事業者へのインタビュー

株式会社明治製作所(製造業)

<所在地>  倉吉市
<口述者>  常務取締役・総務部長 大槻 兼市 様
<事業内容> 熱間精密鍛造品の製造

Q1:地震によりどのような被害が発生しましたか?

 建物は耐震性が確保されているため、窓ガラスが一部割れたりする程度でほとんど被害は無かった。しかし、鋼材用ホイスト(鋼材を吊り下げる機械)が損傷し、金型を自動で運ぶ10m程度のレールが曲がる等の被害が発生した。
 その影響で一時的に製造ができなくなったが、2日目の日曜日には再開させている。
 社員に負傷者はいなかった。自宅が被災した社員は多数いたが、自宅に住めなくなるほどの被害を受けた社員は1人に留まり、幸いに人的な被害は非常に限定的だった。

Q2:地震発生当日の対応は?

 地震の発生後、各社員がそれぞれの対応をすぐに開始している。建物からの避難の後、余震の合間に建物設備の被害調査を始めている。一部の設備に被害が発生したため、この日は製造作業ができないことから、夕方には作業を中止し、社員は帰宅させている。そのため当日の夜勤は中断することにした。ただし、今回はBCPの発動基準を満たす事象は起きなかったため、BCPの発動はしなかった。
 地震発生の当日は専務、常務、製造部長・技術部長が出張中であった。出張中だった自分も予定を繰り上げ、その日に戻ることにした。地震発生と被害については携帯メールですぐに会社から連絡を受けている。

Q3:その後の事業再開までの対応は?

 22日(土)は社員全員に出勤させ、被害調査と片付けを行なった。曲がったレールは自社の保守部隊で直すことができた。ただし、それは独自に行なった応急的な対応だったため、後日、メーカーに問題が無いか確認をしてもらっている。
 被害を受けたホイストはメーカーの修理が必要となったため、時間を要した。
 22日に行なった被害調査の結果から、24日(月)には製造再開できると判断し、マスコミにもそのように伝えた。
 通常、週末は製品の出荷はしていないため、この週末も同様であった。製造作業がストップしたので、社員の実質的な作業は片付けと復旧作業であった。ただし、もし週日であれば出荷は可能な状態だった。
 取引先からは問い合わせが多数来た。電話だけでなく、当社まで現場確認に来る取引先もあった。営業担当専務と営業担当、生産管理部門の3方で顧客対応にあたった。
 23日(日)には当初の見込みより早く製造業務を再開させることができた。

Q4:今回の地震により認識されたBCPの効果や課題は

 計画書としてのBCPは、災害対応の最中に取り出して見るというものではないが、必要な情報をとりまとめたマスターとしての文書は必要と考える。多くの情報は実際に動く現場が最新の状態を保って保有しているべきであり、それらを取りまとめたマスターデータが保管されていることには意味がある。
 BCPには被災時のリリース文案があるが、そこまで必要無いと考え、利用はしていない。また、BCP内には連絡先等を整理しているが、BCPの文書からのそれらの情報を確認することはなかった。営業担当が自身が保有している連絡用リストを使って、どんどん連絡を取っていった。
 安全衛生活動の一環として、常日ごろから落下防止対策を進めていたため、被害の軽減に効果があった。これらの対策はBCPという動きではなかったが、重要な対策だった。
 設備の修理のためにメーカーに連絡をしたが、すぐには来てくれなかったのが想定外だった。順番待ちになってしまうが、こちらの都合ですぐ対応してくれるわけではなかった。
 また、地震後に既に社内での課題整理を行っており、約60の課題が抽出された。今後は停電時の対応を検討するために、夜間の避難訓練等を検討しているところである。
 今回は停電が発生しなかったので助かったが、長期間停電する場合は対応が非常に困難になる。仮に1週間も停電が続くと当社にとっては重大な影響が出る。非常用電源の確保等をどうするかなど、課題はたくさんある。

Q5:BCP策定後の社内での取り組みは

  • 県の制度を使って社内で図上訓練を実施したことがある。
  • 7月には避難訓練を実施したばかりであったので、そのとおりに動けた。
  • 一度、セコム山陰に依頼し机上訓練をしていたため、役職者は対応のイメージができていたと思われる。訓練は効果があったと感じている。
  • 社内でのBCPの説明会は3回行なっており、避難訓練は2度ほど実施している。

Q6:地震後の変化は

 地震後の取引先からのBCPに関する問い合わせで特に変わったことは無い。
 同様に社員の意識が大きく変わったという感じはしていない。
 社長からは訓練を実施し、計画は必要な見直しをするように指示されている。

Q7:BCPにこれから取り組まれる方へのアドバイスは

 県の支援制度を使って、まずは一度まとめてみることには意味があると感じている。ただし、実際は想定したとおりのことは起きないため、最後は対応をしていくことになる。ただし、最後に必要なのは重要なのは腕力だと感じた。
 また、組織の幹部がBCPの必要性を認識し、対応方法について理解しておくことが重要である。そのための演習やシミュレーションを行っておくことが大切である。
 一般の社員は避難訓練等をしっかりやっておくことで、まず安全を確保できるようにしておくことが大切と感じた。

  

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