鳥取県教育委員会のホームページ

会見録(令和元年5月31日)

(主な報告事項)

(その他項目)

  • ○ 通学路の安全対策について
  • ○ 熱中症対策会議の開催について
  • ○ 令和2年度教員採用試験の出願状況について
  • ○ 未来とりっこわくわく大作戦啓発フォーラムの開催について
  • ○ 心とからだいきいきキャンペーン強調月間について

6月補正予算状況

●山本教育長

 この度、補正予算を提案させていただいております。予算の中身について、主なものを説明させていただきます。


 若者がどんどん県外へ出ていって、なかなか帰ってこないという議論の中で、しっかりとふるさとについて学ぶということが必要ではないかということ、これはかねてから、そういった議論があったわけでございますが、この度、これを少し体系的に整理をしながら、そしてまたキャリア教育とふるさと教育とを結びつけるというようなことで、鳥取県独自の取組になろうかというふうに思いますが、ふるさとキャリア教育ということで、これから力を入れて取り組んでいこうということを考えております。かねてより市町村のほうで小中学校では、ふるさと教育ということで、それぞれ進められてきた部分はたくさんあるわけでございまして、ふるさとの自然であるとか、歴史・文化、独自に市町村について学んできているわけでございますが、この度いろいろ調べる中で、そこに立地する企業のことであるとか、環境のことについて学ぶという機会は、自然等に比べると少ないのではないかなと思っており、その辺りが逆に高校との連動になるのではないかなと感じております。その中身としては、企業だとか、産業だとか、仕事だとか、そうしたことでありますとか、人についても過去の偉人について学ぶということは、これまでも行われていたんですけど、その地域で今活躍している人、そうした人たちとの意見交換の場というのは、あまり見受けられてないということでございましたので、そうした方々と子どもたちが意見交換するというような場を設けるような取組、そしてまた、ふるさとキャリア教育を進める上で中心となって取り組んでいただける地域と学校とを結びつけてコーディネートしてくださる、そうした人材を公民館の職員の方々などを想定するわけでございますが、そうした方々について地域コーディネーターというかたちで養成していこうというような取組をしているところでございます。そうしたことを体系化している図が右の図なんですけども、真ん中にキャリアパスポートというもので、取組を個人個人で蓄積をしていこうということを考えておりまして、具体的にはこれを国のほうでもこういった取組を進めようということで、今様式について案が提示されてきているわけでございます。これも鳥取県ならではの形に替えていく作業を今年度やって、本格的には来年度キャリアパスポートを使ったふるさとキャリア教育というものを進めていきたいというふうに考えておるところでございます。そうしたことにつきまして400万円余の予算をこの度、要求し提案しようとしているところでございます。

 4頁になりますが、これはプログラミング教育ということで、来年度から小学校の新しい学習指導要領になるということで、そこで言われている目玉が、一つがプログラミング教育で、もう一つは英語の教科化ということになるわけでございまして、英語のほうは教科書がしっかりとあるわけですが、このプログラミング教育については教科になるのではなくて、たとえば算数の時間でありますとか、国語の時間内ですとか、そうしたところの中でいわゆるプログラミング的志考といわれている論理的な考え方でありますとか、指示をしたことに沿ってコンピュータ等々が動いていく、そうした仕組等について教科の中で学んでいくというかたちになっています。イメージ的にはプログラミングをする教育というふうに受け取られがちなんですが、この度の学習指導要領で定められているものについては、そこを目指すということではなくて、そういうプログラミング的志考をしっかり育てていくということになるわけでございます。このプログラミング教育はいろんな取組の仕方があろうというふうに思っておりまして、とくに子どもたちの興味・関心、それを深めていくという観点からの取組も必要ではないかなというふうに思っております。教科のほうでのプログラミング教育はそれぞれの教科の指導の中でしっかりとやっていくわけでございますが、プラスαで、たとえば民間企業と連携して、ロボットを使ったりでありますとか、島根県のほうではルビーというプログラミング言語が流行っておりますが、そうしたものを使ってなにか子どもの興味・関心を引くような、そうしたものを授業の中にちりばめながら、取組をやっていってはということに着手をしていこうということで、一つは、本県でICT活用教育推進協働コンソーシアムというものを作っています。鳥取環境大、そして情報産業協会、県庁ということで、コンソーシアムをつくって取り組んできておりますが、情報産業協会の方々の力を得ながら、子どもたちの興味・関心を引くような授業を具体的にやっていただこうということを考えております。また、そうしたことについて、学校の教員に対応できるような研修等も合わせてやっていきたいというふうに思っております。

