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緊急特別連載「おうちで自然観察」

おうちで自然観察新型コロナウイルス拡散防止のため自粛していた期間、自然担当のスタッフは緊急特別連載として「おうちで自然観察」をお届けしました。

連載期間:2020年4月15日~5月22日

【1】イカを食べるときは吸盤を観察しよう!

イカ焼き

イカの足(腕?)は10本ですが、長さを比べてみてください。必ず2本だけ長いです。

次に吸盤をよくみると、長い2本には先だけに吸盤があります。それも強力そうな吸盤。残りの8本には全体に吸盤がありますが小さいです。

イカはこの長い2本で獲物を捕まえているのです。

Web検索すると、捕食シーンの動画もヒットします。

例えば 

https://www.youtube.com/watch?v=lAEoYQWBpg0

一瞬の早業ですよ。(川上靖)

2020年4月15日

【2】おうちの石材シリーズ「花崗岩」

玄関の靴箱の天板

白や黒、灰色のつぶつぶ模様の石材を見たことがありませんか?

私の家は玄関の靴箱の天板に使われています(スケール:タヌキ、身長約20cm)。

これは、高温でドロドロに溶けていたマグマが地下でゆっくり冷えて固まってできた「花崗岩(かこうがん)」と呼ばれる岩石です。

模様がきれいなので、床や壁、お墓などによく使われています。意外とおうちのあちこちにあるかも!?(田邉佳紀)

2020年4月16日

【3】貝の中に小さなカニ!

ピンノアサリのお味噌汁や酒蒸しを食べていて、小さなカニが出てきたことはありませんか。カニの子どもが貝に食べられたのでしょうか?

これは「ピンノ」というカニで、これで大人です。貝に食べられたのではなく、小さな赤ちゃんのときに貝の入水管から入り、貝の中で暮らしています。

甲羅もハサミもあるので観察してみてください。ほとんどがメスです。オスはとっても小さく、貝を出たり入ったりしています。

食べても大丈夫ですが、カニの味がするかどうか? (川上靖)

2020年4月17日

【4】DIYの基本アイテム「茶色の紙やすり」は宝石がいっぱい!?

紙やすり茶色の紙やすり(サンドペーパー)をルーペで見てみましょう。

赤茶色の粒々はガーネット(ザクロ石)という鉱物です。宝石としても有名な石ですね!

とっても硬いのでやすりの研磨材に使われます。やすりの裏に表示されている数字が小さいほど、大きなガーネットがついていますよ。

紙やすりを水でぬらすとガーネットの粒を取り出せちゃいます。やすりは使えなくなっちゃいますけどね(笑)(金山恭子)
2020年4月19日

ガーネットについて詳しくはこちら→ジオフィールドVol.13

【5】おうちの中でカメムシさがし

マツヘリカメムシ春はおうちでこっそり冬越ししていた虫たちが動き出す季節。カメムシを見つけたら、外に逃がしてあげる前に形を観察してみましょう。

見慣れたカメムシより細長く、脚にウチワがあれば、マツヘリカメムシかもしれません。

アメリカからきたカメムシで、昨年初めて鳥取でもみつかりました。もしみつけたら博物館まで連絡ください。

他にもいろんなカメムシがいるので、臭いからイヤ!と毛嫌いせずに観察してみてください。新しい発見があるかもしれませんよ♪ (鶴智之)

2020年4月21日

【6】窓を開けて自然の声を聞こう~イソヒヨドリ編~

イソヒヨドリ密閉はよくありませんね。窓を開けて換気しましょう! いろんな自然の声も聞こえてきます。

♪ヒー・チュリ・ツチー・チュルリル・・・と、複雑でよく響く美しい鳴き声が聞こえませんか。イソヒヨドリという磯にいた野鳥ですが、近年は街のどこでもみられます。オスは色もきれい。電信柱のてっぺんなどで鳴いているので姿が見えるかも。

望遠レンズでのぞいてみたら、なんとムカデを・・・。私には肉食恐竜に見えました!(川上靖)

2020年4月23日

【7】月と金星のランデブー!

