知事定例記者会見(2012年4月3日)

平成24年4月3日(火)午前10時~
県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約76分) ※MPEG4形式

  

1 4月3日未明発令の暴風警報の影響 

●知事

 皆さまおはようございます。春の嵐が吹き荒れております。若干、交通への障害も出ておりまして、全日空の鳥取便、米子便1往復が欠航をしているなど影響が出ております。JRの山陰本線も現在、米子-鳥取間が運転を見合わせておりまして、代行運転がバスで行われているという状況でございます。鳥取市の鹿野の方では転倒して怪我をなさったかたもいらっしゃるわけでございまして、県民の皆さまにおかれましては、この春の嵐、十分に注意をしていただきたいと思います。今日の夕方くらいまで沿岸部を中心に暴風が吹くという見込みになっておりますし、今日から明日のお昼にかけまして海上も時化るというような見込みでございます。ぜひ情報に十分注意をされて行動していただきたいというふうに考えております。



2 新年度スタート 

●知事

 さて、昨日から事実上、新年度がスタートをしました。これに伴いまして県庁の中の組織も一新をさせていただきまして、原子力安全の対策の専門の部局を室として設けさせていただき、島根県との人事交流で、従来防災に島根県で当たっていたかたも含め、新規採用の鳥取県職員も含め、スタートをさせていただくということになりました。まんが王国官房もスタートをさせていただきまして、仕事が始まったという状況であり、コナンの列車も早速昨日、特別運行させていただきました。190名のかたが乗車をされまして、感動の旅を鳥取-米子間、味わっていただけたようでございまして、これからのまんが王国建国の弾みになればというふうに考えております。順次、こうした動きを立ち上げていきたいと思っておりまして、今日はこのあと、原子力安全の室だけでなくて、西部にもそういう職員を配置したり、また、衛生環境研究所もその一翼を担うということもありまして、そうしたメンバーによる会議を開催しようということにいたしております。

 西部を中心に、これから動きが強まります全国植樹祭、あるいは西部の方の〔国際〕マンガサミット実施本部、こういう組織も順次本格始動させていただくということになります。私どもとして3つのチャレンジがあると考えております。夢・未来チャレンジ、それから産業・雇用元気チャレンジ、また絆・あんしんチャレンジ。こうした3つのチャレンジに向かっていく、そういう言わば決起の年度であると捉えまして、この1年、一所懸命全庁を挙げてやっていく所存でございます。県民各位のご指導をいただきたいというふうに考えております。

 



3 国への要望活動 

●知事

 こういうような中でございますけれども、昨日も幹部会で指示をさせていただきましたが、国の方に我々として要請活動をする必要があるだろうと考えております。先の2月、3月の定例県議会においてもいろんな議論がございました。中には国への要請活動が必要なものもございます。そうしたことなどを含めて、今後動いていく必要がある、国へ要望を行う、これを来週の4月11日に今、日付として調整をさせていただきつつあるところでございます。要望の具体的内容を今、全庁で、急ピッチで取りまとめを指示しておりますけれども、例えば原子力安全対策は1つの焦点かなと思います。この点につきましては、1つとして原発の運転の判断にあたりましては、政府としてまず安全を第一義としてやってもらう必要があるということ、それから周辺地域の意見を踏まえて慎重に判断してもらう必要があること、こうしたことも先の2月議会の議論も踏まえて国へ要請をする必要があるというふうに考えております。

 また、原子力安全対策を実際にやろうということになりましても、モニタリングポストの設置、また被ばく医療機関の整備、こうした財源が必要になります。まだまだそういう予算が十分国から配分されていないという状況でございまして、初動で動きにくい現状を打破するためにも国として、そういう財政上の配慮が必要であるということでありますとか、さまざまな原子力安全対策の項目についても要請をする必要があると考えております。その被ばく医療の関係では、県内でまだなかった被ばく医療の体制を進めようと医療機関のご理解を得てまいりました。その結果として、西部の方の鳥取大学〔医学部〕附属病院、それから東部の県立中央病院の2か所を二次被ばく医療機関というようにさせていただくことにいたしました。そのために、県立中央病院にもそういう被ばく医療の専門的知見を持っておられるお医者さんにも着任をしてもらいました。

 また、初期被ばく医療機関、これも全県で14機関の指定をさせていただき、さらに今後追加をしていこうというふうに調整をしているところでございます。こういうような原子力安全の対策をまずは考えなければならないと思います。また国に対して焦眉の課題として要請させていただきたいと考えておりますのは、〔震災〕がれき処理の課題でありますが、国の方の動きが十分でないというふうに見ております。最終処分場の受け入れ地を国の方で用意していただくこと、これも可能性について野田総理が言及されたわけでありますから、その辺もしっかりと地元と調整をしていただきたい、あるいは財源の問題もはっきりしない、こうしたことを国に対して正していく必要があると考えておりまして、要請活動の一環として行いたいと考えております。これは、実は他県も同じように結構悩みを深くしております。

 そういう中で、今、いろいろと県同士で調整をさせていただいているところでございますけれども、同じような問題意識を持っている県で何県か集まりまして、国に対してこれは一体どうなっているんだということを問いただしていくと、回答を求めていくという行動をすべきではないかと考えております。この辺は、県としての単独の要望とはまた別のことになりますけれども、そうしたことも含めて、がれき処理対策、できるだけ精力的に我々としてもさせていただきたい。そのための環境づくりを国としても誠意を持ってしていただくことを求めていきたいと思っております。この他にもまんが王国の推進の課題でありますとか、そうしたさまざまな課題につきまして、国に対する要望を行っていきたいと思っております。



4 国際マンガサミットのキャラクター名称募集 

●知事

 その漫画のことですけれども、こちらの方に新しいキャラクターが登場しております。これは里中満智子先生が元の絵を描かれておられまして、鳥取で行われます国際マンガサミット、11月7日から開かれる国際マンガサミットのイメージキャラクターであります。この洋服のところは、コマ割りをした漫画になっていまして、パステル調の非常に清新なイメージのワンピースを着ています。そして、この頭の方にはペン先がついていまして、全世界から400名の漫画家が集まると言われています国際マンガサミットのシンボルのデザインとして活用しようと考えているところでございます。先般の実行委員会でも承認が得られたわけでありますが、残念ながらまだ名前が付いていません。ぜひ、いい名前を付けていただきたいと、今月いっぱい募集をさせていただきますので、どしどしお寄せをいただければありがたいというふうに考えております。

 今年、国際マンガサミットが鳥取で開かれるというのは、地域にとっても大変な名誉でありますし、国際まんが博を含めた地域振興の起爆剤にもなろうかと考えております。食と海をテーマにしたサミットであり、漫画が地域経済に与える影響についても議論しようという大変に意欲的な会議になってきております。ふさわしい名前をプレゼントしていただけたらありがたいなというふうに考えております。



