現在、検査の方法には、新生児聴覚簡易検査用に開発された自動聴性脳幹反応(自動ABR)及び耳音響反射(OAE)の2つの方法があります。この検査は、精密検査の必要性の有無を判定するための検査であり、聴覚障がいの有無を判定するものではありません。
1.自動聴性脳幹反応(Automated Auditory Brainstem Response、自動ABR)
自然睡眠下の新生児に刺激音を聴かせて、脳幹から出る微弱な反応波を検出し、正常な波形とパターンマッチング法で比較することにより、聴覚能力に関して、自動的に「パス」又は「要検査」の判定を行う検査です。
薬剤による睡眠導入が不必要で、検査時間は比較的短時間で済むこと、検査を行うために特別な経験等は必要としないこと、検査の敏感度(真の異常者のうち検査で異常ありと判定される割合)は、ほぼ100%、特異度(異常のない者のうち検査で異常なしと判定される割合)は約98%であることなどから、スクリーニングとして高い適性を持ちます。
2.耳音響放射(Otoacoustic Emissions, OAE)
新生児に刺激音を聴かせて、蝸牛から発生した音響放射を外耳道内で検出し、聴覚能力に関して、自動的に「パス」又は「要検査」の判定を行う検査です。
OAEには、誘発耳音響放射(TEOAE)や歪成分耳音響放射(DPOAE)などがあります。
自動ABRに比べ、敏感度、特異度は下がるものの、検査装置等のコストが安く時間もかからないため、スクリーニングとして小規模な医療機関で導入する場合に適しています。
ハイリスク児の場合は、自動ABR又は聴性脳幹反応検査(ABR)との併用が必要です。
注1)感度:真の異常者のうち、検査で異常ありと判断される割合
注2)特異度:異常のない者のうち、検査で異常なしと判定される割合
(4)実施上の注意へ