知事定例記者会見(2016年1月4日)

平成28年1月4日(月)午前10時30分~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約53分) ※MPEG4形式

  

1 新年を迎えて 

●知事

  はい。皆様、あけましておめでとうございます。記者クラブの皆様、そして県民の皆様には輝かしき新春をお迎えのことと心からお喜びを申し上げたいと思います。私もこの1年、皆様と一緒になりましてこの鳥取県を変えいく、元気づくりを展開していく、元気づくり展開の年としてチャレンジを続けてまいりたいと思いますので、倍旧のご指導を賜りますようお願いを申し上げたいと思います。今年の新春はかなり日程が詰まって年末年始の休みがあったということもありましょうけれども、観光客の皆様の鳥取の訪れも好調気味でございました。特に水木しげるロードは、一昨年[平成26年]から昨年[平成27年]にかけての年末年始よりも倍以上に増えたというように入込み客数8万人を超えたという数字になっておりますし、また、鳥取砂丘も1万人以上前年度[平成26年度]よりも増えているということでございます。鳥取県に対する注目もあったわけでありますけれども、水木しげる先生のご遺徳も偲ばれるところでございまして、改めてご冥福を申し上げるとともに、故郷の発展をここにお誓を申し上げたいと思います。


2 今年は元気づくり展開の年 

●知事

この元気づくり展開の年に向けまして、国の方では予算編成作業が年末進みました。そして今日[1月4日]からいよいよ国会の論戦がスタートをするということになります。補正予算の成立をいかに早く図るかどうか。さらにはTPP問題、また本格予算問題、さらにさまざまなときの課題がございまして、これらをスピードで解決していかなければならないのが今国会の特徴だというふうに思います。国民のための議論をぜひともやっていただければありがたいと思います。年末の予算編成の中で段々と明らかになってきたことがありまして、それは私どもでも当初予算編成、あるいは補正予算の編成に向けまして取り込んでいかなければならないこと、考えなければならない点があろうかと思っております。例えば地方財政対策、いわゆる地方財政の総額なり、その中身をいわば積上げていく対策でございますけども、それによりますとこの度61兆7,000億[円]の一般財源が確保された。これは1,300億円、前年度[平成26年度]を上回ることになる見込みでありまして、その意味では総額は確保されたという見た目になっているようにも思えます。

しかし、片方で中身を分析をしてみますと社会保障経費であるとか、それから臨時財政対策債、臨財債の償還であるとか、これらの義務的な経費があります。この臨財債や社会保障だけをとっても8,000億円ほど前年度[平成26年度]を上回ってくる計算になっています。片方で、歳出特別枠が4,000億[円]にカットされたり、また、別枠加算がなくなったりということがございました。実は、鳥取県はこれらで結構[地方]交付税の配分が手厚く受けていた部類でございまして、実は行政改革が進んでいたとか、それから地域の課題が大きいということがあって、[地方]交付税の配分についてプラスの作用があったところの積算がかなりぎゅっとこう圧縮された格好になります。これがどう影響するか、これを見極めなきゃいけませんし、私どもとしてもこうした[地方]交付税を含む一般財源の確保を働きかけをしていかなければいけないところでございます。こうしたことで言いますと、どういうふうに財政が展開していくかというとかなり地方部においては厳しめという基調になるのかなというのが正直な感想でございまして、地方創生ということでかなり盛り上がる一方で、片方で堅実な財政を目指さなければならないという状況があるんだろうと思います。

国としても、今、経済成長、あるいは社会保障、さらには子育てといった新しい矢を放つということの一方で、財政再建を図るという重要テーマにも向き合うという宣言をしていますので、この基調がなかなか崩れることもないんだろうと思っています。そんな意味で、私どもとしてもある意味、知恵も絞りながら効果的な対策をいろいろと打っていく必要があると思います。今年[平成28年]は元気づくり展開の年、すなわち今まで発射台に乗っていたロケット、地方創生のロケットが天井高く昇っていかなければならない年だと思っています。いわゆるリフトオフでありまして、このときには大変なエネルギーや推進力が必要になります。その意味で、県民の皆様、市町村と一丸となってこの年を乗り切っていかなければならないと決意を新たにしているところでございます。




