知事定例記者会見(2016年2月17日)

平成28年2月17日(水)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約80分) ※MPEG4形式

  

1 平成28年2月定例県議会に向けて 

●知事

 おはようございます。来週の月曜日から県議会が始まります。地方分権改革、そして地方創生、そうした地方が主役となる時代づくりに向けまして、鳥取県もその主役の一角をなしていかなければならないと考えております。そういう意味で私どもなりの[平成28年度]当初予算を編成をいたしましたし、組織も新たにしていこう、こういう決意を[県]議会側にもお示しをし、そして、さまざまなご意見を県民代表の立場から伺ってまいりたいと思います。この地方創生につきましては、先般、日本財団と新たなアライアンス[提携]が組まれまして、新しいフェーズ[局面]を開くために日本財団の力も鳥取県の改革の中に寄せられることとなりました。感謝に堪えないところであります。

 さまざまなテーマがあるわけでありますが、女性の活躍というのも、今、一億総活躍社会が言われる中でその中のテーマの1つになろうかと思いますが、女性活躍を応援をする男性リーダーの会というのがございます。これは内閣府の方が提唱されているわけでありますが、私もその中にこのたび加わらせていただくこととなります。そこで、皆で今までやっているようなさまざまな支障となっていることを打破をしていく、それから、行動を起こしていく、仲間をつくるネットワークを広げていく、そういう運動の中に鳥取県としても参画をしてまいりたいと思います。知事で、今、参加しているのはまだ10名にも満たないわけでありますが、若手の知事を中心にしまして、こういうことに加わっていこうという動きが出てきました。我々としてもぜひ皆で力を合わせて、そういう地方から世の中を変えていく地方創生、そこに子育てだとか、女性の活躍だとか、そうした新しい時代を呼び込むような仕掛けづくりをしてまいりたいと考えております。



2 山陰観光推進機構(仮称)の設立と海外からの誘客の動き 

●知事

 こういうことの1つとして、鳥取県の場合、観光が大きなテーマになると思います。今日[2月17日]も雪が降っているわけでございますが、四季折々のそういう姿を見せるのが山陰のいいところであります。それで、山陰両県としてこの魅力を伝えていかなければならない、海外からの誘客をしなければならないということでありまして、2月の5日の臨時議会、そして、このたび[平成28年度]当初予算でも示させていただきますが、両県力を合わせてDMO[観光地域づくり法人]をつくることになりました。今、島根県でも議会での審議が始まるわけでありますが、それぞれ今後、2つの土俵の中で議論が進められることとなります。具体的なその仕組につきまして、両県でいろいろと調整、協力をして、さらにいろんなかたがたに働きかけをしてまいりまして、この輪の中に加わっていただくようにお願いをしてまいりました。

 山陰観光推進機構(仮称)、山陰のDMOは、トップは会長には田川博己さん。これは[一般社団法人]日本旅行業協会の会長、[株式会社]JTBの総帥でいらっしゃいます。それで、田川さんの方に私どもの方からお願いをいたしましたところ、快諾をしていただきまして、田川博己さんが山陰DMOの会長ということになります。また、代表理事としては、これは近畿日本ツーリスト[株式会社]の方にかつていらっしゃいまして、今、神奈川県の方で観光の担当課長をされていらっしゃるかたで、島根県の方に非常にこれまでも観光政策づくりでゆかりの深いかたでいらっしゃいました福井善朗さんを任命をしようということにさせていただきました。それで、その事務所としては具体的には米子市、今、想定としては駅近くの、例えばイオンのようなところ、そうしたところを念頭に、今、調整をしているところでありまして、両県の真ん中というようなイメージで、その米子の駅近くに事務所を設置するということを考えております。実は関係先にいろいろ人材として協力していただくことをお願いをしてまいりまして、例えば経済界からは中[国]経[済]連[合会]、これ、山下[隆]会長などにもお願いをしておりましたが、中経連の方からも人を派遣していただく、あるいはJR[西日本]、これも先般、真鍋[精志]社長の方に私もお願いに行ったところでございますが、そういうように旅行業関係だとか、それから輸送関係、そうした民間の関係者の企業さんにもご参画をいただきます。また、金融としても[株式会社]山陰合[同]銀[行]さんにも協力をいただくということになりました。もちろん両県からも2名ずつ人を出し合って事務局をつくろう、だいたい10名程度くらいの事務局という姿になるかなと思いますが、そういうかたちで山陰の新しい顔づくりをして、県境に捉われずに海外からのお客さんを呼び込んでくる、また、広域観光ルートを設定していく、そういう推進力を得ていきたいと思います。

 この観光ルートにつきましては、国の方もこれからまた動きが出てくるんではないかと思います。広域観光ルート、また改めて山陰両県として手を挙げていく、そういう作業もしていかなければならないだろうと考えております。目標としては平成31年に両県合わせて16万人の海外からの宿泊観光客、これを得ることを目標にやっていってはどうだろうかということであります。こうした環境づくりに向けまして、例えば香港、これは両県にとりましても大きなターゲットに今後なってくると思います。今月の24[日]、25[日]、26[日]とミッションを派遣をいたしまして、鳥取県としても香港でのPRを始めていきたいと考えております。香港航空との折衝はもとより、観光業者のところにもアピールをしていくことにいたしております。

 また、台湾につきましては米子鬼太郎空港の方に台北[市]とのチャータ便を今月[2月]飛ばすことになりましたし、また来月[3月]には台中市と台中の空港と鳥取空港との間でのチャータフライトをしようということにいたしております。アシアナ[航空]につきましてはLCC[格安航空会社]の動きがありましたが、エアアジアへの移行は日本便ですね、日本便の移行ということになりますと、これなかなかもう少し時間がかかりそうでございまして、本県のものが行くかどうかも含めて、少なくても春、夏といったこのシーズンはアシアナ便でやっていくということになろうかと思います。これも国全体で韓国のお客さんが1月は伸びていまして、こういうことなどいろいろと追い風を得ながら、山陰DMOを活用して観光基盤づくり、新しい国際リゾートとしての名乗りを挙げていきたいと思っております。







