準決勝 第1回戦

銀木犀(鳥取県立鳥取東高等学校)×らいちぱんなこったマーボー(神奈川県立光陵高等学校)

 対戦結果:1対2で「らいちぱんなこったマーボー」の勝利

短歌大会写真 短歌大会写真

題:先鋒「手」 中堅「高」 大将「送」

銀木犀

(鳥取県立鳥取東高等学校)

判定

らいちぱんなこったマーボー

(神奈川県立光陵高等学校)

先鋒

無機質に赤く凍えて私の手鍵盤上で固まっていく

岡嶋 真子

1-2

プリントを貰った時に触れかけた君の手先が熱かったなんて

樫下 小春

中堅

友達と話してる君見ているとふと目があって高くなる波

飯田 有彩

1-2

下か上か横か 高く投げられ落ちるまでをラバー斜めに待つその時を

池上 真央

大将

大空に小さなツバメ送り出す来年聞かせてその旅の話

石尾 美羽

3-0

ほろほろと舞い落ちてきた花びらは君を見送るセピアのままで

島津 稜


  

講評:穂村弘審査員

 初戦からとても熱戦で、面白かったです。

 「らいちぱんなこったマーボー」は、文体が柔軟ですね。こういうふうに、口語短歌、話し言葉の短歌を作ると、短歌の終わりの部分が、体言止めか終止形になることが多くなってしまって、僕もいつも苦労しています。3人の歌を読むと、「熱かったなんて」、「まずそのときを」、「セピアのままで」と、体言止めや終止形を全く使わずに一首を納めていて、すごく柔軟だという印象を持ちました。

 歌全体としてインパクトがあったのは、中堅の歌です。「下か上か横か」という字余りのリズムが最初から気になっていていたんですが、作者の方が読むのを聞いて、これは意識的な破調で、卓球の球にスピンをかける回転が下回転か上回転か横回転かを瞬時に定めようとして、時間が引き延ばされているような、内面時間であって、時計で測る時間ではないということが、はっきり分かりました。とてもチャレンジングな歌だと思って、感銘を受けました。

 ただ、それは我々が毎日短歌を見ているから破調のような挑戦に価値を感じるという側面もあって、「銀木犀」中堅の「友達と話してる君」で始まる歌の、ゆったりとした自然な、シンパシーみたいなものも忘れてはいけないという印象で、大きな会場で全員がスイッチを押すような審査方法であれば、この歌が勝った可能性もあると思います。短歌にはその二面性があるんだろうと。

 それから「銀木犀」大将のツバメの歌もとてもやさしい歌で、作者の名前と一緒に読んだとき、より魅力を増すと思います。燕は、綺麗な羽と尻尾が印象的な鳥ですが、石尾美羽さんというお名前が燕の友だちというか仲間のようで、歌の中身と響き合っていると思いました。

 パフォーマンスでは、「らいちぱんなこったマーボー」の、鳥取砂丘の挨拶も忘れないあたりが、高校生とは思えませんね。代読というセンスもいいなと思いました。

  

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