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第1章 背景・現状と課題

1  策定の背景

(1)社会的背景の変化

  • 近年、知識・情報・技術をめぐる加速度的な変化に伴い、情報化やグローバル化といった社会的変化が、予測を超えて進展してきている。とりわけ、人工知能(AI)、ビッグデータIoTロボティクス等の技術の急速な進展に伴い、これらの先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが現在とは劇的に変わる「Society5.0」時代が到来しつつある。
  • このように急激に変化し、将来の予測が難しい社会においては、情報や情報技術を受け身で捉えるのではなく、主体的に選択し活用していく力が求められる。加えて、我が国においては、今後、少子高齢化の進展、生産年齢人口の減少による、労働力の不足や公共サービスの低下などが懸念されており、ICTAI、ロボットなどの活用は経済社会水準の維持のためにも不可欠である。今の子どもたちが活躍する頃の社会では、AIやロボット、IoTなどをはじめとする情報技術は生活の中で当たり前のものとして存在していると考えられ、これらの情報技術を手段として効果的に活用していくことの重要性は一層高まっていくこととなる。
  • 一方で、スマートフォンやSNSが急速に普及し、その利用も低年齢化する中、これらの利用を巡るトラブルなども発生しており、子どもたちには、情報や情報技術を適切かつ安全に活用していくための情報モラルも身に付けさせていく必要がある。
  • 社会生活の中でICTを日常的に活用することが当たり前の世の中となる中で、社会で生きていくために必要な資質・能力を育むためには、学校の生活や学習においても日常的にICTを活用できる環境を整備し、活用していくことが不可欠である。さらにICTは、教職員の働き方改革や特別な配慮が必要な児童生徒の状況に応じた支援の充実などの面においても、欠かせないものとなっている。
  • これからの学びにとっては、ICTは必須アイテムであり、ICT環境は鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識し、その整備を推進していくとともに、学校における教育の情報化を推進していくことは極めて重要である。

(2)教育情報化の動向

【平成 29・30・31 年告示学習指導要領】
  • 平成29年3月に小学校及び中学校、同年4月に特別支援学校小学部・中学部の学習指導要領が告示され、「情報活用能力」を言語能力等と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、その育成を図るために、「各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図る」こととされ、また、情報活用能力の育成を図るため、各学校において、ICT環境を整備し、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることとされた。小学校及び特別支援学校小学部の学習指導要領においてICTの基本的な操作を習得するための学習活動及びプログラミング教育を各教科の特質に応じて計画的に実施することとされたことをはじめ、情報教育及び教科指導におけるICT活用の両面で様々な充実が図られた。
  • 平成30年3月に告示された高等学校、平成31年2月に告示された特別支援学校高等部の学習指導要領においても、小・中学校と同様に「情報活用能力の育成」やICT環境の整備等について記載されるとともに、高等学校においては「情報I」が必履修科目として新設されるなど、情報教育及び教科指導におけるICT活用について様々な充実が図られた。

 ※「情報活用能力」とは、世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力とされている。

【「教育振興基本計画」(平成30年6月15日閣議決定) 】
  • 第3期の教育振興基本計画において、「今後5年間の教育政策の目標と施策群」に、ICT利活用のための基盤の整備目標など明記。(測定指標:教師のICT活用指導力の改善、学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度整備、普通教室における無線LANの100%整備、超高速インターネットの100%整備、ICTを活用した教育を実施する大学の割合の改善)

【「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」(令和元年6月)】
  • ICTを基盤とした最適な先端技術・教育ビッグデータを効果的に活用することで、子どもたちの力を最大限引き出し、「多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、公正で個別最適化された学び」を実現するため、目指すべき次世代の学校・教育現場を具体的に提示し、その現状と課題が整理された。その上で、ICTを基盤とした先端技術の効果的な活用に関する基本的考え方の提示、諸外国の分析等を踏まえつつ、教育ビッグデータの利活用に向けた取組の推進、クラウドや「学術情報ネットワーク(SINET)」の活用、具体的な整備モデルの提示等による安価で使いやすいICT環境整備の促進といった今後の取組方策が打ち出された。

学校教育の情報化の推進に関する法律(令和元年6月公布・施行)】
  • 学校教育の情報化の推進に関し、基本理念を定め、関係者の責務を明らかにすること等により、学校教育の情報化の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、次代の社会を担う児童生徒の育成に資することを目的とする。
  • 学校教育の情報化の推進に関し、国、地方公共団体、学校の設置者それぞれの責務を示すとともに、文部科学大臣に学校教育の情報化の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための「学校教育情報化推進計画」を定めることを義務付けた。 併せて、都道府県及び市町村(特別区を含む)に対して、各団体の区域における学校教育の情報化の推進に関する施策についての計画(「都道府県学校教育情報化推進計画」又は「市町村学校教育情報化推進計画」)を定める努力義務が課された。