西の空4月26日(日)の夕方は、窓を開けて、あるいは庭に出て、西の空を眺めてみましょう。

この日は、月が金星にとても近づいて見えます。一際明るく輝く金星と、その近くに細く欠けた三日月が見えるでしょう。

また月は、欠けている部分がうっすらと見えるかもしれません。これは地球照(ちきゅうしょう)といって、地球に反射した太陽の光が月を照らすために起こります。双眼鏡で見れば一段とはっきり見えますよ。(安藤和也)

2020年4月25日

【8】タコのオスとメス

タコのオスとメスたこ焼き、たこわさ、酢だこ、たこ飯・・・食べておいしく、見た目もコミカルな、人気者のタコ。

そんなタコにもちゃんとオスとメスがあり、足の吸盤で見分けることができます。種類による違いもありますが、全体的に吸盤が小さく、行儀よく並んでいるのがメス、大きな吸盤と小さな吸盤の違いが顕著で、ときにひしめくように並んでいるのがオスです。

オスメスでの味の違いについては諸説ありますが、私はどちらも好きです。(一澤圭)

2020年4月27日

【9】硯(すずり)の"石"を"見"てみよう!

すずり深い黒色でずっしり・ひんやりとした硯は、国産の天然石「粘板岩(ねんばんがん)」が使われています。

粘板岩とは粒子が細かくち密な岩石で、泥岩(泥が固まった岩石)が地下でぎゅーっと圧力を受けてできます。そのため、墨を磨るのにちょうどいいザラザラをしていて、水持ちがよく、墨を洗い流しやすいのが特徴です。

ちなみに、硯の音読みはケン。硯は形声文字で、形(意味)の「石」と、声(音)の「見=ケン」でできた漢字です。(田邉佳紀)

2020年4月29日

【10】碁石~石であって石でない!?~

囲碁国産の天然物でできた碁石はとてもなめらかで美しい黒色と白色をしています。

黒の碁石は「粘板岩」が使われています。書道の硯(すずり)と同じですね。

一方、白の碁石は何が使われていると思いますか? 私は長石類の鉱物かと思いましたが、実は大型ハマグリの殻をくり抜いて作られているそうです! 

よく見ると、貝殻の成長にともなってできる「成長線」が見られるものもあります。

以後、お見知りおきを!(田邉佳紀)

2020年5月1日

【11】タケ(イネ科タケ亜科)の節を数える裏技

タケノコ1枚、2枚、3枚・・・、タケノコの皮を数えながら、はがしてみましょう。

何枚ありましたか。実はこの数、タケの節の数と同じです。ひとつの節に必ず1枚の皮がついているのです。節の数はすでにタケノコの時に決まっており、節と節の間が同時にぐんぐん伸びていきます。節が作られながら成長していくのではないのです。

皮を無理矢理はがしてしまうと、成長ホルモンが働かなくなり、短いタケになっちゃいますよ。(川上靖)

2020年5月4日

【12】コメツキムシで高跳びオリンピック!

コメツキムシ暖かくなると、明かりに飛んできたり、庭で見つかることもある茶色くて細長い地味なムシ。

ひっくり返ると、すごい勢いで跳ねるスゴイやつ。その名はコメツキムシ! 

いろんな種類がいるけどみんな跳ねる。跳ねるのが得意な奴もいれば下手な奴もいる。土台がプラスチックだとよく跳ねる! 

そんな小さな高跳び名人で室内オリンピックを開催しよう!(太田悠造)

YouTube動画:コメツキムシ Coming Soon!!

