知事定例記者会見(2010年1月22日)

平成22年1月22日(金)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約46分) ※MPEG4形式

  

1 臨時議会の開催について 

●知事

 皆様、おはようございます。来週1月29日に臨時県議会を招集をすることといたしたわけでありますが、その議案が固まりました。これは、147億円の補正予算などであります。また、併せまして、企業立地の促進の補助金について、中小企業の拡張の意欲を高めるように柔軟なように改正をしようということがございますが、そういう条例[鳥取県企業立地等事業助成条例]改正なども含めた議案を提出しようと考えております。

 その147億円の中で、いろんな事業が入っておりますけども、1つは、今、出来る限りの雇用の受け皿を作っていこうということをやりました結果、1,100名程度の雇用の受け皿づくりの予算を計上させていただきました。

 併せまして、債務負担行為で新年度に取り組める受け皿も、とりあえず1,000人ほど見込める予算組みにさせていただきました。中身の方の実際の雇用は、一人ひとりとのお話し合いをしたり、詰めていかないといけないことがいろいろありますが、予算としての受け皿をまずは作っておこうという趣旨であります。

 この予算を活用しまして、今当面急がれる課題、例えば「まんが王国とっとり」の推進だとか、様々な事業で活躍していただけるようなかたの就職を促していきたいと考えております。

 また、公共投資の方も、新年度は非常に厳しい状況が見込まれると考えております。そういう中で、新年度ですと難しいと思われる状況がありますので、前倒しをしまして、新年度予定をしようかと思っていたものを、前倒しをして、公共投資を一部やらせていただこうと、これ、40億[円]あまりございます。

 例えば、問題になりました農道事業がございます。事業仕分けにひっかかりまして、それで、新年度はだいぶ予算枠を絞られることになりますが、その中の南大山の道路とか、そうした農道事業ですね、一部これで実施を進めていこうと考えております。

 その他にも道路事業など繰り上げ実施をするものがございます。これに加えまして、国の方の新しい政策として、きめ細やかな公共投資を行おうというものがありまして、橋梁だとか、道路の補修関係など、そうした予算。また、従来の基金を、交付金を活用した公共投資、こういう細々としたものも入れてやっていこうという考え方であります。

 いろいろと今、厳しい経済雇用の状況でありますけども、それをブレイクスルーしていくような、そういう枠組みをこの中で見出していきたいと思っております。併せて、新年度早々、審査が予定されます山陰海岸ジオパークの推進事業など、必要な予算もこの際、計上させていただこうと思っているところであります。




2 全国知事会議・中国地方知事会議について 

●知事

 昨日は全国知事会議がありまして、東京の方に出張をいたしておりました。その全国知事会で私も主張させていただきましたが、子ども手当については、今は暫定的なものだと思います。新年度、ぜひ、これを改めていただきたいと。さらに、政府の方は子ども手当を倍額に増額をしようということになってまいりますので、地方のお金をあてにしているんじゃないかと、強烈な意見も他の知事さんから出ました。

 私の方から申し上げましたのは、本来国が所得再分配に当たるような現金給付というのは責任もってやるべきだと、これは国の得意分野でもあります。それに対応して、地方の方でも単に現金給付を受けるということで、それで子育てが進むわけではありませんので、サービス給付とか、現物給付、それができる体制をしっかりと整えていくべきではないか。

 これを両方あいまって国と協議をして打開策を探していくべきではないかという発言をいたしました。[全国]知事会長の麻生会長もそれを引き取ってくださいまして、そういう考え方ですね、国と重点的に折衝をする体制を整えたいと、こういう結論になりました。

 また、地方分権でございますが、正直申し上げて、まだ緒についたところであります。1兆1千億円の地方交付税の増額は、皆さん一様に評価をしておられたと思いますけれども、それが十分ではないという、まだご意見もございましたし。

 さらに、事業の見直し関係で枠付け、義務付けを廃止をしていくという、こういう地方分権の取り組みがございますが、これも残念ながら、まだ十分ではないと考えられます。そういうことから、国、地方の協議体制をしっかりとるべきだと思います。

