防災・危機管理情報


男女共同参画推進員として活動した平成17年度1年間の所見を発表します。

 足立 珠希 推進員

   「1年を終えての所見」

 この1年間で引き継ぎ案件2件と新規2件の処理をしました。県の施設設備の利用方法、県男女共同参画センター事業評価等への提案、学校での問題、県民意識に関する問題というように、いろいろな立場の方からの多様な申出であり、推進員制度も3期目に入って、少しずつではありますが、次第に県民の方々に制度の趣旨が理解されてきたのではと思われます。
 しかし、現在は処理案件がなく、やはりまだまだ制度の認知不足があります。男女共同参画セミナーや講座等でのPRをしていますが、参加される方は重複しているケースも多く、次年度は推進員制度のPR活動のあり方についてもさらに検討を要すると考えます。 また、申出をしたくても、いろいろな立場から躊躇してしまう方に配慮して、匿名の申出ができるように制度を改正してもいいのではないかと感じました。確かに、匿名ということで申出者の申出内容を確認することができないとか、いい加減な申出が増加するとの懸念もあります。しかし、申出内容が明らかで、かつ一般的な制度に関する苦情であれば、申出者から事情を聞かなくとも申出だけで調査開始できますし、推進員が調査の上結論を出しますので、いい加減な申出に基づいて安易に勧告を出すということはありえません。申出件数の少ない現状では、少しでも多くの案件を申し出てもらって男女共同参画推進員制度を利用してもらう利点のほうが上回るのではないでしょうか。
 試行錯誤しながらの推進員の職務の遂行でしたが、上記のように申出内容が様々でしたので、この1年でいろいろな方向から男女共同参画について考える機会を頂戴しました。来期は、今期を踏まえて、推進員会議の中でより掘り下げた審議をしていきたく思います。
 ところで、私は弁護士をしていますが、男女共同参画意識が県民にもっと浸透してくれば避けることの出来る紛争が多々あると感じています。
 離婚事件の場合、DV(ドメスティック・バイオレンス)に原因があるケース、妻と夫の実家との折り合いが悪くて夫婦別居から離婚に至る場合で、妻は夫の配偶者ではなく家の嫁であるという意識が原因となっているケース、共働きであるにもかかわらず(専業主婦の場合でもありえますが)、家事、子育て、介護の負担が妻だけにかかり、妻が不満を持つも夫は妻の不満を理解せず、夫婦の溝が深まっていくケースなど、枚挙にいとまがありません。男女共同参画、ジェンダーフリーという考え方から離婚が増加したという主張もありますが、私はそうは思いません。家庭生活における男女共同参画が浸透してくれば、逆に上記のような離婚原因は減少するのです。現在は、女性だけが我慢を強いられた時代から女性の権利が意識されるようになり、妻である女性が離婚を決意しやすくなっているにもかかわらず、夫や舅姑世代の意識がなかなか変わらないために離婚が増加しているのではないでしょうか。
 また、一見男女共同参画とは関係のない多重債務事件であっても、その背景には、夫から生活費を十分にもらえずに借金をしてしまった、夫に借金がわかると一方的に責められて離婚されるので夫に相談できないという事情があるなど、やはり家庭における男女共同参画に問題があるケースも多いです。その他、セクハラ事件,労働事件、相続・遺産分割事件など,直接又は間接の原因が男女共同参画意識の欠如にあるケースは様々です。
 弁護士として、個別の事件解決に向かいつつ、男も女も、それぞれが人間として尊重され、認め合い、助け合っていく社会が実現することを願わずにはおれません。
 推進員としては残り任期1年となりますが、男女共同参画社会の実現に向けて、微力ながら精進したいと思います。