5 北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミット開催 

●知事

  そういう世界を睨んだ動きをしていくということで、年度早々ではありますが、今日からいよいよサミットデイズに入るということになります。すなわち、北東アジアの地方政府の首脳が、ここ、鳥取市に集いまして、これからの方向性を議論していこうということでございます。地域振興の課題を従来から話し合うという了解の下にお互い集まっている、そういうサミットでございます。韓国の江原道チェ・ムンスン知事さん、それから、中国の吉林省王儒林(ワンルーリン)省長さん、また、モンゴルのエンフバト知事さん、これは中央県でございます。ウランバートルの周りに位置している周囲をぐるっと取り囲む県でございます。

 また、ロシア沿海地方からは、知事が来るという予定もあったんですけども、プーチン〔大統領〕さんの方に召集かけられたそうでございまして、残念ながら急きょ副知事がこちらに来られます。また、環日本海航路の焦点でもありますザルビノのあの地域のかたでいらっしゃいます、テキエフさんという副議長もお見えになることになっています。そういう関係地域が集まりまして、これからの方向性を議論するということでありますが、テーマとしてはメインに、経済、観光、環境の3つを掲げて議論しようということにいたしております。今日、夕方ぐらいから順次関係地域間でのバイ、すなわち2国間の、2地域間の話し合いが始まります。そして、明日午後にサミット本会議を開きまして、首長が国境を越えて話し合うことになります。さらに、その翌日、明後日には友好交流行事を行おうということにいたしております。

 私ども鳥取県としては、ぜひに環日本海航路がせっかく続いてきたわけでございますので、この航路を発展、推進していく方向性について関係地域の合意を得たいというふうに考えております。これはさらに中国内陸部吉林省の省長も来られます。吉林省側の方にも波及するような環日本海交流というのを推進できないだろうか、こうした方向性も各地域間でご議論いただき、我々として目指す未来を描ければ、大変にありがたいというふうに考えております。また、こういう環日本海時代を開いていくためには、航路、航空路といった開設が必要であります。当然クルーズ船のような計画も持ち上がっているわけでありますけども、チャーターフライト、定期チャーターフライト、定期便、そうしたフライトによる空の道も従来にも増して開いていけないだろうか、そういう可能性も打診をしたり、話し合っていければいいなというふうに考えております。

 また、青少年の交流も含め、学術的な交流も含め、ぜひにこの機会に前進を図っていきたいと思っておりまして、同時に大学間の交流協議も行われるわけでございます。その一環として、吉林省の吉林大学と鳥取環境大学が学術交流の協定調印を行う運びになっております。それを含めて、国際的な交流、交流と言いますか、共同研究などのプラットホームづくりをしていただこうと思っております。美術展、芸術展というものも同時に開催をすることにいたしておりまして、明後日、開幕をいたしますが、〔鳥取〕市内のやまびこ館を会場に行うことにいたしております。関係地域から集められた美術品の展示をさせていただきまして、ぜひ鳥取県の皆さんにも環日本海時代を感じていただく契機になればと思います。

 モンゴル〔中央県〕との交流の〔15周年〕記念行事も予定をしております。これにつきましては、とっとり花回廊でその記念行事を行うことにさせていただいておりまして、中にはモンゴル相撲を、春休みということもございまして、子どもたちも来ていただいて、参加してもらって、楽しんでもらうと、そういうような行事も考えているところでございます。これらの国だけでなくて、交流をかねて行っております台湾台中市の方からも、先般我々で1月に訪台をさせていただいた返礼として、台中市の副市長さん除さんが鳥取県の方にお見えになることになりました。これはサミットが開けた後になりますが、4月10日に私も面談をさせていただくことにいたしております。かねて三朝町と交流をしている〔台中市〕石岡区も来られるということになっております。こういうようなさまざまな展開を図っていく意味で、ぜひサミットを成功裏に導かせていただきまして、実りの多い議論をしていきたいというふうに考えております。今日から数日間、ここ鳥取市内を中心として、北東アジアのかたがたが集うわけでありまして、県民の皆さまにもご理解とご協力をお願いを申し上げたいと思います。



6 鳥取・兵庫両県知事会議の結果 

●知事

 先週、兵庫県と会議を開きました。井戸〔敏三兵庫県〕知事とさまざまな合意をさせていただき、共同での地域発展を目指そうということになりました。それで、そのうちの1つのテーマとして、医療は県境を越えていいんじゃないかと。それで、私の方から申し上げましたのは、4次医療圏とでも言うべき、非常に高度な医療については県境を越えた協力があっていいんではないかと、こういうお話をさせていただきました。その結果として、兵庫県と鳥取県とで協調してやっていく事業ができてきまして、それは、西播磨テクノポリスにあります粒子線の治療を行うセンター〔粒子線医療センター〕が、兵庫県立の機関としてあります。高度ながんの医療を行うことができるところでございます。これについて、兵庫県と鳥取県が相協力をして、鳥取県の患者さんも受診しやすいようにしていくスキームができ上がりました。兵庫県側では、だいたい年収350万円ぐらいのベースのところまでで、低所得者、中所得者を対象としまして、無利子の、県の貸付制度を鳥取県にも適用するということに、この間の会議の結果を踏まえて井戸知事が決断をされました。

 そういうように運用の改革が行われまして、鳥取県の患者さんでも兵庫県の事業を活用して、無利子の貸し付けを受けるということになります。また、鳥取県側としても、これは600万円まで民間の金融機関等の融資を活用しまして、その融資の利子を補給をすると、それで、事実上無利子化するという、そういう制度を適用できます。これは、実はその粒子線医療センター以外のところでも、当然ながら県内のダヴィンチと言われます鳥取大学の医療ロボットであるとか、いろんな先進医療ですね、適用できます。県外でも適用できる制度でありますが、兵庫県の貸付制度だけでなくて、この鳥取県の制度も活用できると。そういうことで、相補い合って、使いやすい制度になるんではないかなと考えております。ぜひ助かる命は助けられるように、県境を越えた協力体制をしっかりと作り上げていきたいと思います。



