3.1 三大湖沼等豊かな自然環境の保全・再生

平成20年度版 鳥取県環境白書

3.自然と人間との共生の確保

 3.1 三大湖沼等豊かな自然環境の保全・再生

中海水質浄化対策推進

1 事業の目的

 鳥取県及び島根県では、中海の水質保全のため、平成元年度以降、湖沼水質保全計画を策定し、各種水質保全施策を総合的かつ計画的な推進を図る。


2 現状及び課題

 湖沼環境基準の達成には至っておらず、平成16年度には第 4期計画を策定し、関係機関、関係市、事業者及び住民等の理解と協力を得て、引き続き浄化対策を推進している。


3 事業内容

  1. 下水道の整備等各種浄化施策をとりまとめた第 4期「中海に係る湖沼水質保全計画」(平成16~20年度)の推進
  2. 中海水質改善対策協議会(鳥取・島根両県及び中海周辺 4市 1町)における一層の水質改善のための方策の検討
  3. 中海水質汚濁防止対策協議会(鳥取・島根両県及び中海周辺 4市 1町)の運営
  4. 住民参加型の水質調査等の実施

 平成20年度の実績


  ○ 第 4期「中海湖沼水質保全計画」に基づき生活排水処理施設の整備等各種浄化事業を推進した。
  ○ 中海水質改善対策協議会(鳥取・島根両県及び中海周辺 4市 1町で構成)を開催し、水質改善措置等を検討・協議した。
  ○ 中海水質汚濁防止対策協議会(鳥取・島根両県及び中海周辺 4市 1町で構成)の運営を通じて、水質浄化に向けた各方面の取組を促進した。


●担当:生活環境部 水・大気環境課 水質担当 電話0857-26-7197


参考URL
  鳥取県水・大気環境課のwebサイトより
  「水・大気環境課」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=20225


中海の水質浄化と賢明利用事業

1 事業の目的

 NPO法人などの活動や効果の情報、中海の現状、関係行政機関の取組みを住民へ提供するとともに、住民参加型の水質調査を実施して自然再生活動の輪を流域全体に拡大する。


2 背景、現状、及び課題

  1. 平成17年11月ラムサール条約の登録を受け、賢明利用と環境保全が大きな課題。
  2. 湖沼水質保全計画に基づき水質浄化対策を実施しているが全体的に横ばいの状態。
  3. 今後、中海の自然再生を進展させていく上では地域住民の参加が不可欠であり、関心を高めていく必要がある。
  4. NPO、住民団体等による取り組みが進展しつつあるが、広く地域住民の活動になったとは必ずしもいえない。
  5. 賢明利用については、観光やレクリエーションでの活動支援が課題。 

3 事業の内容

  1. 中海エコ活動レポートの作成
    中海の現状、NPO法人などの活動や効果、関係行政機関の取組み等を掲載したリーフレットを発行。
  2. 住民参加型の水質調査
    中海流入河川調査、湖沼環境モニター(五感により湖沼の環境を採点)。
  3. 中海沿岸の環境モニタリング事業
    身近な中海沿岸 7箇所において、水質等のモニタリング調査を実施。
  4. 中海の自然再生協働事業
    (1)中海の再生と賢明利用をテーマに住民座談会を開催し、意見交換の実施。
    (2)中海ポスターコンクールの鳥取県知事賞を創設。

 平成20年度の実績


中海エコ活動レポートの発行
NPO、関係行政機関の取組などを掲載した情報誌を島根県と共同で発行した。
( 2回 : 10月、3月)
 
中海ポスターコンクールの表彰
NPOが主催する子ども達を対象とした中海ポスターコンクールに西部総合事務所長賞を提供した。
 
中海湖沼環境モニターの実施
H19年10月~H20年9月までの調査結果を報道機関、ホームページを通じて県民に広報した。
 
中海の再生と賢明利用を考える会
ラムサール条約登録後 3年経過を踏まえて、島根県と協働で、鳥取・島根両県の住民団体の活動発表などを行い、両県の住民団体の交流を行った。
 
中海湖岸のモニタリング調査の実施
NPOなどの取り組みが実施されている中海の湖岸 7地点(各 4回)で水質調査を開始し、ホームページで調査結果を情報提供した。


●担当:西部総合事務所 生活環境局 環境・循環推進課環境衛生係 電話0859-31-9350


参考URL
  西部総合事務所のwebサイトより
  「生活環境局」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=6128


