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2025年9月5日
令和7年8月24日(日)、占領期の鳥取を学ぶ会 活動報告会「占領期の米子」を米子市立図書館多目的研修室にて開催しました。
今回の報告会は、会を主催している本館と鳥取市歴史博物館だけでなく、米子市・一般財団法人米子市文化財団に御協力いただき、米子市美術館の展示「戦後80年未来へ伝える昭和の戦争」の最終日に合わせての開催です。
これまでは1年に2回、活動報告会を鳥取市で行ってきましたが、鳥取県西部では今回が初の活動報告会となります。残暑厳しい中、89名もの方に参加いただき、会場は満員でした。
報告会では、5名の会員が「占領期の米子」をテーマに発表を行いました。

最初に翻訳者の澤田晶子さんが「軍政部月例活動報告書(軍政レポート)の翻訳とは」と題し、報告書の紹介と、翻訳の難しさや楽しさについて報告しました。日々進化するAIでも、文脈に沿った訳語の選択や資料調査などでは人間にはまだ及ばないというお話には、少しうれしくなりました。

(写真1)「軍政部月例活動報告書(軍政レポート)の翻訳とは」澤田晶子さん
2番目は鳥取地域史研究会の西村芳将さんが「米子にやってきた占領軍」の題で、占領期の写真や新聞記事をたくさん映写しながら解説しました。昔の米子を知る方からは懐かしさで声があがり、当時を知らない方には新鮮な驚きがあったようでした。

(写真2)「米子にやってきた占領軍」西村芳将さん
3番目は神戸大学大学院教授の長志珠絵さんです。「鳥取軍政レポートの中の米子」と題して、これまで解読した資料の中で米子がどのように登場するかのお話がありました。物資輸送や工業など山陰の鉄道の要であった米子ならではの話題のほか、鳥取県では占領軍の不法行為についても報告が行われているなど興味深い指摘がありました。

(写真3)「鳥取軍政レポートの中の米子」長 志珠絵さん
4番目は日本英語教育史学会の森悟さんが「戦争の爪痕―美保基地の場合―」の題で、市内に今も残る掩体壕(飛行機を敵の空襲から守るための格納施設)や魚雷の保管施設を紹介しました。建設に主に動員された朝鮮半島出身者の戦後の厳しい暮らしについての聞き取り調査の内容が、とても印象に残りました。

(写真4)「戦争の爪痕 -美保基地の場合-」森 悟さん
最後は米子市歴史館運営委員の岩佐武彦さんが「占領期の米子と学校」について発表しました。占領期を丸々小学生として過ごされた実体験に基づき、時折ユーモアを交えてのお話には、会場からも笑いが起こってとても楽しいものでした。

(写真5)「占領期の米子と学校」岩佐武彦さん
参加者のみなさんからは、「また米子で開催してほしい」「鳥取の月例会にも参加してみたい」など好評をいただきました。御自身の占領期の体験談を報告会が始まる前にお話しいただいた方や、アンケートに記入していただいた方もおられ、占領期の鳥取を学ぶ会としてもとても有意義な活動報告会になりました。
次回の月例会は、9月20日(土)午後1時30分から鳥取市歴史博物館で開催します。会費無料、申込み不要です。どなたでも、英語が苦手な方でも大歓迎です。興味を持たれた方はぜひ一度お気軽に御参加ください。
公文書館 2025/09/05
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