7 緊急雇用・経済対策本部会議等の開催 

●知事

 経済・雇用について、未だ不透明感が晴れません。先般の日本銀行の短観〔全国企業短期経済観測調査〕の中でもですね、山陰地方におきまして企業家のマインドがネガティブの方に振れたということの発表がございました。こういうような状況、さらに雇用でも有効求人倍率が伸び悩んでいると、全国平均からやや離れ始めていると、これは地元の企業の動向が影響しているわけでございますが、そういう動向を踏まえまして、緊急雇用・経済対策本部会議を、今週召集をさせていただくということにいたしました。さらに〔4月〕16日には、民間企業のトップマネージメントのかたがた、商工産業界の代表のかたがたを交えまして、〔とっとり経済産業活性化〕トップミーティングを行って、こういう雇用経済対策を議論しようということにいたしております。鳥取県としても、この新年度から、中小企業のチャレンジ事業をスタートさせていただいております。こうしたさまざまな手法を用いていくことで雇用1万人の実現、特に緊急に現状のこの雇用の状況を、改善をしていくことを話し合っていきたいというふうに考えております。私の方から以上です。


○NHK 月岡信行 記者(幹事社)

 それでは、各社質問がありましたらどうぞ。




8 震災がれきの受入れ 

○時事通信 小出秀 記者

 がれき処理の関係でよろしいでしょうか。先程、同じような問題意識を持っている県で、国に回答を求めていく対応をしなければというお話でしたが、これに関しまして、ちょっと同じような問題意識という点で、まずどういったことを指しておられるのかを1点具体的に伺いたいのと、あと、そういった県でやるというのは、これは〔全国〕知事会などを通じて要望するのか、それとも、個別の鳥取県周辺の同じような県で集まった上で、知事なりが国に要望に赴くのか、どういったかたちになるんでしょうか。

●知事

 これは、我々知事同士でいろいろと今、話し合いをしておりまして、知事会というレベルではなく、同様の問題意識を持った県同士で、共同で国に対して姿勢を正していく、そういうことを今検討しています。まだ今、具体的な内容とか、それからどういうメンバーで要請なり、質問なりをやっていくか、これをまだ今調整しているところでございますが、4、5県は集まるんじゃないかと思います。これは、それぞれの県がそれぞれに国と今話をしているわけでありますけども、例えば財源の問題がはっきりしないと、今もってですね、そういうことであるとか、基準のこと、基準の運用について、まだ不明確さがあります。

 もちろん鳥取県としては最終的にこういう基準でということは、いずれ考えなければならない、その意味で、関西広域連合などの取り組みは参考にしたいというふうに思いますけれども、それぞれの県の事情もございまして、少なくとも国の方の姿勢を、そこ正してもらわないと県内で議論がしにくいというような状況があるようでございます。そういうことであるとか、最終処分地の問題、これも国が用意する可能性を示唆したわけでありますが、不分明なところがあります。鳥取県として独自に、我々も要請活動をしようと考えているわけでありますけども、共通の問題意識をもった県もございますので、そういう県と連携をして、国に対する要請なり、照会なりを共同でやっていくことも視野に入れたいと考えております。


○毎日新聞 田中将隆 記者

 がれき処理に関することでもう1点、今県内での議論がしにくいという話もあったんですけれども、〔3月〕30日締め切りで、県内の市町村さんに受け入れできるのかどうかというアンケートを取っておられたと思いますけれども、その結果どこか受け入れを表明されるようなところがあったのかということを教えていただきたいのと、またアンケートのときに、国の方針が決まってないから受け入れができないとか、そういったような声がもし上がっていたのであれば、お教えいただきたいのですが。


●知事

 今、実はアンケート結果、正直まだ取りまとめ中です。〔3月〕30日に一応期限を切ってありますけども、4月6日が国の期限なもんですから、その主旨を市町村とやり取りをしたりして、今、最終的なまだアンケートの取りまとめ中であります。4月6日の期限の頃には、アンケートの詳細について分かるという状態でございます。ただ、現状の今の状況を申しますと、米子市は受け入れについて可とするという、そういう回答になっていますけども、実は少なからぬ市町村で、今判断しかねるという市町村がございます。実は、これ我々の方でも市町村回りをしていた、1つの帰結だろうとは思うんですが、従来は受け入れ可能性ありませんというように答えたところでも、今グレーと言いますか、要は含みを持たせた回答になってきているところもございます。ただ、やはりその心は、判断材料がちょっと十分でないと、それで、もちろん地元の状況も自分たちとしてしっかり把握しなければならない。これは非常にセンシティブ〔微妙〕な一面もございますので、住民とか地域の皆さんとのコンセンサス〔合意形成〕づくりと言いますか、そういう環境づくりも、当然ながら必要になると思います。それは市町村の状況として、私も理解できるなあと思うんです。

 そういうようなことだとかをクリアしていくことにはなるんですけども、いかんせん例えば財源の負担の問題がどうなるかとか、それから、じゃあどういった基準のがれきが送られてくるのかとか、まだまだ不透明なところが国の方の方針にはありまして、なかなか今この場で、すぐに、じゃあイエスかノーかというところまで決めきれないという正直な回答が少なからずあります。その意味で我々としても、そうした地域のいろんな懸念を国の方にやっぱり伝えて、これはコミュニケーションを図っていかなければならないかなと考えております。

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 そうしますと今の話は、国が締め切りだと言ってる4月6日の時点でも判断しかねるという町もというか、地域もおそらく出てくるということじゃないかなと。


●知事

 そうですね。多分そうなると思います。今、ただいろいろニュアンスの調整とか、回答の主旨の確認だとか、最終的な今取りまとめをしている、まだ段階です。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 ちょっと今、どこまで聞いていいかあれですけども、今の時点で米子〔市〕さん以外に同じような姿勢をはっきり示しておられるところというのはありますでしょうか。

●知事

 だから、米子市ほど明確にまだ言い切れないということですね、その他の自治体は。米子市さん以外はそういう、従来は受け入れ可能性がありませんという回答だったんです。それが少し針が振れてきてはいるんですけども、まだ現状で判断をしかねるという自治体が出てきていると。


○朝日新聞 宋潤敏 記者

 ちょっと質問が前後して恐縮ですが、先程がれき処理を国に要望ということでおっしゃっていましたが、調整はいつ頃までつけて、いつ頃に出したいという目標はありますか。

 


●知事

 県としての要望は、4月11日に行おうと思っています。



○朝日新聞 宋潤敏 記者

 他県との調整は。

●知事

 他県との調整は今急いでやっていますが、4月6日にちょっと間に合わせようということ、私は最初に言っていたんですけども、4月6日には、これは相手があることですんで、皆で話し合っていますんで、ちょっと間に合わないかもしれませんね。ただ、4月6日は国への回答期限という1つの通り道に過ぎませんので、実態問題が大切でありますから、でも近々ということになると思います。