3 東京オリンピック・パラリンピックに向けた動き 

●知事

 このたびスポーツにつきまして、いよいよリオデジャネイロオリンピックの年、パラリンピックの年を迎えるということになります。その中で、私どもの方でも、例えば東京オリンピックを睨んで動いていく必要がございます。そんな意味でジャマイカとの交流を始めよということを計画をいたしておりまして、かねて下話をしてまいりました。その結果として3月24日にウエストモアランド県の[バーテル]モア議長、議長というのは向こうで首長にもあたる仕事です。モーア議長をこちらにお迎えをすることになりまして、そこで正式に友好姉妹県の締結をしていこうということになりました。その姉妹県締結と併せまして県内を見ていただいたり、それから先般ジャマイカの選手がこちらでキャンプを張りましたが、その様子を展示をしていく、そういうオープニングもしていきたいと考えております。また、東京オリンピックを睨んでやっぱり世界に向けて鳥取という地のスポーツ適地としてのアピールもしていく必要があろうかと思います。現在関係者ともいろいろと協議をしているところでございますけれども、東京オリンピックの前の年2019年にレーザーヨット世界選手権大会、これを境港[市]に誘致をしようということで立候補をしていこうと思います。

 これにつきまして[日本]セーリング連盟と話し合いをしてきておりまして、セーリングの関係者、本県関係者からはぜひ誘致をしようということでありまして、境港市長ともいろいろと協議をしてまいりましたが、体制を整えてその誘致に向けた立候補をしていこうということになりました。これ、たぶんこの春が勝負どころでありまして、要は世界で意思決定をする時期がいよいよ迫ってまいります。2020年が東京オリンピックでありますのでその前の年に日本でこういうレーザー級であるとか、470級であるとかそうしたいろんな世界選手権の大会を開催をしていく、そういう好機になるわけでありますし、また、世界の方のヨット関係者も日本での開催に期待をしているという時期が2019年になります。そんな意味でこの年に1人乗りのヨットになりますが、レーザー級のヨット選手権、世界選手権大会、これを誘致をし、境港のサイトを活用していけないだろうかというところでございます。このことと併せまして海のことで言えばボートの方もありますが、これについてもこのたび新艇を供用開始をするというセレモニーをするなど、いろいろと海のスポーツの盛り上げも図ってまいりたいと考えております。







4 障害者差別解消法の施行に向けた動き 

●知事

 今回の議会が明けますと障害者差別解消法がいよいよ現実のものとなってくるわけでありまして、差別的な取扱いに対するその禁止措置だとか、行政としての率先行動が求められることになります。今、庁内で整備をしておりますけれども、今月[2月]中に県職員のそうした行動規定というものを作っていきたいと思います。これで、例えば手話通訳をつけるべきときにはそれをつけるとか、あるいは色の問題でのバリアフリー化をするといったような、そういう合理的配慮というものなどを職員の間に徹底をしていく、そういう規範を制定をしてまいりたいと思います。そして来月[3月]には、これは市町村だとか、国の法務省だとかいろんな当局がございますが、そうしたところと一緒になりまして地域協議会を、この障がい者の差別的取り扱いをなくしていこうという考え方で結成をしていくことにいたしたいと考えております。







5 アルコール健康被害対策に向けた動き 

●知事

 健康面ではアルコールの健康障害ということが言われるわけでありまして、これについてもアルコール健康被害を防止していこうと、国の方の法律もできてきたわけであります。本県としてもかねて検討してまいりましたけれども、全国でたぶん初めてになるかなと思いますが、アルコール健康被害対策の県の計画を策定したいと思います。それで、これを、原案をこの議会にお示しをしながらパブリックコメントをして、今年度[平成27年度]中に策定をしたいと思います。それで、これと併せまして、今、[平成28年度]当初予算の中にも出させていただいておりますけども、アルコール健康被害を防止していく、あるいはその相談に当たっていく、そういう支援拠点を県内に初めて設置をしたいと思います。その予算を、今、計上しておりまして、来週から議論していただくことになりますが、これが、予算が通れば4月から東部にございます渡辺病院さんと連携をして、その支援拠点を設置をしていきたいと思っております。






6 環境イニシアティブプランの改定 

●知事

 また、近々朝鍋ダムの小水力発電所がスタートをします。さらには若松川でありますとか、いろいろ年度中にもそうした県内での小水力発電の供用ということになってまいります。こういうようなことも含めまして鳥取県の環境イニシアティブを改める、環境イニシアティブ、これは中期的計画でありますけども、このイニシアティブプランを改定をすることにいたしたいと思います。これについては平成30年までに800メガワットから920メガワットに120メガワット引き上げる、こういうことで再生可能エネルギーを増やしていく、そういう方向性を出していきたいと思っております。今、県内にもそうした計画が出てきておりまして、例えばカナディアンソーラー[ジャパン株式会社]さんでありますとか、あるいは京セラ系のソーラー発電、そうしたものもありますし、今申したような小水力発電、あるいはバイオマスといった動きもある。こういうものを今後も推進をしていくことを目指したいと思っております。これが出来上がってきますと県内の家庭用電力の97%が再生可能エネルギーで賄われる水準になります。このように我々としてもその再生可能エネルギーを活用した鳥取県らしい環境先進社会を作っていきたいと思います。

 さらに長期的には2030年を目指して、国全体ではCO2 26%削減を国際的に公約をされたところでありますが、本県としては26%上回る27%の削減で今後、議論をさせていただければと思います。こうしたことも今後パブリックコメントなども付しながら、その環境イニシアティブプランの策定を急いでまいりたいと考えております。産業振興におきまして、今、円安にまた一部戻ったりしておりますけれども、日銀のマイナス金利政策で混乱が起きているかなと思います。昨日[2月16日]も経済界の皆さまのうち、金融界の代表のかたがたと親しく意見交換もさせていただきましたが、かなりその日銀の今の政策に対する不安感をそれぞれの幹部のかたがおっしゃっておられました。ただ、いずれにせよ目指すところは、今アベノミクスが言っているような円安株高を中心として、従来のデフレを脱却をしていく、そういう戦略には共通の理解があるわけでありまして、そこを目指していくということになろうかと思います。これが地方に響いてくるためには、例えば今中国等に行っている生産拠点、こういうものを日本の方に引き戻してくる、それも山陰鳥取県の方に引き戻してくることが必要でありまして、かねていろんな会社さんに当方の支援策も提示をしながら折衝してまいりました。