アマモとサルボウを用いた中海の水質浄化に関する研究

1 事業の背景

  1. これまで中海の水質浄化を目的として流入負荷の削減を中心とした施策が講じられてきたが、未だ環境基準は達成されていない。
  2. その理由のひとつとして生物の激減によって、これらによる水質浄化能が失われてきたことによると考えられる。
  3. したがって、かつて中海に生息していたアマモ類・サルボウ等生態系の回復を視野に入れた水質浄化手法を検討する必要がある。

2 事業内容

 今後の水質浄化施策に活用するためにアマモ類(アマモ・コアマモ)・サルボウを用いた水質浄化技術の検討を行う。

  1. 現地調査、室内実験による生育可能域の推定、及びその確認
  2. 室内・室外実験(現場での移植実験等)による水質浄化能の測定

3 効果

  1. アマモ場の再生による生態系回復。
  2. アマモ類とサルボウの分布拡大による水質浄化効果。
  3. 水産振興、住民活動の支援等の地域貢献。

    アマモとサルボウのイラスト

 平成20年度の実績


コアマモの中海承水路への移植を試み、コアマモの定着を確認した。
水路で育成したコアマモから、種子の採取と発芽を認めた。
中海におけるサルボウの育成可能な環境を、塩分躍層の下部( >4~5m )で、貧酸素にならない水域と推定した。


●担当:生活環境部 衛生環境研究所 水環境室 電話0858-35-5417


参考URL
  鳥取県衛生環境研究所のwebサイトより
  「衛生環境研究所」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=3565


中海生態系の長期変動と研究成果の活用方法に関する研究

1 事業の現状・目的・効果

(1) 中海生態系は20世紀に著しく衰退した後、回復の兆しが見えない。
(2) さらに、降水量の変動や海面上昇に代表される近年の環境変動が、中海生態系に新たな変化を引き起こす恐れがある。
(3) したがって、中海生態系の管理には、過去における生態系の衰退と今日における環境変動の影響を考慮に入れなければならない。
(4) また、生態系の管理には住民の理解が不可欠なため、中海生態系に関する情報を積極的に公開する必要がある。

2 事業内容

 中海生態系が過去に衰退した過程を明らかにすると同時に、今日の環境変動が将来の中海生態系にどのような変化を生み出すのかを予測し、中海生態系の長期的な管理法を提言。

  1. 過去100年間に中海生態系がどのように衰退したのかを、底質コア試料等を用いて明確化。
  2. 降水量の変動や海面上昇をはじめとする近年の環境変動が、将来の中海生態系にどのような変化を生み出すのかを近年の環境・生物データを用いて予測。
  3. 以上の成果を長期的な中海生態系の管理のための資料とする。さらに、成果を中海環境GISにまとめて、県HP上の「とっとりwebマップ」を用いて一般に公開。

 平成20年度の実績


1 底質コア試料と文献資料の分析を通じて、中海の貧酸素水域は20世紀初頭に弓ヶ浜半島沖で発生した後、時計回りに拡大、この過程でサルボウの分布域・漁場が縮小していったことが判明した。

2 上記の分析の中で、中海の汚濁化が急速に進んだと言われている昭和30年代は、大根島以南の水域が全て貧酸素化したタイミングであったことが併せて判明した。

3 東郷池に関して前年度に行った文献調査の成果を関係機関に提供、これを踏まえた東郷池の水草刈りとその肥料活用が湯梨浜町民により実施された。



●担当:生活環境部 衛生環境研究所 水環境室 電話0858-35-5417


参考URL
  鳥取県衛生環境研究所のwebサイトより
  「衛生環境研究所」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=3565


中海漁場環境調査

1 事業の目的・効果

 中海の漁場環境や本県水産資源の育成場としての実態を明らかにし、水産資源の有効利用や漁場環境の保全・改善等、水産振興策を検討するための基礎情報を得るとともに、本庄工区開削の影響把握に備える。


