知事定例記者会見(2009年11月5日)

平成21年11月5日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約47分) ※MPEG4形式

  

1 降雪被害について 

●知事

 皆さん、おはようございます。このたび、鳥取県は大山、氷ノ山で初冠雪が観測されるなど、冬の便りが聞かれるようになってきました。ただ、片方で、日南町におきまして、降雪被害がございました。この点につきましては技術的な指導から始めまして、今持っているいろんな施策がございますので、地元の支援と併せてバックアップ体制を組んでいきたいというふうに思います。




2 世界ジオパークネットワーク加盟申請に向けて 

●知事

 それから、日本ジオパークネットワーク委員会の方から鳥取県、兵庫県、京都府にまたがります山陰[海岸]ジオパークの世界ジオパークネットワーク加盟への申請に向かうこと、承認が得られたところであります。

 他の地域の候補もございましたが、ただ1つ、山陰[海岸]ジオパーク構想を採択をし、そして世界の大舞台での審査へ臨むこととなりました。このことは、非常に我々としても喜びに堪えないところでありますが、と同時に、次のステップへ進むには相当の努力をしなければなりません。

 12月の申請に向けまして、今、急いで申請書を英語で作成をしているところでございますし、我々の方でも、これまでいろんなところで示されていました懸念に対する対策を立てていかなければならないと思っています。

 昨日は、関西の[近畿ブロック]知事会議がございまして、この席の合間をぬって、私と井戸兵庫県知事、それから京都府の山田知事とやり取りをさせていただきました。お互いに頑張ろうという意思を固めさせていただいたのはもちろんでありますけれども、幾つか具体的なステップを踏もうということになりました。1つは、世界ジオパークネットワーク加盟に向けまして、事務局を3府県にまたがる形で設置する必要があるだろうということであります。

 京都[府]側の準備はたぶんあるんだろうと思いますが、鳥取県としては11月16日付けで職員を兵庫県の但馬県民局内に設置されますジオパークの委員会対策の組織に派遣をさせていただこうということで合意をいたしました。人選を急いで行い、それで、早速12月にも予想されます世界申請に向けて準備にかかっていきたいと思っております。

 それから、11月の14日には、鳥取県が主としてイニシアティブを取らせていただきますが、昨日、井戸知事、山田知事の同意も取りまして、鳥取市内において、世界ジオパークネットワーク加盟に向けた推進大会を開催をすることにいたしたいと思います。

 11月の14日の大会には、先進地であります島原の世界ジオパークネットワーク加盟を果たした地域の具体の話をお聞きをいたしたり、岩美西小学校の子どもたちの発表を聞いたり、それから、もちろん兵庫、京都にもご出席していただいて、合同で行うようなそういう大会を目指したいと思います。

 さらに、これは鳥取県内に時間的には限られると思いますが、ジオパークの現地視察も参加者にしていただくような会を開きたいと考えております。3府県にまたがりまして、議員のネットワークも出来ているところでありますので、そういう議会筋でのネットワーク推進運動とも抱き合わせてやれれば良いなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、せっかく得た世界加盟行きの切符でございますので、この切符を活かして、実際に世界ジオパークネットワークを勝ち取るべく全力を挙げていこうということで張り切ったところであります。




3 近畿ブロック知事会議について 

●知事

 それから、昨日、参加をいたしました関西方面での[近畿ブロック]知事会議でございますが、この知事会議の席上で、いわば、1つの宣言とも言えるものを採択をいたしたわけでございますけども、行動していこうと、関西の知事で合同して、これから新政権のいろんな動きがありますが、行動していこうという、そういう趣旨を確認し合えたところであります。

 その一連の会議の中で、鳥取県からは東アジアでの共同体構想が新政権でなされておりますけれども、この東アジア共同体につきまして、関西としては、これは利点、チャンスと捉えるべきだと。その意味で日本海側を1つのフロントラインとして活用する関西像というのを考えようではないかという提案をさせていただきました。