 私も[全国]知事会の中で、これについては、各分野ごとの国、地方の協議を作るべきだと、こういう主張をいたしました。これから法案化が進むわけでありますが、その法制化の中で[全国]知事会としても訴えかけていくと、こういうことに、これはなったと思います。

 併せて、地方自治法の改正についても、いろいろと議論があるわけでありますが、教育委員会制度は旧態依然としたものであって、こういうものも取り上げてほしいと、私の方から申し上げましたら、これは知事会長の取りまとめとしては、[地方]自治法改正に向けてのプロジェクトチームを[全国]知事会でも作って、国に働きかける体制を取ろうと、こういうことになりました。

 併せて、中国地方知事会が開催をされまして、会長県を互選をしたわけでありますけども、それに加えて、広島[県]の湯崎知事からご提案がありました。高速道路の無料化の社会実験が行われることになると、それについては背骨にあたります中国縦貫自動車道の無料化について、共同で働きかけてはどうだろうかと、さらに浜田[自動車]道も働きかけてはどうだろうかと、こういうご提案がございました。

 私は、趣旨は十分賛成できると、ただ、背骨の縦貫道だけでなくて、あばら骨もちゃんと併せてやるべきではないだろうかと、そういう意味で言えば、米子自動車道とか、岡山自動車道、こうしたところも社会実験の対象にしてくれと共同で申し入れてはどうだろうか。

 加えて山陰自動車道も建設が遅れているところだと、これの建設もパッケージにして働きかけてはどうだろうかと、こういうご提案を申し上げましたところ、それで、中国地方知事会もやっていこうということになりました。これから急いで共同でそうした政策提言を行っていくことをしていくのだろうと思います。




3 子育て王国とっとりプランについて 

●知事

 先ほど、申し上げましたように、現物給付だとか、サービス給付、子育て支援の方は地方側でやっていかなければならないと思います。これに関連して、鳥取県としては子育て王国を、これから整備をしていこうということにいたしているわけでありますが、その[子育て王国とっとり]プラン[(素案)]を、今、取りまとめをいたしました。

 パブリックコメントを[1月]22日から来月の上旬まで行うことにいたしております。ぜひ、県民の皆さまからもご意見をいただければと思いますが、1つ、幾つか主要なプラン項目を出させていただいております。

 例えば、子育て王国建国運動を起こしていこうじゃないかとか。これは地域でいろんな人に地域の親御さんのようになっていただいたり、子育てのサービスにボランティアとして入っていっていただいたり、そういうように運動を盛り上げていこうというのが1つであります。

 また、医療費の無料化の年齢を引き上げてはどうだろうかと、これも市町村に呼びかけをしていこうと、そういうプランになっています。市町村の中には、既に取り組んでおられるところも出てきておりますが、新年度、そうした医療費の無料化の範囲を拡大をしていく協議を市町村としてはどうだろうかと考えているところであります。

 さらに、ファミリーサポートセンターを全市町村で運営できると言いますか、そのサービスを享受できる、受けられるような、そういう仕組みにしていこうとか、いろいろとそのプランの中にも盛り込まさせていただいたところであります。



4 中高一貫校について 

●知事

 これは、子育ての福祉サービスに留まらないわけであります。子どもたちの教育も大切だと思いますが、今週の月曜日に鳥取大学の能勢学長と差し向かいでお話をいたしました。能勢学長からお話がありましたのは、中高一貫校をやろうと鳥取大学で動いてきたわけでありますが、文部科学省との協議がなかなか進まない状況にあると。ですから、当面それを進める目途がつかない状況になったと、こういうお話がありました。

 私からは、そうであれば県として中高一貫校を従来からやろうという協議をしてきたわけでありますので、県として進めてもかまわないと、そういうことですかと申し上げましたら、それは結構ですというお話でありました。

