知事定例記者会見(2012年12月26日)

平成24年12月26日(水)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)
 ※現在、テキスト版の会見録を作成中です。しばらくお待ちください。

録画配信 知事記者会見動画(約70分) ※MPEG4形式

  

1 今年をふりかえり 

●知事

 皆さま、こんにちは。この1年間、〔県政〕記者クラブの皆さま、また県民の皆さまに大変なお世話になりました。今日も深々と雪が降る気候になっておりますけれども、心静かにこの年が終わろうとしているような心地がいたします。ただ、この年は大変な激動の年だったと思います。例えば、経済とか雇用、そうした産業関係を考えてみますと、波風の荒い年ではなかったかなというふうに思います。海外へどんどんと企業が流出をしていく、それから国内の電気産業を中心として大きな荒波にさらわれるような、そんな感じがいたしました。と申しますのも、円高が一気に進行をしたり、それから対外的な関係が悪化したり、これが中国では暴動につながったり、そんな厳しさがございました。ただ、そういう中でなんとか明年に向けて道筋をつけていかなければならない、そういうときに政権交代が行われた、そんな年ではなかったかと思います。

 また、県内を見渡してみますと、国際まんが博が開催をされ、隣の島根県では神話博しまねが開催をされました。国際まんが博につきましては、実に321万人のお客様がご来場をいただきまして、予定を上回る入込みとなったわけであります。また、〔第13回〕国際マンガサミット〔鳥取大会〕の方にも数多くの出品が寄せられたり、海外の漫画家たちも参加をし、国内の巨匠も顔を揃えられました。これは若い人たちを中心とした新しいまちづくりであるとか、新規のソフトビジネスの産業呼び込みにもつながったというふうに感じました。また、私ども県政につきましてもさまざまな議論が戦われましたけれども、これからは水環境を考えなければならないと、そういう水の保全と活用についての条例が紆余曲折の末に制定をされるなど、県政としてもいろいろな動きがあったところではないかなというふうに思います。

 いずれにいたしましても、まだ県民生活、厳しさが続いている状況でありまして、新年度予算編成等、年が明けたらしっかりとやり、また国政について働きかけをする等いたしまして局面の打開を図ってまいりたいと思います。



2 脱法ドラッグ規制 

●知事

 12月の県議会が終了をしました。そのときに議論されたことのうち、違法ドラッグ、脱法ドラッグと言われるもの、脱法ハーブと言われるものですね、そうしたことにつきましては本格的な条例を作ろうということで12月に県議会終了いたしたところでございます。それを受けて、早速今、作業に入りました。具体的には現在の脱法ドラッグの規制が包括的に取り締まれるということを踏まえまして、これに則して県としても、例えば実際調査に入る等がやりやすいような、そういう仕組み、実効性が高まるような仕組み、また県民運動を進めるための仕組み等の条例を作る、青少年健全育成のために、言わば有害図書として指定をする、そういうようなこと等の条例改正を2月に向けて次の段階として準備をいたしたいと考えているところであります。その他にも12月の県議会でいろいろと議論がございましたが、これは新年に向けまして作業を急がせていただきたいというふうに考えております。



3 県・市町村行政懇談会 

●知事

 その県議会でも議論があったところでございますけども、昨日〔12月25日〕の〔県・市町村〕行政懇談会、市町村長と私ども県の執行部との会話の機会であります。この機会を通じまして、今の県の抱えている当面の課題等を話し合いました。その中で老人クラブへの補助金の問題がございましたけれども、これについては私の方から従来の運用を見直すと、その見直しの中身としては「支え合い」といったような社会貢献の事業をしっかりやっていただくような運用をしてもらう。また、加入率が低いという、そういうご指摘があり、これが老人クラブへの補助金廃止の議論につながったところでありまして、その加入者対策、これも市町村や老人クラブ連合会などで取組んでいただく、こういうふうなことを要綱の中に盛り込んで、運用を変えていくと。そうした改正を行いながら老人クラブ連合会への補助金は存続をさせていくと、こういう原案で話し合いはさせていただきました。市町村長からは、これについて異論が特にございませんで、こういう見直し方針で年初、当初予算の議論をさせていただき、県議会と改めて相談をさせていただきたいというふうに思います。