 5頁のほうは、高校の魅力化ということでございます。段々と中学生が減少しているわけでございますが、その中で中山間地域の学校の志願者が減っているような状況にあり、ある意味危機感の中でいろいろな取組をやってきているわけでありますが、県外からの募集というようなことも始めておりますし、そうした県外からくる生徒たちのための下宿の制度などもつくってきておるわけでございますが、現実十数名の県外からの入学というようなことで、芳しい成果が上がってきてない。島根県に比べると格段の差があるなあと思っているところでございますが、これまではどっちかというと、県立各学校での取組を支援していくということであったわけでございますが、少し県教委も本腰を入れて取組んでいく必要があるんではないかなというふうに思っています。そんな中で、島根県がこれまで取組んでこられたノウハウなども入れながら取組みたいと思っておりまして、全国の注目を浴びるようなことが必要ではないかなあというふうに思っております。そんな中で鳥取県の中では、倉吉農業高校というのは、お米甲子園で日本一に当たる金賞を4年連続で取っているということで、農業高校の中ではかなり全国的に有名になっておりますし、また先般も大阪の和泉市の中学生がこちらのほうに修学旅行にくる中で農業高校などで田植えの研修などもやったりするというつながりもあるというようなことも含めて、この倉吉農業高校を、農業の先端をいく学校として売り出してはどうかということを考えております。スーパー農林業士の取組も倉吉農業高校でやっておりまして、卒業後の道もある程度林業をしっかりと出来ているということもあるわけでございまして、そんな中で今、人口減少・高齢化に対するこれからの農業ということで、県の農林水産部もスマート農業を一早く高校教育の中に取り込むことによって、最先端の日本一の農業高校を目指していってはということを考えております。具体的には今、農業用のドローンということで、先般種蒔きの実証実験も行われたようでございますが、そうしたものを学校教育の中にも取り入れていこうということであったり、あるいは、水田の水の管理システムを実験用の圃場に入れて自動的に水門を開け閉めするような営農支援ツールなども入れることで、それを生徒に学ばせることで、ドローンなんかにかなり興味を持つ中学生も多いのではないかなあと 思っておりますが、そうしたことを学校教育の中に取り入れていこうということ。あるいは酪農について学ぶということで乳牛はいるんですが、和牛のほうは取り込んでいない。今県のほうも和牛日本一を目指していろんな取組をしておられます。優秀な牛もたくさん輩出をしておりますが、ぜひこの際、倉吉農業高校でも和牛飼育についても、取組みたいということを考えているところでございます。この和牛飼育につきましては、2年程前から和牛甲子園という新たな全国コンテストが始まっておりまして、そうしたところにチャレンジするようなことも含めて、これから少し、学校のほうも準備をしつつ取り組みを進めたいと考えております。また併せて、岩美高校・日野高校についても、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームという法人とタッグを組んで、もう既に地元のほうに支援組織が立ち上がっているということでございますので、このプラットフォームの力を借りて、更なる魅力化、情報発信などをしっかり取り入れながら、取り組みを進めていきたいと今考えているところでございます。そうしたことにつきまして、県の予算を求めております。

 6頁の大学入試改革につきましては、2021年1月のテストから大学入学共通テストに変っていくわけでございますが、大学入学共通テストは、これまでに比べて更に思考力・判断力というものが強化されてくるということでございます。一般的には記述の解答を求めるような試験の在り方というところで注目されておりますが、問題全般について単にクイズ形式で、知識・技能を問うということではなくて、長い文章の中で思考力・判断力、また、表現力を求めるというかたちに変化していくところでございます。またそうした筆記試験に加えて、先程のキャリアパスポートというお話をさせていただきましたが、ああいったかたちで、たとえば高校の時代で行ったボランティア活動だとか、探求的な学びといったものを、ポートフォリオというかたちで提出を求めるというような大学も出てくるということでございまして、高校で学んだ学習の記録を入試評価に反映させるということも行われるということでございます。そしてこれは皆さんご存じのとおり、英語については4技能を評価するということで、スピーキングなどを含めて、これから入試が変っていくということで、そうしたことに対応していこうということで、これまでも、思考力・判断力・表現力を育成するためのいわゆるアクティブラーニングというかたちでの学びを高校の中で力を入れていこうということで、従来の黒板を背にして、一方的に講義をする授業形態に加えて、生徒の中で意見交換をしたりというようなことを進めてきておりますが、それに加えて更にこの度、探求の学びに力を入れていこうということを考えております。今もたとえば鳥取西高のSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)の中では、すべての生徒が自分の探求テーマを決めて、それについて学びを深めていく場合によっては講師の方の話を聞いたり、オーストラリアのアデレード大学に行って交流をしたりということで、そういう活動を通じて、自分の設定をした課題に対して答えを見出していく、そんな学びをしているわけでございますが、そうしたことについて、よりレベルを上げていこうということを考えております。こうしたところにAIの最先端の研究をしている研究者の方に来ていただいて、今の研究の状況はどうなのかといった話を生徒にしてもらい、生徒はそれを聞きながら、文系的な発想、あるいは理系的な発想はあろうかと思いますが、たとえばAIがどんどん進んでいくと、自動運転の中で事故が起きたら誰が責任を負うのかといったような社会科学的な見地であるとか、たとえば医学の世界にAIがどんどん進んで来たときに、倫理的な部分をどう考えていくのかといったようなところにも発想が及ぶような、そんな刺激的な話をしていただきながら、自分自身の課題を設定する、そんなところを狙ってハイレベルの効果を上げたいというふうに思っております。また、英語については、民間試験というのが、都市部と地方部で実施回数に今大きな差がございます。そうしたことについて早い段階で民間試験に一度チャレンジしてもらい、その民間試験をやる中で、その試験を活用して自分の弱点、あるいは学校の出題の見直しに活用してもらおうということで、大学入試の共通テストを受験しようとしている生徒については、4技能が図れる検定試験を受験してもらおうということを考えているところでございます。
 