 ですから、[県]教育委員会にこの旨を私からも伝えました。教育委員会には、別途鳥取大学からもそうした話が伝わっているようであります。私は子どもたちの教育を多様化させると言いますか、いろんな選択肢を子どもたちや保護者のかたに差し上げていく必要があるだろうと。

 中高一貫の教育ということで、受けられる教育サービスを、今、中部・西部では私学では担ってやっていただいている面がありますけども、例えば東部ではまだそれがありません。ですから、この際、県立として中高一貫校の検討を、もう一度本格化させていくべきではないだろうかと思います。この旨は教育長の方にも伝えたところであります。



5 日程等について 

●知事

 当面の行事ですね、今日は、結核予防全国大会の会議を開催をすることにいたしております。結核予防会の長田理事長もお見えになりまして、鳥取県と結核予防会の共催事業になるわけであります。3月の18、19日に開催をいたします。

 通例ですと、皇族の御成りもあるような行事であります。格式の高い大会になりますが、この際、全国の皆様に鳥取県の結核予防の状況とか、それにまつわるいろんなエピソードですとか、鳥取県の観光や文化などについて、発信する機会にいたしたいと思っております。

 この週末は、県のろうあ団体の方の主催によりまして、[財団法人]全日本ろうあ連盟結成60周年記念の映画がございます。「ゆずり葉」という映画でございますが、これの上映会を東・中・西[部]で順次行っていくことになります。

 私も、そのオープニングに出席をさせていただこうと思っております。これは、障がい者の社会参加を扱う内容でありまして、ろうあ者のかたが、資格制限があって就業できなかった。そういう業種へ願いを込めて進出をしていくいという、そういう心温まる映画になっています。

 県としては、あいサポート運動を展開中であります。このあいサポートについては企業側の賛同も得られるようになってきておりまして、2月の1日にあいサポート企業を、まず第1陣の認証をしようと思ってます。

 企業でご賛同いただける企業さんに、この運動に加わっていただきまして、社員のかたや、あるいは、それで呼びかけられる対象のかたに、そのサポーターを推奨していただくという、そういうものでございます。私の方からは以上です。


○産経新聞 服部幸一 記者(幹事社)

 各社質問ありましたらどうぞ。




6 中高一貫校について 

○日本海新聞 田村彰彦 記者

 中高一貫校の件なんですけども、県としては過去に協議してきて頓挫した経緯があるんですけども、このタイミングで設置したいという意向を示されたのは、鳥大側が難航しているからというのが背景にあるんでしょうか。それが1点と、そうであるならば知事としては鳥取県東部に設置したいというお考えでしょうか。


●知事

 私は、これは[地方]自治法上の制約もありまして、最終的には[県]教育委員会の方できちんと検討してもらいたいと、こういうメッセージを伝えております。東部が有力だと当然思います。それは、中部・西部で現在私学が実施をされております。ただ、教育委員会は教育委員会の考え方もあろうかと思いますので、急いで議論をしていただきたいなと思います。もう、予算時期に入ってきておりますので。

 それから、鳥取大学が、実は東部での設置を考えていたわけでありまして、私共も本来県立でやろうかという協議をしかけていたんですけども、大学側が自分のところでぜひやってみたいというご意思が強くありましたので、私たちもその大学の意向を尊重して、大学の中高一貫校設置に協力していくという方向に転換をしたわけであります。

 ただ、残念ながら、これは背景に政権交代に伴う政策転換も多分に影響した面があるようでありますけども、大学法人として、それを設置するのは、今、見通しがつかなくなったと、こういうことでありました。そうであれば、あまりこちらで躊躇しているのもいかがかと思います。県民の皆さんの願いにも応える意味で、中高一貫校の設置を、もう一度本格的に検討すべきだと思います。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 以前は、有識者らもメンバーとなって検討委員会を立ち上げて協議してきたんですけど、また改めてそういう検討委員会みたいなものを設けるという、県教委の話になるのかもしれませんが。


