鳥取県建設リサイクル指針

鳥取県特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の実施に関する指針
(鳥取県建設リサイクル指針)
 
 
第1 目的
 
 この指針は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年5月31日法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)第4条第1項に基づき、建設工事により発生する特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施、再資源化により得られた物の利用の促進の実施に関して、同法第3条第1項の規定に基づく特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に関する基本方針(平成13年1月17日農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第1号。以下「国の基本方針」という。)に定めるもののほか、必要な事項を定め、以て本県の建設工事における建設資材廃棄物の適正な処理及び資材の有効な利用の確保を図るものである。
 
 
第2 用語の定義
 
  この指針に使用している用語の定義は、次のとおりとする。
(1)「特定建設資材」とは、コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材をいう。
(2)「特定建設資材廃棄物」とは、特定建設資材が、廃棄物となったものをいう。
(3)「分別解体等」とは、次の各号に掲げる工事の種別に応じ、それぞれ該当各号に掲げる行為をいう。
(1) 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の全部又は一部を解体する建設工事(以下「解体工事」という。)
建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為。(2) 建築物等の新築その他の解体工事以外の建設工事(以下「新築工事等」という。)当該工事に伴い副次的に生ずる建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を施工する行為。
(4)「再資源化」とは、次に掲げる行為であって、分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物の運搬又は処分(再生することも含む。)に該当するものをいう。
  (1) 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物について、資材又は原材料として利用すること(建設資材廃棄物をそのまま利用することを除く。)ができる状態にする行為。
  (2) 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物であって燃焼の用に供することができるもの又はその可能性があるものについて、熱を得ることに利用することができる状態にする行為。
(5)「縮減」とは、焼却、脱水、圧縮その他の方法により建設資材廃棄物の大きさを減ずる行為をいう。
(6)「再資源化等」とは、再資源化及び縮減をいう。
(7)「再資源化施設」とは、建設資材廃棄物の再資源化を行うための施設をいう。
(8)「再資源化率」とは、工事現場から排出された特定建設資材廃棄物の重量に対する再資源化されたものの重量の百分率をいう。
(9)「コンクリート塊」とは、コンクリートが廃棄物となったもの並びにコンクリート及び鉄から成る建設資材に含まれるコンクリートが廃棄物となったものをいう。
(10)「アスファルト・コンクリート塊」とは、アスファルト・コンクリートが廃棄物となったものをいう。
(11)「建設発生木材」とは、建設工事に伴って廃棄物となった型枠材、建築用木材及び木材を原料とした建築材(合板、木くずを固めた建築材、木くずとセメント等を混ぜた建築用材を含む。)をいう。
(12)「最終処分場」とは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年12月25日法律第137号。)で規定された基準に従い、廃棄物を埋立処分する施設をいう。
 
 
第3 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の方向
 
1 特定建設資材廃棄物のリサイクルの考え方
 特定建設資材廃棄物の再資源化対策は、次の優先順位で取り組むことを基本とし、工事現場での分別解体等の取組と併せ、再資源化等の取組を推進しなければならない。
 (1) 特定建設資材廃棄物の発生を抑制する。
 (2) 特定建設資材廃棄物を他の建設工事に再利用する。
 (3) 特定建設資材廃棄物を再資源化し利用する。
 (4) 特定建設資材廃棄物の焼却により、熱回収を行う。
 (5) 最終処分場で処理する。
 
 
2 特定建設資材に係る分別解体等の方向
 本県の建設業から発生する建設資材廃棄物は、建設工事の特性から数種類の廃棄物が混合した状態となりやすく、また、混合してしまうことにより再利用や再生使用等が困難となる。このため建設資材廃棄物は、産業廃棄物全体の約3割を占めるという状況にある。
 このことから、特定建設資材廃棄物の分別解体等を徹底し、次の事項により混合廃棄物の発生抑制と縮減に努めなければならない。
(1)種類、処理方法に応じた適切な分別の徹底
  特定建設資材廃棄物をその種類毎に分別することを確保するため、分別解体等に係る施工方法に関する基準(平成14年3月5日国土交通省・環境省令第1号)に基づき、適切に分別解体等を実施すること。
(2)分別場所の確保と保管物の表示
  原則として、現場内で分別解体することとし、場所及び保管物の表示を徹底すること。
(3)分別解体等の適切な監視と監督
  適切な分別解体施工となるよう適時、適切な監視、監督等を行うこと。
 