 併せて7頁は、英語につきまして、小中学校について4技能のステップアップを図ろうということで、小学校・中学校についてその授業方法など島根大学と共同研究をしたり、あるいは中学校の2年生に、これを希望する学校ということになるわけでございますが、英検のIBAというガイド試験も受けていただこうと。英検のIBAを受けると、それぞれ受験者の、英検でいうと今何級相当の力がありますよということが分かりますし、また、それぞれの受験生がかかえる課題などについてもアドバイスが得られる。そうしたことをまとめつつ、これも授業のやり方などを点検してもらう。そうしたことに使っていただこうということで、こうした中学校での外部試験の実施、これはもちろんその次の高校での学びに向けて民間試験に慣れてもらうということも含めた対応を行おうと考えているところでございます。

 8頁は、不登校児童生徒自宅学習支援事業ということでございますが、かねてICTによる不登校の児童生徒の学習についていろいろ研究もしてきたわけでございますが、この度、通常だと家庭での取組といいますか、塾に通うかわりの通信を利用した学習システムを使って、それを長期間にわたり不登校状態で学校になかなか通えていなくて学力も保障されていない児童生徒の皆さんの支援に、活用していきたいと考えております。これが出来れば出席扱いとなるようなシステムにしたいというふうに考えておりまして、自宅学習の状況が第三者から把握できるシステムをつくっていく「すらら」というソフトがあるんですが、それを活用してその学習状況を把握しながらアドバイスをしたりする支援員も配置して、一定の学校あるいは市町村教育委員会などとも勘案ながら、出席扱いと出来るようなシステム構築を目指して取り組んでいきたいと考えております。そうしたことをやっている自治体というのがまだ全国的にも少ないということで、文部科学省のほうの調査研究費用の対象にしていただくことができまして、国庫補助を使ってこうしたことに取り組んでいきたいと考えているところでございます。だいたい15名程度を考えています。

 9頁につきましては、美術館の整備運営についてでございます。昨年1月に基本計画というものをつくりまして、その後その基本計画の中でPFI方式ということで取り組んでいくということと、したところを含めて、そのPFIの事業者の選定に向けて進めてきたわけでございますが、この度、直営事業でいうと仕様書に当たるようなものについて、概ね策定ができたということで、この度20年間の管理運営をしていただくということの承認を得た後、実際のPFI事業者を選定する作業に移っていきたいと考えているところでございます。金額では97億円という数字をあげさせていただいていますが、PFIを導入するということについての縮減効果なども加味して82億円というかたちでさせていただいていることでございます。建築後15年間ということになりますが、維持管理運営の事業費等々、あるいは借入金などで129億円というのを出させていただいています。建築費などを含めてこれを分割して払っていくということになるわけでございますが、令和6年度以降はだいたいざっと年間9億円ぐらいの経費を考えているところでございます。今後のスケジュールでございますが、この度の議会で設置に関する条例等をお認めいただきますと、公募型のプロポーザル方式によるPFI事業者の選定の作業を更に進めるということになります。鳥取県独自の取組として公開のプレゼンテーションなども取り入れながら審査を進めて、今年度中には議会の議決を得て契約まで導くことができればというところまでとしています。

 また、美術館の設置に関する条例ということで、この度のPFI業者に指定管理というかたちで、管理を頼むということにしておりますので、そうした業務を行わせるために、公募に先立って、条例の制定をしたいというふうに考えたところでございます。設置場所でありますとか、指定管理者による管理を行うということ、審議会を設置することとか、また、これはかねて議論がずっとあってきたことなんですが、倉吉市全域にその効果が及ぶようなネットワークを構築していくというようなことについても条例の中にうたっていこうと考えておるところでございます。そうしたことをこの度の県議会に提案をしていただこうと考えております。

  

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