【「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(令和元年12月5日閣議決定) 】
  • 初等中等教育において、Society 5.0という新たな時代を担う人材の教育や、特別な支援を必要とするなどの多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない一人一人に応じた個別最適化学習にふさわしい環境を速やかに整備するため、学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進するとともに、特に、義務教育段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととし、事業実施する地方公共団体に対し、国として継続的に財源を確保し、必要な支援を講ずることや、 教育人材や教育内容といったソフト面で対応を行うことが示された。
  • これを踏まえ、令和元年度補正予算において、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する予算が計上され、「GIGAスクール構想」を進めていくこととなった。

【「GIGAスクール構想の前倒し」と新型コロナウィルス感染症感染拡大への対応(令和2年度補正予算)】
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、令和2年度1次補正予算では、GIGA スクール構想を前倒しするための予算が計上。 小学校から高等学校における校内LANの整備を推進するとともに、令和2年度中に義務教育段階の全学年児童生徒1人1台端末環境の整備を目指し、家庭への持ち帰りを含めて十分に活用できる環境の整備を図ることとなった。
  • これにより、災害や感染症の発生等による学校の臨時休業等の緊急時においても不安なく学習が継続できることを目指すとともに、これまでの実践にICTの活用を適切に組み合わせていくことでこれからの学校教育が大きく変化し、学びの質を向上させることが期待されている。
  

2 本県の現状と課題

(1)これまでの本県の取組

  • 県教育委員会では、平成27年3月にICT活用教育推進ビジョンを策定して以降、本ビジョンの内容を踏まえ、「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」で示される水準を目標とした教室環境の整備や、ネットワーク環境をはじめとする情報基盤の整備を中心に取組を進めてきた。
  • 併せて、ICTを活用したモデル事業の実施や先進事例の紹介、学校現場におけるICT推進体制づくりに資する研修会の実施等、ICT活用教育推進に取り組んできたところである。

(2)主な成果と課題

【本県の教育の情報化の実態】
  • 文部科学省が実施した「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」(以下、「調査」という。)の結果によると、本県のICT環境整備状況はすべての調査項目で全国平均値を上回っており、他県と比較してもICT環境整備が進んでいると言える。
  • 一方で、教員のICT活用指導力等を示す数値は長年全国平均を下回る状況が続いている。
  • 令和2年度から順次実施されている新たな学習指導要領において、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」と明記されていることからも、今後、より積極的にICTを活用することが求められるため、ICT環境整備のみならず教員のICT活用指導力を一層向上させる取組が重要である。