2 事業内容

  1. アマモ場の分布実態の把握
     アマモ場の分布範囲や季節的な消長を調査
  2. 魚類幼生の育成場としての機能調査
     毎月のネット調査により、魚類の幼生出現状況をモニタリング
  3. 水質や底質の調査
     塩分・水温・溶存酸素量などの水質や、底質の汚れ具合などを調査
  4. 底性生物分布調査
     アサリなどの有用貝類、その他の小型底性生物の分布状況を調査
  5. 漁業実態調査
     漁業による中海の利用実績の調査

 平成20年度の実績


1 調査内容の概要
  (1) 定期調査
図1に示した定点を設定し、以下のような調査を月1回実施した。
C2~5:水質、底質、底性生物、ラーバネット、サーフネット(C2、C5のみ)
C6~7:水質、ラーバネット( 2ヶ月に 1回、島根県調査船で実施)

H1~4:サーフネット
 
2 調査結果の概要
  (1) 有用魚介類調査
 中海の刺網漁業者に操業野帳の記載を依頼し、スズキ、ボラ等の漁業資源の利用実態を把握した。
 操業海域については、鳥取県水域では約 4割であり、約 6割は島根県水域で操業していた。また重要魚種としては、ボラ、スズキが挙げられ、夏期のシジミ、冬期のハゼが季節的な重要魚種であることが判明した。


図2 操業場所別漁獲量( H20.3~12月 )

    表1 標本船の月別魚種別漁獲量(H20.3~12月)


  (2) 環境
 江島を境界に、中海内部では溶存酸素の乏しい水塊が恒常的に存在し、劣悪な漁場環境であることが分かった。一方江島大橋より外側(境水道)では、比較的貧酸素の影響が少ない傾向が認められた。


図3 H20年7月における定点C2、C4、C5の水深別D.O.(溶存酸素量)の推移
 
  (3) 育成場調査
・ラーバネット調査
 湾東奥部のような貧酸素水塊が存在する水域(C4、C5)では、塩分的な条件としては、多くの海産魚類の稚魚が生息できる場所でもあるにもかかわらず、稚魚の分布量や稚魚の出現種数(多様性)がかなり貧弱な状態であることが判明した。


図4 ラーバネットで採集された仔稚魚の月別推移(H18.4~H20.12月別平均値)

・サーフネット調査
 アマモが繁茂する 2月から 6月にかけて、稚魚の採集数は、非アマモ場に比べアマモ場で概ね多い傾向が伺え、年間をとおしての採集数の合計は、アマモ場が 8,875尾/ 6分曳と非アマモ場の 2,877尾/ 6分曳の約 3倍となった。また、採集種数に関しても同様にアマモ場で多くの魚種が採集され、アマモ場において 47種が採集されたのに対し、非アマモ場では30種となった。


 


図5 アマモ場、非アマモ場におけるサーフネットによる採集尾数(上図)と採集種数(下図)の月別推移(H18-20の平均値)


●担当:農林水産部 水産振興局 水産試験場 沿岸漁業部 増殖技術室 電話0858-34-3321


参考URL
  鳥取県水産試験場のwebサイトより
 「鳥取県水産試験場」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=101098


東郷池水質浄化対策推進

1 事業の現状・効果

  1. 東郷池の水質保全を図るため、従来から下水道、農業集落排水処理施設の整備などの種々の対策を講じ、東郷池への汚濁負荷削減を図ってきたが、現在のところ、湖沼環境基準の達成には至っていない。
  2. このような状況から、東郷池のなお一層の水質改善を図るため、平成18年度に東郷池水質管理計画を策定し、関係機関、事業者及び住民等の連携のもと、浄化対策を総合的かつ計画的に推進している。

2 事業内容

  1. 生活排水対策等各種浄化施策をとりまとめた「東郷池水質管理計画」(平成18~27年度)の推進
  2. 東郷池湖上観察会

 平成20年度の実績


第1期「東郷池水質管理計画」に基づき各種浄化施策を推進した。



●担当:生活環境部 水・大気環境課 水質担当 電話0857-26-7197


参考URL
  鳥取県水・大気環境課のwebサイトより
  「水環境」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=20225


東郷池におけるピコプランクトンの増殖特性に関する研究

1 事業の背景・目的

 東郷池は、流域下水道整備等種々の施策を講じたにもかかわらず水質浄化の顕著な効果がみられない。その理由のひとつに、今まで注目していなかったピコプランクトンの存在とその増殖が考えられる。
 そのため、ピコプランクトンの増殖特性や水質への影響を明らかにし、生態系保全を視野に入れた効果的な水質浄化対策等を検討する必要がある。