3 国の予算編成の動向と本県の対応 

●知事

予算編成で言いますと、例えば、少子化対策で一部低所得者対策の保育料の第3子無償化、第2子半額ということが出ました。これを県の制度は先にいっていますので、その県の制度との調整をしつつ、県制度を前進させるということをこの新年度[平成28年度]予算の中で検討する必要が出るなど、国の予算編成が終わったところで、そのフォローを我々もしていかなければならないと思います。また、あわせてこの予算に限らず補正予算もございます。先程申しましたように、当初予算の方は一般財源がかなり絞られている格好に地方部はなっている。大都市部は実は法人事業税の方の振り返りがございまして、法人特別税、地方法人特別税が3分の1解除されてきたというその影響で大都市部はたぶん法人課税がぐっと増えるんですね。それで、地方部の方はそういう恩恵にあずかれない、むしろ逆に減る方の作用が働くものですから、一般財源が厳しくなるというふうに考えているわけでありますけども、こういうようなことなどがございまして、不透明感はどうしても残るんだろうというふうに考えております。

 

ですから、補正予算の方である程度の事業費を確保していかなければならないことになります。それで、競争枠としての地方創生の資金もこの度配分対象ということになります。1,000億[円]の予算がついております。これが当初予算ですと2分の1は一般財源を継ぎ足さなければいけませんが、補正予算の方は10分の10すべて国費で賄えるということになります。ですから、ここに効果的な事業を投入をしていかなければならない、競争資金でありますので、鳥取県のそうした営みを評価されるようなものにしてまとめ上げていかなければなりません。かなり急を要する作業にはなると思いますけれども、補正予算編成も非常に重要な局面だというふうに思っております。それで、こういう補正予算を編成をして、早く効果を出さなければ地方経済の発展、あるいは地方創生のスタートが十分に切れないということになると考えております。したがいまして、2月の通常の県議会を待っていては遅すぎることになるかと思いますので、臨時県議会を招集することで最終調整をさせていただきたいと思っております。時期的には2月の頭ぐらいが1つの目途かなと考えておりまして、そういう時期に補正予算を県としても成立させてはどうだろうかと思います。国は今月[1月]中の予算成立を補正予算について目指していますので、2月頭ぐらいの県議会召集を目途として我々も補正予算編成を進めて国の動向を見ていくというのが賢明なやり方ではないかと考えております。



4 鳥取の元気づくりを推進するために 

●知事

したがいまして今年[平成28年]も年始早々から、そうした予算編成作業を急ぐ、そういう年になるということだと思っております。元気づくりを展開していくという意味では、まずは地域、県内の足元をしっかりと固めていく、それは子育てであるとか、あるいは障がい者対策だとか、そうしたことも含めてやっていくことがあります。また、片方では鳥取県の外へ、あるいは国の外へと打って出ていく、そうした開かれた鳥取県を模索していく、そういう挑戦もあわせてしていかなければなりません。いわば内向きと外向きと両方に元気づくりを展開していく必要があります。その元気づくりを展開していく意味で、1つにはこういう美しい自然を活かしながらということがあろうかと思います。今年は大山国立公園が制定をされまして80周年の記念の年になります。それで、今年度[平成27年度]中にその記念式典を挙行をするなどして意識を高めていきたいと思います。それで、8月には初めての山の日がやってくるわけでありますし、大山1300年の節目も平成30年と迫ってくるわけであります。それに向けて1300年の準備を地元の方々と一緒にしていきたいと思います。この年末年始地元の方ではこれまでにない団結を図って事業を進めていこうという機運が盛り上がってきているところでございまして、今年[平成28年]はその組織化を図り、中身を決めていくということになると思います。



4-(1) 水素社会の実現に向けた取組 

●知事

こういう環境面で言いますと、エネルギーも鳥取県の重要な財産であります。その意味で木質バイオマス、これを十分に展開していけるように木の根っこであるとか、あるいは木の皮であるとか、これバークと言いますけれども、タンコロと言われる根っこ、こうした他では活用していないそういうエネルギー源も山の中にはゴロゴロしているわけであります。これを活用しながら発電をするということも模索されてもいいのではないだろうか、発電事業者の方も、三洋製紙[株式会社]さんが次の年に開業することを目指して動き始めておりまして、こうした新しい木質バイオマスのあり方というのも探求のしどころかなと思っております。あわせまして水素エネルギー、これは未来型のエネルギーとして、すぐに実現をするわけではありませんが、この未来のエネルギーの道筋をつけていかなければなりません。これは日本があるいは世界が向き合うべきテーマでありますけれども、ここ鳥取でもそうした運動を起こしていくべきではないだろうか、そういう考え方でこれまで関係者とさまざまな議論を進めてまいりました。

 