○朝日新聞 宋潤敏 記者

 来月までにずれ込むっていうことは、今月中。



●知事

 いやいや、それはないです。もう近々、やはり今議論、それぞれの県でこういうことで結構議論が沸騰しているわけですよね。そういう中で、国の方の、要はどれだけ責任を持てる人がきているのかっていうことも分かんないんですね。我々の受けた印象では、中央の本庁の環境省の方から流れてくる文章を型どおり説明しているという以上のことはちょっとなくて、例えば、じゃ、どういうところまでは国は折り合うのかとか、例えば、最終処分地の問題なんか非常に重要なことなんですけども、こういうようなことについてもはっきりとしていただけない。

 がれき処理の総量もよく分からないんですね。ですから、どれほどの必要性を持って、どれほどの量を全国で確保したいということは実は出てないんです。片方で、被災地域も前は自分たちの地域で一生懸命やろうという、本当に敬意を表すべき姿勢で一所懸命やっておられますので、そうすると、そちらの方でもがれき処理が飛躍的に進んでくることになると思います。また、その辺の情報をしっかりと国の方から示されていないという状況がございます。ここも関係地域で若干焦燥感があるところです。




9 国による牛生食用レバーの規制への動き 

○朝日新聞 宋潤敏 記者

 続けて、生レバーの関係でお伺いしたいんですが、先週末国の方が食品衛生法を改正して、そこの分のかたちで提供禁止っていう方向を示されましたが、去年、知事は先駆けて条例でということで表明されましたが、撤回というあれがありましたけども、国の表明を受けてどのような感想というか、お考えというか、持たれたのか言うのを。



●知事

 これは、私どもの誠実に研究し調査をしている組織の中の見識として、また外に設置をしました有識者の委員会のご見解として、生レバーの危険性は除去しきれないということでありましたので、国の方の、要は研究調査が、そういった我々が表明していた知見にやっと追いついてきたかなというところであります。この問題につきましては、もう国が動き始めまして、国の方で法規制をかけようということになりましょうから、6月頃という報道だったと思いますが、その動向を我々としても見ていきたいと思います。私どもとしては、生レバーについては、〔提供〕自粛をこれまで求めてまいりました。これからもこうした知見も出てきておりますので、国の方からも。そうした意味でまた徹底を図っていきたいと思います。


○朝日新聞 宋潤敏 記者

 保健所の検査と調査のときも、なかなか、何と言うんですか、そういうのがなくてなかなかできなかったということも去年おっしゃっていたと思うんですが、今回、もし法改正がなった場合、各保健所とかの体制とかっていうのはある程度変わってはいるんでしょうか。


●知事

 法改正というか、結局食品安全の法規制の問題として、この生レバーの取り扱いが明記されてきますと、これは罰則の対象となってくると。法律で罰則の対象となりますから当然ながら強制力があります。衛生警察と言われます保健所の果す職責も当然ながら法律に基づいて出てくるということになります。我々は、実はそこを条例でやろうかどうかということで原案も投げて、だいぶん議論したわけでありますけども、そのときにいろんなご議論がございまして、私どもとしては、そういう知見は持っているんで、引き続き調査をしながら、とりあえず今、やるべきことだけ、まずやっていこうということで、店内の表示であるとか、それから、当時はユッケ問題がありましたので、生の、生肉の処理の問題、この辺を徹底した条例を出させてもらいました。その結果として、今、生ユッケにつきまして、それを県内で供給する体制が、徐々に出来てきております。私はこういうのを逆に売りにして、鳥取県ではそういう生肉ユッケなんかが安全に手に入りますよということを売りにしていける段階に入っていると思うんです。

 そういう意味で、関係の事業者さんにも理解してもらえる体制になってきてるかなと思います。生レバーにつきましては、これは国の方で、さらに研究が進むということになりましたので、その研究を見ながら我々も考えていこうと。それで、我々独自でもO-157なり何なりが検出されるかどうかを、その後も調査をしています。鳥取県の調査で、実は追加調査で、すぐにそのO-157が、当の病原性大腸菌が確認されたわけではないんですが、他県でそういう確認が出てきまして、国としてやはりこれは規制せざるを得ないというのが3月30日の帰結だったと思います。それは、鳥取県でもかねて生レバーの中に入り込んだ毒素は抜きようがないわけです。洗っても抜けないということでございますので、これは加熱で処理する以外ないものでございますから、これは良心に従って言えば、いろいろ事業者さんの思いはあろうかと思いますけれども、健康を第一に考えると規制対象とすべきではないかというのが、かねてからの鳥取県の主張でございました。今回、国がようやくその知見に追いついてきたということでありまして、これからの最後の法規制につながる議論を我々としても見ていきたいと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 知事、今おっしゃられたように、国の判断の根拠の1つが、確か12月だったと思うんですけど、O-157が出たっていうことがあったので、なんですか、言い方があれですけど、結果としては鳥取県さんの判断のタイミングがちょっと、ある意味早かったので、後で根拠みたいなことが後で出てきたような格好になったので、それが逆だったらまた全く違ったことになっておったのかなと思うんですけども、やっぱり、何て言うんですか、鳥取県さんの追加調査でO-157の確認するところまで出来なかったというのか、技術的な問題ですか。


●知事

 いや、これはむしろ確率論的なことだと思います。要は、レバーの中にいろんなものをため込むわけです。その中に、O-157のような菌が入る可能性があると、蓋然性としてです。それで、もし仮に入ったとしたら、それを、例えば生肉であれば、これは筋肉とかを想像してもらったらいいと思います、その表面を、要は大腸の中にいるものであれば、これは洗えば落ちると、よく洗浄したら落ちるとか、あるいは表面だけを加熱すれば中には入っていないはずだと、いろんな考え方があるわけですね。それで、安全性を見ますと、表面のところで加熱をすればそこのところで菌が死滅をして、外部と接触した可能性があるところは清浄化されると。それで、肉の中のところは、これは菌が入り得ないのでここは安全だということで、生肉の流通を再構築しようとしているわけです。

 ただ、レバーの場合は、この中の部分に直接入ってくるわけですね、菌が。それが病原性大腸菌というようなものが入ってきますと当然ながら感染の危険が出てくるということになります。だから、定性的に言えば、生レバーというのはどうしても技術的にその危険性を除去し得ないと。100%除去することはできないと。それで、例えば生レバー切って、それを今度洗ったところでこれは落ちませんので、中に仮に入っていたりすると難しいと。それで、私どもの検討委員会の方でも、国の方でまだあまり議論がなかった段階でありますけど、去年の6月かそこらだったかと思いますが、この生レバーについては別の取り扱いを考えざるを得ないんじゃないかというような問題提起をして、国の方にも検討を呼びかけたりしたわけです。