2 事業内容

 これまでの研究で、東郷池湖水中のピコプランクトン(シネココッカス、シネコキスティス)の存在が明らかになったことから、その増殖特性と水質汚濁への影響等を解明するために次のことを行う。

  1. 東郷池湖水からピコプランクトンを単藻分離し、培養。
  2. 単藻分離したピコプランクトンを用いて藻類培養試験等を実施し、増殖特性を明確化。
  3. 1. 2. で得られた知見を水質浄化対策や望ましい生態系保全のための施策検討の基礎資料を作成。

 平成20年度の実績


 1  単藻分離したピコプランクトンの最大増殖塩分範囲は、海水濃度で30~50%であった。また、至適増殖水温は、25~30℃であった。
 
 2  ピコプランクトンは、調査期間中の全Chl-aの20~40%程度を占めており、その季節的な出現に顕著な傾向は認められなかった。
 
 3  東郷池の懸濁態CODの割合は、全CODの40%(期間平均)程度を占めていた。そこからピコプランクトンの水質汚濁の寄与度を考慮すると、ピコプランクトンの占める割合は、それほど高くないと考えられる。


●担当:生活環境部 衛生環境研究所 水環境室 電話0858-35-5417


参考URL
  鳥取県衛生環境研究所のwebサイトより
  「衛生環境研究所」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=3565


湖山池水質浄化対策推進

1 事業の目的

 湖山池の水質保全のため、平成 3年度に湖山池水質管理計画(第 1期)を策定し、下水道整備等の各種浄化施策を総合的かつ計画的な推進を図る。


2 現状及び課題

 湖沼環境基準の達成には至っておらず、平成13年度には第 2期計画を策定し、関係機関、関係市、事業者及び住民等の理解と協力を得て、引き続き浄化対策を推進している。


3 事業内容

 下水道の整備等各種浄化施策をとりまとめた第 2期「湖山池水質管理計画」(平成13~22年度)の推進


 平成20年度の実績


 第 2期「湖山池水質管理計画」に基づき下水道の整備等各種浄化施策を推進した。



●担当:生活環境部 水・大気環境課 水質担当 電話0857-26-7197



参考URL

  鳥取県水・大気環境課のwebサイトより
  「水環境」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=20225


統合河川環境整備事業 湖山池

1 事業の目的・効果

【事業の背景・現状・課題】
 湖山池に流入する生活排水及び産業排水等により、池の水質は悪化し、富栄養化に伴う有機汚泥が堆積し、汚泥からの栄養塩類の溶出が進んでいる。

【事業の目的・効果】
 水質悪化が池の水を利用する者や市民から懸念されており、湖山池水質管理計画(第 2期)で目標としている水質基準を未だ達成していない。
 そのため、池底に堆積している栄養塩類を含んだ底泥を浚渫することにより、池内の水質浄化を図る。


2 事業内容

 ・浚渫土処分、処分地復旧


平成19年度実績

 底泥浚渫 V=6,400m³


 平成20年度の実績


浚渫土処分、処分地復旧工  一式



●担当:県土整備部 河川課 計画係 電話0857-26-7374


参考URL
  鳥取県河川課のwebサイトより
  「鳥取県県土整備部河川課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=28143


湖山池水辺環境整備事業(湖山池水質浄化施策検討事業)

1 事業の目的・効果

【事業の背景・現状・目的】
 湖山池公開討論会で市民合意を得た、水質浄化の基本方針「湖山池を汽水湖として再生する」を実現するため開始した、塩分導入実証試験をはじめ、湖山池で展開されている浄化に対する取組について、公開の場で意見交換を行い、今後の湖山池の水質浄化について検討する。

【事業の効果】

(1) 湖山池の水質浄化に係る総合的な検討、効果的な施策等の検討を行うにあたって、県民・有識者の幅広い意見を浄化施策に反映させることができる。
(2) 湖山池周辺自治会の水質浄化に対する取組を紹介することで、県民の水質浄化に対する意識を高めることができる。