 この東アジア共同体を関西発でやって行こうという構想には、京都の山田知事も同じような考え方でのご提言もありまして、おおむね関係府県の共通理解は得られたんではないかと思います。あと、[関西]広域連合については、いろいろと議論が戦わされましたけれども、昨日は十分な合意に至っているのではないという印象を私は受けました。

 私の方から申し上げましたのは、これはドライに割り切って考えるべきだと。広域連合というのは地方自治法上のツールでありまして、それぞれの自治体である府・県がそれぞれの事務を持ち寄って共同処理をする。それがメリットがあるなら参加をするということではないだろうか。

 そういう意味で、鳥取県としても冷静にメリット、デメリットを検証して判断をしていきたいというお話を申し上げました。[近畿ブロック]知事会の議論は、だいぶん割れたと思いますけれども、今後それぞれの府県なりの考え方を出しながら、最終的な調整が進められていくのではないかと思います。




4 食のみやこ鳥取県inニューヨークについて 

●知事

 先週は、ニューヨークの方にまいりまして、それで、鳥取県の産品のPRをしてまいりました。その前に、27日には国連の高須大使の方に北朝鮮の拉致被害者問題を申し入れをさせていただきました。大使の方からお話がございましたのは、年末にジュネーブで開かれます人権関係の組織に北朝鮮を呼び出すことにしていると。そういう場面でこの問題を追及したいというお答えをいただきました。

 あと、国連の委員会の方でもニューヨークベースでありますけれども、改めて決議を行うことで準備したいということがありまして、早速、国連での演説もしていただいたところでございます。こういうような、いろんな国際的な動きを通じて、拉致被害者問題の解決を図り、松本京子さん初め、被害者の方々の1日も早い帰国を政府全体、あるいは国際社会として行っていただきたいと痛切に考えているところであります。

 さらに、いろんなPRをさせていただきまして、ニューヨークの総領事の公邸において、地元の三ツ星レストランシェフなどを交えて、日本からは知久馬さんや秦さんという調理人が行きました。そして、料理バトルのような形で競作をしたり、地元産品の展示やご賞味、試食をいただいたりしました。

 だいたい150本ぐらい商談があったそうでありまして、そのうち、少なくとも20件、30件といったベースは成立をし始めてきていると伺っております。ニューヨークという世界の首都で顔出しをするという機会になったかと思います。

 さらに、日系の最大のスーパーマーケットにおきまして、日本関係の食材でありますので、お酒なども含め、即売会もさせていただきました。これも、順調に売れておりまして、例えば、アジのフライのライスバーガーは、すぐに売り切れるというような活気を呈していました。私も、そちらの方に訪問をさせていただいたところであります。

 あと、現地で日系系列の旅行会社を訪ねました。そちらの方から、来年の6月に「YOKAIDO」というツアーをアメリカから出そうじゃないかと、これを募集しようという協議をさせていただきました。具体的には、最初は恐らく東京かどっかに入るんでありましょうが、最後は、その妖怪道を辿りまして、境港[市]に来ていただくと。

 境港[市]で生の妖怪に、といっても、ストリートにいる、着ぐるみ人形だと思いますが、それとか、水木しげるロードの雰囲気を味わっていただいたりしまして、そこを最終目的地にした妖怪道を辿っていただこうと。そういう、アメリカ人向けのツアーを組もうじゃないかと、こんなような話もさせていただいたところであります。




5 会計検査院検査の指摘について 

●知事

 その他、当面のいろんな行事等を考えておりますが、1つ、私共として改めて反省をしなければならない、組織全体として反省しなければならないと考えておりますのは、今、会計検査院といろんな協議を進めてきておりますが、大体、その協議の取りまとめが終わってきております。

 正直申し上げて、昨日も関西の[近畿ブロック]知事会で議論が懇談会の場であったんですけれども、会計検査院の検査のやり方も、やや一方的すぎて、いろいろと会計実務、正直言って、国の方の締め切りですね、会計の締め切りをあまりにも早くやることなど、国側の問題があることだとか、あるいは、見解の相違がやっぱりいろいろ各地で出ているようでありまして、そういう問題は、確かにあるんだと思います。

