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巡礼お鶴(手まり歌) 鳥取市青谷町楠根

昭和58年(1983)10月9日、鳥取市青谷町楠根で採集

歌詞

一つとえ 一つとえ 柄杓に笈摺※1 杖に笠 巡礼姿で父母を 尋にょうかいな 尋にょうかいな

二つとえ 二つとえ  補陀落※2 岸うつ三熊さん 那智さん お山は音高い 参ろうかいな 参ろうかいな

三つとえ 三つとえ 見るよりお弓は走り出て 盆に精米(しらが)の志 進じょうかいな  進じょうかいな
四つとえ 四つとえ よもよも西国 出しゃんする 定めて連れ衆は親御だち 同行かいな 同行かいな
五つとえ 五つとえ いっもわたしは一人旅 父さん母さん顔知らず 会いたいわいな  会いたいわいな
六つとえ 六つとえ むりやり押しやり 返しやり 盆に精米の志 進じょうかいな 進じょうかいな
七つとえ 七つとえ 泣き泣き尋ねて来たものを だまして去なする親心  かわいいわいな
※3 かわいいわいな

八つとえ 八つとえ  山坂うね坂観音寺  めぐりめぐりて 来たものを※4

九つえ 九つえ 九つばかりの巡礼が じゆうろべえやかた げんかぐち 十郎兵衛館の玄関口 入ろうかいな 入ろうかいな
十とえ 十とえ 疾うからわが子と 知れたなら 十郎兵衛手にかけ 殺しゃせぬ  かわいいわいな かわいいわいな(伝承者:明治40年生)

〔注〕
(1)巡礼の衣装、袖なしの羽織に似た薄い衣服。

(2)インドの南端にある観音の住む山をいう。わが国では霊場にこの名を用いる。「補陀落や岸打つ浪は三熊野の、那智のお山にひびく滝つ瀬」(西国三十三番巡礼歌)

(3)「去なそうかいな」(徳島=『わらべ唄風土記』)とも。

(4)伝承者が歌詞を忘れた。岩美郡岩美町蒲生では「かわいいわいな」とうたっている。また「去なさりょかいな」(徳島=同前書)とも。

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解説

 浄瑠璃『傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると)』(明和5年、大阪竹本座初演)に題材をとったものである。阿波徳島の浪人十郎兵衛は、主家の重宝詮議のため妻のお弓とともに盗賊となっている。その隠れ家に父母をたずねて苦行してきた娘のお鶴が立ち寄るが、母お弓は自分たちが盗賊の身であるため名乗らずに帰す。ところが十郎兵衛は途中お鶴に会い、わが子と知らず金を奪おうと殺してしまう、という筋である。山陰地方を眺めても、手まり歌のほかに盆踊りの口説(くどき)となって広く人々に親しまれている。
 同じ手まり歌を、どこかで聴いたような気がするが、残念ながら今となっては、どうしても私は思い出せないのである。

昭和58年(1983)10月9日、鳥取市青谷町楠根で採集

歌詞

一つとえ 一つとえ 柄杓に笈摺(*1) 杖に笠 巡礼姿で父母を 尋にょうかいな 尋にょうかいな

二つとえ 二つとえ 補陀落(*2) 岸うつ三熊さん 那智さん お山は音高い 参ろうかいな 参ろうかいな
三つとえ 三つとえ 見るよりお弓は走り出て 盆に精米(しらが)の志 進じょうかいな 進じょうかいな
四つとえ 四つとえ よもよも西国 出しゃんする 定めて連れ衆は親御だち 同行かいな 同行かいな
五つとえ 五つとえ いっもわたしは一人旅 父さん母さん顔知らず 会いたいわいな 会いたいわいな
六つとえ 六つとえ むりやり押しやり返しやり 盆に精米の志 進じょうかいな 進じょうかいな
七つとえ 七つとえ 泣き泣き尋ねて来たものを だまして去なする親心 かわいいわいな(*3) かわいいわいな
八つとえ 八つとえ 山坂うね坂観音寺 めぐりめぐりて 来たものを(*4)

九つえ 九つえ 九つばかりの巡礼が じゆうろべえやかた げんかぐち 十郎兵衛館の玄関口 入ろうかいな 入ろうかいな
十とえ 十とえ 疾うからわが子と知れたなら 十郎兵衛手にかけ殺しゃせぬ かわいいわいな かわいいわいな(伝承者:明治40年生)

 

〔注〕

  1. 巡礼の衣装、袖なしの羽織に似た薄い衣服。
  2. インドの南端にある観音の住む山をいう。わが国では霊場にこの名を用いる。「補陀落や岸打つ浪は三熊野の、那智のお山にひびく滝つ瀬」(西国三十三番巡礼歌)
  3. 「去なそうかいな」(徳島=『わらべ唄風土記』)とも。
  4. 伝承者が歌詞を忘れた。岩美郡岩美町蒲生では「かわいいわいな」とうたっている。また「去なさりょかいな」(徳島=同前書)とも。

解説

 浄瑠璃『傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると)』(明和5年、大阪竹本座初演)に題材をとったものである。阿波徳島の浪人十郎兵衛は、主家の重宝詮議のため妻のお弓とともに盗賊となっている。その隠れ家に父母をたずねて苦行してきた娘のお鶴が立ち寄るが、母お弓は自分たちが盗賊の身であるため名乗らずに帰す。ところが十郎兵衛は途中お鶴に会い、わが子と知らず金を奪おうと殺してしまう、という筋である。山陰地方を眺めても、手まり歌のほかに盆踊りの口説(くどき)となって広く人々に親しまれている。

 同じ手まり歌を、どこかで聴いたような気がするが、残念ながら今となっては、どうしても私は思い出せないのである。


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