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日本一の嘘つきと中国一の嘘つき(三朝町大谷)

昭和63年(1988)8月22日、三朝町大谷で採集

語り

 昔あるところになあ、日本一の大嘘つきがおって、日本のうちでは、もう日本国中どこへ行って嘘をつくにもつくとこがない。「さあ、これからおれは支那の国へ行って支那で嘘つきして、支那の嘘つきと競争して、どっちが強いかやってみたる。」そうして、その嘘つきが支那へ行った。

 それで支那へ行って、支那の国を端から端の方も歩いて行って、
「おれは日本一の大嘘つきだが、支那の大嘘つきはおるだろうか。おったら会いたいもんだ。」って、次ぃ次ぃ聞いて行きよったら、まあ、支那の大嘘つきの家へ聞き当てて、行ってみたら娘が一人おった。
「おれは日本一の大嘘つきだが、おまえの方は支那一番の大嘘つきだそだが、お父つぁんどがあした。」って。
「お父つぁんは日本の国の富士山が倒れかけとるっていうので、うちのお父さん、線香一本持ってつっぱりしに行った。」って。
「ほーう、こいつ、えらいやつだ。」と思って「で、お母さんは。」ったら「お母さんはなあ、日本の琵琶湖が破れてかなわんで、木綿針持って縫いに行った。」って。
「こりゃあ、おれよりちょっと上手だ。これに負けちゃあいけんが。」と思って「ああ、そうか。それじゃあしかたがない会わずに行くだが、ああ、ほんに去年の大きな大きな大風吹きでうちの裏にあった千貫くらいの大きな石臼が、大風で飛ばされて来てしまったが、どこへ行ったか分からんが、ここらへんに来とらんか。」言ったら「ああ、それなら裏の蜘蛛の巣に掛かってぷらんぷらんしとります。」てった。
「ああ、そうか。それじゃあそれを捜しに行こう。」って。
「やれやれ、きょうとやきょうとや、こりゃ、日本より支那は広いわい。おれより上手がある。」と思って、それでもどりよったところが、その嘘つきが逃げた後にお父さんがもどってきて「だれか来なんだか。」「やぁ、日本の嘘つきが来た。こういうわけでお父さんを聞いたから、日本の富士山が倒れかけて線香でつっぱりしに行っとる、って言ったる。お母さんは、って言うけえ、日本の琵琶湖が破れかけとるので木綿針と木綿糸で縫いに行っとる、って。そしたら逃げがけに、大風吹きで裏の石臼が千貫ぐらいのやつが飛んで逃げてしまったが、どっか来とらんか、ちゅうけえ、裏の蜘蛛の巣にひっかかってぷらんぷらんしようけえ持って帰れ、って言ったら、恐れ引っ込んで飛んで逃げて行きよった。」「ばかたれめが。そがなことでいなしてどがするだい。おう、髪の毛の一本でも抜けるやな嘘をついて行かせにゃいけぬわ。どっち行った。」「さあ、どっち行ったか分からん。」「よし、おれがぼっかけて行って、頭が禿になるほど嘘ついて恐らかいたる。」そいからお父さんは飛んで出たって。
 さあ、その後へ今度ぁお母さんがもどってきたそうな。
「お父さんはどがした。」「お父さんは初めに日本一の大嘘つきが来て、おれと話をして、それからお父さんはどこへ行ったかちゅけえ、日本の富士山をつっぱりしに行った、言った。お母さんは、て言うけえ、琵琶湖に木綿糸と木綿針で縫いに行った、って言った。石臼が大風で飛んで来たが来とらんか、て言うけえ、裏の蜘蛛の巣にかかっとるけえ、持っていね、ちゅうたった。そがしたら恐れて行ったところをお父さんがもどってきて、よし、そいつ、なら、追っかけて行って、髪の毛が抜けるほど嘘をついたる、って、それでお父さんはその大嘘つきの後を追うて行ったって。お母さんはお父さんが負けたらいけんけえ、髪剃ってあげるけえ、一生懸命仏さんを拝みなさい」ちった。
 そいでお母さんの髪をつるつる坊主に剃ってしまって、そいからお父さんが負けちゃあいけんちゅので一生懸命、仏さん、拝みよった。そこへお父さんがもどってきて「ああ、どこへ行ったかとうとう見失った。残念なことをした。だれだぁ、そこへおって何だか神さん拝みよるのは。」と言う。
「ありゃお母さんだ。」「何であがんことになったか。」「お父さんが髪の毛の一本でも抜けるような嘘をついて見い」って言いなはったけえ、髪の毛の抜けるようなやつぁなかなか抜くことは抜かなんだけど、まあ、剃ることは剃ったけえ、これでお父さん、こらえなぁれ。」って。
「こんなばかたれっ。日本の嘘つきにやつう剃ったろうと思うに、とにもかくにもお母さんの髪剃って何するだぁ。」てって怒ったけど、どがぁもならなんだ。
 剃ってしまったことだけえ、で、おしまい。昔こっぽりです。
(伝承者:明治40年生)
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解説

 関敬吾『日本昔話大成』では、笑話の「巧智譚」「業較べ」の中の「法螺吹き童児」というのがそれに相当するようである。


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