 その辺は、国にも、今後申し上げていかなければならないだろうという話もしていたわけでありますけれども。ただ、それはそれといたしまして、この県庁内の会計コンプライアンスを改めて正す必要は、私はあると思います。

 その意味で、緊急の幹部会を今日、昼前に召集をすることに急遽いたしました。それで、今、庁内の会計の見直し、いろんな点検を今やっておりまして、同じような問題がないかどうか、今、点検をいたしておりますが、その点検と並行して、今、会計検査の段階で、出てきている問題点を洗い出しまして、二度とこういうことが起こらないように、県民の信頼を再び勝ち得ることができるように、徹底をする方針を立てていきたいと思います。

 月内には、そういう方針を作って、コンプライアンスの確立を改めてやっていきたいと。会計の不正だとか、そういう不適正を、徹底をしていきたいというように考えている次第であります。




6 日程等について 

●知事

 あと、明日、全国から、同志の者が集まって、全国アマモサミット[2009]を県西部で開催をいたします。そのほか、各種の行事もあるわけでございますが、紅葉のシーズンも始まりましたので、ぜひ、皆様にはこの週末、大山桝水[高原]でハンバーガーを食べ比べていただきまして、寒空の下かも知れませんが体を温めていただければと思います。私からは以上です。


○共同通信 広江滋規 記者(幹事社)

 それでは、各社、質問あればお願いします。




7 会計検査院検査の指摘について 

○共同通信 広江滋規 記者

 聞きたいんですけど、会計検査院の話で、締め切りが早いっていうところと、あと、見解の相違のところをもう一度教えていただきたい。


●知事

 今、指摘される、今、最終段階に入っていますが、ほぼまとまってきたと思っております。その内容からしますと、正直、2,500万[円]程度、国費ベースだと1,000万[円]強でございますが、2,500万[円]程度の不適正な経理があったと私共も総括をさせていただいております。

 そのうち、平成19年、私が就任して以降、だいぶ会計をやり変えたんですけども、その後は、確かに質が変わってますし、額は100万[円]程度に減ってはいますけど、それでもなお、残っているという状況であります。

 それで、預けとか、他の県でみられるような悪質と言われるようなものは、本県ではありませんし、私的流用は認められてはいません。こういうような状況を惹起(じゃっき)した1つの原因というのは、国の方が補助事業を執行するわけでありますけども、それを何億円分、何千万円分ということで決めるわけです。

 それで、県の単独事業であれば、使い残しを当然認めて、繰越させると言いますか、余らせて、財源として翌年のものに使うわけでありますが、現実問題は、なかなかそこが、国との関係としてだいたい1月にいくらで決算しなさいと決められれば、それで、従わざるを得ないと。実情そういう実務があるということであります。

 これは、県内でも同じような誤解があるんじゃないかと思ってまして、使い残しは歓迎ですよということを改めて職員に徹底をさせていただくことも必要だと考えております。そういうような意味で早めに期限を切られるものですから、会計が硬直化して、年度末のぎりぎりのところで、結局、本県の場合は、年度末をまたいで、前年と今年度で入り繰りが出てきてしまうと。

 これは、昨日も関西方面の知事さんとお話を懇談したときでも、どこも同じような状況が出ているようでありまして、これは、本当は全国的な課題ではないかと思っております。


○共同通信 広江滋規 記者

 今後、国に申し上げていくっておっしゃられたのは、どういうことを。


●知事

 要は、使い残しを認めさせるということです。これは、今、政権側でも出ている複数年度会計ですか、ああいう考え方に近いものになるかもしれません。

 それでも、実際上、要は繰り越してもらって、翌年度使えばいいですよという形にしてもらえばいいわけでありますので、そこは、先方の方でどう考えられるかはあると思いますが、現在のこういう、使いきりを年度末よりも早い段階で決めてしまう実務をやめていただきたいと。これは、申し入れる必要があると思います。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 他県と共同で申し入れるというような。