7 NOK株式会社による国内生産拠点の拡充に伴う協定書の調印 

●知事

 それで、このたび金曜日に、NOK株式会社さんが従来のトーショナルダンパ、これを鳥取県の方に生産増強することになっていたわけでありまして、これ一昨年ですか、そういう締結もさせていただいたところでありますが、さらに中国や韓国で今やっている鋳物の製造工程、これについても日本向けの商品につきましては、製品供給につきましては日本の鳥取県南部町にあります原工業団地の方に回帰をさせると、それで中国や韓国の生産工程を原工業団地の方に移す。これによりまして開発から製品製造を一貫して、鳥取県内で製造するというふうに体制を切りかえることがまとまりまして、金曜日に調印式の運びとなりました。本県としても歓迎すべきことでありますし、かねて要請していたことが実現をしまして南部町と一緒に、あるいは西部圏域の市町村と一緒に、これを応援をしてまいりたいと考えております。これによりまして60名の新規雇用が発生をするというふうに伺っておりますし、また、投資規模も今回はかなり大きくなりまして60億[円]ぐらいになるんではないかというようにも伺っています。詳細はまた金曜日にいろいろと聞けるんではないかと思っておりますが、こういうかたちで、海外からこう製造拠点が帰ってくる、それから県内での雇用につながってくる、これらが大切なことではないかなというふうに考えているところでございます。







8 水木しげる先生を偲ぶ会について 

●知事

 3月の8日に、水木しげる先生を県民と、みんなでお送りをするしげるさんとのお別れ会を、境港のシンフォニーホールで開催をすることといたしたいと思います。これは境港市や関係者と協力をしながらということになります。これには武良布枝夫人、それから娘さんの原口尚子さんやあるいは悦子様、こうしたご家族の皆さまもお見えになるというふうにお伺いをいたしておりますし、また、京極夏彦さんなどゆかりのあるかたが水木先生の思い出を語る、あるいは地元で生まれた鬼太郎音頭であるとか、そうしたものを交えながらみんなでお見送りをするという会をしようとなりました。併せて、その日に先生が力を尽くしていただいた米子鬼太郎空港のリニューアルオープンをさせていただき、新しいオブジェやあるいはステンドグラスなどご披露ということになるわけであります。また、境港の方でも、例えば水木しげる記念館の入場無料でのお迎えであるとか、そういうさまざまなかたちで水木先生のご遺徳をたたえ、今後に継承していくことといたしたいと考えております。私の方からは以上です。


○共同通信 杉原領 記者

 それでは各社質問をお願いします。







9 山陰観光推進機構(仮称)の体制について 

○山陰中央新報 原田准吏 記者

 すみません。山陰版DMOについてなんですけれども、トップに田川博己さんを迎えられるということで、どういうつながりがあって田川さんにされたのかということと、また、それから改めて田川さんに対する期待という声をお聞かせください。


●知事

 はい。田川[博己]会長さんは、先ほど申しましたように日本の旅行業協会のトップのかたでいらっしゃいますので、当然ながら1社だけの問題ではなくて各社通じた上で、あるいは旅行業全体を通じた上でのご見識とお立場というものもおありでいらっしゃいますので、我々としてもそうした意味で広く山陰への国際観光を引っ張ってくる、その適任者ではないかと考えたところであります。つながりということから言いますと、田川さんには前、私の方からお願いをして鳥取県の県政顧問にご就任いただいておりますし、また、大山でエコツーリズムの国際大会を開催をいたしました。これも田川さんが非常に熱心に山陰の大自然、この中でのエコツーリズム造成ということに力を入れていただき、この大会においてもトップマネージメントをしていただいた経緯もございます。そういう意味で田川会長に今回、山陰両県でこういうDMO[観光地域づくり法人]を考えているということをお伝えをいたしましたところ、快くお引き受けいただいたということであります。ただ、勤務形態は非常勤的なことになると思います。ですから、実際の実務は福井[善朗 代表理事]さんがトップになられまして、こちらの方に住まいされるということで、先般も福井さんと私もお会いしましたけれども、お話をされておられました。実務はそちらの方がされると思います。


○NHK 橋本慎也 記者

 すいません。DMOに関連してなんですけど、福井さんが実務をやられることなんですけど、神奈川県の観光の担当課長というふうにおっしゃいましたけど、そのかたはどうして鳥取県の今回DMOを担当されることになったんですか。


●知事

 もともとは近畿日本ツーリスト[株式会社]のかたでいらっしゃいまして、私も以前、近畿日本ツーリスト系列の旅館の絡みだったと思いますが、鳥取県で行事がありましたときに、以前お会いしたこともあります。ですから、度々こちら山陰の方にはお越しだったわけであります。また、福井さんにつきましては、島根県の方で観光政策を立案していくそのキーパーソンとして活躍されていたという経験がございまして、そういう意味で、山陰全体としても非常にご見識明るいところなので我々もよいのではないかと、それで両県で話し合いまして福井さんに、じゃ、お願いに行こうということになりましたら、3月いっぱいで現在の職の方は閉じられることになりますので私どもの方に来ていただけるというような運びになったわけです。







10 NOK株式会社の国内生産拠点拡充への支援について 

○共同通信 杉原領 記者

 すいません。NOKについてなんですけれども、一応今回県としてはどのようなかたちで支援をしていくのかということと、会社さんとしてはどのようなところを鳥取県に、その南部町の土地に期待して増設を図るのかということを教えていただけますか。


●知事

 はい。たぶん当日[2月19日]、たぶん会社側で我々もちょっといろいろ会社の事情もおありになるんでしょうから、詳細の具体的なところまで完全に把握しているわけではないので、また当日[2月19日]いろんな計画がまた示されるんではないかと思いますが、今、お伺いしているような計画のスキーム、ラフスケッチからしますと、だいたいたぶん鳥取県として3分の1ぐらいの助成をしていく、大雑把にいえばそういうイメージかなと思っております。例えば、海外からの生産拠点の移転であるとか、それから雇用に対する支援であるとか、いろいろございますのでそういうものをだいたい入れていきますと通常よりは高めの支援になるだろうと思っております。ただ、今回のように一貫して、鳥取県内での生産というのは、1つの我々の理想的な姿でありますので応援をしていきたいと思っています。


○共同通信 杉原領 記者

 3分の1の助成は、これは段階的にっていうことで。


●知事

 その建物だとか、その内容によってということですね。30%のものだとか、35%のものだとか、そういう支援がいろいろと混じってくると思います。






11 環境イニシアティブプランの達成に向けた動きについて 

○読売新聞 高山智仁 記者

 その環境イニシアティブプランの関係のことなんですけども、平成32年までに120メガワットということで、主体となるのは県になるんでしょうか、民間になるんでしょうか。


