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昭和56年(1981)10月10日、鳥取市鹿野町鹿野で採集

歌詞

草履隠しクーネンボ
橋の下のネズミが草履をくわえて チュッチュッチュッ
チュッチュク饅頭はだれが食た
だれも食わないわしが食た
表の看板三味線屋
さあさあ 引いたり引いたり(伝承者:明治26年生)

解説

 この歌の遊び方は、まず全員が履物の片方を差し出して一列に並べ、その上を親が詞章に合 わせて順番に指差してゆく。歌の終わりに当たった履物の持ち主は、その瞬間に鬼と化し、履物を隠す隠し鬼へと移行する。こういった決まりごとのもとに繰り返し遊ぶのである。鳥取県下でもこの遊びは親しまれていたようだ。詞章もだいたい同じだった。

 昭和39年8月7日にうかがった西部地区の日野郡江府町御机の歌。

草履隠しチューレンボ
橋の下の子ネズミが草履をくわえて チュッチュッチュ
チュッチュク饅頭はだれが食た
だれも食わないわしが食た
表の看板三味線だ 裏から回って三軒目
(伝承者・昭和32年生)

 冒頭の鳥取市鹿野町の歌が「表の看板三味線屋」であるところ、江府町の歌は「…三味線だ」となっているのは、鳥取市の方が元だったと考えられ、日野郡江府町の方が変化したものだろう。

 また、時代と共に草履が履かれなくなってきたことを示すものとして、中部地区では「草履」を「下駄」に変化させている歌が見つかった。しかし、「頭隠して尻隠さず」であって、そこは子どものことゆえ、歌の途中では、元の歌のまま「草履をくわえて…」と続けているのはご愛敬であろう。

 このように「下駄隠しチューレンボ…」で始まる歌は。東伯郡北栄町島や三朝町下西谷、米子市富益町でも見つかっている。案外、「靴隠しチューレンボ…」となっている歌もあってもよいように思われるが、現在のところ筆者はまだ見つけていない。ここでは東伯郡北栄町島の歌を挙げておこう。昭和56年10月11日に現地でうかがったものである。

下駄隠しチューレンボ
橋の下のネズミが草履をくわえて チュッチュッチュー
チュッチュク饅頭はだれでしょか
だれが食わないわしが食た
(女性・昭和6年生)

 草履、下駄、靴…というように時代に合わせて歌も変化して行くのであろう。


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