国の方の環境省は、こうした水素エネルギーのモデル事業採択を新年度の予算の中で行う予定がございます。これに向けてチャレンジをしていくためには、我々の方でもその考えをまとめていく必要があるわけでありますが、この度本田技研[工業株式会社]とそれから積水ハウス[株式会社]、さらに鳥取ガス[株式会社]、この3社と私ども鳥取県との間で事業協定を結ぶことにいたしたいと思っています。1月の25日にその調印式を行いまして、まずはキックオフをするというふうに考えています。これでコンソーシアム[共同事業体]を作りまして、このコンソーシアムが母体となって実証実験を鳥取県内でも行っていく、その実験のあり方としては、1つは水素を活用した燃料電池車、このエネルギー供給のスタンドを造ること。さらにはそれが生まれるための太陽光のパネルを設置をして、自然エネルギーでそれをやってみるモデルを考えていくということがあろうかと思っています。また、山陰は雪も降るところでありまして、そういう寒冷地仕様にこういう水素エネルギーの供給が果たして上手くいくだろうかというのが事業者の皆様の疑問が残っているところでございました。ここのところが克服できるかどうかという意味では、寒冷地で初めて日本海側で行うこういう実験は意味があるだろうと考えております。

 

また、あわせましてスマートハウス、この水素エネルギーを活用しましたハウスもあわせて行う、これにより住居と自動車と両方同時に実証実験ができるような、そういうフィールドを鳥取県内で整えさせていただいてはどうだろうかということであります。これが上手いこといくためには、事業採択に向けて動く必要がございまして、コンソーシアムをまずは作って、そして中身をいろいろとチャレンジできる中身に固めていきまして、それで新年度[平成28年度]の事業採択を目指していきたいと思います。スマートハウスと自動車と一緒に行う水素エネルギーの活用ということでは世界でも初めての試みになりますし、また、寒冷地仕様として雪の降る日本海側で行うのは日本国内でも初めてということになります。そういう意味の新しいチャレンジもやっていければと思っております。こういうことなど自然とともに生きていく鳥取県のライフスタイルを県民の皆様やさまざまな事業関係者と一緒に作っていく必要があると思っています。



4-(2) 国際リゾートづくりに向けた環境整備 

●知事

また、この自然、あるいは人の絆、文化や歴史、こういうサポートを受けながら観光産業を育てていく、国際リゾートとして鳥取を脱皮させていく必要があります。香港定期航空路線の開設をしようということを考えれば、次の夏ダイヤは3月の末に開始をします。それに向けましては、この1月中に国土交通省にエアラインが申請するかどうかが焦点になります。今、香港航空さんとそうした折衝をしているのと同時に、国の方の機関の環境づくりも進めておりまして、この1月中は勝負どころと考えて攻勢を強めてまいりたいと考えております。

 

今年[平成28年]は米子ソウル[国際定期]便ができ上がりまして15周年、この春迎えることになります。それで、その間紆余曲折はありましたが、最近は韓国からのインバウンド観光が好調になってきております。これを15年の節目をお祝いをしながら次のステップへ向けて動かしていく、そういう記念事業なども考えていくべきではないかなと思っておりまして、この意味でもアシアナ[航空]さんとも話し合いをしていかなければなりません。また、海の方ではクルーズ客船が昨年[平成27年]は1万9,000人のお客様がお見えになりまして、23回寄港したということになりました。これを今年[平成28年]倍増する、4万人あるいはその岸壁をいろいろ調整して5万人も視野に入れて、できる限り接岸できるように船会社とも交渉していかなければなりません。今50を超えるオファーが船会社側から来ていまして、早速ですね、スカイシー・ゴールデン・エラ[号]が1月8日に初寄港するということになります。しかしながら、もう岸壁には限りがあるもんですから、そういう意味でなかなか40ぐらい行くかどうかがギリギリのところだというふうに思っております。40弱ぐらいだろうと思いますが、できるだけ多くの寄港ができるように調整をして多くのお客様を呼び込んでいきたいと思います。こんなようにして空や海でもつなげていく。

 

また、陸路でいえば浦富インター、これはいよいよジオパークの本体の方につながっていくわけでありまして、砂丘と浦富海岸を結ぶ道路が完成をすることになります。このような展開を図りながら観光客を呼び込んでいきたいと思います。そのためにも新年度[平成28年度]山陰のDMO[着地型観光のプラットフォーム組織]を島根県と協調しながら作っていければと思います。そういう動きを加速させていくという意味で台湾チャーター便をこの度呼び込むことになりました。2月に台北からのチャーターを呼び込む、またそのチャイナエア[ライン]の子会社、チャイナエアがそれをやるわけでありますが、その子会社のマンダリン[航空]が台中県と3月にチャーターフライトを飛ばすと、それぞれ2回ずつで飛ばそうという見込みになりました。今、最終的に飛行場等々の調整がございまして、まだ最終決定には至っておりませんが2月の下旬ごろ、3月の中旬ごろという目途で2回程それぞれ総合チャーターを飛ばすことで今動いているところでございます。こうしたことなど、年明け早々から国際リゾートに向けて発信をしてまいりたいと考えております。