●知事

 昨日は、そこまでは話はまとまっていないと思いますが、我々としては、そういうことは、申し上げていきたいと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 使い残し自体は、国の制度は変わってないわけですよね。国の制度が変わってない中で、県の不正な経理っていうのは減ってきているというのは、国の制度そのものとは関係なく、県の職員の気持ちの持ちようっていうか、やりかた次第ではそういうことは起きなかったんじゃないかとも思うんですけども、そこら辺はどうなんですか。


●知事

 私も同じような疑問は当然持っております。ですから、今日、幹部会を緊急に招集させていただき、二度とこういうことがないようにするためには、どういうことを徹底しなきゃいけないか、例えばいろいろ地方機関も県の中にはございます。

 それで、いろんな一人ひとりの職員にある程度任されているところはあると思うんですが、その意識を明確に持っていただくということは当然必要になってくると思います。

 今まで徹底してきたつもりではありましたけれども、残念ながら同じようなことが一部で繰り返されているという事実もありますので、山登りをしていて5合目、6合目ぐらいまで来ているのかもしれませんが、まだ登りきっていないところがあります。

 ですから、徹底をさらにしていく必要があると思います。そのためには、それを確保するためのルール作りもセットしなければならないと思います。例えば、これは片山前知事時代の事例ではありますけども、業者とおそらく下話をしながら会計対策をやっていたと思われるような事象も見受けられました。

 そういうことが起こらないようにするためにはどういうチェック体制を引けばいいのか。また、職員に対する厳罰を科するということも明示していくとか、これも必要なことではないかと思います。いずれにせよ、県民の付託を受けて我々公金を執行するわけでありますから、無駄にしないように、私たちとしては不適正を一掃することで、改めて組織を引き締める必要があると思います。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 県としては、もうすでにコンプライアンスの指針を定めておられるわけですけども、先ほど知事は月内に方針を定めるということでしたけども、それと、これまでの指針を塗り替えるような形になるんですか。


●知事

 ええ。これまでの指針をもう一度1からやり直したいという気持ちです。今日、皆と話し合ってみたいと思いますが、まだ100%の効果が上がっていないということがありますから、ある程度、特に裏金問題は今回出ておりませんので、その点は一掃されたと思うんですが、不適正と言われるような、見解の相違も正直国との間にありますけども、そういうところを徹底できるように、コンプライアンス指針を全面的にやり直して新しく制定し直す必要があると思います。




8 パナソニックによる三洋電機の子会社化について 

○山陰中央新報 太田満明 記者

 パナソニックの三洋のTOBですか、今日から始まっているんですけれども、何か県として対応ありますか。


●知事

 これは、今、今日現在は見守るしかないと。というのも、これ経済行為でTOB[(株式公開買付)]は始まっているわけでありまして、おそらく今日から向こう1月間くらいかかるんじゃないかという観測をしております。ただ、担当部局の方に指示をいたしておりますのは、それが終わり次第、今度は三洋側とパナソニックでお互いに調整する協議会を作る約束になってるんです。

 例えば、家電で白物家電、我々だったら三洋が鳥取三洋、旧鳥取三洋がございまして、これとパナソニック側の家電部門があると。こういうところでお互いこれからどうやっていくかっていうのを、コーディネーション、調整をする、そういう委員会が今後立ち上げられることになっているんです、従来からの取決めで。

 そうしたタイミングをにらんで、今のTOBが終了次第、我々としてはパナソニックさん、それから三洋さんの本体の方に、地元の実情を要請に上がる必要はあるだろうと思っておりまして、そうした要請をさせてもらえるように、先方と調整するように指示しました。

 だから、12月に入ってからになるんじゃないですかね。TOBをやっている間に、あんまり地元で波風を立てますとちょっと経済行為を邪魔することになりますので、その後のタイミングだと思っています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 それはパナソニックと三洋、両方に。


