7 早期支援について

聴覚障がい児においても健聴児と同じく、主体性のある自立的な人間として育てることが育児の目的です。聴覚障がい児の支援は“ことば”の訓練をすることではなく、視覚や触覚等を活用しながら、心身の全体的発達を促すようにすることであり、聴覚障がいをもちながらも個々の児の諸能力が最大限に発達するのを支援することです。

(1)早期支援の目的
(2)親子関係確立の支援
(3)早期支援とコミュニケーションの方法
(4)家庭における養育
(5)聴覚障がい者及び聴覚障がい児を持つ親との交流の場の確保

  

(5)聴覚障がい者及び聴覚障がい児を持つ親との交流の場の確保

 聴覚障がい児の多くは健聴の両親から生まれることから、両親は聴覚障がい者と接した経験がほとんどない場合が多いので聴覚障がい者の生活について理解は困難で、児の養育にあたり困惑することが多くあります。この時に、聴覚障がい者及び聴覚障がい児を持つ親は、ピアカウンセラーとして両親を支援することができます。

また、児及び家族が聴覚障がい者、聴覚障がい児及び聴覚障がい児を持つ親と交流することは、社会的関係を形成する上で、健聴児、健聴者との交流同様に重要であり、早期支援の一環として交流の場を確保することが必要です。

 保護者への支援について(4)

支援者の前で、泣いたり、本音を語ったりできるようになると、母親の感情は少しずつ解放されていきます。母親の気持ちが癒されるまえに、聴覚障がい児の親としての態度やなすべきことを与えすぎないことが重要です。日常の育児など、今の母親に役立ちそうなアドバイスにとどめ、あとはもっぱら子どもと楽しく関わり、子どもの良い状態を母親にも感じ取ってもらえるようにします。子どもの成長や発達、笑う、喜ぶ、反応する、声をだすなどの具体的な行動変化が母親にとっては何よりのカです。通常、人は“ほっ”とした時に、素直に気持ちや本音を語るものです。またことばにできないことも、書くことで表現できることもあるので、赤ちゃんの行動や育児の記録だけでなく、母親の気持ちを書いてもらうのも良い方法です。
 家族との信頼関係ができ、子どもへの愛着や自然な関わりが育ってきたら、少し指示的な指導や具体的な目標の提示も前向きに受け止められるようになります。同じ障がいがある人の話を聴くこと、親同士の交流は誰にとっても必要ですが、それも一人一人の状態に合わせて用意することが望まれます。

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