4-(3) TPP対策 

●知事

また、産業面ではいろいろと農林水産業ではTPPなど心配もあるところであります。そういう意味で補正予算、さらには当初予算、国の予算も活用しながら我々としても対策を打っていく必要があります。正直、今、国際的な政治情勢は不透明感があるところでございまして、今、アメリカの大統領選挙が本格化をしてまいりました。2月に入りますとアイオワ州とニューハンプシャー州で党員集会や予備選挙が開催をされることになり、その後には3月のスーパーチューズデイと日程が動いていきます。11月の8日に大統領選挙が執行されることになりますけども、アメリカが事実上の許否権を持っていますので、この選挙が終わるまでは多分TPPが果たしてほんとに動くかどうかっていうのの確証は得られないではないかなと思っています。しかしながらTPPが入るぞということで国も対策を考えてきているわけでありまして、それを活用しながら農林水産業の生産力の足腰を作っていかなければなりません。そういう意味で、今、新甘泉であるとか、あるいは輝太郎であるとか、そうした主力の産品が鳥取県内でも整いつつあります。それで、そういう新しい品種も含めて、いわばスーパー園芸産地というのを作る必要があるんではないだろうか、これをまた当初予算の中でぜひ議論をさせていただきたいと思っております。それで、これに留まらず人材育成面でも農業高校と大学との連携であるとか、いろんなことを図っていかなければならないと思っております。さまざまなかたちでこの農林水産業対策も進めていく1年になるかと思います。


4-(4) 産業と雇用の充実 

●知事

また、物づくり、あるいは商業サービスという観点では、人手不足が表面化をしてきておりまして、中小企業の皆さん県内の主力でありますが、かなりひっ迫しているという話が今1.21[倍]という有効求人倍率になって入ってくるようになってまいりました。ですから、従来の経営革新制度を、それをバージョンアップしまして、こうした人材不足対策などにチャレンジをしていくそういう企業を応援するような仕掛けをこの度、県の当初予算の中でも考えて鳥取県独自に応援策も作っていきたいと思います。今、[鳥取県]未来人材育成基金、これがそこそこの評判でございまして、今やっている業種以外の業種でもエントリーしていきたいという業種も出てきております。その辺も取り込みながら、幅広いそういう人材育成対策を進めていきたいと考えております。今年は今井航空機器工業[株式会社]であるとか、それからまた[株式会社]イナテックさんであるとか、さらに[株式会社]モリタ製作所のような医療系や航空機系、あるいは先端的な自動車部品等が出てくる年になります。いよいよ工場が動き出すわけであります。新しい産業構造を作っていくその元年になろうかと思っております。県内の中小企業の振興とあわせて、そうした成長分野への展開、これも今年[平成28年]の勝負どころだろうというふうに考えているところでございます。このように産業面でも注力をしていかなければなりません。



4-(5) 障がい者対策・スポーツ振興業策の充実 

●知事

また、障がい者対策では、鳥取県先進的に手話言語条例等を作るなど進めてまいりました。こうした方向性をいっそう強めていきたいと思っております。特に障がい者芸術につきまして、県を横断したところで東京都の舛添[要一]知事、あるいはこれはJOC[日本オリンピック委員会]であるとかそうした国全体の機関等とも連動しながら地方でこうした障がい者芸術を盛り上げていく、そういう祭典をリオデジャネイロオリンピックが今年[平成28年]なされますと、次はこの東京オリンピック、パラリンピックになります。ですから、この年にキックオフにしていく必要があるだろうと思っております。そういう運動展開も鳥取から始めていきたいと思います。パラリンピックがいよいよ行われるわけでありますが、日本パラ陸上4月29日~5月1日がその予選会ということになります。パラリンピックに出場する選手がここ鳥取に集うということになります。また、この度鳥取に来られたジャマイカの皆さんのつながりから、ウエストモアランド県との友好提携にもつき進むことになると思います。これを進めながらオリンピックに向けて、東京オリンピックに向けまして、ホストシティとして鳥取県が位置づけられるように名乗りを上げていきたいと思います。今、全国でホストシティがなかなか動いてきていません。ですから、そのいの一番に鳥取県から声を挙げていければというふうに考えております。