 
3 特定建設資材廃棄物の再資源化等の方向
 特定建設資材廃棄物は、資材として再利用や再資源化が可能な物である。建設工事現場等の状況を把握し、工事現場で特定建設資材の分別解体等を実施し、そのまま再利用できないものは再資源化施設に搬出する必要がある。
 このため、特定建設資材廃棄物の再資源化等を徹底し、次の事項により資源の有効利用に努めなければならない。
(1)再資源化施設の優先
現場において分別した特定建設資材廃棄物の搬出先は、再資源化施設を優先すること。
(2)特定建設資材廃棄物を選別できる再資源化施設の優先
現場での分別解体等が困難な場合は、特定建設資材廃棄物を選別できる再資源化施設への搬出を優先すること。
 
 
第4 建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策
 
1 建設資材廃棄物の排出の抑制
 限られた資源を有効に活用する観点や本県の最終処分場の逼迫した状況から、関係者が適正な役割分担のもとで、建設資材廃棄物の排出の抑制に努め、最終処分量を減らす必要がある。
 
2 建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策
 建設資材廃棄物の排出の抑制にあたっては、建設工事の各段階においてきめ細かな取組を行うことが重要であることから、県が行う建設工事においては、特に次の事項に配慮しつつ積極的に行動することとする。
 県以外の者が行う工事においても、県が行う工事に準じた取組を行うよう努めることが必要である。
(1)設計・発注段階
 構造等の耐久性の向上など、その長期的使用に資する設計、端材の発生を抑制する施工方法の採用及び建設資材の選択などに努めることとする。さらに、工事目的物に要求される性能に応じ、技術的及び経済的に可能な範囲で、建設工事に使用された建設資材の再利用等に努めることとし、次の事項に積極的に取り組んでいくこととする。
  (1) 事前調査と適正な設計
  現場内で分別場所や保管場所が確保できるか等を調査し、適切な分別解体等の設計に努めること。
  (2) 現場内での再利用等の優先性
  建設資材廃棄物の現場内での再利用や工事間利用を優先した設計に努めること。
  (3) 建設資材廃棄物の発生の抑制を促進する工法・資材等の採用
   1)合板型枠の使用削減、プレキャスト型枠の採用などにより、建設発生木材等の発生を抑制するための設計に努めること。
   2)二次製品の採用や規格化された工場製品の採用など、工事現場で建設資材廃棄物が発生しない製品の採用に努めること。
   3)設計図書等に建設資材廃棄物の発生を抑制するため、採用する工法・資材、使用箇所等を明示するとともに、環境対策や公衆災害の防止等に努めること。
  (4) 必要な経費の計上
  建設資材廃棄物の発生を抑制するため、必要な経費を計上すること。
(2)施工段階
  受注者は、現場における建設資材廃棄物の分別解体等を確実に実行するため、次の事項に
 積極的に取り組んでいくこととする。
  (1) 現場責任者の明確化
   設計及び発注の意図を踏まえ、工事現場における建設資材廃棄物対策の責任者を明確に
  し、発注者に届出すること。
  (2) 現場での分別・保管
   適正に資材が分別、保管され、建設資材廃棄物を適正に減量化しているか確認するととも
  に、処理する建設資材廃棄物にその他の廃棄物が混入しない処理体制の確立に努めること。
  (3) 建設資材廃棄物の発生の抑制を促進する施工
   1)種類毎に分別する施工方法で実施するよう努めること。
   2)残材量を返却し、建設資材廃棄物が発生しないよう努めること。
   3)現場内での再利用により、工事現場から排出される廃棄物の発生抑制に努めること。
  (4) 減量化の促進
   建設資材の梱包の簡素化や、建設工事から発生する端材の再利用等により、建設資材廃棄
  物の減量化に努めること。
  (5) 他の工事との連携
   他の工事現場と連携し、建設資材廃棄物の再利用に努めること。
 
