つにした変わったかまどです。今のところ湖山池南岸地域に分布が限られるため、「湖山池南岸型移動式かまど」と呼んでいるのですが、なぜかこの地域以外には存在せず、二口の使い方もよくわからない、これもまた「名(迷?)品」です。

[令和2年6月掲載]
埋蔵文化財センターは、展示室のほかに入口を入ってすぐの1階ロビーにも展示ケースを置いて資料を展示しています。(令和2年5月27日時点)
先日、御紹介した発掘調査速報展示の隣のケースには、鳥取西道路の建設に伴う発掘調査で出土した数々の出土品から、重要な資料をよりすぐって展示しています。
例えば・・・
・青谷横木遺跡の漆塗弓(縄文時代):樹皮を巻いて漆を塗った飾り弓
・乙亥正屋敷廻遺跡の八禽鏡(弥生時代):意図的に割ってさらに小孔を穿った中国鏡
・松原田中遺跡の木製匙(古墳時代):木を精巧に削り出した匙
・高住牛輪谷遺跡の銅鈴(古墳時代):当時の姿をよく残す八角形の鈴
・下坂本清合遺跡の埋蔵銭(室町時代):備前焼の壺に納められた銭15,524枚
(※壺に入った状況はレプリカ) などなど
いずれも、県内でも類例の少ない、「名品」です。是非、御覧ください。

[令和2年5月掲載]