●知事

 県の企業局の部分だとかも一部ありますけども、多くは民間になると思います。


○読売新聞 高山智仁 記者

 主にはメガソーラーとか、そういう大規模なソーラーの、


●知事

 メガソーラーも大きいですね、あと、バイオマスだとか。ただ、そういうのをいろいろと積み上げていかないとなかなか120メガワットって簡単にいくもんじゃございませんので、そこは努力をしていくという部分があります。


○読売新聞 高山智仁 記者

 そういう意味で、鳥取県が持っている再生可能エネルギーに関しての潜在力について、知事はどういうふうにお考えでしょうか。


●知事

 私どもも、今日もこういう天候でありまして、イメージ的に、例えばソーラー発電所っていうのはあり得ないんじゃないか、ぐらい、東日本大震災直後のころは言われたこともありました。ただ、あのときも孫社長が決断してくださって、こちらの方で、塩漬けの土地だった崎津[工業団地]をメガソーラー発電所として動かすことになったわけでありますが、それでうまくいっているわけですね、十分計画どおりの発電ができているわけです。こういうことでたぶん実証されてきているんではないかなと思います。ですから、太陽光発電も含めて、適地としての性格はあるだろうと。また、地形的に山から海までの距離が、全国的な目線でいっていただくと短いです。例えば関東平野だとか、あるいは大阪平野だとか、いろいろ考えていただければそうですけども、私どもの場合は山が見えるところで海があると、そういう地形でありますので、水力系も掘り起こしていけばあるんではないか。そういう目線で今、企業局を中心にして県としても掘り起こしをして、現実にも、今回朝鍋ダムの話がありますけども、そういうふうに動かしていくということになってきております。

 あと、バイオマスについても、県内の間伐のみならず、チップ材、さらには少し根っこみたいな材ですね、そうした従来だともう山の中に放っておくぐらいの材も含めて活用を今、しようとしていまして、これがまたバイオマス発電の資源になり、安定的な発電につながる可能性もあると踏んでいます。ちょっと難しいなという中でいろいろと取り組んでいるのが地熱系でありまして、温泉熱発電がようやく湯梨浜で1つスタートしましたけれども、いろんな可能性を見据えていきたいと思っております。また、併せて、これはかなりちょっと未来の方を見つめてということになりますけども、私どもとしてはメタンハイドレート、この可能性を追求していくということになると思いますが、これについては鳥取大学で、今、大学院の募集をしておりまして、また、教授も、教授陣も今2名着任をするということになりまして、4月から本格的に動き始めることになろうと思っています。これについては、また、この年度末に向けて、2、3度公開講座をしていくということもあります。これは研究開発を進めていかなければならないところでありますが、それの末に未来のエネルギーという可能性はそこにもあるだろうと見ております。

 あと、なかなか寒冷地でうまくいくかと言われている水素の活用につきましても、この度プラットフォームが整いまして、実証実験に向けて積水ハウス[株式会社]や本田[技研工業株式会社]さん、それから鳥取ガス[株式会社]さん、こうした連携によりまして今スタートをしようということになってまいりました。これの予算も我々の方でも整えて応援をしているところでございまして、こんなような多角的な視点で再生可能エネルギーやエネルギー革命に取り組んでまいりたいと思っております。


○毎日新聞 真下信幸 記者

 関連してなんですけども、イニシアティブプランは、確か今年度までの目標値が既に定まっていたかと思うんですけども、ちょっと不勉強で申し訳ないんですが、概ねその目標値に関しては達成できていたかと思うんですけれども。


●知事

 ええ、はい。


○毎日新聞 真下信幸 記者

 この今年度までのそのイニシアティブプランの知事としての評価というか、そういうものはいかがでしょうか。


●知事

 概ね、おっしゃるように、概ね達成していまして、特にこの再生可能エネルギー系については満足の得られる結果につながったんではないかなと思っています。振り返ってみますと、いろいろと背伸びをしながらのチャレンジがありまして、これが一応の成果を上げたということだと思います。ただ、ちょっと難しいのは廃棄物リサイクル系、こちらについてまだ課題が残されたかたちで今回イニシアティブプランの計画期間が終わることになります。それで、これは引き続いて新しい期間設定の中で目標を掲げてやっていきたいと思っています。







12 レーザーヨット世界選手権の誘致について 

○NHK 橋本慎也 記者

 すみません。ちょっと全然違う話なんですけども、ヨットの世界大会を境港市に誘致されるということなんですけども、どうしてそもそもヨットの世界大会を誘致されるかということと、改めて狙いについて伺いたいのと、その成功の可能性っていうのはどれぐらいあると考えられているんですか。


●知事

 もともとは、日本の東京オリンピック等々、全国的なイメージからすると湘南海岸だとかどうしてもそういう方にあるわけですね、石原裕次郎さんのイメージとかもあるんでしょうけども。ただ、波の立ち方等々からしますと、美保湾っていうのはいい波が立つんですね。風の条件だとか、それから地形のこともありまして、これは、実は日本のヨット関係者の中では評価は高いところなんです。ただ、それに見合うような、ヨット競技での活用のされ方に至っていないということがございました。そこで私どもとしてその艇庫を整備してこれまで、東京オリンピックが見え始めたもんですから、艇庫を整備していろんなかたちで活用してもらえないか、例えばキャンプ地ですね、海外チームのキャンプ地であるとか、それからユースも含めていろいろ育成という拠点にならないだろうか。これで私どもの方でもJOCのその練習拠点としてその認定は取れたわけです。それで、こういうようなかたちで一歩前進したところでありますが、世界的に境港という名前を知ってもらうという意味では、やはり大きな国際大会の存在は非常に魅力的なゲートになろうと思います。

 ですから、この新しい東京オリンピック後のレガシー[遺産]を県内にも何らかのかたちで残していくという意味では、いろんな世界大会に耐え得るような、そういう場所ですよっていうことをアピールするチャンスではないかと思います。2019年という年は関係者にとりまして非常に大事な年でありまして、2020年の東京オリンピックを目指していく上で、その出場権を得ていく年になってくるわけです。ですから、その年にこういうレーザー級の世界最大規模の大会が開かれるっていうことは、関係者が東京オリンピックと併せて、記憶に刻まれることになるんではないかと思います。またこういう大きな大会を誘致をすることで、県内のユースも含めて、いろんなそのオリンピックに潜在候補生っているわけでございまして、そういうかたたちに対するいい刺激にもなりましょうし、実際、本物のその世界一流の選手が集まるところに触れることは大切な経験になると考えております。