2 事業内容

  • 湖山池の水質浄化に対する住民及び行政の取組を紹介して意見交換を行い、施策に反映
  • 住民へ浄化に関する啓発の推進

平成19年度実績

 第7回 湖山池水質浄化100人委員会を開催


 平成20年度の実績


第 8回湖山池水質浄化100人委員会開催 : 平成20年7月26日(土)



●担当:県土整備部 河川課 計画係 電話0857-26-7374


参考URL
  鳥取県河川課のwebサイトより
  「鳥取県県土整備部河川課」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=28143


湖山池におけるカビ臭原因プランクトンの増殖特性に関する研究

1 事業の背景・現状・効果

 湖山池の水質は環境基準未達成の状況であり、植物プランクトンの異常増殖は、水質汚濁の一因にもなっている。
 近年、「カビ臭問題」として、植物プランクトンの一種がカビ臭物質を生産することが問題となっており、湖山池でも顕在化している。
 そこで、カビ臭原因プランクトンの増殖特性を明かとし、カビ臭原因プランクトンの増殖を抑えることができれば、「カビ臭問題」の対策に資することができる。


2 事業内容

 湖山池のカビ臭原因プランクトン削減対策を検討する上で、必要な情報となるプランクトン増殖特性を明らかにするための以下のことを行う。

  1. 湖山池のカビ臭原因プランクトンの定期観測
  2. カビ臭原因プランクトンの単藻分離
  3. カビ臭原因プランクトンの培養条件の検討
  4. カビ臭原因プランクトンの環境要因変化(温度・塩分・光度等)による増殖特性の検討
  5. カビ臭原因プランクトンの微量成分変化(金属・EDTA等)による増殖特性の検討

 平成20年度の実績


 1  カビ臭(2-MIB(2-メチルイソボルネオール))は、植物プランクトンが産出しおり、そのプランクトン種はプランクトスリックスであった。
 
 2  カビ臭原因プランクトンは、高塩分でも増殖可能であることが分かった。
 
 3  植物プランクトンの増殖に係る重要な要素となる「水温」、「塩分」、「栄養塩類」について、近年の湖山池での環境変動とカビ臭原因プランクトン発生との関係について解析を行ったが、現時点では明確な因果関係は認められなかった。


●担当:生活環境部 衛生環境研究所 水環境室 電話0858-35-5417


参考URL
  鳥取県衛生環境研究所のwebサイトより
  「衛生環境研究所」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=3565


内水面漁場環境保全事業

1 事業の背景・目的

 毎年、湖岸、湖底清掃を実施しているが、回収されるゴミの量は、年々増加し、湖内に堆積したゴミは漁業操業や水生生物の繁殖を阻害している。そこで、漁場環境改善を図るため、漁業者がボランティア団体と連携してゴミの回収を行い、漁業者や県民の環境保全意識を高める。


2 事業内容

 湖山池漁協及び東郷湖漁協が実施する湖底・湖岸清掃に対して支援する。

  1. 湖山池
    (1)湖底、湖岸清掃
    (2)ボランティアによる湖岸清掃
  2. 東郷池
    (1)湖底清掃

3 効果

  1. ゴミ量の減少により湖沼環境が改善され、シジミ等の漁業資源の増加が見込まれる。
  2. 漁業者、ボランティア団体の漁場環境保全意識が向上する。

 平成20年度の実績


【 回収されたゴミ量 】
  ○湖山池 : 16.4t
  ○東郷池 : 18m³


注)H17年度から、湖山池における回収ゴミ量はt(トン)で把握。



*湖山池は、途中で単位が変わるため、グラフは東郷湖のみ表示した。



●担当:農林水産部 水産振興局 水産課 漁業振興担当 電話0857-26-7317


参考URL
  鳥取県水産課のwebサイトより
  「水産課」
  http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=44462


湖山池漁場環境回復試験

1 事業の背景、目的

  1. 県が実施する「湖山池塩分導入実証試験」のうち、塩分(海水)導入や水門操作が魚類に与える影響について調査、検討する。
  2. 著しく衰退した湖山池漁業の漁業振興策として、ヤマトシジミとワカサギの増殖の可能性を検討する。

2 事業の内容

  1. 塩分導入実証試験
    (1)山川水門影響調査
     魚類遡上実態調査及び湖内水質調査により、効果検証し、操作手法の改良を提言する。
    (2)湖内魚類相調査
     生態系への影響評価をし、塩分導入のあり方を検討する。
  2. 水産資源増殖試験
     シジミ増殖試験及びワカサギ増殖試験により、増殖手法の提言を行い、漁業者活動への展開を図る。