●知事

 県教[育]委[員会]の方の考え方だと思いますけれども、私は以前もうすでにこの問題はずっと検討してきましたので、大枠の話は終わっているんだろうと思います。むしろ、個別具体のカリキュラムをどうするかとか、どこの学校に設置をするとか、教員のスタッフをどうするだとか、そういうことを詰めていかなきゃならないだろうと思います。

 例えば、常識的に言えば2学級程度、中高一貫の枠組みを作って、例えば、現在ある高校に併置するようなかたちをするとか、いろんな具体案があると思います。そういうことを至急詰めていく土俵を、まずは考えなければならないと思います。

 これは、当然ながら中学校であれば、その中学校をやっておられる市町村の教育委員会のお考えもあるかもしれませんし。ただ、主導的には県民の願いに忠実にきちんと作っていくのが本来だと思いますので、そうした県民ニーズをよく見極めて、もう私の気持ちとしては具体論に取りかかってもらいたいと、こういう気持ちです。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 知事としてはいつ頃に設置したいとか、そういう目標、思いはありますでしょうか。


●知事

 鳥取大学は、実は[平成]24年度開校を目指してたんです。それで、ちょっと今のタイミングで難しくなったと言われて、我々も困ったなというとこではあるんですけども、ちょっとそれは、具体の準備作業によると思います。ただ、思い立ったが吉日でありましょうから、出来る限り早いタイミングでの開校をすべきだと思います。

 ただ、そのためには、少なくとも最低限のハード整備は必要になって来ると思いますし、例えば、学年進行で入学してくるんであれば、当面まず、中学校1年生が入るスペースがなきゃいけませんし。ですから、来年度すぐに開校出来るというものでは当然ありませんので、来年度は検討だとか、ハード面に着手していくような、そういう時期ですかね。

 当初の鳥取大学が描いていた、24年度開校という、そういう目標スケジュールに間に合うかどうかっていうことはあると思います。あんまり拙速になってもいけませんので、[県]教育委員会でしっかりとできるだけ早いペースでやっていただきたいと思います。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 検討そのものは、今、1月末というタイミングなんですが、今年度中からもうスタートされるお考えなのか、やはり新年度から新しくもう一度検討、仕切り直しという格好になるのか。


●知事

 若干予算が必要なことがあると思います。その前に、まずは[県]教育委員会として、体制を立て直しをしてもらわなきゃいけないと思います。教育委員会側では、すでに中高一貫校は作るべしということで研究会の報告も受けてまとまっていますから、そこまでの段階はもう終わっているんだと思います。

 じゃ、これから、どうやって具体的に手順を進めていくかという趣旨での検討がまずあって、それで、新年度予算で、どういう予算組みをするか、調査だとか。ということから、まず始まっていくのかもしれません。その辺は、今、教育委員会で詰めていただこうと思います。


○読売新聞 高山千香 記者

 今度の当初予算に調査費などを盛り込む可能性があるということですか。


●知事

 その方向で調整してもらいたいなと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 それは調査費だけになるんでしょうか。それとも先程おっしゃったような教室の整備とか、そういう整備費、関係も。


●知事

 まず、スケジューリングがあると思うんです。これは子ども達の問題ですので、4月が、次の4月、次の4月と、その始まるスターティングがどうしても、1年ずれるんです。だから、どの4月からということを目標にするかで、スケジューリングが出来てくると思います。

 逆算していって、例えば、校舎の整備だとか、そういうものが遡って、いつまでに何をやらなければいけないということがあるでしょう。それに応じた当初予算になってくると思います。少なくとも、調査費は必要だろうと思います。


○読売新聞 高山千香 記者

 そのイメージされている調査費は、幾らぐらいになるんでしょうか。


●知事

 調査費ですから、それは1,000万[円]というオーダではなくて、もっと小さいものだと思います。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 ちょっと私の勉強不足かもしれませんが、一貫校のイメージからすると既存の高校に中学部みたいなものを作るとかいうのをイメージされていますか。


