早期支援開始後も、支援実施機関で指導を受ける時間は限られているため、家庭における聴覚障がい児の養育は重要です。しかし、養育者は家庭において訓練士の役割を持つのではなく、どのような場合も児を受容し、「子どもが大好きなる」こと、育児を楽しむことが重要です。
児の周囲の者は、はっきりしたことばでゆっくり表情豊かに、身振りも加えて話したり、体を動かしたりして一緒に遊ぶ。実際に即していろいろな音を聴く(聴覚的実体験)機会を日常生活の中で作ってあげることも大切です。聴覚障がい児の養育では、特にスキンシップを大切にし、児からの信号を注意深く受け止め、これに応える事が必要です。親子のコミュニケーションが円滑にできることが大切で、このためには、実物・絵・写真・身振り・動作などの視覚的手段等の活用も必要です。
聴覚学習には補聴器(または人工内耳)を活用しますが、聴能の発達を促すには、単に音を聞かせるのではなく、児自身が耳を傾けて(あるいは注意を集中して)聴く状態に導くことが重要である。すなわち児が「聞く(hear)」のではなく、自発的に「聴く(listen)」態度をつくることです。
(5)聴覚障害者および聴覚障害児を持つ親との交流の場の確保へ