 私たちとしても、地域としてこういうヨットの大きな大会を受け入れる、経験を持つことも、これもスポーツリゾートとして、国際的に今後受け入れていけるようなスポーツリゾートとして発展していくのに、1つのステップアップの舞台にもなるんではないかなと考えております。そういう意味で、結構ハードルの高い大会ではありますけれども、このたび境港市とも協議をいたしました。それで[鳥取県]セーリング連盟の方もそれを望んでおられますので、そうであれば、皆でこれ立候補しにいこうということに、このたび動かせていただきました。それで、その成算があるかと言われると、これはやってみなければわからないというのが、それは正直なところでありまして、東京オリンピックに手を挙げるほどの大きな舞台じゃないかもしれませんが、小さな鳥取県にとりましても、これは鳥取県なりのチャレンジにはなると思います。ほかにも候補地となるところはあります。ですから、これは競争の上でということになります。


○日本経済新聞 舩越純一 記者

 関連なんですが、候補地というのは、国内のライバルもいるということになるんですか。それとも世界各地なのか。佐賀が2年連続で世界大会を誘致しているようなんですが、国内のライバルとしてそういう都市が上がっているっていうことですか。


●知事

 私ども聞いているところでは、国内でも首都圏に候補地があるんではないかというふうに考えております。そういう意味で無競争ではないと思っています。それで、日本か他の国かっていうことでは、今の、これは世界全体の関係者のムードということだろうと思いますが、翌年に東京オリンピックがありますから、日本で大会をするがいいでないかなと。これ、それは、いや。選手にとっても経験になりますんでね。そこでオリンピックの出場権を得てくるという舞台として、日本の中でっていう思いは、世界の中にはあると思っています。ですから、手を挙げるんであれば、今が我々として一番狙いどころのチャンスではないかっていうことですね。


○毎日新聞 真下信幸 記者

 関連してなんですけど、JOCの強化拠点に選ばれて、今年度は艇庫の整備に予算もついたかと思うんですけれども、それで、今後世界選手権の誘致にあたって、またハード面での整備とか、そういったものっていうのは追加で必要になってくるんでしょうか。


●知事

 何らかそれはちょっと見直し点検する必要もね、それは当然ながらあると思います。そこは今後もし決まってくるんであれば、関係省とも話をしなければいけません。あと、非常に大がかりでありますので、選手も来られれば、役員だとか関係者もいらっしゃいます。その受入体制をとっていくというのは、実は小さなコミュニティーでありますから、我々の場合は。そこはハードルも高いところがありまして、それ相応の経費もかかると思っています。


○共同通信 杉原領 記者

 ほかございますか。





13 今夏の参議院議員選挙について 

○山陰放送 秦卓史 記者

 すいません。この間の日曜日、自民党の国会議員のかたの新春懇談会がありまして、知事は米子の方には出席されましたけれども、ほかの会場ではメッセージを託されていましたし、米子では出席ということで、与野党、今、参院選に向けて動きが活発になる中で、知事としては地方創生もあって、現在の与党の方に応援したいというお気持ちなんでしょうか。


●知事

 こういう記者会見というパブリックな場でありますので、私としてどこの党がということを申し上げるつもりはございません。これについては、参議院議員選挙、これは国民の皆さまの厳正な信託の場でございまして、ここでどういう選択をされるのか、それは公明正大な議論のもとに、正々堂々選挙戦を戦っていただいて、それに有権者が判断を下すと、その大きな力に期待をいたしたいと思っております。私自身はあと政治的な活動をするその自由も片方でございまして、そういう意味で、私自身としてのどういうふうに今後行動していくかっていうのは、まだ現状で決めているわけではありません。先般、今ご指摘のような点につきましては、今、地方創生だとか、あるいは港湾の整備であるとか、いろんなかたちでお世話になっている点につきまして、私の方からもご紹介申し上げるべきかなと考えまして、今回関与させていただいたということであります。


○山陰放送 秦卓史 記者

 その地方創生については、現在の候補予定者の中でも、現在のこう地方創生を進めるべきだという論と、それから現在の地方創生の、国が進める地方創生は、非常にこう国が示したメニューを自治体に位置づけるというような批判もあったり、こう両方あると思うんですが、知事としてはこの地方創生については、この選挙ではかなり大きな争点になるというふうにお考えでしょうか。


●知事

 それは今、各党間で主張が違いますので、論点の1つにはなろうかと思います。ほかの論点とあわせまして、有権者の皆さまに政策の違いを明らかにしていただいて、正々堂々と論陣を張っていただければと思っております。我々現場の立場からしますと、地方創生というその目指しているところは。私ども鳥取県あるいは島根県さんもそうなのかもしれませんが、山陰のような地域では、人口減少だとか、少子高齢化だとか、また産業の活力だとか、いろんな課題がありまして、それを打破していく道筋であるというふうに思っております。ただ、その手法として、どのようにそれを進めていくかについては、私自身も悩みもあるのも事実でありますし、関係者の間でもいろんなご意見があるだろうと思います。その辺が、選挙戦を通じていろんな議論が戦わされて、選挙後はいいかたちでそういう地域づくり、地方創生というものが前進していくことに期待しております。






14 外国人宿泊者数の数値目標と達成に向けた動きについて 

○日本経済新聞 舩越純一 記者

 DMOの関連で、数値目標で、外国人宿泊者数が鳥取・島根で16万人というのを、平成31年ということでおっしゃられましたけども、県の今の方針ですと、平成30年までに6万人という目標だったと、ようこそようこそ等で出した数字があったと思うんですが、単純に今、鳥取島根で半分に割っても8万人を呼ぶとすると、2万人伸ばすような方策をとらなければいけないと思うんですが、あとは今の鳥取・島根の割合でいいますと、3万人しか島根には泊っていないところで、その比率でやったとしたら鳥取の伸ばす量というのはさらに増やさなきゃいけないと思うんですけど、その生産というか、手法なり、お考えのところをお聞かせ願いたいのと、この数値目標っていうのはその達成目標ということだと思うんですが、どのような扱いなのか、目標として目指すというだけなのか、必達なのかとか、そういうところをお聞かせください。


