令和6年度附議案

平成27年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

平成27年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 本定例県議会に提案いたしました諸議案の説明に当たり、まずもって、今期4年、更には就任以来2期8年にわたり、県民の皆様、議員各位から賜りました御支援、御協力に心より厚く感謝申し上げます。

 議員各位と任期を共にいたしました平成23年4月からの4年間におきましては、「みんなで やらいや 未来づくり」のため、県民の皆様とともに、鳥取の未来を創り出す歩みを進めてまいりました。

 県民の参画の下に、日本で一番身近にアクセスできる開かれた県政を確立するため、一部会派を除き幅広く御賛同いただき、全国都道府県初の常設型住民投票制度を含む県政の基本を定めた「鳥取県民参画基本条例」を制定いたしました。日本一人口の少ない県であることは「弱み」ではなく、最も住民と地域に忠実な県政を築けることを私たちは条例で示すことができました。

 また、リーマンショックや企業の再編、国外流出など厳しい産業・雇用環境からの脱却をめざして奮闘してまいりました。JCBをはじめ、かつてない程多くの企業誘致を実現するとともに、県内中小企業の活力向上のため、県版経営革新制度を創設し、設備投資により新たなステップアップを図ろうとする企業に対し支援するなど、働く場づくりを全面展開してまいりました。その結果、4年間で1万人の雇用創出の大目標を達成することができ、昨年末の有効求人倍率は、実に17年ぶりの1.06倍に達しました。しかしながら、まだ地域経済にアベノミクスが届いていないと分析され、産業・雇用の振興は未だ道半ばと考えられます。
 大交流時代を山陰にもたらすインフラにつきましては、鳥取自動車道の全線開通のみならず、山陰自動車道・山陰近畿自動車道の整備も進み、鳥取空港・米子鬼太郎空港の増便や香港等とのチャーター便大幅増を実現できた上、更には境港への国際クルーズ船寄港回数も急増し、海外宿泊客数が年間3万6千人に上るなど、北東アジアゲートウェーとして海外への扉も開かれてきました。
 また、農林水産業への新規就業者は4年間で7百人以上就業し、移住者全体は4年間で3千人に届く勢いです。新甘泉やオレイン55、カニやマグロなど、本県の特産品振興では、全国最優秀の種雄牛「白鵬85の3」にまで辿り着きました。
「食のみやこ鳥取県」の推進に向けては、サポーター協力店舗が1千店を超え、東京に岡山県と共同でアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館 ももてなし」をオープンしました。

 「子育て王国」に関しましては、小児特別医療費助成制度の対象を中学校卒業まで拡大したほか、中山間地保育料無償化、不妊治療支援など子どもを産み育てやすい環境整備に力を入れるとともに、結果として国の教育改革に先行する形で本県独自に創設した、有識者を交えた「教育協働会議」や知事・教育委員会の協約に基づいて、学力向上対策、いじめ防止対策、琴の浦高等特別支援学校開設、土曜授業導入などを進めました。また、鳥取環境大学の公立化により、経営危機に追い込まれていた大学の再興に至り、加えて、県内の看護師不足の解消に向け支援を行った鳥取看護大学がこの4月に開学する運びとなりました。

 鳥取の「強み」である自然を生かして「とっとりグリーンウェイブ」を力強く推進し「ジャパンエコトラック」第1号ルート認定を受けるなど、エコツーリズム、スポーツツーリズムへの道筋をつけました。また、山陰海岸世界ジオパークは、青谷町・鹿野町・気高町などの地域へエリア拡大を実現して世界ジオパークの再認定を受けるとともに、天皇皇后両陛下の行幸啓をいただいた全国豊かな海づくり大会、全国植樹祭、更には全国都市緑化フェア、国際まんが博も県民・議会の御協力で多くの県内外の方々をお迎えして開催することができました。更に、再生可能エネルギーの促進が功を奏し、メガソーラーや木質バイオマス発電、小水力発電など、新しいエネルギーの開発・利用が進み、国から「とっとり次世代エネルギーパーク」に認定されました。

 とりわけ、「障がいを知りともに生きる」をテーマに掲げた本県の取組は、全国に、鳥取発の大きな波を起こしました。
 あいサポーター制度は県内外、更には韓国まで普及が進み、サポーター数が23万人に達するまでになる一方、県議会全会一致で「鳥取県手話言語条例」を全国に先駆けて制定し、コミニケーション支援に積極的に取り組みました。こうした中、秋篠宮妃殿下、佳子内親王殿下をお迎えして「あいサポート・アートとっとりフェスタ」(第14回全国障がい者芸術・文化祭)、「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」を開催し、大きな感動が全国へと広がっていきました。
 更に、全国に先駆け、成分の特定を要件とせずに危険ドラッグの製造、販売、使用等を全面禁止する条例を制定し、これは、国の法律改正や他県の条例にも影響を与えています。

