第1回国史跡青谷上寺地遺跡土曜講座が、5月23日、多数のご参加を得て開催されました。
演題は「日本海を行き交う”もの”と”人”~青谷上寺地遺跡の交易の実態~」、講師は、当センターの君嶋俊行係長が務めました。
青谷上寺地遺跡から出土した、鉄・銅鏡・貨幣・土器・玉・木製品・分銅(?)などを手がかりに、青谷上寺地遺跡を経由した日本海交易についてお話ししました。弥生中期の「鉄と玉の交易」、弥生中期後葉の「韓国・勒島(ヌクド)遺跡との交易」、弥生後期の「花弁高杯をめぐる交易」という3つのステージに分けて解説し、交易品が変遷していった理由もあわせて考察しました。また、青谷上寺地遺跡から出土した中国の銭貨(貨泉)、そして「権(はかり)」の可能性が指摘されている石製品についても、交易との関わりを検証しました。
講座内容のまとめ
○青谷上寺地遺跡の交易の特質
・手工業生産品(玉製品、花弁高杯)との交換により、鉄などの外来品を獲得。
・弥生後期、交易品である「花弁高杯」等精製木器を生産する集落へ成長。
・漁撈民の活躍と「船」に支えられた海上交易。
○貨泉・権は交易のアイテムか?
・考古学的な検証だけでは難しく、民族誌・文化人類学的な比較検討も必要。
・遺物の形態から「権」を特定するための研究必要。

第1回講座のようす
最新の研究成果や仮説も交えながら、弥生人の息づかいを感じてもらえるような90分間の講座になったのではないかと思います。どうぞ、次回の「土曜講座」もご期待ください。
第2回の講座は、「青谷横木遺跡の様相~古代の青谷平野について」と題して、平成27年7月11日(土)に開催します。
青谷上寺地遺跡の東方、約1.5kmの所にある青谷横木遺跡は、現在も発掘調査が行われていますが、木簡をはじめ大量の木製祭祀具(人形・馬型など)や古代の道路など、興味深い発見が相次いでいます。これらの調査結果を紹介しながら、明らかになりつつある古代の青谷平野についてお話しします。
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