~日系企業との取引に関心のあるタイ企業インタビュー~
こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。
自動車産業の集積地として知られるタイですが、その自動車をはじめ様々な機械部品の製造に欠かすことができない金型の製造についても、部品の需要の増加と共に成長を続け、タイへ進出した日本の金型メーカーによって高い精密度や耐久性を実現するための技術が長年培われてきました。
今回は、日本の優れた金型技術に関心を持つタイ企業「ボルト & ナット インダストリー 株式会社」ゼネラルマネージャーのシャヤパム・ワッサモンさんのインタビューをお届けします。
事業内容、企業規模、製品について教えてください。
Bolt & Nut Industry Co., Ltd.
ボルト & ナット インダストリー 株式会社
Bolt & Nut Industry Co., Ltd.
シャヤパム・ワッサモンさん
弊社Bolt & Nut Industry社は、ボルトやナットの受注生産、加熱または非加熱鍛造加工部品の製造や販売を行っています。会社設立から28年が経過し、私は弟と一緒に2代目として経営に加わり、私は販売、マーケティング、人材、経理を担当、弟は工場を担当しています。当初、弊社は建設用の高張力ボルトやナットを製造していましたが、主力ビジネスが成長すると共に、自動車産業、農業機械、電動バイクに使用される鍛造部品の製造も開始しました。顧客割合は70%が日本、25%がタイ、5% がアメリカとフランスです。企業規模ですが、従業員は約160名、資本金は2千万バーツ、売上は年間約1億5千万バーツです。
御社の強みを教えてください。
弊社の強みは、金型及び加熱及び非加熱鍛造加工部品の生産工程の受注設計が可能な点です。金型を設計し、試作型が製作できるプログラムを使用しているので、製品の企画から完成までのリードタイムにおいて競争力があると自負しています。見本の通り製造するだけでなく、設計も行います。「こういったボルトが欲しい」というご希望をお持ちのお客様がいれば、弊社の設計のもとお客様のご要望にあわせて製造いたしおます。また、お客様からサンプルをいただければその通り製造することも可能です。私達は設計から完成まで、一貫したサービスを提供しております。
ビジネスにおいて御社で大切にされていることを教えてください。
ビジネスにおいて大切にしていることは、誠実さ、合理的な価格設定、率直さです。おかげで、日本企業と良いビジネスを行うことができています。日本人は細かく、慎重であると思いますが、私達の製品はそのような日本企業の信頼を得ることができています。15年前、父親が社長を務めていた頃に日本企業とビジネスを始めました。私は日本語が理解できたこともあり、その後も日本企業との取引が順調に増え続けています。また、いろいろな商談会に参加したことで、日本の顧客を増やすことができました。
技術責任者や従業員の研修、教育、技術向上について教えてください。
従業員の研修という点ですが、弊社には研修ルーム、機材、必要なものが全てそろっているので、タイサブコン協会(タイ下請振興協会)の研修センターとしても使われています。弊社の従業員は、指導者向けのコースや、経理、日本語といった様々な研修に参加しています。またサブコン協会より依頼を受けレクチャーを行ったり、Thai-Nichi Institute of Technology (TNI、泰日工業大学)、 Thai German Institute (TGI、タイ-ドイツ研究所)など外部に出向いて講演を行っています。技術系の研修については、ソフトウェアの仕入先が招待してくれる研修に参加したり、OJT(実際の職務を通じた研修)を中心に行っています。
社内管理で難しい点は?
社内管理で慢性的に問題となっているのは、人材不足の問題です。現在、教育機関と双務的に協力しあって、デザイン、品質管理、計量機器の扱い方、金型関連といった技術を要する仕事に加え、オフィス業務、購買、会計といったスキルも身につけることができるように、学生を受け入れて実地訓練を行っています。参加した学生の大半は、卒業後弊社に入社してもらっています。
製造部門の悩みですが、人材が安定しない上に、新規募集するのも難しい点です。近隣諸国からの労働力の助けを得なくてはならず、製造部門で働いている約30%が外人労働者です。労働力削減のため、何箇所かオートメーションシステムを採用するようになりましたが、資金がかかるため、まだ全体には及んでいません。
日本企業とのビジネスに関心はありますか。
日本企業とのジョイントベンチャーや、何らかの事業を一緒に行うことに関心があります。同じような事業でなくても、既存事業から枝分かれして事業を始めることも考えています。金型、原材料、生産工程など、私達の既存事業を強める事業もいいと思います。我々より優れた日本の金型に関するノウハウを是非受け入れたいと願っています。
日本企業とその他外国企業とのビジネスにおける違い及び障害について
アメリカやヨーロッパ企業とのビジネスと日本企業とのビジネスは異なります。欧米の企業はスペック通りに製品が製造できるとさえわかれば、オーダーしてくれます。日本企業のように、工程について長く話し合いをしたり、監査や試作製品を何度もやりとりして、長時間かけることはありません。日本企業は確信を持ててからビジネスを始めますが、欧米企業はスペック通りに製造できれば問題がなく、工程について関心はありません。
日本企業とのビジネスにおいては、弊社にとって挑戦となる部分もあります。例えば言葉の壁がありますが、私達は様々な方法でコミュニケーションを取ることができます。マインドセット(習慣、価値観)やカルチャー(企業文化)も当然異なりますが、一緒に仕事をするためには、相手のマインドセットやカルチャーを理解する必要があります。多くの日本企業はすぐに新しいものを受け入れることはできない傾向があります。両者の関係を築くのに時間が掛かりますが、相手の仕事のやり方などを理解できれば、彼らとスムーズに仕事ができるようになります。
最後に、タイへの投資に関心がある日本の製造業へPRをお願い致します。
私たちの会社は経験が豊富で、金型の形成、ボルトやナットの受注生産において技術があります。顧客の大半は日本企業です。もし私達に関心があれば連絡頂ければ幸いです。私達は設計、金型試作、部品を製造し日本へ輸出するまでの一貫したお手伝いが可能です。現在、日本に加えて他国へも輸出しています。言語は日本語、英語、中国語で対応が可能です。どうぞよろしくお願いします。
【企業概要】
企業名:Bolt & Nut Industry Co., Ltd.
住所:215-215/1 Moo 12 Bangna-Trad Rd. KM. 13.5 Bangplee Yai, Bangplee, Samutprakarn 10540
Tel : (+66)2-316-1987-9
Email : contact@bn-industry.com
URL (英語・タイ語) :https://www.bn-industry.com/
タイ王国の最新の現地情報については、以下にお問合せください。
鳥取県東南アジアビューローの運営法人(鳥取県が業務委託)
アジア・アライアンス・パートナー・ジャパン株式会社
タイを中心に、ベトナム・インドネシア・インド・メキシコにて主に日系中堅・中小企業様の海外進出や進出後の会計税務法務を中心とした運営支援業務を行っております。
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