 国は、どういうわけか今回、この生肉問題では鳥取県の検討の後を順番に追っかけてくるんですね。今回の生レバーもそうなんですけども、我々が問題提起したことを、全国的に調査をしてみたらO-157が入る形態も確認をされたと。従いまして、これは規制対象にせざるを得ないという帰結になったんだと思います。鳥取県で調べたところで入っていなかったというのは、これは、要は確率論的にどういう菌が入り込むかということでありますので、入ってなかったということではないかと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 ちょっと質問の仕方が変だったですけど、明確に根拠になるものが出た上で、国の方は判断したかたちになっておりますが、鳥取県さんとしては、明確に根拠になるもんは、まだその時点でははっきりしておらなかったけども、やっぱり県民の安全とかを考えたら早いところこういう措置を取るべきだろうということで、ああいうかたちで早く動いておられたということは、やっぱりそのことは、今思っても間違っておらなんだというふうにお考えでしょうか。


●知事

 ええ。それはだから入り込む蓋然性があるということでありますのでね。現にそれが見つかったというのが現状でありますから、我々で想定したことが、むしろ実証されたということだと思います。ただ、実は以前、この会見でも去年はだいぶこの議論ございまして、そのときに申し上げておりましたけども、条例というのはデモクラティックに民主的に決めるものでありまして、幅広い意見をお伺いをしながら最終的には上程をさせてもらうということで、意見募集もかけたわけですね。それで、その結果として賛否両論はございました、これは。それで、全国的にもいろんな反響はございまして、その賛否両論ある中で、まずはみんなが納得できるところから条例化しようということで鳥取県は動いたということであります。それで、現状を申し上げれば、その後国が鳥取県で問題提起した危険性について追認をして、今回、生レバーの規制を検討するに至っているということであります。




10 原発再稼働 

○読売新聞 野口英彦 記者

 原発の再稼働についてお伺いします。〔関西電力〕大飯原発を巡って、枝野〔幸男〕経済産業大臣が滋賀県や京都府の理解を得る必要があるというふうにおっしゃったんですが、それについての評価と、これを島根原発に置き換えた場合に、鳥取県は地元に含まれるかどうか、これについてお願いいたします。


●知事

 言葉の問題として地元かどうかというところで議論する以上に、私は、ちゃんと実を取った展開を目指すべきだと思っています。今回の枝野大臣の発言は、私は高く評価をしたいと思います。特に枝野大臣の発言は、要は被害が及ぶ範囲ということを考えたら、かなり幅広いところでみんな地元みたいなもんだと、こういう認識の下に、特に影響が濃厚に及び得る周辺の京都や滋賀の意向というものを無視できないと、こういうロジック〔論理的)な発言でございます。それを適用していけば、鳥取県のという周辺地域の意向というものも尊重される可能性が出てきているんじゃないかというふうに期待をしておりまして、高く評価をしたいと思います。また野田〔佳彦〕総理も、同じ参議院の予算委員会におきまして、むやみに再開しようというものではなくて、安全というのを第一に優先して考えるんだと、こういう認識を述べられています。これもかねて私が主張している線に沿っておられますので、こうした態度表明には、評価はしたいというふうに思います。

 それを我々として、やはりこの際、国に対する要望の中で述べていく必要があるだろうというふうに考えまして、冒頭申し上げましたように、原子力発電所の運転にあたりましては、まず第一に安全というものを考えてほしい。そして、周辺地域、鳥取県の意見というものも踏まえて慎重に判断してもらいたいと、こういうように要請をする必要があるかなというふうに考えております。この辺で、ぜひ国にもそうした地域の実情を理解してもらって、厳密に法的ルールとして、これを聞くんだ聞かないだというところを、なかなか国は述べにくいのかもしれません。ただ、現実問題として、鳥取県だとか、そうした周辺の地域の意向というものも、当然ながらその原発の運転に当たりまして、判断材料としなければならないと思いますので、その辺の担保を取っていきたというふうに考えております。

○読売新聞 野口英彦 記者

 その意向ということなんですが、これは、要するに理解という言葉なんですかね、理解ということでいいのか、それとも再稼働について同意とするという、どういったことが必要だと思われますか。


●知事

 最低限、分析的に考えてみれば、我々として時来たりなば意見を述べる機会をいただきたいと、今回も客観的な事実の推移を見てみれば、原子力安全・保安院が地元だけでなくて周辺の京都、滋賀を訪れて説明をし、そこで意見を両県が述べているという状況があります。我々としてもそうした運用を求めたいと思います。意見を述べさせてももらう、それを踏まえて、慎重な上にも慎重な判断をしてもらうと、これが基本的な原則だろうというふうに思います。これを、あとは言葉の問題だと思うんですが、それを同意というふうに言うか、理解というふうに言うかということなんだろうと思います。実際、今まではまったくその周辺地域は顧みられなかった存在でありましたので、どうやって国の姿勢を引き出してくるかというのは大切だと思います。

 今、原子力発電所の再稼働問題などについては手順が従来と変わってきておりまして、国の方で原則的な、基本的な考え方を出して、国としての判断があって、それから地元の理解を得た上で最終的に決めると、こういうプロセスになってきております。これは今までの政府の述べていることを総合するとそういうことでありまして、従来とはちょっと違うんですね。そこで、わざとたぶん政府はぼかして曖昧にしているんだと思うんです。地元の理解を得ると、それで、地元という言葉も曖昧ですし、理解という言葉も曖昧であります。だから、我々としては分析的に言えば、鳥取県としても意見を然るべく述べさせていただく機会をもらって、それについて国の方で判断するにあたっては考慮をしてもらわなきゃいけないということであります。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 それに関連してですけども、過去にも同じ質問を受けられたかもしれませんが、この地元の理解ということについて、松江市は松江市が判断して決めます、判断しますという趣旨の考え方ですけども、それについてはどのようにお考えになりますか。


●知事

 それはそれぞれ、地元の立地の自治体の考え方もあろうかと思うんです。私は従来から申し上げてきているんですが、山陰は山陰なりのやり方があってもいいのかなというふうに思います。先般、溝口〔善兵衞島根県〕知事が記者会見の場におきまして、我々でもかねて申し入れもさせていただいておりましたけども、鳥取県なども含めて首長の協議会をつくろうじゃないかと、こういうふうに踏み出してこられました。本当に感謝したいと言いますか、評価したいと思います。そういうことで、やはり原子力災害については山陰共通の問題として、一体として運用すべきことというのはいろいろとあると思います。ですから、立地〔自治体〕と周辺〔自治体〕とをメディアは一所懸命対立的につくろうとするんですけども、僕は対立的にする必要はむしろなくて、同じ危険を背負い込む地域でありますから、その意味では慎重にやってもらわなきゃいけないことを慎重に進めるように強く求めていったり、また、安全対策が足らざるところは求めていったり、また、どうしても不十分だということであればそこは原子力発電所を動かすのは時期尚早じゃないかと、そういうような議論もあろうかと思います。