 また、県の組織改正についてでございますが、県の組織改正についても大きく東部、中部、西部と3つに分けまして、それぞれで広域的な振興を行う。市町村の区域も拡大しておりますので、我々の方の議論も基本的には東部、中部、西部というベースで議論できるような体制をつくる。ただ、日野郡それから八頭郡につきましては、配慮をさせていただくと。具体的には全県を通じた中山間地振興の組織を置く、それから日野には振興局を設ける、また八頭の方には鳥獣対策の本部を設ける等、若干従来の案を修正させていただきまして、昨日、市町村長の議論に供したわけであります。その日野郡や八頭郡の首長からもご意見が出ましたけれども、その案で了とするというご意見でございましたので、これについても県の組織の大幅な改正を断行させていただくことにいたしたいと思います。これも年が明けて2月の県議会で議論をさせていただくことにいたしております。



4 新政権発足にあたり 

●知事

 いよいよ今日、特別国会が召集をされることになります。国民の厳正な審判、それは2度にわたる政権交代を求めるものでありました。今回、民主党中心の政権から自公政権へと移行することになります。安倍〔晋三〕自民党総裁が首班に指名され、昨日は自公の連立協議が整いましたけれども、そうした合意に基づく公明党との連立政権になる見込みであります。今日から内閣を開いて具体的な動きをしようということであります。昨日の市町村長との会議の中でもいろいろと議論が出ました。鳥取県として県と市町村、そうした我々現場が一体となって早速新政権に申し入れをしていく必要があると、このことを確認いたしました。

 具体的には年初の1月8日ごろに県選出の国会議員の皆さま、さらには政府関係、そうした機関を回らせていただきまして、当面の課題、それから大きな山陰が抱える課題について議論を提起させていただきたいと思います。まず、いの一番にやっていただかなければならないのは経済雇用産業対策であろうかと思います。安倍政権はデフレギャップを是正をしようという議論を始めました。私はその具体的手法として財源調達等の議論は当然残るわけでありますが、思想、ポリシーとしては現在のこの経済産業の動向を見ますと、雇用の受け皿づくりのためにも一段踏み出した対策が必要であると思います。その意味で早速に補正予算を編成するということでありますが、それは歓迎したいと思います。

 ただ、その際に、地方の負担がどうなるのか、これは私ども都道府県、さらには市町村も非常に気にしているところでございます。かつての自公政権時代、麻生〔太郎総理〕さん、安倍〔晋三総理〕さんのころですね、麻生さんのときもそうでありますし、結構大きな補正予算の対策を打ちました。ですから、今回10兆円規模という数字も出始めていますけれども、もっと多めの対策もございました。そのときによく対応されたのが地方自治体の方に交付金を配るとか、地方自治体にそういう経済対策や雇用対策の基金を作って機動性のある対策を打とうというようなやり方であります。こういうようにいろいろと工夫の余地はあるんだと思いますので、現場が動きやすい対策をぜひ、お願いを申し上げたいと思います。

 また、今回の新政権として防災・減災の投資をやるんだと、昨日の自公連立合意でも合意されました。そういう観点からしますと従来の太平洋ベルトの一極集中ではなくて、日本海側であるとか、あるいは新太平洋軸と言われるような軸であるとか、東北軸と言われるような軸があると思います。そういう従来よりも複線化した国家構造を作っていくことは重要だろうと思います。その意味で高速道路のミッシングリンク〔未開通区間〕を開通させていくとか、それから高速の鉄道網を設けるとか、また、港湾につきましても港湾を開いていく。これで、例えば、日本海を活用した対岸諸国との交流を広げる、空港もしかりでございますけども、そういう基本的な交通基盤、国家の礎というものをぜひ、作り上げていただく必要があるだろうと思います。

