鳥取県立博物館 ロゴ

利用案内展示案内イベント案内学校利用博物館紹介資料リンク集
収蔵資料・刊行物 

正月つぁんはよいものだ(歳時歌)北栄町大島

昭和56年(1981)10月11日、北栄町大島で採集

歌詞

正月つぁんはよいもんだ 赤いべべ着て 羽根ついて 雪より白いまま食って
下駄の歯のよなブリ割いて
(歌い手:昭和6年生まれ)
音声再生

解説

  この「正月つぁん」の歌は、「正月そのものがとてもすばらしいものだ。」と評価し、その理由を「すてきな着物を着ることができ、羽根突きに興じ、普段はなかなか食べさせてもらえない、真っ白なご飯を食べることも許されるばかりか、それにはご馳走であるブリまで食べられるのである」。と素朴に並べてうたいあげている。
 不思議なことに、わたしはまだ島根県ではこの類の歌は収録していない。かなり気をつけて調べてみたが見つからなかった。しかしながらなぜか、鳥取県には多い。同郡湯梨浜町別所でも、

正月つぁんはよいもんだ 赤いべべ着て バボ食って
下駄の歯のよなぶり食って(歌い手:明治37年生まれ)

とあり、中部から西部にかけてうたわれていた。西部の例としても、西伯郡大山町国信で、 

正月つぁんはよいもんだ 下駄の歯のよな ブリ食って 雪より白いまま食って
赤いべべ着て 羽根ついて 正月つぁんはよいもんだ(歌い手:明治44年生まれ)

 このようにほぼ同じ内容である。ただ、この歌は鳥取県でも東部ではまだ見つかっていないようである。
 ところで、第二次世界大戦前の日常の食事は、まことに粗末で、麦飯は当たり前、しかも麦が半分以上入ったご飯も珍しくなかった。そのような時代の子供たちにとって、白いご飯は最大のぜいたくだった。それが「雪より白いまま食って」と表現されるのである。
 なお、連鎖反応的に思い出すものとして、「牛追いかけ節」(牛追歌)がある。松本穰葉子著『ふるさとの民謡』(鳥取郷土文化研究会刊)では、伯耆地方の次の歌が紹介されている。

博労やめやめいわれるけれど 何で博労がやめらりょか
夏は木の下蔭休み 冬は炉端で煙草盆 いたちの毛のような煙草吸い
油のような酒のんで お手々たたいて何百両 なんぼ親衆が叱っても
なんで博労がやめらりよか。

 正月と何の関連もない民謡であるが、どことなく共通した感じがするのは、わたしだけであろうか。


最後に本ページの担当課    鳥取県立博物館
    住所  〒680-0011
                 鳥取市東町二丁目124番地
    電話  0857-26-80420857-26-8042
       ファクシミリ  0857-26-8041
    E-mail  hakubutsukan@pref.tottori.lg.jp

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000