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向こう婆さん縁から落ちて(てまり歌)琴浦町八橋

昭和56年(1981)10月12日、琴浦町八橋で採集

歌詞

向こうばあさん縁から落ちて
すねをくじいて 膏薬(こうやく)貼って
歩くたんびに
あいたた ちょいとさ
あいたた ちょいとさ
(伝承者:明治26年生)
音声再生

 

解説

 子どもの観察眼は非情である。この手まり歌の主人公の老女に向けて、縁から落ちてすねをくじいて痛がって歩く姿を、からかっているのである。
  一方、「向こうばあさん」で始まる手まり歌でも、まったく違った次の内容の歌も広く存在していた。八頭郡八頭町日下部での歌。

  向こうばあさん 縁から見れば
  菊や牡丹や 手まるの花や
  手まるよう来た あがれとおしゃれ
  あがれお茶飲め おすべり煙草
  煙草吸うまに おままが煮える
  これのお菊は なしてまま食わぬ
  腹が痛いか 夏がめしゃるか
  腹も痛(いと)ない 夏がみゃせねど
  腹に八月(やつき)の子がござる
  スットコトンよ
  また百ついた(伝承者・明治37年生)

  これはまたちょっと変わった内容である。主人公は老女のように歌はs始まるが、まもなく手まる(手まりのことを昔の人で手まると発音することもあった)に変わってしまい、それとの会話の内容が、この家に住むお菊なる女性のことに移って行き、この女性が妊娠していて、すでに八ヶ月になっているというのである。
 女の子の遊ぶ手まり歌にしては、なかなかどぎつい内容であるが、昔はこのような歌がよく見られたものである。筆者は半世紀前、島根県各地でも仲間の歌をよく聞かされたものである。
 鳥取市青谷町楠根の類歌を見よう。

  向こうあばさん 縁から見れば
  菊や牡丹や 手まりの花や
  手まりよう来た あがれとおしゃれ
  あがれ言葉はかたじけないが
  うちの姉さん なんでまま食わぬ
  腹がにがるか 疝気(せんき)がさすか
  腹もにがらぬ 疝気もささぬ
  腹に三月のややがおる
  あのスットントン
  このスットントン(伝承者・明治40年生)
 歌い出し「あばさん」は「おばさん」のこと。また「疝気」というのは、下腹部の痛みを総称しており、胃炎・

胆嚢炎あるいは胆石・腸炎・腰痛などが原因となることが多い。


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