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昭和56年(1981)8月25日、湯梨浜町原で採集

歌詞

一わとかわせ わしゃ石割らん 石屋衆こそ石割るものよ
二わとかわせ わしゃ庭掃(は)かん 女子衆こそ庭掃くものよ
三わとかわせ わしゃ鯖(さば)売らん 商人(あきんど)衆こそ鯖売るものよ
四わとかわせ わしゃ皺(しわ)よらん 年寄り衆こそ皺よるものよ
五わとかわせ わしゃ碁(ご)は打たん 旦那衆こそ碁を打つものよ
六わとかわせ わしゃ櫓(ろ)はこがん 船頭衆こそ櫓はこぐものよ
七わとかわせ わしゃ質置かん 貧乏人こそ質置くものよ
八わとかわせ わしゃ針持たん 女子衆こそ針持つものよ
九わとかわせ わしゃ鍬(くわ)持たん 百姓衆こそ鍬持つものよ
十ぱとかわせ わしゃ字は書かん 手習い衆こそ字は書くものよ
(伝承者:明治38年生)
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解説

  数え歌形式になっているこの歌は、かつての子供たちに好まれたらしく、各地の古老からたいてい聞くことができる。わたしも山陰地方のあちこちで、随分聞かされたものである。
 一応、「手遊び歌」として分類はしておいたが、遊び方は、詞章に合わせてその動作をするだけのことであり、手遊びというよりは、身体全体を使って、それぞれの主人公の真似をしながら数人で合唱のようにしてうたわれる。
 この歌は少なくとも江戸時代までは遡ることができるようで、西沢一鳳(1802~1851)の著した『皇都午睡』の中に次の類歌が収められている。

一置(イチオイ)いてまわりや、コチヤ市立((たて))ぬ、天満なりやこそ市立まする。
二置てまわりや、コチヤ庭はかぬ、丁稚なりやこそ庭掃まする、
三置てまわりや、コチヤ三昧弾ぬ、芸子なりやこそ
三昧ひきまする、四置てまわりや、コチヤ皺よらぬ、
としよりなりやこそ 皺よりまする、五置てまわりや、
コチヤ碁はうたぬ、能衆なりやこそ碁を打まする、
六置て廻りや、コチヤ艪はおさぬ、船頭なりやこそ
艪をおしまする、七置て廻りや、こちや質置ぬ、貧乏なりやこそ質置きまする、
八置てまわりや、コチヤ鉢わらぬ、麁相((そそう))なりやこそ鉢破まする(以下略)

 比較してみると、一目瞭然。両者が親族関係にあることはどなたにも異論のないところであろう。
 江戸時代後期に生きた著者は、現在でいう大阪の人であるから、当時から関西地方で盛んにうたわれていたことがよく分かる。


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