5 今年の抱負 

●知事

こんなようなことなど、いろいろと展開を図っていく、それがこの年の勝負どころだと考えております。この元気づくりをなし遂げていくことで20、30年先、人口減少に徐々に歯止めがかかっていく、それにより鳥取県が持続可能な地域として成長軌道へと動いていく、それができるかどうかが問われるのがこの1年だと思っています。しかし、この壮大な運動は多くの方々が一緒になって動かなければなりません。地域づくりのいろんなセクターが動かなければなりません。したがいまして、鳥取力創造運動[推進]の基金とそれから支え愛の基金を、これを発展させまして、こうしたトットリズムを進めていく、元気づくりのサポート基金として再設定させていただきたいと思います。そうしたことも含めて当初予算の中でも議論をしていきたいと思います。多くの方々のご支援とご協力が今こそ、この年必要となってくると思います。それぞれの人々が輝く、それによって地域が輝く、その未来を作っていく土台の年、その年が元気づくりの展開の年、このひのえ申の年だと思っています。ひのえというのは、これは盛んになるという意味があります。炎が燃えるということがございます。また、申年というのは、これは伸びるということにも通じるわけでありまして、成長に向けて発展をするという年回りだと言います。そんな意味で勝負をかける1年としてまいりたいと思います。この1年、県民の皆様のご指導をいただき、また、県民の皆様にも地域づくりにも積極的にご参画をいただきまして、鳥取県が盛り上がっていくことを願いたいと思います。私の方からは以上でございます。



6 国の補正予算への要望等について 


○日本経済新聞 舩越純一 記者

 

 すいません。臨時議会の件で、国の補正予算で3兆円の枠のうち、約1,000億円をTPP(環太平洋パートナーシップ協定)対策ですとか、1億総活躍に回すということで、その枠を狙いに行くものが補正のやっぱり肝になるという考えでいいのかが1点と、県としては、その事業で言えば、こういうところを国に対して要求していきたいという分野があれば教えてください。

 

 

●知事

 

 1つは、地方創生の競争枠1,000億がありますので、それを狙いに行くことが1つであります。ですから、そのためプランを作んなきゃいけませんので、そのプラン作りも含めてちょっと急ピッチでこれから作業をしなければいけません。また、あわせまして、今ご指摘がございましたTPPの対策もございまして、これによって、例えば産地の生産力強化であるとか、それから販路開拓であるとか、一定の予算がつきますので、これも我々として活用できようかと思います。それで、かなり大きく当初予算とある程度オーバーラップしながら動いておりますので、当初予算との、いわば15ヶ月予算としてTPP対策も含めて考えることになろうかと思っております。鳥取県として、例えば販路開拓で言えば、ベトナムに今、ヒカリ新世紀を売りに行っているなど、今回のTPP加盟国の中でも我々の販路として最近出てきたところもあります。マレーシアだとかシンガポール等、まだ、未開拓と言っていいような分野もございまして、水産だとか、それから農作物の販売ということもあろうかと思います。

 

さらに産地を強めていくためには、クラスター[集積]事業を展開をしていく等々ですね、そうしたいろんな事業項目が今回の補正予算と当初予算に入ってこようかと思います。これを上手に組み合わせながら、我々としてもTPP対策をしていく必要があると思います。ただ、多分予算額的に大きくなるのはハード面もあります。これは国土強靭化といいますか、防災対策の関係でありまして、河川は直轄事業ということになっていますけれども、道路関係では、例えば山陰近畿自動車道であるとか、ああいうものは防災時にも役立つと、道路を、と位置づけられて従来おりまして、こうしたハード面での事業費も、ある程度計上出来るんではないかと思っております。今から年明けでゴングを鳴らしましたので、これから補正予算の中身を詰めていきたいと思いますが、規模的には巨大なものでは、もともと国の方の補正予算がないもんですから、県の予算ベースでもそれ相当の額ということになるんじゃないかと思っています。

 

 

○日本経済新聞 舩越純一 記者

 

 わかりました。

 

 

○共同通信 杉原領 記者

 

ほかございますか。






7 水素エネルギー実証実験について 


○NHK 木庭尚文 記者

水素の事業の関係なんですけども、これはホンダと積水、鳥取ガスなんですが、これは県の方から働きかけて、鳥取で日本海初の寒冷地の実験をしませんかっていうふうに言われたんでしょうか。


●知事

言いだしっぺはうちかもしれませんね、ある意味。今、実は大都市部を中心に、この水素エネルギーの整備が進んでいるんです。例えば北九州[市]だとかそれからさいたま[市]だとか。ただ、それが地方部に今ようやく出始めているところなんですが、日本海側はまだ手つかずなわけであります。それで、いずれその産業の中心が徐々に移ってくると思うんですね。例えばアメリカのカリフォルニア州で言えば、ハイブリッド車も環境適合車でなくなってくると、それでプラグインハイブリッドでないとだめだということになってくると。そういう意味で言いますと、そちらの方にどんどんと進化をしていくわけです。その次は、今度は水素の方になります。しかし、燃料電池車はまだまだ実用化段階の手前のところだと思うんですけども、それが果たして技術可能かどうかと。実証しなきゃいけませんし、そのフィールドとして鳥取県を使っていただくことで、いち早く、そういう環境型社会に鳥取県が移行していくチャンスをつかむことにもなると思っています。