●知事

 両方ですね。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 ということは、統合した後の姿っていうのは見えないわけですよね。


●知事

 統合しますと、今の約束では親会社のパナソニックがありまして、これの出資をしていると言いますか、資本関係、従属関係にある三洋が誕生します。ただ、このパナソニックと三洋の傘下に白物家電がぶらさがり、電池がぶらさがりと、こういうようにいろんな部門がぶらさがると、こういうことになると思います。

 当面は、この三洋が、傘の下にグループ会社、うちでいうとCE、コンシューマエレクトロニクスを配下の会社として運営するということになると思います。ただ、この同じような重複した部門があるじゃないかという議論がございまして、じゃ、そこの事業をどうやって整理をしていくか、あるいは伸ばしていくか、これは今後の話合いということになるわけであります。

 TOBが終わりますと完全にこれ、子会社関係になりますので、そこの話合いが始まるタイミングが出てくる。ここらが我々としては重大な関心を寄せざるを得ない時期だと思っています。

 今まで独占禁止法関係で日本、アメリカ、中国、ヨーロッパといったような場所で、それぞれに審査が慎重に行なわれてきて時間がかかっていました。そういうことが終わって、今、ようやくTOBが始まったわけでありますので、ついにこの時がきたかなと思っております。我々としては、地元での雇用が確保されるように、要請活動を両社に対して行っていきたいと思っています。




9 世界ジオパークネットワーク加盟申請に向けて 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 ジオパークなんですけども、委員会の方からは、研究が過去40年前とか50年前のものはあるけども、最近のものがあんまりないと、そういう点が課題として挙げられたんですけども、そういう課題を克服するために何かしようとか。


●知事

 これは、正直申し上げて、昨年と比べて格段に進歩したということも、委員会の方から認めていただきました。大阪[府立大学]の三田村先生だとか、我々の方、[鳥取大学名誉教授の]西田先生だとか、そうした教授陣、学識経験者のネットワークを組みまして、これでジオパークの意義の整理は出来てきていると思います。

 ただ、確かに残されているのは、深い掘り下げた研究を行っていく。特に、委員会から示されましたのは、玄武洞の研究などの領域だと思います。

 昨日、3府県の知事同士の個別に合間をぬって話合いをいろいろしましたけれども、その中で、例えば、兵庫[県]だったら県立大学という組織があったりしますので、そうした組織などを活用して、こういう研究を深めることは出来ないだろうか、そういう話もさせていただきました。

 ですから、来年度に向けて、今、おっしゃったような研究の促進について、具体的に方策を出していきたいと3府県では考えております。多分、そういう方向性になると思います。




10 新型インフルエンザのワクチン接種について 

○読売新聞 高山千香 記者

 新型インフルエンザワクチンの件なんですけれども、受験生枠を作りたいというふうに知事はおっしゃられていたんですが、国の方としては難しいというような話になっているようなんですけれども、今後どういうふうに対応していかれるか、教えていただけますか。


●知事

 これは、制度的な制約も確かにあるでしょうけれども、昨日も関西方面の知事での話合いで、私の方からその受験生の問題も申し上げました。徳島[県]の飯泉(いいずみ)知事も、また別の観点で新型インフルエンザ対策を議論されておられました。

 本県は、このたび[患者数が]10人という定点観測の数字を超えましてインフルエンザ注意報を発令をさせていただきました。全国的な流行よりも2週間とか、だいぶ遅れた形で、本県動いていると考えておりますが、先週ちょっと急激に流行が広がり始めたという感じがいたしております。

 ですから、今のワクチンを、出来るだけ前倒しして接種をしていこう、これを捻出していこう。これを今、組織全体でプロジェクトも作ってやって来ております。その中で、捻出をした分で、とりあえず11月の6日、明日から、入院しておられます基礎疾患がある患者さん向けには、新型インフルエンザ対応ワクチンを接種をすることにしたいと思っています。そういう算段がようやくつきました。