鳥取県の情報化の実態

【教育情報化推進体制の確立】
  • 学校においては、学校長(県立学校では副校長等)を「学校CIO(情報化の統括責任者)」、主に情報教育担当を「情報化推進リーダー」と位置づけ、研修を実施し、4年間で約300人が受講し、研修では学校の教育情報化を推進するための校内研修の企画や実施など組織的な運営の定着を進めてきた。
  • 全ての学校で管理職が学校CIOの職務を行っているが、リーダーシップという面では、十分でない状況にある。管理職として推進体制の確立を進めるとともに、各種研修を通じて、教員の意識・スキルの一層の向上を図る必要がある。
【子どもたちの情報活用能力の育成】
  • 子どもたちの主体的な情報活用による思考力・判断力・表現力の育成のため、ICT機器等を効果的に利用した授業づくりなどの実践事例集の作成や教職員研修に取り組んできた。
  • 今後は、日常的なICT機器の活用を前提とした子どもたちの主体的・対話的で深い学びを実現するための授業づくりや子どもの困りを解決するための活用を促していく必要がある。
  • また、情報モラル教育を進めるための情報モラルエデュケーターを学校に派遣して行う出前授業や、教職員対象の情報モラル教育の研修を実施し、情報活用能力の育成を図ってきた。今後は、子どもたちの情報モラルの育成やトラブル解決に向けた学校と地域・保護者が一体となった情報モラル教育の推進を更に進める必要がある。
【情報基盤の整備と働き方改革】
  • 教育情報基盤の整備に関しては、教育用情報通信ネットワーク(Torikyo-NET)を構築し、インターネットの出入り口を集約するいわゆるセンター方式の利点を生かして、メールサーバやWebサーバを一括して管理することによるコスト削減と格差のないセキュリティ対策を行ってきた。
  • また、県立学校におけるタブレット用民間光回線の導入など、高速インターネット回線整備をすすめ、教育環境の充実を図るとともに、平成30年度には、全国初となる全県で統一した校務支援システムの運用を開始し、教員の働き方改革の推進を図った。
  • 今後は、小中学校における児童生徒1人1台の端末の利用を踏まえ、BYOD(自己端末の活用)を含む高等学校における1人1台端末の計画的な整備、動画配信やデジタルコンテンツの容量の増大に伴う安定した通信環境の整備等が必要である。併せて、個人情報保護や情報漏洩への対策など、セキュリティを確保しながら運用していく必要がある。
【新型コロナウィルス感染症拡大に備えたICTの活用】
  • 感染拡大により、全国一斉の臨時休業が行われた際、県立高等学校の一部モデル校で試行的に実施されていたBYODの取組を急遽全県立高等学校へ展開、補正予算等を活用し必要な情報通信機器を整備、コロナ禍においても遠隔教育等を実施し、学習補償を実現した。また、特別支援学校においても、分身ロボットを使用するなどし、個々の状況に配慮しながら遠隔教育等を行った。
  • 市町村立学校においては、自治体によって機器整備や通信環境の整っていない家庭に対する対応などに差があったことから、GIGAスクール構想による機器整備を急ぐとともに、オンラインでの学習をはじめとする遠隔教育の充実等、今後の臨時休業等に備え、環境が整っていない家庭への対応などについて、準備を進める必要がある。

【鳥取県ICT活用教育推進ビジョン(H27~)の各方向性からみた成果と課題】
方向性 目指す方向 成果 課題
学びの質を高める
  1.  他者との対話を通して協調的に学ぶことで、建設的相互作用を引き出すような学びへの質的転換を図る。
  2. 学びの質的転換に合わせ、ICT機器を学習の道具として使う。
  3. 授業の質的向上を図るため、教員のICT活用指導力の育成に向けた研修を充実する。
  • 協調的な学習における活用が高まった。
  • 授業におけるICT活用が進んだ。
  •  学びの質的転換につながる「学習の道具」としての活用までに至っていない。
  • 教員の指導力の向上が必要。
教室環境の整備を目指す
  1. 県・市町村は、それぞれの整備状況を踏まえつつ、国の示す工程に沿って、電子黒板、教材提示装置等の導入など、教室環境の段階的な整備に取り組む。
  2. 自由な通信の実現に向けた高速無線 LAN等の整備のあり方について検討する。
  3. デジタル教科書については、今後の技術、制度等の動向を踏まえながら整備方針を検討する。
  • 地方財政措置により、着実に整備が進展した。
  • 県立学校へのタブレット端末の導入(1クラス分程度)が進んだ。
  • 市町村間による機器整備や通信環境のばらつきが見られる。
  • デジタル教科書については、国の動向を踏まえながら方針を検討する。
多様な人材による多様な支援
  1. 学校が、自校にどのような支援が必要なのかを整理し、把握する。
  2. 地域人材、学校支援ボランティア、図書館司書など多様な方々の協力をいただくなど、各自治体の実情に合ったあり方を検討する。
  3. 県全体で多段階のバックアップ体制を構築することについて、市町村と連携し検討する。
  • ICT支援員の導入市町村が増加した。
  • 各学校に核となる人材が育っていない。
  • 情報モラルの指導をはじめ、教員を支援する体制づくりが必要。
県全体の情報基盤を整備する
  1. すべての学校、家庭で共通して使えるインフラとサービスの構築について検討する。
  2. 文部科学省の整備計画に沿って、高速のインターネット回線を整備する。
  3. BYOD の考え方を踏まえた整備や運用のあり方を検討する。
  4. インターネット回線の運用について、個人情報の扱い、セキュリティ、 運用ポリシー等を見直し、適切なルール県内整備を検討する。
  • 県立学校においてタブレット用民間光回線を導入した。
  • 県立学校においてBYODと民間クラウドサービスの利用を試行した。
  • ネットワーク分離による高度なセキュリティ環境を確立した。
  • 全国初の統合型校務支援システムを導入した。
  • 教育版セキュリティポリシーを制定した。
  • 教職員へのセキュリティポリシーの浸透が必要。
  • 今後、通信量の増加に伴う回線の高速大容量化が必要。
  

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