令和5年度研究成果報告会でいただいた質問への回答について

令和6年2月7日に開催した「令和5年度 研究成果報告会」(開催報告はコチラ)について、開催当日から動画配信の終了期間(3月8日)までアンケート用紙でお寄せいただきました、各研究報告への質問について、以下の通りご回答いたします。


発表(1) 県産材JAS規格材を用いた木構造に関する研究 (発表者:森田主任研究員)

質問 回答 
(1)県産材JAS規格材のヤング係数、含水率の表示をしてほしい。
(2)改正建築基準法が2025.4月より木材の強度及び耐震性能の説明義務が必要のため品質管理してほしい。
(3)真束をおさえてはいけないのでは? 
  回答(1)(2)JAS規格材のヤング係数や含水率等の性能表示は、機械等級区分構造用製材のJAS認定を取得した県内業者が適正に進めています。
 回答(3)屋根面全体に加わった荷重は、屋根→真束・束材→陸梁へと伝達するため、本試験では「真束・束材を押さえた」3点荷重としています。 
 実験は1度でしょうか?個体差はないのでしょうか。  実験は、各試験体パターンごとに3体準備していますので、3回ずつ行っています。現在のところ、極端な個体差は現れていません。
 専門家の方は当たり前かもしれませんが、素人の私はこの研究は日常生活にとって何に役立つのか分かりませんでした。積雪に強いトラスは、鳥取県の中規模建築を作るのに研究が必要なことなのかよくわかりません。  この試験は、入手しやすい規格の県産材で一般的なトラスを作ったら、どの程度の荷重に耐えられるかを実証したものです。試験の結果として、どの程度の積雪に耐えうるかを数値化でき、積雪のある県内での実際の施工に役立つデータが得られました。
 難しい研究だと思った。具体的な構造で試験しているのは、分かり易く興味深い!ただし実際の構造物としてはやや難ありと感じる。(1)陸梁にはマツ材が用いられる。スギを使うのであればスギとマツの比較をすればもっと分かり易いかな!(2)また金属を使用する為にほぞ穴が大きくなりすぎではないか。建築基準法で決められているからと法律重視すぎではないか!スギを使う場合には発想を変える事が大切では!  (1)今回は、一般に流通し入手しやすい県産製材JAS規格材(スギ、ヒノキ)を使用するのが研究目的であり、マツ材(主にベイマツ)は対象外としています。                         
 (2)トラスのほぞ穴は、参考としているJIS A 3301に定められた寸法としています。ほぞ穴等の寸法を変える等は今後検討してみたいと思います。

発表(2) 崩壊発生源となる移動体にみる樹木根系の特徴 (発表者:矢部上席研究員)

質問 回答 
 (1)根系による崩壊抑制機能について土層厚は影響するのか?
(2)地質の違いは崩壊抑制機能に影響を与えると思われるが地質ごとのリスク評価?について知りたい
(3)やはり深層崩壊を根系による崩壊抑制機能によって抑止するのは難しいか?
 回答(1):根系による崩壊抑制機能は、根系が網目状となることで土層の変形を抑制するネット作用と、土層と基岩を結び付けて土層の滑落を抑制する杭作用の二つからなります。土層厚の影響が大きいのは杭作用に対してで、例えば皆伐後の再造林を考えた時、土層厚が大きいほど植栽木の根系が基岩に到達するまでの期間が長くなると同時に、土層厚が小さい場合に比べて基岩に到達する本数も少なくなります。
 回答(2):根系による崩壊抑制機能が最も効果を発揮するのは粘土分の少ない砂質土層の場合で、地質では花崗岩(マサ土)になります。則ち、森林伐採することによる崩壊リスクは花崗岩以外の地質に比べて花崗岩で特に高くなります。
 回答(3):深層崩壊の崩壊面は地下深くの岩盤部であり、樹木根系の侵入や崩壊面までの到達は難しく、樹木根系による深層崩壊に対する抑制は困難です。
 皆伐再造林が進んでいく中で、重要なことだと思いますが、移動体の要木を伐ると危険というのはわかりましたが、移動体の位置はどのようにわかるか。  移動体の位置については、報告の中にあったように同一斜面において立木が斜面の上向きに倒伏し斜面形状に凹み(亀裂)が見られる部分から、立木が下向きに倒伏し斜面形状に顕著な盛り上がりが見られる部分までがひとつの移動体となります。現地における移動体の判定には経験も必要なため、先ず図面上での判定が可能となるよう、その手法について検討を行っているところです。

 

 
  

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