3 効果

  1. 魚類の遡上に効果的な海水導入(水門操作)方法を明確にし、今後の 水門管理のあり方を検討する基礎が得られる。
  2. 海水流入に伴う貧酸素水域の発生による湖内魚類の生息環境の悪化の実態を明らかにするとともに、改善策を検討するためのデーターが得られる。
  3. 湖山池の新たな漁業資源として、ヤマトシジミの増殖の可能性が得られる。
  4. 湖山池の重要資源であるワカサギの増殖

 平成20年度の実績


1 定置網により湖山池の魚類相の変化を観測したところ、海産漁の種類数がわずかに増えた。

2 池内の水温、塩分、DOを観測し、塩分、貧酸素層の季節変化を観測したところ、池底層では貧酸素層が夏には池南東部を除き広く池内を覆うのが観測され、秋には解消された。

3 池口に囲い網を設置、囲い網内にシジミを投入し、成熟、再生産の状況を観察したが、軟体部重量比から産卵の可能性は示唆されたが、稚貝は確認できなかった。



図1 湖山池内の定置網調査結果



図2 湖山池の月別底層のDO分布



●担当:農林水産部 水産振興局 水産試験場 沿岸漁業部 生産技術室担当 電話0858-34-3321


参考URL
  鳥取県水産試験場のwebサイトより
  「水産試験場」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=72009


魚の棲む豊かな湖沼河川再生調査

1 事業の背景、目的

 河川管理施設(県)の運用および流入河川に造られた堰堤など生息環境の改変により、魚を育む豊かな湖沼河川が失われつつある。
 本事業は、地元・県民(町・漁業者等)と連携してこのような実態の把握と改善方策の解明を進め、県を含む管理や運用を所管する機関への提言につなげることを目的とする。


2 事業の内容

  1. 魚類減少している回避、増殖阻害実態の解明し、水門操作手法及び、魚道の設置、産卵場保護の必要性、産卵場回復策の回復策の提言を行う。
  2. 平成16年にシジミ増殖策を提言により、地元による増殖策が開始されたが、増殖策の検証する調査を行う。

3 効果

  1. 水門操作や堰堤の小規模改良により、魚類資源を回復できる可能性がある。
  2. 河川管理施設のより適正な運用を提示することができる。
  3. シジミ漁が安定的に増加する可能性がある。

 平成20年度の実績


1 フナ属、コイ産卵調査
  ○ 東郷小学校の環境学習で東郷川に人工産卵藻を設置し、学校で飼育管理
  ○ 地元団体により東郷川第一堰堤に簡易魚道が設置され、アユ、オイカワ、トウヨシノボリの遡上を確認
  ○ 産卵期は4‐6月、主な産卵場所は流入河川、水田、用水路内で、水田や用水路は仔稚魚の育成場としても機能
2 ワカサギ、シラウオ調査
  ○ ワカサギの主要な産卵場は東郷川第一堰堤下であり、産着卵を3-4月上旬に確認
  ○ 2-4月の定置網 1日 1ヶ統あたりの採捕数はシラウオ : 2-1770個体、ワカサギ : 0-2個体
  ○ 標識調査の結果、従来のワカサギ卵移植放流は漁獲に結びつかないものと推定
  ○ ワカサギの遺伝子解析の結果、他産地からの移植放流の影響を強く受けているもとの推定
  ○ 調査結果を基に、漁協に対して流入河川における人工産卵場造成を提示
3 ヤマトシジミ資源調査
  ○ 2008年春季の資源量は 7,421トンと推定
4 魚類相調査
  ○ 魚類47種、甲殻類11種、両生類 2種、爬虫類 1種を確認

▲人工産卵藻の設置 ▲小学校で飼育管理
 
▲魚道設置後の状況 ▲漁協により造成された人工産卵場
 
▲東郷池で採集されたシラウオ(左)とイトヨ(右)


●担当:農林水産部 水産振興局 水産試験場 沿岸漁業部 生産技術室担当 電話0858-34-3321


参考URL
  鳥取県水産試験場のwebサイトより
  「水産試験場」
  https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=72009

  

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