●知事

 これは、他の都道府県も、中高一貫に取組んだところはそうでありますが、やはりベースになる学校っていうものをどうしても考えると思うんです。それは、教育人材が必要ですので。あと、やはり学校として、責任持ってお預かりするのであれば、今ある校風だとか、その伝統というものをある程度引き継ぎながらやっていく、進学指導というのを、当然保護者のかたも期待をされるでしょうし。そういうことを考えますと、既存校をベースにしていくのが現実的選択肢だと思います。


○毎日新聞 武内彩 記者

 鳥大との関わりなんですけれども、これまで鳥大は24年度開校を目指していて、ある程度のものを作っていると思うんですが、連携していくだとか、そのノウハウをもらうとか、そういうことをお考えでしょうか。


●知事

 鳥[取]大[学]とは、これで別に縁が切れたわけではありませんので、鳥取大学は、鳥取大学としてまだ中高一貫校も夢として捨てたわけではないというニュアンスだったと思います。あちらはあちらで、教育実習の機会だとか、研究の機会というのは必要としていますので、いろんな意味で協力関係はできてこようかと思います。


○読売新聞 高山千香 記者

 ちょっとそこまで知事は言えないのかもしれないんですが、今、進学指導とかを期待される面があるだろうとおっしゃったんですけれども、そのイメージとしては大学進学率を高めるような、進学校としての役割を期待するような学校をイメージしているんでしょうか。


●知事

 いや、そういう意味じゃありません。先程申し上げたのは、これまでの学校が持っているノウハウがありますよね。そのノウハウをベースにして、中高一貫校を考えるのが素直だろうという趣旨で申し上げました。ですから、別に進学校を作るということではありません。


○山陰放送 秦卓史 記者

 既存のどこか高校を具体的にどこをベースに考えているとか。ベース高校があるんでしょうか。


●知事

 それはちょっと[県]教育委員会で考えていただきたいと思います。今、高校再編といいますか、高校改革の作業をしていますので、そういうものも横にらみしながら検討していただくことになるんじゃないでしょうか。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 先程の質問の続きになるのですが、あえて中高一貫校というのを、このちょうど再編をされている現状で作る意義というか、必要性という点について、改めてお伺いしたいんですが、選択肢というお言葉、先程ありましたけど、決して、でも、じゃ、進学率それだけのためでもないと。では、どういったメリット、あれを狙って中高一貫校かというところなんですが。


●知事

 他の地域であれば、幾つか選択肢があります。中学校に入って高校に入るという選択肢と、中高一貫校に入るという選択肢があります。県内でも実際、それを望めば西部や中部では、私学でそういう受け皿もあると。

 ただ、それがない地域もありますので、そういうところを中心にして考えれば、子どもたちが高校受験で、いろいろと時間を使うのではなくて、むしろその時は人間形成だとか、あるいは、中高一貫のカリキュラムによって、特徴ある教育を受けるとか、そういうチャンスを与える必要が私はあると思うんです。

 それは、私も、[知事選に]立候補して、出馬を決めた後に、いろんなかたから、そういうお話をいただきました。教育は大事だと。教育の多様化を図って、選択肢を与えてもらいたいという切実な声も耳にいたしまして、マニフェストにもその中高一貫校については、書いてあるんです。

 そういう経緯もありまして、[県]教育委員会の方に中高一貫校の検討をかねてしていただいたところであります。その途中から、最後の段階で、鳥取大学が、じゃ、自分のところで作るわという話が入って来たもんですから、県の方ではしばらくその応援をするというスタンスに切り替えていたということです。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 西部、中部には私学があるということですけども、それぞれ校区エリアも違うと思うんですが、私学と公立でもまた違うと思うんで、もし仮に出来た場合は、学区としては、これ全県を1つの学区として考えるようなことも、検討されていくんでしょうか。


●知事

 その辺は[県]教育委員会で詰めていただければと思います。事実上、毎日の、言わば普通科の学校になりますから、毎日、きちんと通わなければならないので、自ずから区域は限られてくると言いますか、制約は出てくるだろうと思います。