 これは今後の中・長期的課題になろうかと思いますが、短期的には新年度予算編成にも影響するところでございます。これは年明けの要望の中でも重点的に訴えかけをしていきたいと思います。また、私自身は日本海沿岸地域の知事会議がございます。会長が富山県石井〔隆一〕知事でございますが、富山県知事とも話をこの週末させていただきました。それで、1月といったような時期に、この日本海沿岸で新しい国土軸を設定することを求めるようなそういう会議なり、大会なりを開こうではないか、運動を起こそうではないか、こんなような方向性を話し合ったところでございます。新しい政権、それから新しい与党に対してもこうした考え方を積極的に地方側から訴えかけをしていきたいというふうに思います。

 また、高速道路のミッシングリンクをつなげていくということも防災の観点、あるいは国土強靭化の観点で大変に重要な課題であろうかと思います。これについても体制を立て直して、新政権に対する働きかけを工夫していく必要があるだろうと考えておりまして、ミッシングリンクを抱える県と実務的な協議を始めたところでございます。こういうようなテーマに加えまして、原子力防災等がなかなか進まないことに対しても積極的な施策を講じるべきだと思います。また、高校の授業料無償化が指弾をされる一方で3歳児の幼児教育の無償化という課題を掲げたり、農業に関しては戸別所得補償制度を組み替えるという方針を出されたりしておられます。これから内閣の陣容も固まってきて具体的な動きが始まると思いますけれども、そうした諸改革については地方、現場の意見をぜひ、尊重しながら進めていただきたいと求めたいと思います。

 その一番核心になるのは地方分権、このことだと思います。地方分権は国民生活に係わるところを司る現場がもっと自由闊達に、そして強力に効率的に動けるようにしていく。そのために国と地方のあり方を見直そうというものでございます。昨日の市町村長との行政懇談会でも議論が出ましたけれども、道州制だけでこれ解決できるものだとは思いません。昨日の県内の首長さんのご意見は道州制には極めて否定的なご意見が多く出されました。それは単なる都道府県を1つにすれば物事が解決するということではないのだというふうに思います。ですから、現実的なアプローチをいろいろと考えながら道州制も将来的課題として議論をしていくと、これが正しい筋道ではないかと思います。

 その意味で地方の税財源を充実する地方分権が望まれますし、また地方に国の出先機関、地方機関の権限なり、財源なり、そうしたものを移譲して現場に近いところ、即ち都道府県の連合体である広域連合等で行う仕組みを早急に導入すべきではないかと思います。これはその道州制の議論と矛盾するものだとは思いません。従いまして、そうしたところも分権についてその基礎づくりを政府の方でも配慮して進めていただきたいというふうに考えております。



5 県内経済雇用対策 

●知事

 そのような新しい政権が動き出すわけでございますが、そのいの一番の対策と考えているのが経済対策、それから景気対策、こうしたことであると言っています。巷で報道をされているところでは麻生〔太郎〕副総理兼財務大臣やそれから茂木〔敏充〕経済産業大臣、また甘利〔明経済再生担当〕大臣、こうした3者でリードをしながらというような報道もなされ始めていますが、いずれにせよこれは新しい政権の一番の課題になろうかというふうに思います。足元の鳥取県経済、これが我々としては重大な関心あるわけでありますが、まだら模様で今動いていると思います。例えば昨日もナノオプトニクスエナジー社が、新規のe-モビリティの開発製造とそれから電動車いすの開発製造等を始める、そのために雇用も行う、事業化を開始するとそういう発表がありました。歓迎すべきことだと思いますし、その支援も県として従来協議していたとおり進めていきたいと考えております。

 こういうような話であるとか、あるいはJCB〔鳥取カードセンター〕さんが今年進出してくるというふうにお決めになって現実に採用に向かっておられる。またヤマト〔コンタクトセンター〕さんのような中国地方の拠点を鳥取県内に設けるというふうに踏み切られたところもございます。製造業でもお菓子メーカーで源吉兆庵さんが米子の方に進出をされる。それに呼応するかのように八頭郡の方では柿のペーストを作り始める。こんなような動きが連鎖的に起こっております。つまり産業構造がだんだんと変わり始めていて、それに伴う企業進出の呼込等も一定の効果は出つつあるわけであります。