 それから、11月の14日から妊婦さんに対する接種を開始をすると。これもワクチンの算段が立ちました。こういうふうに、今、順次やり繰りをしながら、枠を捻出しながら進めていると。明日から始める分も、これは医療従事者に分けられると想定していた枠の分を、これを使わせていただいて、まずは、急がれる基礎疾患の患者さんに対するものを始めていこうという考え方です。

 こういうことで、順次、今からインフルエンザのワクチンの枠が、国の方から流れて来ます。まず、その中で、どれ程、本県の場合、実際、捻出可能な枠があるかどうかもみながら、この問題を我々としては前向きに考えていきたいと思っています。

 受験生と言っても、高校3年生に比べて浪人生として頑張っておられる人の数は、ごく限られていますので、本来はこういう枠取りは出来るんじゃないかと、我々は考えており、その辺の柔軟な執行を、国に対しては求めたいと思っています。まだ、その時期まで若干、日がありますので、これについては粘り強く、国にも働きかけをしていきたいと思っております。

 とにかく今は、淡々と県民の皆様が広く、なるべく接種を受けられるような方向で、スムーズに接種開始を行っていくことだと思っています。徳島[県]からも柔軟な執行をせよという話が強く昨日出ていました。こうしたことは、恐らく各都道府県の現場からは共通の話だと思いますので、私たちとしては、引き続き働き掛けていきたいと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 ただ、現時点では、基礎疾患の人全てに行き渡るかどうかという確保も、十分されてはないのは確かですよね。


●知事

 今、その辺の見込をつけながらやっていけば、そこは、どうであろうかというとこだと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 将来的には、もし余れば受験生枠っていうのも、柔軟に対応してもらいたいと。


●知事

 そうですね。だから、枠としては一応のものはあるのであれば、それは可能ではないかと。今、まだ事態は動いているんだと、私は思っているんです。例えば、当初の想定に反して、医療従事者は1回接種で終わることになりました。

 また、妊婦さんについてアメリカの報告として、2回でなくて1回接種で十分だという報告が出ているということも言われておりまして、国の方で速やかに、その辺の決着を順番につけていったら良いと思うんです。

 今、ある基礎疾患以降の部分は、国の方もやや曖昧になってまして、原則2回接種だと。ただ、サーベイランスをしながら、その有効性が確立されれば、見直しもあり得るべしという、そういうおきかたで、今、政府は動いておりますので、この辺は早く結論を出して、なるべく幅広い人に行き渡るのが予防接種の本来でありましょうから、そういう方向性を国としては追及してもらいたいと思います。

 そういう方向性が出てくれば、何の問題もなく、今、我々が申しておりますような浪人生の皆さんに対する配慮ぐらいは、当然枠としては準備できるだろうと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 ただ、現時点では、その方向性自体ははっきり見えて来てないのも事実で、かつ、これは制度的には国の指針の中で動いていかないといけない面もあるからこそ、10月21日に国に対して、そう要望されたんだと思うんですけども、今の時点でというので考えれば、枠っていうのは、まだ、受験生枠っていうのを確保するって断言できるまではいってないということでしょうか。


●知事

 今は、まだ、その折衝もありますので、そこの制約があることは承知をいたしております。ただ、そこのところは、昨日も私が申し上げましたら、他の県の知事さんも、なるほどそうだろうというふうに頷いておられる人も多かったでありますから、これ、粘り強く、国に対して働き掛けていくべき課題であると思います。私は、国の方がちょっと硬直的に運用してるんじゃないかなと思います。


○毎日新聞 宇多川はるか 記者

 その数を捻出していく中で対応されると思うんですけど、そうは言っても、その受験生枠を作るとしたら年内になってくると思うんですが、最終的に作りますっていう方針を示されるのは、今月内になってくるんでしょうか。


