防災・危機管理情報

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第11章 再生協議会事業

第1 制度の目的

 

この事業は、中小企業の再生に向けた取組を支援するため、産業活力再生特別措置法に基づき、中小企業再生支援協議会を設置し、事業の将来性はあるが、財務上の問題を抱えている中小企業者を対象に、経営相談・再生支援を行う事業である。

第2 制度の仕組み

 

機構は、中小企業の再生支援を行うための支援機関に認定され、設置した鳥取県再生支援協議会の審議結果による助言を受けることになっている。

実際の支援業務は機構内の部署である企業再生支援室の職員が担当し、経営不安に陥った企業あるいはそのような企業に融資している金融機関からの相談を受け、鳥取県再生支援協議会の助言により再生計画策定の支援を行っている。

第3 事業活動の実績

 

再生支援室設置の平成15年度からの累計相談件数は182件であった。平成15年度から平成20年度までに再生計画策定支援の2次対応を行った数は30件であった。

第4 平成20年度の事業費及び管理費の支出状況

 

再生支援室の事業費及び管理費は全額国費で措置されている。

平成20年度の再生支援室の事業費と管理費の合計額9,667万円を当該年度の相談件数34件で除すると窓口相談1件当たり284万円の経費を要したことになる。

支援依頼企業の経営者の再生に向かう強い決意と経営改善力がなければ再生はできない。一つでも多くの再生成功事例を作ることでしか、この公的支援に報いることはできない。支援依頼企業の経営者は、この金額を重く受けとめ、再生実現に決死の覚悟で立向かい再生を実現しなければならぬ。

第5 意見  再生支援策を県の知的財産とすることを求める

 

機構内に再生支援室を設置しているが、国の事業であること、また特殊な事業であるという理由でこの支援室はまったく機構とは隔離された状態で再生支援業務を行っている。

国の事業とはいえ、県内企業を再生するために設置した機構内の組織なのであるから、多少なりとも機構の他部門との情報交換の公式の場をつくるべきである。

再生支援室は、課題の一つに人材の確保が難しいことを上げている。企業再生支援を充実するためには、再生支援室の人材を確保すること、そしてこれまでの再生計画づくりからつかみ取った再生支援策を県の知的財産として役立てていくことが重要と考える。

 

 

 

 

 

第12章 都市エリア産学官連携促進事業

報告書74頁参照

第13章 次世代・地域資源産業育成事業

第1 制度の目的

 

他地域との差別化となり得る地域資源を活用し、新事業の創出、域外等への事業展開を目指す中小企業者等の支援を行うことで、地域経済を牽引する産業を創出することを目的とする。

第2 制度の仕組み

 

中小企業基盤整備機構が40億円を県に無利子で貸し付ける。県は自己資金10億円を加えて50億円を10年間無利息で貸し付ける。機構はその50億円を基金財源にして、企業に対する助成金支給を行っている。助成率は、助成対象経費の3分の2、助成期間は24か月以内である。

第3 事業の成果

 

平成20年度は、事業申請件数30件に対し17件の事業を採択した。

助成金交付決定額の合計は1億2,785万円、1件あたりの平均助成金交付決定額は752万円である。平成20年度中は大部分の事業が継続中の状態であり、企業からの概算払の請求も行われなかったため、実際に支払われた助成金は68万円であった。

第4 平成20年度の決算の状況

 

事業財源50億円を定期預金358万円及び投資有価証券49億9,642万円で運用している。平成 20年度における運用利息は9,231万円であった。

平成20年度の経常費用合計は359万円、うち助成金は平成20年度に採択事業が完了した1団体に対する支払助成金67万円である。収支差額8,879万円が次年度に繰り越されている。

第5 指摘事項 平成20年度の収支均衡予算は支出すべき事業費を映し出していない

 

平成20年度の予算に8,536万円の助成金支出を計上していた。この助成金支出予算額は、平成20年度予算の収支差額をゼロにするために算定した金額である。このような収支均衡予算を策定すべきではない。予算は執行すべき事業を映し出すものである。可能な限り正確に予算を策定しなければならない。

第6 意見

 

 

1

 100パーセントの事業化を目指して支援することが必要である

 

支援する機構は国の掲げる3年以内に助成件数の30パーセントを事業化するという成果数値目標30パーセントにとらわれることなく、100パーセントの成功戦略をもって支援に取り組まなければならない。

 

2

 1億円を超える普通預金の一部定期預金化等が必要であった

 

機構の担当者は1億円を超える普通預金残高の一部を定期預金等で運用することを中小企業基盤整備機構の担当者に相談したが、了解を得られなかった。国民の理解は得られないと考える。