 ただ、片方でやはり今年を振り返ってみますと影の部分がございました。特に鳥取県は実に製造品出荷額ベースで52%は電気機械関連産業でございます。こちらの方が名だたる有名メーカーが赤字を大幅に計上されるなど、今年賑わせた報道が続きました。さらにリストラが行われるということも出始めました。こういう中で三洋グループの再編、さらに日立金属と日立フェライトの統合等が行われることになりました。これらによりまして離職者が県内で少なからず出てくる見込みになりました。さらに、その他の企業も我々の方でローラーしてリサーチをしておりますけども、新年度の受注見通しに陰りが見られると、そういうような厳しさを訴える企業さんも出てきておりまして、雇用に影響しかねない情勢が続き、年の瀬を迎えることとなりました。

 我々としては関係機関とターゲットを絞りながら、共にこうした離職者対策に向かっていこうということにさせていただいております。具体的にはこの年末にも、〔12月〕29日、30日、ここ鳥取県庁の1階におきまして、総合相談窓口を開設をすることにいたします。また中部、西部の総合事務所でも〔総合〕相談窓口を作らせていただこうということにしております。商工団体等もこれに呼応しまして窓口を設置されることになってきておりまして、ぜひ、お困りの皆さまに置かれましては、お気軽にご相談にご来庁いただければありがたいというふうに考えているところでございます。

 先の12月県議会で離職者が別の企業へ移動する、それで、新規に雇用するという鳥取県独自の仕組みの導入を打ち出しました。予算化もさせていただきました。早速、それに応じて受け入れをしたいという企業さんも相次いで出てきておられます。こうしたことで鳥取県としても我々なりの施策も導入をしながら、この厳しい年の瀬を乗り切っていくご支援をさせていただきたいと考えております。



6 原子力安全対策 

●知事

 原子力安全につきましては越年の課題となりました。全国に先駆けまして、避難計画を我々周辺地域としては、恐らく初めてだと思いますが、本格的に、策定をさせていただきましたし、地域防災計画の素案も作らせていただきました。昨日〔12月25日〕は〔第6回原子力防災〕専門家会議を開催いたしました。ここでモニタリング等につきましてご意見が寄せられたところであります。モニタリングにつきましては、実は3月いっぱいまで別の計画をとりまとめようとしているところでございますけれども、専門家の知見に基づくアドバイスも入れながら最終的な案にまとめあげていきたいと思います。それから、本日、私の方から溝口〔善兵衞島根県〕知事に兼ねて申し入れをさせていただいた件でありますが、11月1日に申し入れをしていた件でありますけども、両県の副知事ですとか、各市のトップリーダー、こういうかたがたが集まられまして、さらに、原子力規制庁からも担当の幹部が来られて、原子力安全の連絡協議会を開催させていただいております。松江の方で今やっているところでございますけども、これでもまたいろいろと意見の交換をさせていただくことになろうかと思います。原子力安全対策は山陰両県一体で作っていかなければならないという、そういう性質のものでありますので、このようなかたちでトップレベルでの両県の意見交換も濃密に行いながら、3月を目指して、原子力安全対策の練り上げを進めてまいりたいと思います。

 また、本日は、東日本大震災のとき石巻赤十字病院等がうまく機能した、そういう経験もございますので、防災対策として医療のコーディネーターの委嘱をしようということにいたしました。医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護師の皆さん、そうした関係諸団体の代表者も〔災害医療〕コーディネーターとしてご就任いただきまして、これからもし万が一、鳥取県内で災害が起こった場合に機動力を持って、県外から結構来られるわけですね、そういうかたがたの受入調整等もありまして、これが混乱する可能性が過去の災害では指摘されています。その辺を上手に差配し、弾力的に機動的にスピーディーに運用していくためにコーディネーターの設置を全県的、それから東中西それぞれの地区で行うことにさせていただいております。こういうような防災対策も新年に引き続きながらやっていきたいというふうに考えております。