●知事

 今月から来月にかけてぐらいが最後の判断時期だと思います。今は、全体の[新型]インフルエンザワクチン接種が円滑に行くように、それがさらに有効に県内で使われるように我々としては態勢整備を図っていく方が優先されると思います。その中で、自ずから、そうした枠ができるかどうかは見えてくるんじゃないかと思います。




11 民主党の陳情取扱いについて 

○時事通信 京正祐之 記者

 民主党が地方からの陳情を、幹事長室で一括して取り扱うっていう方針を決めたんですけど、そのことについて知事としてはどういうお考えなんでしょうか。


●知事

 それは、党内でどういう議論が、今なされているのか。私どもは、よくちょっと見えないところがあります。昨日も、これは関西の方の知事会での議論でありますが、私もそうですし、他の知事も主張されてましたが、早い段階で、今の新型インフルエンザ問題もそうでありますけども、そうした個別の課題について地方の現場と協議をする機会を作るべきだということを申しております。

 それは、やっぱり、いろんなことが政治主導で決まっていくのは良いんですけれども、現場感覚、住民だとか、地域の実情から離れてしまって物事が決められてしまうことには一様に不安があるということではないかと思います。

 幹事長室に民主党内で一元化されるということで、それが果たしてスムーズに進むのかどうか、これはちょっと今後のことを見てみないと分からないというのが正直なところです。私は、民主主義でありますので、しかも国会議員というのは全て国民の代表であり地域の代表でありますから、十分な権限行使を、中央政府の中で果されるのが本来ではないかと思います。

 ですから、党内事情でいろんなことが検討されているんだろうとは思いますけれども、地域や住民の実情が、政治に反映される仕組みは確立されなければならないと思います。




12 パナソニックによる三洋電機子会社化について(再質問) 

○日本海新聞 川口耕 記者

 ちょっと三洋の話に戻るんですけれども、先ほど、地元の実情なんかを踏まえながら要請していくという話がありましたけれども、前回も行かれていろいろ要請されたと思うんですけれども、大坪社長なんかは明らかに家電部門とは言っていませんけれども、整理的なことはやるということをおっしゃっているんですけれども、具体的にどういうかたちで伝えていくのかなというとこが、今後、焦点になってくると思うんですけれども、知事としてはどういうので、今のところ、どういうふうに説得されるという。


●知事

 TOBの状況も見なきゃいけないと思いますけども、私は、三洋コンシューマエレクトロニクスという、地域の一番手の企業と言って良いと思います、この企業さんが培ってきた技術力、それから、商品の訴求力、それから、人間の層の厚さ、こうしたものを総体として有効に活用することは当然必要だと思います。

 この点は、企業論理の中でも理解される部分が当然あるだろうと思っております。ですから、こうした経営支援を有効に活用していただくことで、地域の雇用を確保していただきたい。その遡上で、例えば、新商品開発に伴った展開とか、地域として支援できるものがあれば、それは積極的に我々もメニューを考えて支援していきたいと、このぐらいのことは申し上げる必要があるかなと思っております。

 そうして、なんとか、ここでの経営活動、企業活動を継続してもらえるように働きかけたいと思っております。今も、実はいろんなことが動き始めているのも事実だと思うんです。先ほど申し上げた独占禁止法との関係から、県内でも三洋エナジーさんの再編が行われました。

 これは丸ごと別会社の方へ移行するという形で、雇用は確保され、おそらく業務領域からして、生産活動が中断されるということではなくて、継続されるということだと思っておりますが、いろんなことがこれから起きてくるだろうと、それは思います。ですから、このタイミングで、地域の思いを経営トップの方に届けていくことは重要だと思います。




13 (社福)あすなろ会への指導監査について 

○日本海新聞 田村彰彦 記者

 ちょっとまた話題が変わりますけれども、[社会福祉法人]あすなろ会の専務理事が資金を不正に流用した問題なんですけども、県も2年に1度のペースで社会福祉法人の定期監査を行ってきたわけなんですけども、その監査で見抜けなかったという、そのチェック体制が甘かったのではないかと思うのですが、そのあたり知事はどう受け止めておられますか。