 

3

 次年度以降の助成金執行予定額の財務諸表注記が必要と考える

 

次年度以降の助成金支出額はある程度予測可能な金額であり、重要な事項である。財務諸表注記が必要と考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第14章 工業高校実践教育導入事業

第1 制度の背景と目的

 

わが国のものづくり産業を支えている中小企業においては、技術・技能の伝承と若手技術者の育成・確保が喫緊の課題である。そのために、産業界と工業系高校の連携によりものづくり人材育成の仕組みの構築を事業目的としている。

第2 制度の仕組み

 

この制度は経済産業省と文部科学省との共同事業であり、事業実施年度は平成19年度から平成 21年度までの3か年度である。

工業高校等実践教育導入事業に関する委託業務は、経済産業省(中国経済産業局扱い)と機構との委託契約に基づき機構が事業の執行を行っている。

第3 5つの活動事業

 

企業活動に必要な基本的知識・技術を持ち、どんな分野にも積極的に応用できるチャレンジ精神

に富んだ人材を育成することを目指し、インターンシップ、外部講師の派遣、教員の企業研修、共同(課題)研究、起業化教育によるチャレンジ精神の育成の5つの活動を行っている。

第4 予算と事業実績

 

予算総額1,436万円に対し、事業経費の実績額は1,272万円であった。委託事業費の約9割を人件費と事業費が占めている。事業費の予算総額は663万円、決算額は610万円であった。

第5 意見

 

 

1 工業高校実践教育導入事業の成果を評価する

 

参加企業数は、事業開始から平成21年12月末での間で171社、延べ参加企業数は約400社に達している。高校生、学校の教師及び企業にとって無形の学びと気づきが生まれた。

 

2

 工業高校の実践教育立県を目指せ

 

国からの委託がなくなる平成22年度以降は、県が事業を継承しなければならない。工業高校実践教育導入事業は、すぐに成果が表れる事業ではない。この事業は、若い人材を育てていくこと、若い人材が県外に流失することによる地元企業の衰退を防ぐために必要な事業である。

この事業により県内企業と学校との接点ができた。しかし、まだ産業界と学校の歯車がかみ合っていない状態である。今後、産業界と学校との歯車がかみ合い、そして円滑に回転し、鳥取県が工業高校実践教育の先進県(モデル県)となることを期待している。

第15章 戦略的基盤技術高度化支援事業

第1 制度の目的

   この事業は、中小企業のものづくり基盤技術に資する革新的、ハイリスクな研究開発を促進、支援することを目的とする。

第2 制度の仕組み

   機構は、中小企業が経済産業省の認定を受けることができるよう研究開発計画の作成を支援する。認定を受けた中小企業は、国からの公募に基づき提案を行い、採択されると、経済産業省がその研究開発を委託費として支援する。委託契約期間は1計画あたり2年又は3年となっている。採択された事業について国と機構との間で委託契約が取り交わされ、機構と実際に研究開発を実施する民間企業及び鳥取県産業技術センターとの間で再委託契約を取り交わしている。

第3 事業の実施状況

   平成19年度から3か年度にわたり、MEMS型水素センサー素子及び実装技術の開発(以下、水素センサー技術という。)と 次世代プレス技術による難加工材高精度加工技術の開発とメンテナンス技能データベース化(以下、次世代プレス技術という。)の2つの事業の支援を行っている。

第4 平成20年度の事業費の内容

   水素センサー技術事業の事業費は3,329万円、次世代プレス技術に関する開発事業の事業費は3,369万円である。この事業は新製品や新技術の研究開発を行うことが目的のため、研究開発に必要な設備機器、それも精度の高い最新の機器の購入が不可欠となる。そのため、機械購入費である機械設備費に多額の支出が必要な事業となっている。

第5 平成20年度の財産・債務の状況

   国からの委託金収益は6,860万円であり、その収入時期は翌年度になるために未収金に計上している。その間の事業費を自己資金で立替払しなければならない。立替払の資金を金融機関からの短期借入金5,600万円及び他会計からの借入金1,500万円で賄っている。

第6 意見 2件の事業採択に鳥取県のポテンシャルを感じた

全国の採択数の合計は89件、47都道府県の平均採択数は1.89件になっている。中国5県全体で17件の応募に対し6件の採択、その6件のうち鳥取県の採択数2件は評価できる。このことは、県内企業が先進的開発研究力を有しているだけでなく、機構が県内企業の開発研究力を日常活動を通して熟知していること、県内企業等を共同開発研究のレールに乗せる連携実現力があることを映し出したものと見ている。
  

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