 今、「地方創生」が叫ばれ始めています。人口が少ない鳥取県でも、障がい者施策や危険ドラッグ対策のように全国をリードする力を持つことができると考えます。鳥取からこの国を変えるチャレンジに挑む時です。皆様とともに改革を行い、地域の絆を活かし、「鳥取の元気」を創造していく決意であります。

 それでは、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明いたします。

 今議会に提案いたしました議案は、
  予算関係    32 件
  条例関係    19 件
    その他の案件  12 件  の 合計  63 件であります。

 最初に、議案第1号 平成27年度鳥取県一般会計予算についてであります。

 本県の財政見通しは、地方消費税収入の増加や、現下のゆるやかな景気回復基調を反映した県税収入の伸びが期待される反面、地方交付税、臨時財政対策債は削減されており、一般財源は前年度当初予算並みと見込まれるものの、歳出面で公債費負担が引き続き高水準にあることに加え、社会保障費、施設維持修繕費など削減が困難な経費が増加傾向にあり、依然厳しい状況にあります。
 事業全般にわたって内容を精査し、最小の経費で最大の効果を上げるよう細心の注意を払って予算を編成いたしました。
 これまで、未来への積極的な県政推進と財政健全化の二兎を追う財政運営に努めてまいりましたが、4年の任期の締めくくりにあたり、県民とのお約束である財政誘導指標を達成し、財政調整型基金は減らさず、逆に実質的な借入金残高は624億円減額し、プライマリーバランスも82億円の黒字を達成することができました。
 なお、今回の予算は、統一地方選挙を控えていることから、いわゆる「骨格予算」として編成することとし、原則として年度当初から早急な対応が必要なものを中心に計上することといたしましたが、「とっとり創生」に向け、先の臨時議会でご承認をいただいた予算と併せ、いち早く地方創生のスタートを切るための経費等については、積極的に予算計上いたしました。

 それでは、平成27年度当初予算案の概要について、順次御説明申し上げます。

 はじめに、「産業未来・雇用創造」についてであります。
 鳥取県版経営革新制度を更に発展させ、企業の成長段階に応じた新たな支援制度とするほか、鳥取大学と県内企業等が連携して行う医療機器の開発プロジェクトなどの医工連携支援を強化するとともに、創業初期の経費負担の軽減を図ることなどにより創業や第二創業、事業承継を支援します。 
 木造住宅新築等を支援する「とっとり住まいる支援事業」については、県産材の使用量に応じる新たな加算を導入し最高100万円まで助成することといたします。
 農林水産業においては、本県農業の強みの一つである野菜や花き等の振興を図るため、助成メニュー方式の助成制度に改め、園芸産地づくりを進めます。また、本県の優秀な和牛資源について、新たに設ける和牛振興戦略基金も活用しながら、増頭、改良、販売を戦略的に進め、鳥取和牛のブランド化を推進することといたします。
 沖合底びき網漁船の代船建造につきましては、船主負担を支援し、国事業を活用した建造を促進するほか、陸上養殖や省エネ漁業を進めてまいります。
「食のみやこ鳥取県」の推進においては、青果物のほか、カニ等の水産物についても海外への販路拡大の取組を支援していくほか、ハラール認証を応援し、県内企業のロシアにおける加工食品等商談会を開催します。
 境港におきましては、韓国、ロシアとの国際定期航路を活用した日本海側拠点港機能の充実強化に加え、国際・国内フェリー、RORO船の誘致やリサイクルポートに対応した港湾機能の整備・強化に取り組みます。また、高速道路のミッシングリンク解消に向け、山陰自動車道、山陰近畿自動車道、北条湯原道路、江府三次道路などの整備を積極的に進めます。

 次に、「暮らしに安心」についてであります。
 鳥取県西部地震発生から15年目の節目となることから、地域としての防災対策を考えるフォーラムを開催するほか、原子力防災や土砂災害対策をはじめ、防災体制を強化します。
 食の安全については、食品衛生管理について、HACCP(ハサップ)型基準の普及啓発を行い、設備整備についても支援してまいります。
 また、障がい者と健常者がともに暮らす社会の実現に向け、手話の普及と手話を使いやすい環境整備を一層推し進めるため遠隔手話通訳サービスの充実等を図るほか、今年度開催した全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会の成果を引き継ぎ、特別支援学校合同文化祭や展覧会など、障がい者の芸術・文化活動を推進してまいります。
医療・健康づくりについては、若者を対象とした危険ドラッグの危険性に関する啓発活動に重点的に取り組むほか、アルコール健康障がいについても、アルコール健康障害対策推進計画を策定し、普及啓発等を展開いたします。また、認知症については、発症前の世代に対する普及啓発や予防、認知症の進度に応じた支援、これらを支える人材の育成に総合的に取り組む、認知症サポートプロジェクトを実施することといたします。更に、医療機関における助産師の偏在是正解消に向けて、助産師の所属施設外勤務を調整するシステムを構築します。
 中山間地域対策に関しましては、高校が町と連携して行う地域活動や、買い物支援と見守りを併せた新たな「買い物福祉サービス」、若桜鉄道などの鉄道を核とした魅力ある地域づくりなどを、積極的に進めてまいります。
 また、高齢者、障がい者、子どもなどを地域で支えるための取組に対して支援を行い、住民同士による支え愛の地域づくりを推進します。