 いずれにせよ、共通のプラットホームをつくるということは必要なことだと思うんですね。それで、あとは今後どういうふうにプロセスが動いてくるか、まだ、未知の領域でありまして、分かりませんけれども、私としてはまずは国の方がちょっとそのプロセスを再設定したわけです。それで、国が判断するんだと、政府が判断するんだというふうになっていますので、政府に我々として意見を述べさせてもらい、そして、政府の方でもその意見を踏まえて慎重に判断してもらうと、なんかそういう新しいルールをこれから徐々に作っていかなければならないんではないかなと思います。この辺はこれからまだ始まる領域でございまして、我々としてもまず今回、4月11日の国への申し入れを皮切りにして、これ2月の県議会でもだいぶん議論があったところでございまして、そういう議員の議会の議論なども考えれば、そういう申し入れをしていく必要があるだろうというふうに判断をしております。

 立地〔自治体〕は立地〔自治体〕として判断したいというのは当然なんだと思うんですね、ある意味で。それで、一番影響を被り得るところでございます。鳥取県も影響を被るわけでありますが、島根県はなお影響を被ると思われます。従いまして、その立地〔自治体〕の考え方は我々もある程度耳を傾けていかなければならないところはあるだろうと思います。ただ、それぞれにやっぱり意見は政府に対して述べていくのは当然ではないかなと思います。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 地元の県ということですけども、現時点でその再稼働についてはどのような意見をお持ちか、またそれをまだ判断できないというのであれば、どのような判断材料がこれから必要になっていくのか。


●知事

 これも県議会のとき、たびたび議論がございました。私はその原子力発電所の安全について、政府としての分析がまだできあがっていないだろうというふうに、これまでも述べてきましたし、今もそう思っています。福島第一〔原発〕のサイトで一体何が起こったのか、津波の問題ももちろんありましょうし、電源の問題もありましょうし、それから、人が絡んだこと、人が絡んでどういうことになったのか、まだその分析の検証途上だと思うんです。そして、そういうことを踏まえて、こういう安全対策をこれからの原子力発電所でやっていきますよというパッケージを示さなければいけないだろうと思うんです。これがまだなされていないときに、前の菅〔直人〕総理がストレステスト〔総合的な安全評価の仕組み〕と言い始めたわけでありまして、それで、ストレステストをそれぞれに実施してそれが終わったら再稼働だという、何かこう単純化した議論というのは違和感があるんです。だから、今現在でこれが果たして再稼働していいものかどうかというのを、多くの県民が納得し得る状態かというと、まだその段階でもないだろうと思います。まだ、判断材料が十分我々にも与えられていないということではないかと思います。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 時期としてはいつぐらいに、国の動きとして求められる時期が、だいたいの見通しとしては知事はお持ちですか。



●知事

 これはまだ、島根原発は〔関西電力〕大飯原発ほど検証が進んでいません。先般も中国電力さんが新年度、今年度の電力の需給見通しを明らかにされました。その中で、原子力発電所の再稼働、あるいは〔島根原発〕3号機の問題について、時期は今、分からないと電力会社さん側の方はそう言っています。従いまして、今、その時期がいつかということは白紙なんではないかと思います。いずれにせよ、ただ、いずれ時が来るんでしょう。そのときまでに、先程申しましたように、今、まだ何のシステムもございませんので、周辺地域としてどういうふうにこれに関わっていくか、そのルール作りと言いますか、フレーム作りを我々はしていかなければいけないんだろうと思うんです。

 その意味で、先程申しましたように、国に対する要請の中で、県議会の議論も踏まえて、原子力発電所の運転にあたっては、まず第一義に安全を考えてくれと、そして、周辺地域、立地だけでなくて周辺ということですね、鳥取県でありますけども、そうした周辺地域の意見も踏まえて、慎重に判断するべきだと、こういうことを求めていって、徐々にフレーム作りを促していきたいというふうに思います。今、ようやっとその〔関西電力〕大飯原発の問題があって、ややこの点、国会の方の原子力災害対策特別措置法などの議論が遅れていますけども、さはさりながら、俎上に上がってきた段階ではないかと思います。その意味で、我々としても要請活動を行いたいと考えております。




11 各県の原発安全協定をめぐる動き 

○共同通信 中川亘 記者

 安全協定に絡んで何点かお願いします。1点目なんですが、先日、福岡県や福岡市などが九州電力と安全協定を締結しました。それ以外にも各地方、各地域で安全協定の締結をめぐる動きが進んでいるように見受けられるんですが、まず、それを俯瞰してどのような印象を持っているのかという、1つお願いします。


●知事

 はい。この〔原発にかかる〕安全協定については、鳥取県がいわば勇気を奮って突き進んだ部分でございまして、その成果が日本列島の各地に広がりつつあるなという手応えを感じております。福岡県のケースでは、まさに鳥取県と同じような表現まで、例えば、立ち入り調査でなくて、現地確認という言葉になっています。またはその中では、我々が目指したように、立ち入り調査と同様なものを擬制〔本来異なるものを同じものとみなすこと〕を求めていこうというものが現れています。また、同意ではないけれども、意見を表明して、それに対して誠実に答えていくというようなフレームは我々の方が出したわけでありますけども、福岡県の方は若干鳥取県未満のようでございますが、鳥取県の域まで達していない部分が、情報のやり取りについてあるようでございますけども、ただ、基本的な制度のフレームは、鳥取県がだいぶん苦労して作った安全協定のスキ-ムにほぼ従ってきていると思います。そういう意味で、現実を踏まえながら地域の安全をしっかりと図っていく、そのために、電力会社を周辺地域の方にも引っ張り込んでいくと、関心を寄せさせるということで、徐々に我々が放った火が各地で広がり始めているなと、そういう意味で一石を投じることができたというふうに考えております。


○共同通信 中川亘 記者

 重ねてで恐縮ですが、その一方で自治体によっては、なかなかその議論が進んでいない、立地自治体並みの状況を求めて、なかなか電力会社側との交渉が進展していないようなところも見受けられるんですが、そういったところについては、もうそれは自治体ごとの事情なんでしょうか。それとも、なんか交渉の仕方とか、その立地自治体並みを求めるということについては、それは、特にもう、それぞれの地域の事情として考えるべきなのか、それともどれくらいの権限を持つのかというのは、なんかすべてが立地並みじゃなければいけないというような固い、なんかそういうのが必要かどうかということで難しいところでしょうが、どのように考えられますか。