 
第5 特定建設資材廃棄物等の再資源化等の促進のための方策
 
1 特定建設資材廃棄物の再資源化の目標
  全ての関係者が再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量をできる限り速やかに、かつ、着実に実施するため、平成22年度を目標年として特定建設資材廃棄物の再資源化等に重点的に取り組む。
  本県で行われる全ての建設工事を対象とした平成22年度における再資源化率の目標は、国の基本方針第3の1と同じく、次表の左欄に掲げる特定建設資材廃棄物の種類に応じ、同表の中欄に掲げる率とし、特に、県が実施する事業においては、再資源化等を先導する観点から、平成17年度までに同表の右欄に掲げる率を達成することを目指す。
 
【特定建設資材廃棄物の再資源化率の目標】
                               
   特定建設資材廃棄物         国の再資源化率    県事業の再資源化率
     目標年度               平成22年度      平成17年度
   ・コンクリート塊               95%          100%
   ・アスファルト・コンクリート塊      95%          100%
   ・建設発生木材              95%           75%
 
なお、特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標については、建設資材廃棄物に関する調査の結果、再資源化等に関する目標の達成状況及び社会経済情勢の変化等を踏まえ、必要な見直しを行うものとする。
 
 
2  特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策
(1)特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する基本的事項
  特定建設資材廃棄物の再資源化施設の実態を把握し、再資源化施設の立地を図る施策を推進するなど、特定建設資材廃棄物の再資源化等を促進するとともに、これに必要な経費を計上することとする。
(2)コンクリート塊の再資源化等の促進ための具体的方策
   コンクリート塊の再資源化等を促進するため、次の事項に取り組んでいくこととする。
 (1) 破砕、選別、混合物除去、粒土調整を行い、再生クラッシャーラン、再生コンクリート砂、再生粒土調整砕石等として、舗装の路盤材、建築物等の埋戻し材又は基礎材、コンクリート用骨材等への利用を促進すること。
 (2) コンクリート塊の再資源化技術の開発に努めること。
(3)アスファルト・コンクリート塊の再資源化等のための具体的方策
   アスファルト・コンクリート塊の再資源化を促進するため、次の事項に取り組んでいくこととする。
 (1) 破砕、選別、混合物除去、粒土調整を行い、再生加熱アスファルト安定処理混合物、表層基層用再生加熱アスファルト混合物等として、舗装の上層路盤材、基層用材料又は表層用材料への利用を促進すること。
 (2) 破砕、選別、混合物除去、粒土調整を行い、舗装の路盤材、建築物等の埋戻し材又は基礎材等への利用を促進すること。
 (3) アスファルト・コンクリート塊の再資源化技術の開発に努めること。
(4)建設発生木材の再資源化等のための具体的方策
   建設発生木材の再資源化を促進するため、次の事項に取り組んでいくこととする。
 (1) 破砕、再破砕し、堆肥や敷わらの代替、製紙チップ、緑化用基材、雑草防止材、木質ボード
  などへの利用を促進すること。
 (2) 前項の利用が困難な場合には、燃料としての利用を促進すること。
 (3) 建設発生木材の再資源化技術の開発に努めること。
 
 
3  その他の建設資材廃棄物等の再資源化等の促進のための方策
   特定建設資材以外の建設資材等についても、それが廃棄物となった場合に再資源化等が可能なものについては、できる限り再資源化等を実施することとし、これに必要な経費を計上して次の事項に取り組んでいくこととする。
(1)建設汚泥については、現場等において脱水、固化等を行い、盛土や埋戻し土などへの利用を促進すること。
(2)下水道汚泥については、コンポスト化して農地等へ還元するほか、溶融スラグ化を行い、再生クラッシャーラン、再生コンクリート砂、再生粒土調整砕石等として、舗装の路盤材、建築物等の埋戻し材又は基礎材、コンクリート用骨材等への利用を促進すること。
(3)廃ガラスについては、ガラスカレット化し、コンクリート用骨材等への利用を促進すること。
(4)廃プラスチック、廃石膏ボード、金属くずについては、県内に再資源化施設がほとんどなく、建設現場から排出されるこれら廃棄物の再資源化が進んでいない。このため、製造に関わる者による広域的なこれら廃棄物の収集と再利用の取組との連携を強化するとともに、再資源化技術の開発やその利用について関係者が連携して積極的に取り組むこと。
  さらに、県内におけるこれら廃棄物の再資源化施設の立地について関係者が連携して検討すること。
(5)上記以外の建設資材廃棄物等の再資源化についても、既存の再資源化施設の状況を踏まえ、分別解体の実施、技術開発の推進、収集運搬方法の検討、必要な再資源化施設の整備等について、関係者が連携して積極的に取り組むこと。
 