2020年5月7日


【13】クモの巣を掃除するときは・・・

クサグモおうちやお庭のクモの巣を掃除するとき、ちょっと勇気を出して、住人を観察してみるのはどうですか。いろんな種類がいます。

赤い上半身に黒い下半身。これはクサグモの子どもで、大人は黄褐色です。他にこういう棚状の網を作るものにメガネヤチグモなどがいます。棚網の奥にはトンネルがあり、緊急時はここに逃げ込み、さらに奥の出口から外へ逃げるんですよ。

さて、突然ですが宿題です。クモの目は何個でしょう?(川上靖)

2020年5月8日

【14】タコとイカをくらべてみたら

タコとイカ似た者同士のタコとイカ。どちらも体が軟らかく、足に吸盤があり、食べておいしい! 

おもな違いは足の数で、タコは8本、イカは10本(一部例外あり)ですが、吸盤の構造にも違いがあります。タコの吸盤は滑らかで、人間が使う吸盤と同じ。イカの吸盤は、よく見るとふちに小さくてかたいギザギザが。これで「噛みつく」ように物をつかむのです。

召し上がるときは、ぜひ吸盤のかたちや食感にも気を付けてみてください。(一澤圭)

2020年5月10日

【15】YouTube動画で自然観察!~Official髭男dism~

大ヒットの山陰出身バンド"髭男"のグルーヴィーな楽曲『FIRE GROUND』。ロケ地はロサンゼルスの東側にあるモハーベ砂漠のジョシュアツリー国立公園かな? ストリードビューで探し回りました。

点々とある木がジョシュアツリー。ユッカの1種で、根は浅く広く伸びており、年1回の集中豪雨でも生きていけるとか。受粉はユッカガという蛾が媒介して行われます。

どんな環境でも生命は息づいているんですね。(川上靖)

2020年5月12日

【16】ヒゲダン(髭男)のMVで地形も観察しちゃおう!

引き続き髭男の『FIRE GROUND』。広がる砂漠地にむき出しになった巨大な岩石と点々と生える植物。まるで地球以外の星に降り立ったようです。

岩石の丘はてっぺんが丸みを帯びています。これは、著しい寒暖差で膨張・収縮が繰り返され、表面がぼろぼろ崩れたためです。

寒暖差で壊れた岩石はやがて砂になり砂地が作られます。風化作用でできた砂漠です。鳥取砂丘とはまったく異なるでき方ですね。砂丘のでき方はこちら:

https://www.pref.tottori.lg.jp/153178.htm

(川上 feat.金山&田邉)

2020年5月13日

【17】知ってるようで知らないダンゴムシの世界~ちょっと変わった脱皮~

ダンゴムシ庭の石の下など家の周りでよく見かけるダンゴムシはオカダンゴムシです。丸くなるのはご存じのとおりですが、脱皮のようすを見たことはありますか?

なんと体の上半身と下半身で、二回に分けて脱皮をするのです。ズボンと上着を別々に脱ぐようで面白いですね。

よ~く見ると、脱皮した下半身が上半身より少し大きくなっていることが分かります。こうやって少しずつ大きくなっていきます。(鶴智之)

2020年5月14日

【18】読書で自然観察~センス・オブ・ワンダー~

センス・オブ・ワンダーカミュの『ペスト』が売れていますが、本から自然を感じてみるのもいいかも。

『沈黙の春』で有名なレイチェル・カーソンの絶筆『センス・オブ・ワンダー』。"不思議さに驚嘆する感性"という意味です。彼女は本の中で、人間を超えた存在を認識し、畏れ、驚嘆する感性を育むことの大切さを伝えています。たとえ生活の中で苦しみや心配事に出会っても、内面的な満足感と生きていることへの新たな喜びを見つけ出すことができるというのです。(川上靖)

2020年5月15日

【19】赤くて小さな・・・

カベアナタカラダニ今の時期、家の外壁やコンクリなどで、1ミリ程度の赤い生き物がウロウロしているのを見かけませんか? 白っぽい場所だとよく目立ちます。

正体はカベアナタカラダニ。ダニと言っても人や作物には悪さをしません。おもに花粉を食べてくらす、安心安全なダニです。ただ、うっかりつぶすと赤い染みがつくのでご用心。