○毎日新聞 武内彩 記者

 鳥大が断念した理由なんですけど、鳥大に聞けばいい話なんですが、知事の方にも説明あったのは、その政権交代がそのようなことになったんでしょうか。


●知事

 ちょっと誤解を招いたかもしれません。もう少し正確に申し上げれば、文部科学省の方に、かねて、これ、やろうということで、協議をかけていたと。しかし、鳥取大学は、そういう中高一貫校を作ろうという計画を出したら、全国に他でも同じような、言わば立候補が出たような形になって、それで、文部科学省の方がなかなか返事が出て来ていないと、現状においても。

 それに併せて、政権交代に伴って、教育課程の6年制化という、今、議論が起きているんです。その教育課程は鳥取大学の場合は、教育学部こそありませんけれども、それを望む学生もおられて、どの学部でも教育課程を履修できるようになっていると。それが、5年目、6年目となりますと、そちらの体制整備の問題も出てくるわけです。

 大学法人としての人の振分けということもあるんだと思います、定員が彼らもありますので。中高一貫校と、そうした6年制化と、新政権による6年制化の、今、考え方とそれを両方やっていけるだろうかという、この内部の事情も出て来たんじゃないかなと思います。そういうニュアンスの話がありました。

 そういうことでありまして、新しい中高一貫校に向かっていく、[平成]24年度開校ということで、かねて目指した時期もありましたが、それの目途が現状で立たない状況だと、自ら分析をされまして、話をしたと、こういうのが実情だと思います。我々としても冷静にそのお話はお聞きをさせていただいた上で、そうであれば、やっぱり、もう一度振り出しに戻して、県立での設置を検討すべきかなと思います。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 要するに、能勢学長から全て鳥大での中高一貫校が、もう難しいから、鳥大が断念するから県の方でお願いしたいというような申し出だったというふうに。


●知事

 県の方でやれとは学長は言っていません。自分たちも諦めたわけではないんだけども、今、正直な話で目途が立たないということでした。そうであれば、じゃ、県の方で、県立で進めさせてもらってもいいということですかと私の方からお聞きをしましたら、それは結構ですというのが学長のお話だったので、そうであれば、今までちょっと足踏みをさせていましたが、県立での検討を急いで進めた方が良いかなと判断したわけです。




7 全国知事会議・中国地方知事会議について 

○NHK 松本裕樹 記者

 ちょっと話が少し変わるんですけども、昨日、知事会の方、全国知事会ですね、子ども手当の地方負担分、2010年度分は受け入れる。一方で、再来年度以降についてはやはり、国の全額を希望するという話だったわけですが、知事としてのお考えは、どのように、それは考えておられますか。


●知事

 先ほども申し上げたように、本来これは所得再分配的なものもあると思いますし、現金給付という特性もありまして、こういうことは国の方が責任を持ってやるべき筋合いのものだと思います。地方側は、逆に、保育サービスだとか、教育サービスだとか、そういうことを提供していくんだと思います。

 要は、子ども手当が、今度、子育てのお金に使われるわけであります。その受け皿はいろんな子育て支援のサービスになってくると思います。そちらの方を充実させていかなきゃいけません。

 議論の過程ではありましたけども、例えば、保育所の話とバーターにしてはどうだろうかと、そういうのが報道で伝えられたりしましたけれども、結局その案は成就しなかったようでありますが、そういう整理を、もう一度やり直すべきではないかなと私は思います。

 国が子ども手当については、全額きちんと責任を持って対応すると、それに対して地方側で、じゃあ、こういうところは協力してくれと言うことは、ゼロで全部お断りをするということでもないだろうと思います。それは地方側の責任として、当然やらなければならないことには、地方も協議に応じていいんじゃないかと思います。

 そういう意味で、協議をきちんとこれから、体制を整えて開くべきだと、こういうふうに[全国]知事会の場で私は提案をさせていただいたんです。[全国知事会]会長もそれを引き取られて、そういう子育てサービスのような地方に得意な分野があるというような意見もあったし、交渉のテーブルを、体制を整えてみたいと、こういうお話でした。


