民俗部会は、2月1日、米子市淀江町の特産品である淀江傘の製作用具調査を開始しました。
(写真1)淀江和傘伝承館に展示される和傘
淀江傘は江戸時代、文政期(1818-1830年)に生産が始まったと言われています。淀江町は竹材が入手しやすく、傘を大量に干すことができる砂浜もあり、大正時代には製造業者が71軒、年間生産量が17万本にものぼり、西日本一円に出荷するまでであったといいます。
この淀江傘は洋傘の普及で衰退しましたが、現在は淀江傘伝承の会が中心となって、生産技術を継承しています。この鳥取県を代表する特産品と生産用具を記録化するために、今回は傘骨作りに使用される道具を調査しました。
(写真2)節取り用の鉋(かんな)で竹外側の節を削る様子。
鉋は削る部分が竹の形状に合わせて円形になっている。
(写真3)節(ふし)削りの機械で竹の内側の節を削る様子
(写真4)傘骨の先端を細く削る「骨削り」
(写真5)「骨削り」は福岡県久留米市の小園江鉄工所が製作、正式名称は「最高級傘骨製造機械」とある。
傘骨作りは多くの道具類を使用しています。節削りの機械のように、一見、新しく見える機械類も骨格部分の老朽化で木製から金属製に最近修理したもので、根本的な部分は戦争前のものもあります。古い壊れた機械を別途保管しておいて、部品取りしているそうです。唯一古い木製骨格が残っていた「骨削り」もこの日、金属製骨格に修繕されるため鉄工所に運ばれていきました。
今回の調査は今後刊行される「民俗2 民具編」に反映されます。今後、しばらく調査に御協力いただくことを了解していただいた淀江傘伝承の会の皆様に厚く御礼申し上げます。
県史編さん室