 小谷 次雄 推進員

  「所感」

 男女共同参画推進員に任命されたとき、私の脳裏に浮かんだことがある。今から20数年前のことだが、私が担任していたある女生徒が「女の子は生徒会長にはなれないのか。」と訴えてきたことがある。真剣な表情で訴える彼女の顔は今でも鮮明に蘇ってくる。
 その当時は、男女共同参画という言葉はなかった。しかし、日常生活の中での不合理な事象のひとつを真剣に考え、行動に移した彼女の言葉はその後の私に大きな影響を与えたと思っている。生徒会役員のみならず学級委員の選出は男子生徒優先の時代であり、そのことに疑問を感じない時代であった。
 彼女は生徒会長に立候補し、多くの支持を得て当選した。彼女は素晴らしいリーダーシップを発揮し、生徒会活動の活性化に多大の貢献をした。それ以後、女生徒の立候補が見られるようになったのは言うまでもないことである。現在では珍しくもないことだが当時は画期的なことであったいっても過言ではないと思っている。
 私にとっては彼女との出会いが現在取り組まれている男女共同参画社会構築の第一歩であったといえる。子供の感性は豊かであり、素晴らしいと思う。男女共同参画社会についてもしかりである。子供たちの豊かな感性をより一層伸ばすためにはまず大人一人一人が鋭敏な人権感覚を養うことが大切である。
 現在、公民館長として、生涯学習の拠点である地区公民館に勤務し生涯学習の大切さを実感している日々であるが、男女共同参画の視点で公民館活動を振り返ってみると、今まであまり問題にしていなかったことが気になってくる。
 多様な学習が展開される公民館活動の中に男女共同参画に関する学習の場が極めて少ないことが目につく。確かに「男女共同参画社会」という言葉はよく知られ、よく使われるようになってきた。しかし、その内容は理解されているかどうか、自分とのかかわりがどうなのか、人権問題とのかかわりをどう捉えているのか等多くの課題を持っていると思う。このことを今後の公民館活動に取り入れていきたいと思っている。
 また、地域の住民にとって最も身近な存在である自治公民館活動においても、自治公民館長の多くが男性であることも気になることのひとつである。女性の館長も僅かながら見られるようになってきたが、1割にも満たないのが私の地域の現状である。この現状を地域住民の問題として考えてみることも大切なことだと思う。
 人の意識を変えるにはあせりがあってはならない。課題をしっかり見つめ、課題解決の道を探り、試行錯誤を繰り返しながら地道な実践を続けることが大切だと思う。
 男女共同参画推進員として県民からの意見や苦情を審議する過程の中で物の見方や考え方が多様になり、視野が広がる自分を感ずることがある。まずは私自身が意識改革をすること、そして小さな実践であっても積み上げていくことが大切なことだと思う昨今である。


