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おさよと源兵衛(手まり歌) 智頭町波多

昭和54年(1979)9月22日、智頭町波多で採集

歌詞

一つとせ 一つとせ 人も通らぬ山道を おさよと源兵衛(げんべ)は夜通るノー 夜通る
二つとせ 二つとせ 二股大根は離れても おさよと源兵衛は離りやせぬノー 離りやせぬ
三つとせ 三つとせ 見れば見るほどよい男 おさよがほれたもむりはないノー むりはない
四つとせ 四つとせ 用のない街道二度三度 おさよに会いたき顔見たさノー 顔見たさ
五つとせ 五つとせ いつもはやらぬかんざしを おさよにささせて姿見るノー 姿見る
六つとせ 六つとせ むりにしめたる腹帯を ゆるめてくだされ源兵衛さんノー 源兵衛さん
七つとせ 七つとせ 何をいうにも隠すにも おさよの腹にはややがおるノー ややがおる
八つとせ 八つとせ 焼けた屋敷に長屋建て 長屋のぐるりに松植えて 松の小枝に鈴つけて
鈴がチャンチャン鳴るときは じいさんばあさん悲しかろ とうちゃんかあちゃんうれしかろノー うれしかろ
九つせ 九つせ ここで死んだらどこで会う 極楽浄土の道で会うノー 道で会う
十とせ 十とせ ととさんかかさん留守のまに おさよと源兵衛が色話ノー 色話
十一せ 十一せ いちいちわたしが悪かった こらえてください源兵衛さんノー 源兵衛さん
十二とせ 十二とせ 十二薬師に願かけて おさよの病気が治るよにノー 治るよに
十三せ 十三せ 十三桜は山桜 おさよと源兵衛は色桜ノー 色桜
十四とせ 十四とせ 死出の山辺は針の山 手に手をとって二人づれノー 二人づれ
十五とせ 十五とせ 十五夜お月さんは夜に余る おさよと源兵衛は目に余るノー 目に余る
十六せ 十六せ 十六むきしを指すときにゃ 教えてくだされ源兵衛さんノー 源兵衛さん
十七せ 十七せ 質に置いたる帷子を 受けてくだされ源兵衛さんノー 源兵衛さん
十八せ 十八せ 十八さそりは垣をはう おさよと源兵衛は閨をはうノー 閨をはう
十九とせ 十九とせ 十九嫁入りはまだ早い二十とせ 二十とせ 機もだんだん縞機を
これこそ源兵衛さんの夏羽織ノー 夏羽織(伝承者:明治40年生)

 

解説

 この数え歌形式の「おさよと源兵衛」のロマンスをうたった手まり歌は、とても人気のあったものである。そして、手まり歌にするだけでは飽き足らず、盆踊り歌としてうたった地方も見られる。鳥取市福部町の女性(明治37年生)は、盆踊り歌の場合と手まり歌の場合との両方をうたってくださった。なお多くの同類を採集しているが、いずれも十番までで、二十番まで聞けたのはここにあげた智頭町のものだけであった。

 大山町国信では、次の類歌があった。

一つとや 人も通らぬ山中を、おさよと源兵衛が色話な色話
二つとや 二股大根は離れても、おさよと源兵衛は離りやせぬな離りやせぬ
三つとや 見れば見るほどよい男、おさよがほれたもむりはないのむりはない
四つとや 用のない街道二度三度、おさよに会いたてまた一度のまた一度
五つとや いつもはやらぬかんざLを、おさよに挿させてはやらせたのはやらせた
六つとや むろ手で・とめた腹帯を、ゆるめてごっさい源兵衛さんの源兵衛さん
七つとや 七月なる子を笑わせて、この子を見っさい源兵衛さんの源兵衛さん
八つとや 山で切る木は数あれど、おさよと切る気はさらにないのさらにない
九つとや ここで心中しょか腹切ろか、おさよをつれて夜逃げしょかの夜逃げしょか
十とや とんとんたたくはだれさんか、源兵衛さんなら開けましょがの開けましょが

 このようにあちことで聞くことができた手まり歌ではあったのである。


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