研究も育児も前向きに
食品分野の研究者として、また母として、多忙な日々を前向きに突き進む。自分の発想を形にできる職場で、新しい技術を生み出し、活用につなげる挑戦を続けている。
岡山県出身。幼い頃から「人の健康の役に立ちたい」との思いがあり、食の分野から健康を支えようと、鳥取の大学で食品科学を専攻した。卒業後は県外の食品メーカー研究開発部門に勤めたが、結婚を機に鳥取へ戻り、恩師の勧めで同センターに入職した。境港市の食品開発研究所を経て、現在は鳥取市の本部で勤務。規格外食品の加工や液体を膜で包むカプセル化技術の研究に取り組む一方、組織運営や社内外との調整業務も担う。
研究職の醍醐味は、自らのアイデアが新たな知見に結び付くこと。県内企業の技術支援をして感謝されたり、技術に驚かれたりしたときにやりがいを感じる。今の目標は、企業と連携してカプセル化技術を利用した製品を世に出すことだ。
家庭では5歳児と3歳の三つ子の母。短時間勤務制度を利用し、子どもとの時間も大切にしている。忙しい中でも「後回しにせず、今できることをその時にやる」を信条に、物事を早めに片付ける。
行動力は仕事にも通じ、海外での意見交換会の企画に携わるなど経験を重ねてきた。「転職当初は新しい環境に不安があったが、最初は分からない、できないのが当然だと思う。先輩を観察して学び、諦めずに続ければ自分のやり方を見つけられて少しずつ楽になるはず」と若手へエールを送る。

【写真説明】「落ち込んでいる暇がない」と笑う美藤さん
[令和7年9月25日(木)日本海新聞掲載]