そういう意味で、本田技研[工業株式会社]さんもこの度新しい車の販売に今年踏み切るということになるわけでありますし、それから積水[ハウス株式会社]さんもスマートハウス[情報技術を使って家庭内のエネルギー消費を最適に制御する住宅]に興味を持たれておられる。それで鳥取ガスさんは実は以前からアイスランドを調査されたり、いろいろとそのエネルギー対策で先進的な知見をお持ちのところでございまして、意欲もあるということでございました。それで、そうしたところに実はある程度断りをしながら国の方にも働きかけをしていたところでございまして、環境省等とも鳥取県の構想については従来から説明をさせていただいております。それでいよいよ機が熟してくると思いますので、新年度予算が再スタートになると思います。ですから、その新年度予算に向けて、鳥取県としてのコンソーシアムを作ろうということであります。






8 大阪の副首都構想について 


○朝日新聞 柳川迅 記者

 

大阪の副首都構想のことについて伺いたいんですけれども、大阪府と大阪市が昨年末、副首都推進本部を設置しまして、今後副首都構想について、まだ具体的な中身、細かいことはまだ決まっておりませんけど、進めていくと。それで、中央省庁の移転、大阪への移転等々を求めていくということですけれども、こうした副首都構想について、平井知事としてはどのような関心を持ってみておられるかということについてお聞きしたいんですが。

 

 

●知事

 

これはまだちょっと年末の選挙が終わって、大阪府・大阪市がいわば打ち上げた構想でございまして、まだちょっとどういうふうになるかなというのに注目をいたしております。1つには、今、政府機関の地方移転をやっていますので、私たちとしては職業能力開発総合大学校やあるいは果樹研究所の梨部門、こうしたところをしっかりと確保していきたいと思っております。副首都構想は、さらにたぶんもう1つ上を行くんだと思いますね。すなわち大阪の方を第二の首都として位置づけ直せということでありまして、今やっているような手挙げ方式で地方に政府機関移転するよというもの以上の推進力がないとなかなか実現しないものだと思っています。ただ、私ども鳥取県の状況からすれば、関西は今や梅田までここから車で2時間半で行けるところになりまして、鳥取県も関西広域連合に所属をしているということになってまいりました。その関西に二眼レフ構造のもう1つの目が開くということになれば、この日本のあり方としても強みが増すと思います。災害対策だとかそれから発展可能性ということからして。

 

そして、第二の首都が副首都として関西に出来上がることになれば、それに応じて、いわばこの国の重心が今、関東の方に一極で固まってしまっていることがまた揺り戻してくることになると思います。もともと日本の国というのは分権構造のもとになっていたわけでありまして、幕藩体制はその最たるものだったと思います。それで、そういう構造に戻していくのが地方分権、地方分散ということだと思いますが、副首都構想はその意味で1つの推進力となる議論だろうと思います。課題があるとすれば、その具体的な中身です。それで、具体的な中身で実現可能なものが果たして出てくるかどうか、これ今まだ委員会が、委員会ですか、本部が設置されて検討が始まったばっかりでございますので何とも言えませんけれども、私どももいわば関西広域連合の一角として注目をしていきたいと思っています。

 

 

○朝日新聞 柳川迅 記者

 

 今おっしゃられたようにいろいろ、人の交流であるとか経済的つながりであるとかは鳥取も当然大阪とは深いものがありますけれども、副首都構想を進めていく上でやはり周辺への目配せというか、大阪だけの議論ではなくて、結構周りを巻き込んでいく、周りへの目配せというのも必要じゃないかと思うんですけども、ちょっとまた具体的にはまだ全く進んでないんで何とも言い難いところがあると思いますけども、そうしたことを今後、何か求めていったりすることが見解としてはあるのかなとも思うんですが。

 

 

●知事

 

 仮に副首都構想が本格的に動くということになれば、そこでリセットされると思います。今の政府機関の地方移転が。その段階で大阪との距離感からして、鳥取県も含めた関西広域連合圏域がどういう役割をそれぞれの地域で果たしていくのか、これが議論されなければいけないと思っています。

 

 

○朝日新聞 柳川迅 記者

 

 分かりました。





9 ホストシティ・タウン構想について 


○日本海新聞 井上昌之 記者

 すいません。ホストタウンシティ構想の件でお伺いしたいんですけども、まず、先程おっしゃったいの一番というご発言もありましたけども、鳥取県が第1号としての認定を目指していかれるのかということと、あと、もうこれはジャマイカ1本で絞っていくのかということと、この点、お聞かせいただけますか。


