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 2014年5月29日付けで県民4名の連名で請求のあった平成24年度政務調査費に関する鳥取県職員措置請求(住民監査請求)については、以下のとおり地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条に規定する住民監査請求の要件を欠くと認め、平成26年6月18日付けで却下しました。
  

1 請求の要旨(請求人の主張)

 平成24年度における鳥取県議会全議員の政務調査費(注:平成25年3月1日からは、政務活動費に改称)について、公文書公開請求により入手した政務調査費収支報告書及びその添付書類を調査したところ、政務調査費の使途として不適正なもの又は適正な使途として疑問なものがある。
 これらの議員は、政務調査費の使途として不適正なものについては、県に返還する義務がある。鳥取県知事及び鳥取県議会議長は、これらの議員に対して返還請求権(不当利得返還請求権)を有しているところ、鳥取県知事及び鳥取県議会議長は、その返還請求を怠っている。
 これは地方自治法第242条第1項の「違法もしくは不当に財産の管理を怠る事実」に該当する。

(措置請求)

 監査委員は、鳥取県知事及び鳥取県議会議長に対し、以下のための必要な措置を取るよう請求する。
(1)全議員に対して、再度、政務調査費の使途の調査(鳥取県政務調査費交付条例施行規則(平成16年鳥取県規則第58号)に定める使途基準に合っているかについての調査も含む。)、収支報告書の写し及び証拠書類の写しとの突合などを行い、不適正な使途による政務調査費を県に対し返還させること。
(2)全議員に対して、不当な支出を是正させること。

(請求の理由)

 ガイドラインをもとに市民オンブズ鳥取が作成した基準に沿って精査した。
 按分の根拠が記載されていない支出の計上は、ガイドラインを無視したものとして、政務調査費の充当は認められるべきではない。
 政務調査費について、適正・合法なものと不適正・違法なものを分ける「平成24年度政務調査費チェックの判断基準」に基づき、不適正な使途と不当な支出を指摘する。

  

2 住民監査請求としての適格性について

<結論>

 以下の理由により、請求人の主張は住民監査請求としての適格性の要件を欠くものと判断し、請求を却下する。

<却下の理由>

(1)「政務調査費の使途及び手続きに関する指針」(以下「ガイドライン」という。)では定められていない判断基準による摘示

 請求人が主張に用いている市民オンブズ鳥取が作成した「平成24年度政務調査費チェックの判断基準」の中には、
ア.ガイドラインでは求められていない書類の添付を求めているもの
(例:発行された広報誌の添付など)
イ.ガイドラインでは設定されていない按分率の上限の設定を行っているもの
 (例:事務所費、事務費、人件費などの按分率について50%を上限として設定)
ウ.ガイドラインでは規定されていない独自の制約を設けているもの
(例:新聞購読費は地方紙1紙、全国紙1紙以外認めない。複数事務所の家賃、電気代などについて1か所以外は認めない。)
 など、「ガイドライン」では定められていない基準の設定を独自に行っているものが多く見受けられる。

 こうしたガイドラインに定められていない基準を独自に設定し、これに反する政務調査費の支出が違法又は不当であるとの主張は、住民監査請求の要件を欠くものであり、受け入れることができない。

 

(2)摘示事項の不整合

 請求人は政務調査費の支出の中で、違う年度にした支出、県外調査について政務調査活動報告書が添付されていない支出、旅費の二重計上及び限度額を超えた食糧費支出について不適正な支出であると摘示しているが、これらはいずれも請求人から提出された証拠資料(CD、DVD)とは整合しない。

  

[参考]

1 住民監査請求の要件

 地方自治法(以下「法」という。)第242条に定める住民監査請求は、当該地方公共団体の執行機関又は職員による違法又は不当な財務会計上の行為若しくは怠る事実があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し監査を求め、必要な措置を講ずべきことを請求できる権能を認めたものである。
 住民監査請求が適法となるためには、調査の対象としている財務会計行為等を他の事項から区別して特定認識できるように個別的、具体的に示すとともに、財務会計行為等の違法性又は不当性について、請求人の憶測や主観だけでなく、法令に照らして具体的かつ客観的に示すことが必要である。