 
第6 特定建設資材廃棄物等の再資源化により得られた物の利用促進のための方策
 
1 特定建設資材廃棄物等の再資源化により得られた物の利用についての考え方
  建設資材廃棄物の再資源化を促進するためには、次の点に留意しつつ、その再資源化により得られた物を積極的に利用していくことが不可欠である。
(1)建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を地域産業全体で利用及び拡大していく、リサイクル市場の形成に努めること。
(2)建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用に当たっては、必要な品質の確保並びに環境に対する安全性及び自然環境の保全に配慮すること。
 
 
2 特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の率先利用
  県においては、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(平成12年法律第100号)及び「鳥取県グリーン購入基本方針」(平成13年7月)の趣旨を踏まえ、民間の具体的な取組の先導的役割を担う必要があることから、次の定めるところにより、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を率先して利用するものとする。
(1)コンクリート塊又はアスファルト・コンクリート塊の再資源化により得られた再生骨材等を工事現場から40kmの範囲内で入手できる場合は、利用される用途に要求される品質を考慮した上で、原則として経済性に関わらずこれを利用すること。ただし、工事現場で発生するコンクリート塊又はアスファルト・コンクリート塊の利用を優先すること。
(2)アスファルト・コンクリート塊の再資源化により得られた再生加熱アスファルト混合物を工事現場から40km、かつ 1.5時間の範囲内で入手できる場合は、利用される用途に要求される品質を考慮した上で、原則として経済性に関わらずこれを利用すること。
(3)建設発生木材の再資源化により得られた堆肥や敷わらの代替、製紙チップ、緑化用基材、雑草防止材、木質ボードなどを、利用される用途に要求される品質を考慮した上で、原則として経済性に関わらずこれを利用すること。
 
 
3 その他の建設資材廃棄物等の再資源化により得られた物の率先利用
  建設汚泥及び下水道汚泥、溶融スラグ、廃ガラスなど、特定建設資材廃棄物以外の廃棄物の再資源化により得られた建設用再生資材については、用途に要求される品質を考慮した上で、積極的にこれを利用すること。
 
 
第7 分別解体、再資源化等及び再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及
 
  環境への負荷の少ない経済活動とともに、物質循環の確保による天然資源の消費が抑制された循環型社会の実現のためには、県民一人一人が資源は有限であることや環境から計り知れない恵みを受けていることを理解し、環境を大切に思う気持ちを生むことが大切である。
  このため、建設資材廃棄物の「排出抑制」、「再資源化の促進」、「再資源化により得られた物の利用」を実際の行動に活かしていく必要がある。
  このような観点から、本県における建設資材廃棄物の諸問題に対し、今後、県民の理解と実を確保していくため、次の事項に配慮し、取り組んでいくこととする。
 
1 県民への広報、啓発活動に関する方策
  分別解体、再資源化及び再資源化により得られた物の利用の促進の意義に関する知識について、インターネットや広報等の各種媒体を活用し、地域住民の協力を得るなど、わかりやすく情報を県民に提供し、廃棄物に関する正しい知識の普及啓発に努めるとともに、次の事項に積極的に取り組んでいくこととする。
 (1) 分別解体等の技術に関する情報の提供に努めること。
 (2) 再資源化施設等の立地状況等の情報の提供に努めること。
 (3) 再資源化により得られた物の情報ネットワークの構築に努めること。
 
 
2 環境教育、環境学習の充実
  様々な場における環境教育、環境学習及び広報活動を通じて、環境の保全に資する分別解
 体、再資源化及び再資源化により得られた物の利用の促進について、その意義を広め、理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めることとする。
  さらに、環境教育や環境学習を通じて、引き続き建設資材廃棄物に関する効果的な施策を検討するとともに、次の事項に積極的に取り組んでいくこととする。
 (1) 発注者や受注者への分別解体等に関する技術研修等による知識の習得に努めること。
 (2) 地場のリサイクル関連企業の育成に努めること。

                              


最後に本ページの担当課    鳥取県 県土整備部技術企画課
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