●知事

 私ども目標として掲げるからには必達と考えております。この数字自体も両県でだいぶいろんな議論がなされた上でのことでありまして、今、ご指摘のように、非常に正直なところを申し上げれば、鳥取県内と島根県内で外国人の宿泊客数に差がございまして、その辺にはまだ考えようによっては伸び代があるかもしれません。そういうようなことでありまして、単県の計画、数値と必ずしも連動しないところもあろうかなと思いますが、今後ですね、例えば香港とか、それから台湾とか、従来の韓国に加えて、ターゲットを広げていく。さらには東南アジア、ヨーロッパ、この辺も上手に作り上げていけば16万人というのは、高めかもしれませんけれども、達成し得る目標ではないかと思います。島根県さんも島根県さんの考えかたがありながらだと思いますけども、両方足し算すれば16万というところはぜひ目指していこうと意志が一致しましたので、今回こういう目標をつくりました。実はそのDMOを設置するにあたりまして、この目標設定が国の交付金を充当している関係もありまして、必ず必要な部分でありまして、DMOとして達成すべき目標を考えて、ここもPDCAサイクルを回しながら、その目標の達成を年々確実なものとしていくということだと思っております。


○日本経済新聞 舩越純一 記者

 今回その16万人に合せて、今4年間で6万人まで増やしていきたいという目標を修正するということはされないんですか。


●知事

 県の方もローリングしていきますので、鳥取県自体の目標は、これは8万人とか10万人とか我々もそこは実態を見て変えていきたいと思っております。幸いなことに去年はかなり好調に集客を伸ばすことができましたので、この勢いを続けていけば、達成可能なレンジ[幅]ではないかなと個人的には思っています。





15 国会議員の育児休業取得について 

○日本海新聞 北尾雄一 記者

 すいません。先日、育児休暇の取得を表明していた衆議院議員が女性問題で議員辞職をするということがあったんですが、知事としてこの問題をどういうふうに見ておられるか、ご見解をいただきたいのとですね、育児休暇を県としても勧める立場として、この問題が社会に与える何か影響みたいなのは、何かあると感じておられますでしょうか。


●知事

 非常に残念な状況だなと思っております。鳥取県の場合は子育て王国をぜひ作り上げていきたい。名実ともに作り上げていきたいという思いで、具体的な施策を切り、さらに企業さんにも呼び掛けて、今、イクボスを増やそうとか、そういう運動を展開している矢先に、今回のような事件が発生したというのは残念なことであります。これで冷や水を浴びせられるようなことにならなければよいなというふうに願っているところであります。結局、なかにはそういう人たちもいるんだろうなと思われますのは、男性の育児参加が非常に大切なことであり、これを政策メッセージでも出し実行していくという人たちを増やしていかなければなりませんけども、それにいわば便乗するようなかたちで名前を売るとか、あるいはイベントをやってお金を儲けるとか、そういうような人たちが出てきてしまいますと、それはその正当性を疑われることになりかねないわけでありまして、私どもとしても、そういうことに向かわないように注意をしていかなければいけないと思っております。

 今後、私どもとしては先般、東京の池袋で同志の12人の知事で集まりまして、各県で子育てを中心とした移住を呼びかける機会を持ったわけでありますけども、そこでも知事同士でわりと腹を割った話をさせていただきましたけれども、ぜひ、今後結婚のということの大切さとか、それから子育てのサポートだとか、いろんなことを共同でこれからそれぞれ行動を起こしていこうということを話し合ったところです。4月には、また宮崎で集まって、そうした声を挙げていこうというふうに話し合いをしたところでございまして、加藤大臣が動いておられることとも連動していこうということも話したところであります。今回のことが、決してブレーキにならないように、我々現場としては踏み留まっていきたいと思っています。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 もう1つ、この国会議員が、政治家が育児休暇を取るということについては、首長の間でもいろんな意見があるようですけど、知事はこれについてはどういうふうに思われますか。


●知事

 これ、広島[県]の湯崎[英彦]知事のところから出てきた、同じような話がありまして、そのときも申し上げましたけれども、育児休暇っていう、ちょっとその言葉が適切かどうかということが本当あると思うんですね。私どもの場合は勤務時間がセットされていませんし、この日が休日で休みだというようにもセットされていませんから、ですから、育児休暇という概念は本来ないです。どちらかというとシンボリックに育児に係るために、時間を作りましたというのが本当は正解なんだと思います。ですから、それはもともとある意味、フレキシブルな勤務体系でありまして、国会議員もそういう面があるわけであります。例えば、朝8時半から夕方5時まで勤務時間ですよと国会議員にセットされているわけではありません。従いまして、育児休暇という言葉が本当は適切なのかどうかということでありますが、それをいわば政治的な言葉として育児休暇をとるというふうに言われているというふうに、冷静にそこは受け止めた方がいいんじゃないかなと思います。その意味で私は、そういう家族と関わらなければならないそういう時間を持つこと、これはいかなる職業においてもあっていいと思いますし、それを何かこう1つのドグマの中で妨げることが適切かというとそうではないだろうと。それは社会全体で配慮していくべき時代に入っているんではないかなと思っております。

 ですから、育児休暇と言われているような育児に時間を割くことについては、私はポジティブであります。ただ、それがじゃあ、あとは折り合いの問題でありまして、じゃあ、例えば重要な決議のときに国会議員であれば1票を行使してその議決の可否を決するのが最大の仕事でありましょうけれども、その時間のときに果たして何が優先されるべきかと、その具体的な状況の中でそこは一定の職業人としての節度ということも当然あってしかるべきだと思っています。それで、今回、育児休暇といって普通のお勤めされているかたのイメージで、例えば1週間とか、1月とか、一切こう、仕事に出てきませんよというような意味でたぶん使ってもともといないんだと思うんです。ただ、そういうようなことでなければ、国会議員の職務と両立をさせていくことも男性の場合は比較的可能なんではないかなと思います。この辺は国会のルールの中で県議会もそうでありますけども、成果、その日例えば休むことを議長として認めるかどうかとか、そういうことの運用の中で議論されていけばよいのではないかなと思っています。






16 工業団地造成と未利用地の有効活用について 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 すいません、今日、NOKさんの原工業団地の話もありましたけど、近年、鳥取県さんでは企業誘致ですとか、あるいはこういう中国ですとかいったところからの生産拠点の国内回帰の政策を進めておられますけども、一方で県内の工業団地が足りなくなっているという現状があると思います。市町村への支援みたいな事業も考えておられると思うんですけども、県としては県内の工業団地について今後どうあるべきか、増やしていくべきかとか、そういうのは何かお考えがあればお聞かせいただけませんでしょうか。