●知事

 私は、鳥取県も立地〔自治体〕並みを目指しています。だから、その意味で議論は途上であるということを協定の中にも明記をしておりますので、周辺で立地並みを求めて意見が出ることは理解できます。後は、地域住民の立場に立って、いかに早く、いかに内容の濃い成果を挙げることができるかではないかと思います。我々はほぼ立地並みに近づいたと判断しましたので、協定締結に踏み切りましたけれども、そういう努力を、それぞれの地域でもやって、できるだけ成果を出していく必要があるんではないかなと個人的には思っています。ただ、これは、それぞれの地域の議論の状況もございますので、一律には言えないと思います。



12 原発再稼働(再質問) 

○読売新聞 野口英彦 記者

 その安全協定の関係で、知事は以前、立地県並みの内容を目指して、ねばり強く交渉を続けていくとおっしゃったんですけど、そうしますと、今の再稼働の関係で、地元というのに、鳥取県が含まれるんじゃないかということと、再稼働にやはり同意が必要でないかと知事はお考えなんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。


●知事

 だから、先程申しましたように、原子力発電所の運転については、立地〔自治体〕だけでなくて周辺〔自治体〕の事情、これが鳥取県が入るわけでありますけども、周辺の意見というのを踏まえて判断せえということを申し入れる必要があるというふうに考えております。基本的には、私は被害が及び得るということであれば、当然ながら理解を得て進めると、枝野〔幸男〕大臣の言い方に従えば、理解を得て進めるということに国もせざるを得ないと思うんですね。それで、我々としても当然ながらそれを、その内容、実質を求めていく必要があると。ですから、分析的に言えば意見を出させてもらって、それを判断の材料にしてもらうということじゃないかなと思っています。


○読売新聞 野口英彦 記者

多分、理解と同意ということの違いは、担保がとれるかという理解のことではないかと思うんですが、どうでしょうか、同意ということであれば、おそらく必ず必要になるということになるでしょうし、議会とこちらが意見を述べても、国がそれを反映しないというおそれもあるかとは思うんですが、そのあたりはどうでしょうか。



●知事

 そこはちょっと、どういう言葉の使い方を、政府はしているのか分かりません。先程申しましたように、多分あえて曖昧に言っているんだと思うんです。地元の理解を得て最終的に政府が判断すると、政府がそういう言い方をしているんであれば、我々としても、その中に周辺地域が入り込むような、そういうプロセス作りを求めていく必要があるということであります。これが、その議会が同意かどうかというところは、正直、水掛け論になってしまうんじゃないかと思うんですね。言葉の問題もあるんですけども、私は実質として、フレームを作る必要があるだろうと、今回、京都や滋賀の意向というものを、政府が尊重しようとしている姿勢は評価していけばいいと思います。それで、こういうような、いわばプラクティスというか、実例を重ねていくことによって、徐々に制度のフレームが固まってくんじゃないかと思っております。

 



13 春秋航空チャーター便と今後の課題 

○山陰中央テレビ 田中みふゆ 記者

 ちょっと原発の話とまったく、申し訳ないんですけども、先日は米子〔鬼太郎〕空港の方に格安航空会社の春秋航空が初就航しましたけれども、こういう格安航空会社への乗り入れへの期待と、あと、今後定期運航へ向けた取り組みとかで、どういうことをしていきたいかを、すいません、お願いします。


●知事

 はい。先般春秋航空の王正華〔ワン・ジョンホア〕会長と上海で面談をさせていただきました。それで、これまでも度重ねて交渉してきておりますけども、ある程度、春秋航空側の姿勢は前進してきているかなというふうに受け止めました。ただ、課題もあると、課題は果たしてこれは民間航空会社でありますので、しっかりと搭乗が得られるかどうか、お客さんが乗るかどうか、その意味で鳥取県の知名度の問題などがあります。我々として、この間は現実にテストフライトをやりましたので、その成果として、〔鳥取〕砂丘が非常に評判が良かったとか、コナンが非常に中国のお客さんに喜んでもらえたと、それで、また来てみたいというような声も挙がったとか、そういう非常に手応えのある内容だったことをつぶさにご説明を申し上げました。

 それで、向こうの春秋航空の関連の観光会社の方でも、そういうものを見ておられますので、確かに鳥取県、山陰には観光地としての魅力は一定程度あると、特に漫画のように他にはないものがあると、商品性はあるということではあるんですけども、ただ、ビジネス客の動向であるとか、いろいろと諸般のことも勘案していかなければならない。その意味で、これを高めていく努力、これをやる必要があるだろうというのがございました。そういうことと、あと併せて、航空枠を確保していくと。例えば、上海空港で言えば、だいぶん枠が限られていて、それが厳しい状況があります。そうした現実のことをいろいろと判断しながら、春秋〔航空〕側として実現の方向性を検討したいということでありました。かなり王正華〔ワン・ジョンホア〕会長も、幹部の職員の皆さんに発破をかけられていまして、ぜひ検討してみてくれということでありました。

 だから、これからまだ検証作業は続くと思います。その辺を見ながら我々としても対策をとっていく必要があるだろうと思います。そういう中で、1つには、空港間の競争が激烈にございまして、LCC〔格安航空会社〕の獲得競争と言いますか、空港の活用を目指そうという。ですから、先行例のことも参考にして、利用促進策を図っていく必要が1つにはあるかなと思います。あと、米子鬼太郎空港の利便性のことも、これも米子空港ビルなどとも協議をしながら、しっかりと検討しなければならないだろうというふうに思います。



14 幹部職員と職員のコミュニケーション 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 話題を変えさせてもらいますけれども、昨日の幹部会議で知事がおそらく職員さんの間の職場環境のことじゃないかなと思うんですけれども、パソコンに向き合っているだけでなかなか出てこないのではいけないと、ときには部局長さんが飲みに誘って、コミュニケーションをとってという、冗談だったのかもしれませんけど、そういうお話もありました。それで、ちょっと気になるのは、2月の議会でも、職員さんが知事に挨拶をしないというような話も一部で指摘が出ていました。知事と職員さんとの間の関係、あるいは部局長さんと職員さんとの間の関係で、何か問題意識を持っておられるんじゃないかなと感じたんですけれども、そのあたりはどうでしょうか。


●知事

 これは一般論です。別に県庁に限らず、大きな企業さんでも同じような問題がよく指摘されます。だから、運動会を復活するとか、要は社内コミュニケーションを活性化させようという動きにもなってきているわけです。鳥取県でも議会で挨拶のことが取り上げられて議論がございました。それで、それも2度程しつこくあったんですけども、そのあと職員の皆さんも、私にも挨拶をしてくださるようになってきておりまして、一時のことだったのかもしれません。結局、コミュニケーションをとるという、そういう言わばエチケットのような問題でありますから、やろうと思えば簡単にできるんですが、やっぱり一つきっかけを作んなきゃいけなかったのかなと思っております。それで、昨日申し上げましたのは、職員がシャッフルされまして、だいぶん人事異動で動きました。新しい場ができるわけであります。その新しい場が100%の機能を果たしていかなければならないわけであります。そのためにはしっかりとしたコミュニケーションをその場の中で、所属の中でやっていただく必要があるということであります。