 ●知事

 このことは、もう一度点検する必要があると思います。一義的には残念ながら社会福祉法人側の問題だと思いますが、県としての定期監査の方法についても有効なものになり得るように向上させる必要もそれはあるだろうと思います。

 若干、法で与えられた権限の限界も当然あるわけでありますが、我々としても、体制の点検を行っていく必要があると思います。法人の方には、現在、いわば改善指導をしているところでありまして、その報告期限が12月の20日過ぎだったと思いますが、それまでに、県の方から提起をしている改善を図るように、今、求めているところであります。ぜひ、襟を正していただきたいと考えております。


○読売新聞 高山千香 記者

 そのことに関連してなんですが、一部に公的に公金の支援というのも県からあすなろ会に対して公的な補助金というのも出していたかと思うんですけども、その返還なり、法的措置というのは、もし現状回復できない場合、求めていくのかというのを教えていただけますか。年間600万円程と聞いているんですが。


●知事

 それはちょっと、補助金の趣旨によると思いますが、それはどういう趣旨の助成金だかちょっと私も詳細聞いておりませんので、ちょっと部局の方に聞いてもらった方がいいかもしれません。

 実は、我々も悩ましいのは、社会福祉法上などの権限行使には一定の限界は当然あるわけでありまして、要はそういう福祉の事業をやってることに対する補助金が出ていた場合に、向こう側で、要は法人は法人でありまして、その内の中の人が不正を行ったと。

 それで、それが結局、借入金を付け替えるとかいうようなことが行われたようでありますが、そういうことが、その補助金を行った、例えば介護者の受け入れを行っていますよね、そういうことすべてに、じゃあ、お金を返せとなるかというと、そういう仕組みには実はなってないです。

 ですから、そこをちょっとよく点検してみなければいけないと思います。今、我々の方で執行しているのは、監査の結果、特別監査に入りまして、これは我々として自主的に入ったわけでありますが、事情を勘案しましてね、それで特別監査の結果を受けて、この点を改善しなさいと。今、おっしゃる現状回復措置もその中で求めているわけであります。

 これに対してどういう答えを出されるのかなというのを、今見ているところです。この我々の方の措置要求に対しての返答如何によって、初めて私たちの方に命令権が出てくるところがございまして、その後、行政処分を含めた対応がその後で出てくる仕組みに、今なっておるとこなんです。この辺の一連のプロセスがありますので、その中で判断をしていくと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 定期監査については、裏帳簿を作られたりしたら、当然見抜けなかったりするのもやむを得ないかなと思うんですけども、今回の12月21日まででしたっけ、改善する点の中には、会計の責任者をきちんと置くようにとか、当然ながら定期監査の中で、会計的な会計体制の不備というのが見抜けるような点までもこれまで見過ごされたことになっているんですけども、定期監査のありようを改善するっていうのは、どういう点が改善点としては考えられるんでしょうか。


●知事

 例えば、チェック項目をどうするかとか、それから何を点検対象の、帳簿だとかにしていくかとか、そういう見直しの余地は私はあるように思います。定期監査ですから、かなり大量にさばかなきゃいけないという制約はありますけども、実務的にこういうことはやるべきだというのはあると思いますので、その点は点検する必要はあると思います。


○毎日新聞 宇多川はるか 記者

 今回、帳簿外の経理についてが問題になったわけで、点検の余地というのは、どこにあるのかなと思うんですけども。


●知事

 そこは、だから正直、社会福祉法上は我々が定期監査に入る権限が認められているわけですけども、それには正直限界があるのは事実です。ただ、そういう範囲内でもできることはあると思いますので、点検はしていきたいと思います。


○共同通信 広江滋規 記者(幹事社)

 他に、各社質問ありますか。ないようなので、終わります。


●知事

 はい。どうもありがとうございました。



  

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