●知事

 これについては、地域の事情に基づいて市町村の方で主として考えていただくべき課題かなと思っております。その意味で今回、当初予算の中にも入れさせていただいたわけでありますけども、今おっしゃるような市町村の行う工業団地造成につきましての、県としての制度改革もさせていただきまして、ご支援を申し上げていくことに切り替えさせていただいたところであります。そこは市町村が例えば工業団地というのは、要は不動産ディベロッパー[開発業者]だと思ってもらったらいいわけでありますが、投資をしまして、その投資をしてできた、造成されたところ、これは建売であればそこに例えば家を建てて売るとか、そのまま土地を分譲するだとか、そういうことになるわけであります。それで、その工場版がこの工業団地でありまして、ディベロッパーがその市町村ということになれば、今度投資資金を回収しなきゃいけないわけですね、ですから、そこのいわばリスクを取りながらやっていくということになるわけであります。そういうことを引き受けた上で市町村がやっていかれるということについて、私どももかねて議論が議会でもございまして、このたび支援のスキームの方に切り替えさせていただいたところです。現在の工業団地が必要量を満たしているかというと、私は実務に携わっていますので思うわけでありますが、以前であれば広大な工業団地がありまして、それがなければ行かないという時代だったんですが、今はできるだけ投資を抑えようという企業家マインドが働いているんですね。どちらかというと変な話、空き工場だとか、そうしたところを結構好まれる誘致企業が多いです。それから、オーダーメード的にいろんな条件がありますので、そういうものを満たしていくとすると、どちらかというと、工場の立地可能性のある用地のリストを持って交渉するのが現実的にもなってきています。ただ、それはそれぞれの市町村の方針もあるわけですね、それで私たちはそういうふうに県の工業立地関係者は、職員は思っているんですけども、市町村では市町村の中で議論をしてやっぱりもっとうちの地域に来てもらう必要があると。それであらかじめ用意していた方が来やすいということの論理の中で、そちらに踏み込まれる。その場合は、でも逆にいえば、もし売れなかったときのリスクを背負い込むことになりますので、その辺は折り込んでいかなきゃいけないわけです。

 ですから、そういうふうに投資をされるのであれば、それは本来は市町村のリスクではないかというふうに県としては考えてきましたけれども、ただ、中山間地等々で企業立地の必要性があるとか、それとの関連でそれに準じたようなところだとか、いろいろと状況もありますので、一定の支援は今後県も応じていきたいというふうに考えております。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 なんでこんな質問をしたかといいますと、この前、監査でも県のいろんな用地を活用すべきだというご意見が出ていましたけども、かなり中には広大な土地もありますし、そのうちディベロッパーとして市町村というようなこともおっしゃいましたけども、もちろん工業団地、用途として適するかどうか、いろんな問題があるとは思うんですけどね、住宅であってもいいかもしれません。有効的に活用していかないとなかなか県民の理解が得られないような時代にもなってきている中で、そういう企業誘致の用地として使うというのも1つの考え方ではあると思うんですけども、もちろん市町村のリスクとして誘致をしてもらうという考え方もあると思うんですが、県として主体的にどうこうするというようなお考えはないのかなと。


●知事

 工業団地につきましては、県内で我々が保有している土地は、例えば道路敷に使おうと思って買ってしまったとか、それから免許センターのところ、湯梨浜のように、昔こう温泉団地をつくろうと思っていて買ってしまったとか、そういう土地でございまして、工業立地に適している土地はないというのが実情かなと思います。ただ、おっしゃるように有効活用しなければいけませんので、温泉団地にしようと思って買ったところについては、これは実情をいうと住宅用地に適するような地勢でございますので、住宅としての分譲、これが優先課題かなと思います。それぞれの場所、場所に従った処方箋を書く必要がありまして、そういうことで、今後当たっていきたいと思いますが、積極的に今の遊休地を工業団地化するというアイデアは、今は正直ございません。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 ちょっと今具体的な名前が出たので、温泉の用地、湯梨浜なんですけども、


●知事

 はい。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 手法としては開発公社さんとかをかましてやるような手法もあると思うんですけど、そこまで具体的にはまだ考えておられない。


●知事

 湯梨浜[町の立地]についてはたぶん通常の、例えば駐在所の跡地のようなかたちで公に販売していくという手法になろうかと思います。特にそれ専門の保有主体をかませるものではないと思っています。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 ありがとうございました。






17 山陰観光推進機構(仮称)等による観光の魅力向上について 

○時事通信 平野実季 記者

 すいません。キャンプ地誘致だったり、そのDMOの設置ということで人を鳥取に呼び込んでくるということに力を入れられていると思うんですけども、一度来てもらった人にリピーターになってもらうというのも重要だと思うんですが、その点において土地の魅力とプラスして、人の魅力というか、おもてなしの向上、質の向上というのも必要になってくると思いますが、その点については県として今後何ができるかという点と、民間のかたをトップに迎えたDMOでも、そういった点についても今後もしかしたら何かしてほしいというか、期待している部分はあるんでしょうか。


●知事

 DMOの方では、主としては海外へのプロモーションであるとか、それから広域観光ルート設定、そうしたことが中心になると思います。ただ、その山陰DMO以外にも東中西でそれぞれDMOができるように、今我々としては促しているところでありまして、そういうところでそうした人材育成や研修に関わっていただいてもよいのではないかと思います。それであと、我々としてもいろんな研修等々も今後進めていきたいと思っておりまして、例えば海外から来られるかたの接客であるとかそうしたこと、あるいは障がい者のことなどもあると思います。新年度予算の中にも入れさせていただいておりますが、障がい者や高齢者向けのバリアフリーなツアー、これの造成を今目論んでいるわけでありまして、それはあいサポート運動だとか、そうしたこととも絡むと思うんですけども、非常に居心地がいい県だなというふうに思っていただけるような人づくり、これは欠かせないところだと思っています。

 このたび日本財団との間でタクシーに障がい者のかたが乗りやすいことにしようと、当面100台そして200台というふうに増やしていこう、これと連動してドライバーにバリアフリードライバーになってもらう、こうしたことなど県の方の事業をかませようということにしています。この点については、実は県議会側からもご意見が寄せられていまして、タクシーのドライバーのかたのおもてなしといいますか、接客業の心配り、こういうことも養成してもらいたいというお話がございまして、この研修の中で我々もしていく必要があると思っております、事程左様でございまして、交流人口は増えてきますのでそれに応じた人間のブラッシュアップ[磨きをかけること]ということも合せてやっていきたいと思っています。