 次に、「人財とっとり」についてであります。
 結婚を望む方が早期に出会いから結婚へと向かえるよう、総合的な婚活応援プロジェクトを実施してまいります。
 また、女性活躍企業推進員の設置など、女性が活躍できる環境づくりに取り組む企業を応援するほか、農林水産業に従事される女性の経営参画につながる提案型の取組や、建設業の現場で働く女性技術者等の就労環境整備の取組などを支援します。
 教育に関しては、クラウド技術を活用して、教材やエキスパート教員の授業映像の映像化を図る取組や、県立高校の授業で使用するタブレット端末の整備など、ICTを活用した教育を推進します。また、小中見通した教育を地域と学校が共有する仕組みづくりや、学校と地元企業が連携して行うキャリア教育など、学校と地域が連携した取組を進めます。併せて、各学校のカイゼン事例の共有や学校現場の業務見直しなどのカイゼン活動を推進してまいります。
 更に、本県で初めて行われる近畿高等学校総合文化祭で生徒のチャレンジと交流を図ります。

 次に、「彩り、輝き-とっとりの誇り」についてであります。
 国内外からの観光誘客について、「ウェルカニキャンペーン」をはじめとした適時の情報発信を引き続き行うほか、航空路線についても、大交流時代を支える重要なインフラとして、路線の維持発展に向けた需要喚起を図ります。
 また、平成29年春にJR西日本が運行を予定されている特別寝台列車の誘致に向け山陰いいもの探県隊の活動を支援するとともに、鉄道高速化に向けて今年度実施した基礎調査結果を踏まえて、新年度は調査・検討を更に進めることといたします。
 また、「名探偵コナンミステリーツアー」をJR西日本等と連携して実施するほか、鳥取砂丘コナン空港、米子鬼太郎空港を活用して国内外からの観光客増加に向けて、情報発信やイベントなどの誘客キャンペーンを展開します。
 また、「アジア・トレイルズ・カンファレンス」を開催するとともに、「ジャパン・エコ・トラック」ルートなど体験型観光の受入環境を整備します。
 スポーツ振興については、東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ地誘致に向け、国内外のトップチームの合宿などを進めるほか、国際大会へ参加する費用に対する助成など県ゆかりの有望選手の育成を後押しします。
 山陰海岸世界ジオパークで「アジア太平洋ジオパークネットワーク山陰海岸シンポジウム」を今年9月に開催するとともに、鳥取県沖日本海の表層型メタンハイドレートについて、調査、開発を担う人材の育成や普及啓発などに取り組みます。

 最後に「パートナー県政によるとっとり創生」についてであります。
 移住・定住は地方創生の要であり、積極的に施策を展開することとし、首都圏などに住んでいる意欲のある学生等を地域おこし協力隊として県内に招き入れ、中山間地域等における地域活性化を図る取組を進めてまいります。
 また、鳥取力創造運動については、新たに、地域内の団体活動をサポートするネットワーク組織の運営に対して支援を行うこととします。
 更に、地方創生に関する相談・支援を行う「とっとり創生支援センター」の県内3箇所への設置など、パートナー県政を軸に「とっとり創生」を精力的に展開してまいります。

 以上の事業を計上した結果、平成27年度当初予算案の総額は3,335億6,900万円となるものであります。

 また、議案第21号 平成26年度鳥取県一般会計補正予算につきましては、不用額の精査等をいたしました結果、100億5千万円余を減額することとし、補正後の平成26年度予算総額は、3,495億7千万円余となるものであります。


 次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。

 議案第33号 鳥取県市町村創生交付金条例の設定につきましては、従来の市町村交付金制度を廃止し、市町村提案型の事業メニューにより市町村が主体的かつ積極的に活用できる自由度の高い市町村創生交付金を新設するものであります。

 議案第43号 日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例の一部改正につきましては、山陰海岸の世界ジオパーク再認定を受け、外国人等への配慮について県の責務を規定するほか、観光客の安全確保のため砂丘地先海域での遊泳を禁止する等の改正を行うものであります。

 議案第44号  鳥取県食品衛生法施行条例の一部改正につきましては、国際的に推奨された衛生管理方法を普及するため、鳥取県版HACCAP(ハサップ)制度を創設するほか、食品への異物混入等の被害防止を図る改正等を行うものであります。

 議案第47号 鳥取県間伐材搬出等事業助成条例の一部改正につきましては、間伐材の搬出を促進し、林業経営の安定化に寄与するため、条例の失効期限を廃止するものであります。

 以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
  

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