 最近の仕事のやり方として、これは官民問わず、パソコンと向き合って、会話の相手がシステムの中という状況がございまして、話をするのにも近くの人にもメールで送るとか、そんなことを平気でやる時代になってきていると。だけど、やっぱり組織として県民や地域の目指すことを誠実に迅速にやっていこうと思えば、コミュニケーションを図る方が手っ取り早いですし、深まった検討も議論であればできるわけでありまして、言葉の掛け合いとか、それから心の触れ合いだとかを鳥取県庁の職場でも実践していかなきゃならないと思います。その意味で、私どもとしても庁風づくりを進めているわけでありまして、改めて昨日も幹部の職員に求めました。飲み二ケ―ションという言葉、申し上げましたけども、またフォーマルなこういう付き合いだけでなくて、インフォーマルな付き合いというものも、うるさがられん程度に、やっぱり職場の中でやっていくべきではないかと、そういうふうに申し上げたわけであります。だいぶん県庁も徐々に、そうしたふうに変わりつつあるとは思うんですが、これは体質の問題でありまして、ある程度、時間もかけながら進めていきたいと思います。


○日本海新聞 井上昌之記者

 知事も毎週日程がぎゅうぎゅう詰めになってまして、特に米子や倉吉に出かけられたり、外国に出掛けられたりという機会も最近多いように思います。その中でも知事ご自身も職員さんとコミュニケーションをとる場がもっとあってもいいんじゃないかなと、これはお節介かもしれませんけども、そういう感じがするんですけれども、今後そういう知事も若手職員のプロジェクトチームができて、それが政策に反映されたりとか、そういう評価をされておられたと思うんですけども、もうちょっとそういう機会が出てきてもいいのかなと感じているんですが、そのあたりはどうでしょうか。


●知事

 それ、きちんとやっていきたいと思います。年度初めでありますので、例えば西部とか、中部とか、出掛けたときに、そうした地方機関の若手のかたがたとかと、また意見交換の機会も作っていきたいと思います。就任当初そういうことを意識的にやったんです。庁内のコミュニケ―ションもっととらなければならないと。ちょっと最近日程が込みすぎているのかもしれませんが、十分できてない面もございますので、改めて、やっていきたいと思います。


15 北東アジア地方政府サミットと北朝鮮問題 

○読売新聞 野口英彦 記者

 話題が変わりますけど、北東アジア地方政府サミットは、これで観光、環境、経済ということがメインテーマだと理解しているんですが、今、北朝鮮情勢がちょっと少し緊迫しておりまして、北朝鮮のことが議題に上る可能性はあるんでしょうか。

●知事

 これは、実は私も問題意識はありまして、少し投げかけもしてみたんですけども、従来から地域振興をテーマにやろうと、国政関連の話を持ち出すことよりは、そういう地域振興の課題をやるということの了解で皆さん集まっておられます。だから、正面から北朝鮮問題を扱う場ではないという枠組になっています。私の方から、若干その少し思いは述べることはあろうかとは思いますが、正面切ってそれで合意を得て、意見発表の中に盛り込むとかいうことにはちょっとなりにくいかなと思います。それよりは、むしろ観光とか、環境とか、経済とか、地域振興の課題を、そもそもこのサミットの設立趣旨に鑑みまして重点的に行っていく場になろうかと思います。これはちょっと集まってみないと分かりまんが、おそらくそういうことではないかと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 事前の反応では、ややそういったことに言及する動きはないということですね、現時点では。


●知事

 ええ。若干言及することはあっても、それが正面切っての議題なことはちょっと関係地域の中で拒否感のあるところもございますので、おそらくコンセンサス方式ですので、上ってはこないと思います。


16 アニメコンテンツエキスポ2012の感想 

○読売新聞 野口英彦 記者

 分かりました。ちょっと話題がこれも変わるんですが、先日、アニメコンテンツエキスポ〔2012〕に参加されまして、ネコ娘〔ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター〕役のかたと対談されたそうですけど、そのアニメコンテンツエキスポの感想と、あと、その中でガンダムが来るのではないかという発言をされたということがネットで流れておるんですが、これについてお願いいたします。


●知事

 アニメコンテンツエキスポは非常な大盛況であったと思います。あの日も今日のような大風が吹いた日でありまして、近くを走るJRの京葉線も不通状態という中でもありましたけれども、大変な集客がありました。鳥取県も特設のステージでネコ娘役をされた今野〔宏美〕さんと、あと、そっくりさんの子泣きじじ〔ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター〕い、それから、ぬらりひょん〔ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター〕のかたと一緒にステージに上がりました。満場でございまして、非常に盛況でございましたし、反応も良かったと思います。ネコ娘の役のかたもウィットに富んでステージを繰り広げられまして、ゲゲゲの鬼太郎と結婚したいとか、言い始めたり、大騒ぎだったんですけども、そういう中で、鳥取県も展示コーナーを作りました。そこに砂像のコナンを置き、さらにこれは顔を判別をして、その前に立つと鬼太郎になったり、ネコ娘になったりする、そういうサイネージ〔液晶ディスプレイ等の映像表示装置〕のアトラクションを作りましたところ、多くのかたがたが足を止めて鳥取県の国際まんが博に対する認識、国際マンガサミットに対する認識を深めていただけたと思います。

 ガンダムの話は1つの切り口でありますけども、実はそういういろんな構想が、今、市町村で、市町村だとか、住民の皆さんで動きがございます。うちの町はこういう漫画アニメイベントをやろうと、その実現に向けて関係先と精力的に交渉しているということが始まっております。それを鳥取県としても今回、予算も通りましたので財政面でもしっかり支援していくと、それで、パッケージでの国際まんが博にしていこうということであります。ガンダムについても、そういうことを呼び込んではどうだろうかと考えている地域もございまして、そういう噂もあるというふうに申し上げたところであります。それこそガンダムだけでなくて、いろんなものがひょっとするとやってくるかもしれません。

 ただ、メインとして、ここに住んでおられるのは妖怪たちとコナンと、それから谷口ジロー先生の思い出の世界でございまして、メインのところはそういうコンセプトになろうかと思いますが、ただ、いろんなキャラクターがこの際、賑やかだから鳥取に行ってみようやというふうになりかけている感じです。

○NHK 月岡信行 記者(幹事社)

 他に何かございますか。よろしいでしょうか。じゃあ、なければこれで。どうもありがとうございます。

●知事

 どうもありがとうございます。


  

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