18 北陸新幹線のルート検討と山陰新幹線構想について 

○日本海新聞 北尾雄一 記者

 すいません。山陰の鉄道の高速化のことでお伺いしたいんですが、先日から北陸新幹線の敦賀から南のルートを巡って第5のルートと言われる舞鶴を経由するルートというのが急浮上してきまして、京都府北部の自治体からもかなりそういった声が強くなっているようなんですが、一方でこの山陰に目を向けますとまだ山陰新幹線というのは計画路線になったままでして、一方、伯備線、因美線ではフリーゲージの実用化に向けた調査ということも県は進めていらっしゃいますが、今後、この北陸新幹線の問題ともあわせてどのようにこの議論を進めていくべきだというふうに思われるでしょうか。これは国の国勢的な課題でもあって、政治との関わりも非常に大事になってくるので県だけの話ではないんですけども、県としてはこの議論をどう進めていくのかというところをお聞かせください。


●知事

 はい。これについては、長期的な視点と中期的な視点と2通り必要だと思っております。長期的には、今北海道までこの春新幹線が伸びることになるわけであり、北陸新幹線もいずれ京都に入るのか、今議論がありますけども、ルートが設定をされ、現実に建設にかかるというのもほぼ見え始めているということではないかと思っています。事程左様に、全国的に従来の在来線の鉄道網とはちょっとバージョンの異なる新幹線鉄道もないしリニアモーターカー、こういう新規の高速鉄道が敷かれてくる時代になります。それで、もともと山陰にそれが予定されていなかったかといえば、山陰新幹線という計画もあったわけでありまして、その計画自体が消えてなくなったわけでもないわけです。ですから、長期的にはそういう山陰新幹線ということは、私たち地域としては検討テーマとして持ち続けなければならないと思いますし、それが議論、実行されるタイミングというのをいずれつくっていくべきだと私は思います。

 その意味で、今、与党におきまして整備新幹線のルートについて検討がなされており、西田座長を中心に方向性が示されるタイミングにきています。私も関西広域連合に出席をさせていただき、関西の知事や市長と議論も率直にさせていただいておりますが、だいぶ空気が変わってきたと思っています。以前は橋下[徹 元大阪]市長などの議論が強くて、結局米原ルートということで関西広域連合で決めたことになりましたけれども、私が関西広域連合の中でも主張しておりますのは、だいぶ事情が変わってきているんではないだろうか、それをにらみながら柔軟に連合としても対処していくべきではないだろうかというふうに申し上げておりまして、先般の関西広域連合の委員会でもそうした方向性が入ったかたちで軌道修正がなされたと思っています。それで、最近京都を中心にして強まっているのは舞鶴経由で入るという京都に向かうルートでございまして、これは地図を描いてみるとおわかりになると思うんですが、一部で報道されていたようなJRの考え方として小浜から京都へ入るルートよりもだいぶ西側の方に舞鶴に行きますとずれることになるんですね。それで、ご案内のように、地勢的には舞鶴、さらに宮津、豊岡また鳥取というようにかなりこう近い関係に地勢的にはなっていまして、今、高速道路が十分敷かれていませんから遠いイメージがありますが、自由な発想でルートを設定すると舞鶴の方に回ってくるということは、山陰新幹線との関連性も今後議論されるステージに入り得るということだと思っています。

 これは京都の[山田啓二]府知事もかねてからそういうことを言っていまして、だからこそ関西広域連合の中では私が主張していたことに沿って、山陰新幹線の実現に向けた検討をすべきだということはこれまでたび重ねて関西広域連合の方針として表明されています。これは、だから関西の中の日本海側の人たちとのいわば共通の思いというものもあるということの表れであります。ですから、長期的にはそうした検討ということも捨てるべきではない話でありまして、そこは我々としても関わっていくべきではないかなと思っています。それで、中期的な視点になりますと、今、関係県とも一緒にやっていますが、伯備線ルートとそれから因美線ルートと2つのルートで山陰に入って来るその高速鉄道化の構想であります。それでこれはちょっと当初の予定がずれていまして、結論から言えば元々予算がそうなっていたんですが、3月いっぱいでJR系のコンサルが、コンサル会社がその試算を示すと、分析を公表するということになっています。これは鳥取県の予算も関わった中で調査が行われています。これが出てきたところでそういう長期的な議論の前に、今できることをやっていく、その中期的な議論がされるべきではないかなと思っています。

 先般ちょっと一部で報道があって若干混乱しているかもしれませんが、あれは関係県の県議会議員さんの集まりの中で、中間報告的な説明がなされたことに基づいて、たぶん出ているんだと思うんですが、実はまだ調査作業は終わっていません。ですから、これは終わるのが3月いっぱいぐらいまでかかるかなと思っています。そのあと、そうした中期的な議論に真摯に対応していく必要があるだろうと思います。それで現実可能であって効果的な方針が関係地域のコンセンサスが出てくればそれに向かっていく努力を今度はしていかなきゃいけないと思っています。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 中期的な視点での議論に向けての調査結果を待つということですけども、ただフリーゲージについては長崎ルートでもそれから北陸新幹線でも開発の遅れ、車両の開発の遅れというのが指摘されていましてそっちについてもかなりなかなかハードルが高いのかなと今の現状では思うんですけども、そのあたりのご認識はいかかでしょうか。


●知事

 フリーゲージトレイン[走行する軌問の幅に合わせて線路上を走行可能な試験電車]自体、フリーゲージトレインの開発に想定以上に時間がかかっているのは事実でありまして、そのフリーゲージトレインの課題の克服ということを考えますと、例えばもう新年度から何かやらなきゃいけないとか、まだそういう段階でもたぶんないだろうと思うんです。ただ、今どういう分析がなされるかにもよりますけども、例えば線形の改良とか、そうしたことは切り離しながら先行実施していくこともたぶん可能なものもあると思うんです。それで、そういうようなことで費用対効果である程度納得できるものがあれば、それに関係地域と一緒に関わっていくということもあるかもしれません。フリーゲージトレインの設定の仕方も従来の、例えばアクセスポイントですね、実際にその新幹線軌道から狭軌の在来線軌道に転換をする場所等でも従来とは違った現実的なアイデアを今出しながらJR系コンサルが検討していますので本音に近い数字が出て来るんではないかなと思っております。それを冷静に圏域の皆さんで分析をしていく、そういうちょっと丁寧な手続きが必要だろと思っています。


○共同通信 杉原領 記者

 ほかございませんか。それじゃ、ありがとうございました。


●知事

 どうもありがとうございました。





  

 ※広報課編集
  [ ]については、広報課で補足説明しています。

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