2 政務調査費の使途の判断基準

 政務調査費については、法第100条第14項において「政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。」と規定されている。
 この規定に基づき、本県では平成13年に鳥取県政務調査費交付条例(以下「条例」という。)が制定され、条例第4条第2項の規定に基づき、鳥取県政務調査費交付条例施行規則で定める使途基準に従った「政務調査費の使途及び手続きに関する指針」(以下「ガイドライン」という。)が定められており、各議員は政務調査費の執行に当たって、ガイドラインを尊重することが求められている。
 したがって、政務調査費の使途の適否の判断は、ガイドラインの規定によって行うべきものである。
 なお、従来からガイドラインは政務調査費の透明性を高めるため改善が図られているが、平成24年度の政務調査費の使途の判断基準としては、当然のことながら平成24年度に適用されていたガイドラインを用いることとなる。(ガイドラインは、平成25年度から「政務活動費の使途及び支出手続きに関する指針」に改正されている。)

[以下関連法令・判例]

ア.地方自治法(住民監査請求)

 第242条 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。

イ.平成2年6月5日最高裁判決

 住民監査請求においては、対象とする当該行為等を監査委員が行うべき監査の端緒を与える程度に特定すれば足りるというものではなく、当該行為等を他の事項から区別して、特定認識できるように個別的、具体的に摘示することを要し、(中略)、監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面の各記載、監査請求人が提出したその他の資料等を総合しても、監査請求の対象が右の程度に具体的に摘示されていないと認められるときは、当該監査請求は、請求の特定を欠くものとして不適法であり、監査委員は右請求について監査をする義務を負わないものと言わなければならない。

 

ウ.地方自治法(政務調査費=平成24年度時点)

第100条 (略)
14 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。
15 前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。

エ.鳥取県政務調査費交付条例(平成24年度時点)

(政務調査費の使途等)
第4条 議員は、政務調査費を、規則で定める使途基準に従い県政に関する調査研究に資する支出に充てなければならない。
2 議長は、前項の使途基準に従い、政務調査費の使途及び手続に関する指針(=ガイドライン)を定めるものとする。
3 議員は、政務調査費の執行に当たっては、前項の指針を尊重しなければならない。

オ.鳥取県政務調査費交付条例施行規則(平成24年度時点)

(使途基準)
第2条 条例第4条第1項に規定する使途基準は、次の表の左欄の区分に応じ、同
表の右欄に定めるとおりとする。

 

調査研究費   実地調査及び調査委託に要する経費(調査委託料、交通費、宿泊費等)に充てること。
 研修費  研修会等への参加に要する経費(会費、交通費、宿泊費等)に充てること。
 会議費  各種会議の開催に要する経費(講師謝金、会場借上料、機器使用料、資料印刷費等)に充てること。
 資料作成費  資料の作成に要する経費(印刷製本費、原稿料等)に充てること
 資料購入費  図書、資料等の購入に要する経費(書籍購入費、新聞雑誌購読料等)に充てること。
 広報費  広報活動に要する経費(広報誌印刷費、送料等)に充てること。
 事務所費  事務所の設置及び管理に要する経費(事務所賃借料、管理運営費等)に充てること。
 事務費  調査研究に係る事務遂行に要する経費(事務用品購入費、通信費等)に充てること。
 人件費  調査研究を補助する職員の雇用に要する経費(給料、手当、社会保険料等)に充てること。

 

カ.平成21年12月17日最高裁判決

政務調査費条例及び政務調査費規程の定め並びにそれらの趣旨に照らすと、政務調査費条例は、政務調査費の支出に使途制限違反があることが収支報告書等の記載から明らかにうかがえるような場合を除き、監査委員を含め区の執行機関が、実際に行われた政務調査活動の具体的な目的や内容等に立ち入ってその使途制限適合性を審査することを予定していないと解される。

  

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