名前の由来は、「壁」にいる、背中に「穴」状構造がある「タカラダニ」。「壁の穴」でも「貴方から」でもありません。(一澤圭)

2020年5月16日

【20】窓を開けて自然の声を聞こう~アマガエル編~

アマガエルゲッ・ゲッ・ゲッ・ゲッと、一匹で鳴いている声を聞きませんか。アマガエルのオスです。

縄張りの主張とメスを呼ぶためです。単独では一定リズムで鳴いていますが、他のオスが近くにいると、声の重なりを避けて交互に鳴きます。競い合っているのでしょう。

田植えの頃の水田では大合唱! 近距離で交互に同期して鳴いている集団はクラスターです。大合唱は、人が作り出した広大な水田環境がメガクラスターを生み出してしまったんですね。(川上靖)

2020年5月17日

【21】玉砂利は岩石博物館!

玉砂利は岩石博物館!お庭の砂利には、何種類の石が混じっているかな?

石を分類してみましょう! 分類のポイントは、色や模様、手触りです。白い石、黒い石、緑っぽい石、粒々模様の石、縞々模様の石、つるつる、ザラザラ…。

この玉砂利には5種類もの石が入っていました。まるで博物館! なかなかの岩石コレクションです。砂利を分類したら、図鑑などで名前を調べてみてください。博物館を利用いただいてもいいですよ。(金山恭子)

2020年5月18日

【22】「あご」の美味しい季節になりました!

あご「あご」の季節。角あごはツクシトビウオ、丸あごはホソトビウオの地方名です。刺身で宅飲みでもいかがですか。

トビウオは胸ビレが翼になっていますが、腹ビレも観察してみてください。トビウオは4枚の翼で飛んでいるのです。

こちらをご覧ください:トビウオ動画

尾ビレの下側が長いのは、これで水面をかいて加速します。

ちなみに、トビウオの学名はCheilopogon agooです。シーボルトが日本から持ち帰ったとき「あご(agoo)」と伝えたみたい。「あご」は国際標準でした!(川上靖)

2020年5月19日

【23】窓を開けて、水星をみつけよう!

水星と金星の接近 イメージ水星は太陽の一番近くを回っているので、明け方の東の空か夕方の西の空に、ごく短い時間しか見ることができません。地動説を唱えたコペルニクスも見たことがないという逸話も残っているほどです。

5月22日(金)の夕方は、水星を見つけるチャンス! 目印は金星です。この日は金星と水星が満月2つ分程の距離に接近しています。双眼鏡だと容易にみつけられるでしょう。太陽が完全に沈んでから探してみてください。(安藤和也)

2020年5月20日

【最終回】人を観察する。

人を観察する。この連載も最終回。おうちを巣にしている動物、人(ホモ・サピエンス)を観察せずして終わるわけにはいかないでしょう。

SARS、MERS、エイズ、エボラ、ジカ熱、麻疹、インフルエンザ、鳥インフル、そして新型コロナなど、すべてのウィルス感染症は動物が由来。そして人も動物。出会うはずのなかった動物同士、人と動物。近年の感染症の多発は偶然なのでしょうか? そしてこれからは…。

人という動物はどうしてゆけばよいのでしょう。サピエンスは賢いという意味です。(川上靖)

2020年5月21日

サピエンスについてはこちらもどうぞ→ジオフィールドVol.29

【謝辞】お読みいただき、ありがとうございました。

イモリ「おうちで自然観察」いかがでしたか。

これからも、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の自然を観察できます。夏は岩ガキ、冬は松葉ガニ、楽しみですね! 

私たち人という動物も自然の一部。ならば、おうちも街も自然です。おうちで自然観察、新しい生活様式としていただけたら幸いです。

夜、窓を見ると、目をみはる自然の世界が…。ヤモリ(家守)はおうちを守ってるってホントかなあ。(自然担当一同)

2020年5月22日

  

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