●知事

 これについては、今[ジャマイカ]ウエストモアランド県との関係も、今、模索をしているところであり、ジャマイカ政府もこの鳥取県との関係をつくっていく意味でこのウエストモアランド県との友好締結を応援をするというお立場でございまして、鳥取県としては全県的にこの関係を大事にしていきたいと思います。もちろんそのほかにもいろいろと交流先もあり、スポーツでありますからいろいろと考え方はあろうかと思いますけれども、今、特に陸上で言えば、世界的に注目を集める選手が目白押しであって、鳥取県の少年も含めたスポーツ振興にも役立ったり、あるいは観光振興にも参考になる等々、メリットもある関係が築かれようと思います。ですから、私どもとして、ジャマイカという名乗りを挙げさせていただいてホストシティを目指していきたいと思っております。

ただ、このホストシティは、実は市町村もできるわけですよね、それで、市町村ごとにいろんな関係をつくっていただく、それは大いに歓迎をしたいと思いますし、さまざまなところと友好のムードを高めていくのが平和の祭典であるオリンピックの一番の狙いだと思っていますので、そういう意味で我々がまず口火を切ることで全国の自治体がそうしたホストシティに向けて動き出すのを促進していければと思っています。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 細かい話なんですけども、さっきおっしゃったように市町村でも都道府県でも申請の仕方はいろいろあると思うんですけども、これまでジャマイカ陸上チームと交流を広げてこられたのは主に鳥取市になると思うんですよね、布勢の関係ですとか。となりますと、鳥取市の方からこの交流を投げかけるようなかたちになるのか、それとも県としてもうジャマイカということでいくのか、この点についてはどうでしょうか。


●知事

 ホストシティ構想は、オリンピック運動の1つのこう、フェーズだと思っています。ですから、全人格的と言いますか、そういう交流とは違いまして、いわばオリンピックの期間ですね、がんばれと言って旗を振るようなことだと思うんです。国体でも開会式行きますと、各県の旗を地元のかたが振って出迎えてくれると、あれだと思うんですね。そういう意味では、鳥取県としてそれ取り組むことは十分可能性はあると思っています。実は、鳥取市ともちゃんと話もしておりまして、県として申請をすることでお話し合いをさせていただいております。





10 未来人材育成基金の充実について 


○日本海新聞 井上昌之 記者

 すいません。ちょっと質問を変えますけども、未来人材育成基金の関係ですけども、新年度から業種を拡大するという意向を議会でもいろいろお話になっているところなんですが、建設業といった、例えば具体的な業態も出てきていますけども、知事としてはどのあたりを拡大されるご意向でしょうか。


●知事

 これは、実は拠出が必要なものですから、先方の事業団体がその気になってくれなければいけないところでございまして、そういう意味で建設関係の業種であるとか、それから臨床検査技師のような業種であるとかですね、興味関心を示していただいているところがございます。私どもとしては、前向きにそういうふうにいろんな事業者が名乗りを上げていただいて、この未来人材基金の運動に参加してもらうことを歓迎したいと思っております。もちろん、その分予算は膨らんでしまうわけでありますけども、それがいわば未来の投資として十分ペイするものではないかと考えております。


○共同通信 杉原領 記者

 ほかありますでしょうか。






11 水素エネルギー実証実験の構成員等について 


○日本経済新聞 舩越純一 記者

 すいません。水素の件で1件、これは確認になるんですが、ホンダさんと積水さんと組んでということでしたが、ホンダさん、積水さんに東芝さんを含めたかたちで過去いろいろ実験とかをされていて、展示会とかにも出されているんですけども、そういうのを見ますと住宅に小型の水素装置を設置して、そこに車をつけて電気、住宅、車という構想だったんですが、今回ちょっと外れているようなんですけども、東芝さんが外れているようなんですが、何かそこら辺は聞かれているところはありますか。


●知事

 そこは特に意図していることではなくて、経緯から言うと鳥取ガスさんはもともとこの関心を持っていたと、それで、我々がその国の役所と折衝する中でホンダさんが1つのキーになっているというお話が出ていまして、それで、ホンダさんとも私も経営幹部にお会いしたことがあるんですけども、そうしてお話もさせていただいて、いよいよ詰まってきたと、その際に住宅系で積水[ハウス]さんというのが入ってきているわけでございます。東芝さんがその接着剤になるかどうかはちょっと私どももちょっとよく、十分把握していないんですけども、決して排除するものではないわけです。ただ、コンセプトとしては自動車、住宅、それから地域エネルギー、これらが結びついてやっていくというコンソーシアムというイメージです。