○山陰放送 秦卓史 記者

 子ども手当についてですけども、先ほど、サービス給付や現物給付を提案されたということですけども、それを具体的に言うと、医療費の無料化などの医療の面でのかなり特化したサービスというのを考えておられるんでしょうか。


●知事

 ですから、そういうようなことで、地方側も責任を果たす必要があるとは思うんです。私は、いろいろと地方側でできる子育て支援は充実すべきだと思いますし、「子育て王国とっとり」としての施策体系を充実させる必要があると思います。

 先ほど、医療費の無料化のお話も申し上げましたけれども、これも、アンケート調査をしましたら、結構ニーズが高いです。子育て世代の親御さんたちの意見をお伺いをしますと、一番必要なこと、2番目に必要なことは、だいたい子育てと仕事を両立できる体制づくりと、あと、子育ての負担の問題、この2つだと思います。子ども手当は、それに1つの答えを出すものであるかと思いますけども、あと医療費については、これも支えるべき対象かなと私は思います。

 これは議論がもちろんいることでありますし、市町村との共同事業にならざるを得ないもんですから、当初予算でどうとかいうことにはならないと思います。ですから、まずは、中期的計画であります子育て王国とっとりのプランの中で提案をさせていただきまして、市町村と新年度じっくり協議をしてみたいと思います。




8 標準法改正の動きについて 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 2011年度以降の話で恐縮なんですけども、文科省の方が学級の標準法を見直すような方針を出しておりますけども、県の方では30人学級というので、標準法よりも教員の数を増やして、その分県費でやっていらっしゃるんですけども、仮に、これ、国の方が持つ分が増えたとした場合に、県の方で、今持ち出している分を減らすのか、それとも今の財源の枠を維持して、常勤から非常勤に振り替えてやりくりしてたりする部分を見直したりするのか、そこら辺は方針としては今の時点でお持ちでしょうか。


●知事

 まだ、構想段階だと思います。現実にそれは国の予算が必要ですので、だから、文部科学省も平成23年度予算編成の中で、財務省と議論するということだろうと思います。私は川端[文部科学]大臣に直接申し上げましたのは、鳥取県はかなり自分で汗をかいて、この30人学級化を進めていると。効果があるのは間違いないと、ですから大臣の方でもぜひ、国の施策として、これ、取り組んでもらう必要があるんではないかと。

 それは民主党のマニフェストにも関連していますので、ぜひやってもらいたいと申し上げましたら、川端大臣は、意外だったですけども、自分たちもこれ、やってみたいという趣旨のご発言をその時、されていました。

 期待していたんですが、新年度予算には盛り込まれなかったわけでありますが、[平成]23年度で構想が出ていることは、私、歓迎したいと思います。これが出てくれば、当然、今、市町村にも負担を求めている問題なども解消させるべきだと思いますし、さらに鳥取県として、一歩前進した施策にするかどうか、これは国の出方をみて考えていきたいと思います。




9 全国知事会議・中国地方知事会議について(再質問) 

○日本海新聞 田村彰彦 記者

 中国知事会の話に戻るんですけども、道路の関係で、背骨だけでなく、あばら骨にも社会実験を働きかけていくということですけども、知事として、今の時点でどのような社会実験をイメージしておられて、政策提言をされるということですが、具体的に、今、考えておられる、どのような提言をしていこうと考えておられるのか。


●知事

 今、話題になりましたのは、かなり事業費絞り込まれまして、1千数百億円だったんですかね、高速道路の無料化の予算がついています、新年度予算として。この分を使って、どこに、じゃあ社会実験としての無料化を行うかと、国[土]交[通]省は検討しております。それに地域として手を挙げるという趣旨だと私は理解しています。

 それが[中国]縦貫[自動車]道と浜田[自動車]道というお話だったもんですから、これ、趣旨は、要は山陽[自動車]道をオミットしている、除いているということがミソなんだと思うんです。山陽道に、今、交通が集中してますよね、東西軸で申し上げれば。

