順位
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高校名
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都道府県
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得点
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優勝 |
熊本聾学校 |
熊本県
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281
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準優勝 |
真和志高等学校 |
沖縄県
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272
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第3位 |
奈良県立ろう学校 |
奈良県
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272
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審査員特別賞 |
三井高等学校 |
福岡県
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※ 優勝チームは、「全日本ろうあ連盟賞」及び「日本財団賞」も同時受賞!
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第3回全国高校生手話パフォーマンス甲子園審査結果(PDF;352KB)
第3回全国高校生手話パフォーマンス甲子園の審査結果を踏まえ、庄﨑隆志審査員長から講評を寄せていただきました。
参加チームの皆さんや観客の皆さん、大会に関わっていただいた全ての人に向けての心のこもったメッセージです!是非、ご覧ください!!
【庄﨑審査員長の講評】
受賞された皆さん、おめでとうございます。今年3年目を迎えた全国高校生手話パフォーマンス甲子園、昨年以上に楽しませてもらいました。
予選61チーム、本選20チームがここまで一生懸命やってきた重みがありました。それぞれの個性やスタイルで、ものすごいエネルギーを出していました。
それを見守る審査員や観客の皆さんは、耳の聞こえにかかわらず、パフォーマーと一体となれたことでしょう。
前々回、前回に続き、出場されたチームがあること、殆んどの作品にそれぞれの質を向上させよう努力していることで、今回は手話の正確さをはじめ見ごたえのある舞台になりました。例えば、大震災からの復興、手話バレエや手話啓発劇など、パフォーマンスの幅が以前より拡がっていて新しい発見がたくさんありました。また、手話パフォーマンスの深みという点でも年々レベルアップしているように思われ、これも第三回を終えた手話パフォーマンス甲子園の収穫だったと思います。この大会を通じて感じられたのは、全国各地での手話言語条例の反響によって、より多くの高校生が手話パフォーマンスに対し情熱的となり、ますます充実しているということです。
「手話言語が正確で、安心して観られること」「手話のキャッチボールが聞こえない人にも聞こえる人にもに届けられる」「パフォーマンス等の身体表現が巧みである」という3つの特徴のある大会になったと考えられます。
審査会で特に評価の高かった受賞作品について述べたいと思います。
優勝校、熊本聾学校は大震災をテーマとして高校生4人の不安と苦しみ、勇気をリアルに表現して、その4人の思いが実によく練られた手話パフォーマンスで描かれていました。何気無い日常の繰り返しのなかで、突然地震に遭った高校生の揺れる心境がモノローグで巧みに表現されていきます。力みのないストレートな演技でした。熊本気質の、負けないぞという誠実なメッセージがひたひたと心に染み込んできました。台詞のやりとりの時に、字幕の足りない場面があり、「本大会審査実施要領5(3)」に従って減点10点となりましたが、それでも最高点一位となりました。翻訳を考えても良いと思いました。中途失聴者を含めたすべての観客の心を鷲掴みにしてほしいと思います。
準優勝、真和志高等学校は「平和とは何か」や「命どう宝」を内容や構成から訴え、また、生演奏の気迫もあり、色々なことを考えさせられる作品として仕上がっていました。いつの間にか、このカラフルな演出で手話パフォーマンスの世界に引き込まれていき、観客とも気持ちがひとつになるような感じを与えられました。二位の同点となった奈良県立ろう学校と比べると、真和志高等学校の方が制限時間八分間隙の無い仕上がりだったと感じました。又、舞台空間の使い方もよく工夫されているところがありました。平面的な舞台構成をしているチームが多いなか、奥行きが感じられました。舞台には横に並ぶだけでなく、前後、ななめ、上下と空間が広がっているので、立ち位置や出入口の演出になるものを工夫するだけで見え方が変わります。それらも含めて審査会で議論しましたが、結局真和志高等学校に二位を与えました。
第3位、奈良県立ろう学校は「表現の世界には障害や壁は無い」というモットー通り演出が素晴らしく、サインマイムと演劇を巧みに交錯しながら物語を進め、テンポの良い手話のやりとりや、軽快な動きがありました。観客はハラハラしたり、涙を流す人もいました。観る者をその世界に見事に引き込んでいきました。手話の台詞の掛け合いは軽妙で、比較的観やすかったですが、全体的には重く感じました。また、もう少し工夫すればテーマをより深められるのでは、とも思いました。
この3作品の他にも、印象的なものは数多くありました。
最後になりましたが、手話パフォーマンスには絶対にこれが一番すばらしいというのはありません。どんなに素晴らしいパフォーマンスであっても、手話言語が完璧であっても、それを伝える人の感性、メッセージ、そこに何かがないと人には訴えかけれないものだと思います。それが手話パフォーマンスだと思います。甲子園は、そのひとつの場であることを大事にしてほしいです。
手話パフォーマンス甲子園出場をきっかけとして、手話言語制定条例について知ったり、手話パフォーマンスの魅力について自分たちで深く考えたりした経験は、61チームの皆さんの糧になったと確信しています。皆さんには、将来どんな道に進むにせよ、ぜひとも手話に関心を持ち続けてほしいと心から願っております。
大会の取り組みに関わるすべての人に敬意を表し、また、手話パフォーマンスのチーム指導に携わった方や運営に尽力した方にも感謝申し上げます。賞が取れなかったチームの皆さんも、次のステップに向けて精進してほしいなと思います。皆さんのこれからの活躍に期待しています。
庄﨑 隆志