○日本経済新聞 舩越純一 記者

 分かりました。


○山陰放送 秦卓史 記者

 すいません。関連して、この事業を当初予算も含めて長いスパンで見ておられると思うんですけども、県の持ち出しなどはどのぐらいの規模あるんでしょうか。


●知事

 これはちょっとまだ事業採択の可能性も含めてこれから詰めていかなければならないと思っています。ただ、もちろん実証実験でございますので、そんな巨額なものということではなくて、実はそのモデル事業の採択を目指すと言っている意味は環境省がかなり大きなパートを財政的に持ってくれると、それで、それを活用しながらこの実験を行おうということでありまして、もちろん地域としても出損をさせていただくということであります。ですから、何億円も最初からかかるとかいうことではなくて、せいぜい数千万とかそういう単位かもしれないなと思っていますが、少なくともこれは実験でありますので、大規模に、例えばこのエリアを1から作り直すというようなところまではまだいかないわけです。


○山陰放送 秦卓史 記者

 世界的にといいますか、将来見据えて世界的な、あるいは技術的な貢献度というのは良く分かるんですけども、知事おっしゃいましたように、日本海側では鳥取が初めてだということになるということなんですが、この鳥取でこういう事業、水素のエネルギーを使った車自体、まだまだ実証段階のこれからというところ、そういう事業に鳥取で乗り出していく、その鳥取に、じゃあ、こういう技術がこう根付いていく、その未来像というのはかなり見えているのでしょうか。


●知事

 そこを、だから今、取りに行くためには始めなきゃいけないということですね。それで、鳥取ガスさんはかねてからこの分野興味をもっておられたのは、要はいつまでも例えばLNG[液化天然ガス]に頼ったようなエネルギーが続くかどうかということですよね。そうすると、たんだんそのエネルギーの需給関係だとか、その構造が変わってくる、それに適合していかなければいけないわけです。それで地域としてはそういう課題を同時に持っているわけですね。それに対応していくために、あえてこういうパイロット[試験的]事業、こういうものを経験しておくと、それでノウハウを得ることがその先進的な地域づくり、エネルギーづくりに役立ってくるということになろうかと思います。それで、もちろん我々としてはそのための自動車の部品だとか、家のいろんな部材だとか、そうしたところに展開してくればうれしいわけでありますが、そういうところに乗り出していける可能性を掴むためにも、まずは関係者の皆さんに鳥取というのを体験してもらって、こちらとの関係性を作っておく、これが大切だと思っています。

あと、厄介なのは水素エネルギー、水素を活用したエネルギーというのは、寒冷地で果たしてうまくいくかというのが課題なんですね。それで、この辺の課題を解決できるかどうかが日本海側、私どものような鳥取県、こうしたところがそういう水素エネルギー革命に乗っていけるかどうかの分岐点にもなり得るわけでありまして、しっかりとした実証実験を行っていくことも重要だと考えております。そういう意味で、ちょっと、原田さんはものすごく莫大なお金がかかるというイメージを持っているかもしれませんが、金額的には一種のそのトライアル的な予算で我々も乗っかれるんで、そのために関係者とも今一生懸命話をしてきておりまして、コンソーシアム[共同企業体]を作らせていただき、いよいよ着手しようかということであります。


○共同通信 杉原領 記者

 ほかありますでしょうか。






12 台湾との連続チャーター便の可能性について 


○日本海新聞 井上昌之 記者

 すいません。台湾とのチャーター便の話もありましたけれども、チャイナ・エアラインとマンダリン航空がありますけど、台湾との交流というのもこの何年か毎年チャーター便が行き来する間柄になってきたと思うんですが、例えば、香港並みのある程度の期間連続で行われる連続チャーターみたいなものを、今後視野に入れていかれるのかというところをお聞かせいただけますか。


●知事

 これは、我々としてはやりたいところでありまして、そういうプログラムチャーター[準定期便的なチャーター便]を台湾のエアラインや観光事業者にも働きかけをしてまいりました。ただ、現実問題はなかなかちょっと今、最近難しくなってきていると、以前、例えばエバー航空との間で、そういうプログラムチャーターを組んだことがございまして、それは香川県と一緒に相互に米子と入ってくるということで組ませていただいて、これはこれで効果はあったと思いますし、台湾との関係作りにも役立ったと思いますが、その後、定期便ができる地域は定期便化していっていまして、ちょっと我方はその対応が難しくなってきているという状況であります。ただ、将来的にはこういう台湾も香港と同じように旅客が今伸びてきておりますし、台湾のLCC[格安航空会社]の中には茨城空港に参入するというところも出てきておりますので、我々としても決してそうした挑戦を止めるわけではなくて、まずはこういうチャーター便も飛ばしながら実績を重ねていくということだと思っています。


○共同通信 杉原領 記者

 よろしいでしょうか。ありがとうございました。


●知事

 はい。どうもありがとうございました。





  

 ※広報課編集
  [ ]については、広報課で補足説明しています。

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