防災・危機管理情報


平井伸治鳥取県知事挨拶

令和7年8月13日

 終戦80年平和の祈りと誓いの集い

 

 皆様、おはようございます。本日はお暑い中、また遠方も含めまして、このようにお集まりいただき本当にありがとうございました。

 本日の「平和の祈りと誓いの集い」にあたりまして、鳥取県遺族会の國政会長や田淵事務局長はじめ多くの皆様からご協力いただき、この会を開くことができましたことに対し、感謝申し上げたいと思います。そして、大変お忙しい中、福田議長をはじめ県議会の皆様や、多くの市町村、各地の皆様等々にお越しいただきました。様々な関係者の方が集う中で、今日は改めて皆様と一緒に80年たった戦争を思い起こしながら、もう一度平和の尊さを共にかみしめ誓い合う、そんな日になればと思います。

 今日は、わざわざ四国から濵さんにもお越しいただきまして、語り部として様々なご経験、お話をいただくことになります。私どものところにもう身を寄せられて3年半ぐらい経ったと思います、ユリア・メドベージェワさんというウクライナからお越しの方にも、私たちのためにお話ししていただけることとなりました。

 私たちは今、理由なき戦争がまだ地上で行われている地球の上に生きているわけでありまして、この愚かさを何度繰り返したらよいのか、そのことを訴えずにはいられません。今年で被爆80年ということになりましたが、県内でも今なお120名あまりの方々が被爆者としてこの地におられます。そういう私たちの「記憶」をきちんとつないでいくことこそが、大切なのかもしれません。今日は、「語り部」でいろんなお話を聞いて様々な思いをもっていただきました米里小学校の皆さん。あるいは西中学校の皆さん、広島で勉強されたということ。さらには敬愛高校、色々と社会学習もされておられます。そうした生徒さんを交えながら、研究発表だとかあるいは思いを語ってもらう、そういった時間を用意させていただきました。

 今日は皆様にこのような集いのお願いをさせていただきましたけれど、今、戦後80年を振り返るプログラムを、県庁の庁舎でパネル展をやったり、併せまして県立図書館でも今日から開始をさせていただきました。また公文書館も秋に同じような企画を用意させていただいております。

私たちが、今を生きる上で、何をなすべきなのか。

 印象的なお話があります、水木しげる先生、もう先年亡くなられましたけれども、境港のご出身でいらっしゃいまして、漫画をあらわされましたけれども、その原点はおそらく戦地にあったのではないかと、私も親しくさせていただいている娘さんの原口尚子さん、そのご家族からもお伺いしております。先生はその当時を語ったことが幾度かございます。その時にお話をされたことがございました。「自分以外、小隊はみんな死んでしまった」と。それで、「戦争に行って生きて帰ってくるとは思わなかった」と。「終戦の知らせをきいて初めて生きて帰るのだということを考えた」。そのようにおっしゃってます。前線の部隊に行って、一兵卒であった水木先生は「『前進しろ』とか『後退しろ』とかそういうのは司令官、指揮系統の皆さんがおっしゃることで、前線の私たちが何をやっているか実はさっぱりわからなかった」。つまり人間の命が戦場でもてあそばれているという現実がある。そのことを先生は漫画を通して今にも伝えようとされ、その人生、生涯を終えられたんだと思っております。

 そんな先人達の記憶は県内各地に残っております。厳しいものでは、玉栄丸の事故がございました。4月の21日、終戦の年に多くの命が失われ、被災した人を入れると2千人近いと言われています。また、あわせまして大山口の駅の近くで襲撃がありました。終戦間近の7月28日で44名の方が亡くなられ、そのほかにもけがされた方も含めますと75名という大きな列車襲撃であります。これ実は全国でも1位、2位を争うほどの甚大な結果をもった列車襲撃でありました。同じ日に米子が空襲を受けています。決して無縁ではない。この鳥取県の地にも、そうした記憶が刻み込まれています。

 今日は、ビデオを制作しご紹介申し上げますが、もうそうして語っていただける方は実は百歳を超えるようなご長寿の方となってきました。そういう中で武田修さんがおっしゃっておられます。特攻隊に行く人たちを、「この人は死ぬのだな」というふうに思って見つめていた、そんな記憶をおっしゃっておられます。

「新しき 光に生きん おさな子の 幸を祈りて 我は散らなむ」

今も伝えられている、特攻隊の兵士の遺された辞世の句でございます。

 そのようなことを私たちはしっかりと刻み込み、次の世代、次の世代へと伝えていく。

8月15日終戦の日には、ロシアとアメリカの首脳会談がアラスカであると報じられています。ここにゼレンスキー大統領がウクライナから招待されるという報道もあります。

 今後どう展開するか分かりませんが、戦争は誰かの思いつきで始めたのだと思えてしょうがありません。そのために多くの命が失われる。そういうことは繰り返してはならないのだと思います。

 これが我が国国民が戦後誓い合った、日本国憲法の中にも書かれている事柄だと思います。現実と照らし合わせながら、こうした理想を追求していかなければならない難しさは、今もこの地球の中に強くあると思っています。しかし、どこかの国が、誰かが、どこかの地域の人が、「決意」をして、そして「平和を守ろう」という声を上げること、上げ続けることの大切さを、皆様と共有できればと思っています。

 皆様のこの夏、素晴らしい思い出の多い夏となり、ご健康をお祈り申し上げますとともに、この世界に平和がやってくることをお祈りを申し上げて、冒頭のメッセージといたします。

 本日はありがとうございました。

 

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