 この山陽道でなくて、縦貫道の方に、むしろこっちを無料化して、こっちを使うインセンティブ与えようと、おそらくこれは環境対策だとか、ロードプライシング的な意味合いも出てくると思いますし、私は面白い提案だなと思ったんです。

 だから、縦貫道を無料化しようという提言は、ぜひ推進したらいいなと思いますが、それは併せて、やはりその山陽道に比べて利用度が少ない高速道として、米子[自動車]道、岡山[自動車]道といったようなものもありますので、こうしたあばら骨部分ですね、これにも無料化の輪を広げた方が中国地方全体としての波及効果が望めるんじゃないかと私は思います。

 ですから、背骨だけでなくて、あばら骨も仲間に入れる必要があるのではないかと申し上げましたら、他の知事さんもそれに賛同されました。あと、山陰[自動車]道も、建設が進んでいないという全く別の事情もありますので、これも併せて提案すべきだと申し上げたわけです。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 その山陰道なんですけども、個所付けが今後の焦点になると思うんですが、月末にもという情報も入ってきていますが、知事のところには、何かその個所付けに関する情報は入っていますでしょうか。


●知事

 今はないです。担当のところに来ているのか分かりませんが、私にはないです。私たちとしては、やるべきいろんなチャネルは使い切ったと思いますので、あとは国の判断を待つばかりかなと思います。我々は、順番待ちをしてきた地域でありますので、ぜひそうした地域住民の願いに国も配慮は示してもらいたいと思います。




10 参議院議員選挙について 

○山陰放送 秦卓史 記者

 鳥取県自民党県連の参議院選挙の候補選びが始まりました。現在、国際政治学者のかたとかいろいろ名前が挙がっていますけども、これについて所見がありましたらお願いしたいのが1点と、知事自身、自民党から声掛けがあったかどうか、これについてどうでしょうか。


●知事

 前の方につきましては、今、県連の中で自民党さんが候補者選びをされているそうであります。ぜひ県民の皆さまに政治選択の機会を提供していただくことで、必要でありますので、最良の候補者を、自民党さんとしても選んでいただきたいなと思います。その上で、県民の皆さまが、厳粛な選択を参議院[議員]選挙でされるということになろうと思います。

 私自身に話があったかということでありますけども、正式なルートでは、特にそういう話はないと申し上げるべきだと思います。冗談めいた話で、いろんな事はないわけではありませんけども、正式なお話ということは、いただいたわけではありません。何もありません。




11 臨時議会の開催について 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 臨時議会の補正予算の方で、今日、議運の方で示されたようで、147億円ですか、ところで、緊急雇用的なものと、やはり成長分野、介護であるとか、医療とか、中長期的なところ、やはり当然両にらみを意識したような予算編成という格好になってきてるんでしょうか。


●知事

 ええ。結局我々の方で、例えば年末、予算のやりくりをして、直接雇用で臨時職員を雇うということでの受け皿づくりもあります。ただ、それだけでなくて、むしろ今、本当に求人が出そうな分野ですね、今、雇用のミスマッチが起きています。

 特に福祉介護の分野などでありますが、そういうところで志を持ってされるというかたのために、研修と言いますか、職業訓練など、そういう機会も提供していったりして、実際に雇っていただくと。

 これを目指すようなやり方も必要になりますので、そういう産業構造だとか、雇用構造の転換に応じたような、そういう雇用形態も必要だと思います。これも今回の補正予算に盛り込むことにしました。

 あと、併せて、将来を見渡してやらなきゃいけないことってあると思うんです。例えば、技術開発革新をしようということがあります。この技術革新のために、人材が必要だという企業さんがいます。その企業さんにそうした人材を雇うことを我々の雇用の基金で応援をすると。

 こういう予算も組まさせていただいていまして、これから将来を見通して先取りするような動きを起こすための応援を、雇用の場づくりという形で応援するものもあります。


○産経新聞 服部幸一 記者(幹事社)

 各社よろしいですか。どうもありがとうございました。


●知事

 はい、どうもありがとうございました。



  

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