5 新生児聴覚検査について

(6)検査結果と保護者への説明時期

 保護者への検査結果の説明は、「パス」「要再検」のいずれの場合も、1か月健診時に行います。
 入院中の初回・確認検査で「パス」と判定された場合においても、結果の説明は退院時ではなく、1か月健診時に行います。これは、退院時に「パス」と告げられた保護者と「要再検」のため何も告げられない保護者が混在してしまうと、“「説明ない」=「要再検」”となり、事実上、「要再検」と告げてしまうことになるためです。
 出産直後は身体的・精神的に不安定な時期です。検査結果の説明は、生後1か月までの間の親子関係(特に母子関係)の確立が大前提であり、また精密検査が必要な場合でも保護者の心理面や精密検査を行う時期を考慮すると、早急に説明する意義は低く、退院時に説明するメリットは少ないと考えます。
 

褥期(出産後)の心の病気について
 産褥期(さんじょくき)とは「出産後」という意味で、産後の精神障がいとは赤ちゃんを産んだ後に生じる気分の変動した状態です。女性が産後に経験するこうした初めての感情にはいろいろな要因が関係しています。例えば、睡眠時間の減少、一日24時間の赤ちゃんの世話、ホルモンの変動、自由がなくなること、生活スケジュールが立てにくいこと、出産に生じた体の痛み、家事育児の増加、そして責任の増大などです。
 こうしたストレスによって産後の心の病気は生じることがあります。医学の分野では、次のような3つの類型に産後の心の病気を区別しています。しかし、大切なことは、こころの病気は個別に異なること、そしていくつかの異なる組み合わせがあるということを覚えてください。

 

(1) マタニティ・ブルー

 出産女性の20~50%がマタニティ・ブルーの症状または「いつもの自分ではない気分」を産後直後に経験することがあります。通常、マタ二ティ・ブルーは分娩後3日間以内に生じて、数日間から数週間続きます。

(2) 産後うつ病

 この状態はマタニティ・ブルーと比較すると重い病気です。出産女性の10~20%に生じるといわれており、産後3週間以降に発症し、症状は一般のうつ病と同様です。
 早期に治療をすれば、回復の早い病気です。

(3)産褥精神病

 これは産後の心の病気の中でも最も重篤なものです。その頻度は稀であって、1,000人に1人の割合といわれています。通常、出産後3~14日以内に生じます。 症状は妄想や幻覚を伴うことがあり、この状態は極めて重症ですので、緊急の医学的対応が必要です。

(7)検査結果と保護者への説明内容

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