 坂口 清太郎 推進員

  「 所感 」


昨年4月1日に男女共同参画推進員に任命されてから1年近くたち、自分自身の男女共同参画のとらえ方が変化したことを痛感しています。
1年前は、男女共同参画という言葉は知ってはいましたが、物事に対する対処は男女共同参画という意識をもたず、従来の経験及び思考で行っていました。当時は、それが当たり前の事で何の問題意識も持っていませんでした。そして、それはそれで、その時は問題もなく流れて行ったように思えます。
しかしながら、推進員に任命され、男女共同参画について勉強をし、理解を深めていくにつれ、十分とはいえませんが、物事を処する際には男女共同参画に配慮している自分を感じています。
そのことから、鳥取県民の中に男女共同参画というものを根付かせていくことは、自分のことを顧みた時、多大な時間と努力を要することであると実感しました。
『男女共同参画社会基本法』そして、『鳥取県男女共同参画推進条例』と国、鳥取県が目指すべき指針が示されている中、如何に多くの人々に理解してもらうのかが、今迄もそうであったように、今後に課せられた大きな課題であります。
その点では、本年度申出があった『DVに関わる子どもに配慮しない学校一斉公開についての苦情の申出』で、鳥取県教育委員会に対し、研修計画をたてて全教職員に対する研修を実施するよう勧告できたことは、県民に対する男女共同参画意識向上のための大きな一歩になるのではないかと思っております。
そして、今後、学校教育の中でも、更なる男女共同参画意識向上に向けたカリキュラムを組むことができたらと思います。
1年経ち、この推進員制度で思うことが2つあります。
まず1つ目は、未だ制度が十分には認知されていないせいか、申出件数が少なく、この制度をもっと多くの県民に周知徹底をすることにより、多くの申出がなされる状況づくりをしなければならないと思う点です。今後、鳥取県が男女共同参画社会の実現を目指す上で、県民からより多くの声を上げていただき、それを県政に反映して行くこといが是非とも必要であると思います。そのための制度として活用されるべきであると考えます。
2つ目は、申出に対して我々推進員個人の価値判断で法や条例の趣旨を汲み取り、判断をしてゆくことで良いのかという点です。
私が個人的に思っていることですが、深い知識を持っていない状態の推進員の判断で、合議制だとはいえ、行政に勧告や意見公表を行うというのは、今後何か問題が生じかねない危惧があると思います。1点目で述べたように、認知度が高まり利用度が増え、多くの事案を処理する対処法や専門的知識が必要であると考えられる推進員の任期が2年であることの是非など、推進員選定手法等に多くの課題を抱えているように思え、今後この制度のあり方を再検討しなければならない時期が来るように思えてしようがありません。
以上所見を述べさせてもらいましたが、男女共同参画社会を実現させるためにある推進員制度がより機能するよう来年度も頑張っていく所存であります。そのためにも色々な機会をとらえ、更なる勉強をして行きたいと思っております。


 福嶋 栄子 推進員

「新人推進員としての一年」

平成12年12月に鳥取県男女共同参画推進条例が制定されました。そして、平成13年4月からは鳥取県男女共同参画推進員制度もスタートし現在に至っています。これは県の男女共同参画に関する施策に対して、県民が苦情、要望、提案といったものを申出することができる制度で、全国でもまれな制度です。
 第三期目の推進員として昨年4月に任命され1年が経とうとしています。恥ずかしいことですが、任命時は推進員としての重責も何も分かっていませんでした。さて何から始めたらよいかと思案し、まず現場に出かけ学ぼうと思い、いろいろな講座に顔を出させていただきました。鳥取県男女共同参画センター“よりん彩”で企画されている様々な講座や各地に出かけていく出前講座など、内容も多岐に渡っていました。市町村単位の催しも気になり出かけて行きました。そこで活動されている方々や参加者の熱意と行動力は本当にすばらしく、県民一人一人の思い、気づきが男女共同参画社会を前進させるのだと、その為にも意識啓発の取り組みを途絶えさせてはならないと痛感し、自分自身の意識の変化も強く体感した1年間でした。
 申出処理状況は平成16年度からの繰越審査分が2件ありました。詳しくは報告書を読んでいただければよいと思いますが、1件は県男女共同参画センターの子ども室の夜間利用についての苦情でしたが、新たに夜間利用できる出入り口を設置する予定があり、棄却としました。もう1件は県男女共同参画センターの事業評価及び体制整備についての提案で、県に対し意見公表致しました。
 平成17年度分は新たに2件の申出がありました。1件はDVに関わる子どもに配慮しない学校一斉公開についての苦情があり、一部勧告、一部棄却としました。この勧告に対しては推進員として県民の一人として期待を込めて改善されることを望みます。2件目は新聞投書への対応に関する苦情でした。これは一部意見公表、一部は棄却としました。
 この1年を通しいろいろな場所へ出かけ、この推進員制度のPRをし、「どうぞ気軽に申し出てください。」といってきたものの、気軽に申し出るには、まだまだハードルが高く大変だなと感じています。でも、このすばらしい制度が広く知られ有効に活用されるために、微力ながら努力を重ねていこうと考えています。

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