7 KANSAI国際観光YEAR2013 

●知事

 年末ではありますけども、明年以降の動きを予見させるようなイベントもございます。明日〔12月27日〕は関西空港におきまして、関西全体、私ども〔関西〕広域連合に入り、広域観光に関与しておりますが、関西全体としての国際観光イヤーをやろうと、テーマとしては食というものを中心にやろうということであります。鳥取県も食のみやこでありまして、海外からのお客さまが食については太鼓判を押して下さっている地域であります。また来年は鳥取県も参加しますが、大阪で食博〔「‘13食博覧会・大阪」〕が開かれます。そうしたこと等もございまして、食というものをモチーフにしながら海外誘客を図ろうというキャンペーン〔KANSAI国際観光YEAR2013〕を来年行うことにしておりまして、明日キックオフイベントとして関西空港でイベントを始めるということになります。私も参加しますけれども、トリピーも参加するということでございまして、各地域糾合してやっていきたいという段取りでございます。



8 DBS航路を活用したトライアル輸送 

●知事

 また、新年も国際的な旅客の誘致を積極的に進めていきたいと思いますが、国際まんが博の関連で私どもが接触をしておりました香港の旅行事業社の皆さまが、まずは送客をということで、今、お客さんをこちらに送り込んでおられます。具体的には昨日〔12月25日〕、それから〔12月〕29日に妖怪列車をチャーターしまして、これを使った観光をされておられます。これだけでなくて県内一円を回っておられます。空港は徳島空港を今回使われているわけでありますが、我々としては新しい年以降は鳥取県内の空港も活用しながらに転換できないかなとそんな交渉をしているわけでありますが、まずは送客を行うということになり、今、受け入れているところでございます。また港湾の活性化を図るということは新政権の要望の重点になるわけでありますが、その境港の航路を活用する1つの実験として〔12月〕23日~28日までかけまして、中国と境港を結ぶそういうトライアル輸送を県とパートナーシップを組みまして、県内企業は実施をしているところでございます。

 これは中国~韓国の仁川の方に入ります。そこから海路でまず仁川に入りまして、それで仁川から陸路で東海港〔韓国江原道東海市にある港〕に運ぶ、そしてDBSクルーズフェリーを使いまして境港に出るというものであります。短絡距離でございまして、また陸送の距離が国内で短くなることもございますので、料金的にもこちらの方は安くなるという試算もございます。ただ、このような輸送が韓国や中国を巻き込んで可能なのかどうか。その意味でトライアル輸送を今回実施をさせていただきました。新しい年は国内のRORO船〔車両甲板を持つ貨物船〕等を活用しましたなかなか国内航路が若干ないところがございます。内航船の実験を行うことも計画を詰めているところでございまして、このような物流についての改革も行っていきたいというふうに考えております。



9 新年のスケジュール 

●知事

 もうすぐ新しい年を迎えることになります。私自身は、新しい年は〔第64回〕全国植樹祭であるとか〔第30回〕全国都市緑化〔とっとり〕フェアといった大がかりな行事もございますので、宮中参賀の儀の方に正月1日はお伺いをさせていただき、親しくご挨拶をさせていただこうと考えております。また、〔1月〕3日日には、「青山剛昌先生と話そうDAY」というまんが王国建国2年目の初めての行事がありますけども、そちらにもお伺いさせていただこうと思っております。県民の皆さまにおかれましてはつつがなく、ご家族とご一緒に素晴らしい年をお迎えになられますようお祈りを申し上げまして、本年最後の記者会見とさせていただきます。どうもこの1年ありがとうございました。


○山陰放送 秦卓史 記者

 それでは各社から質問お願いいたします。



10 新政権への期待 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すいません、安倍政権への期待のことですけど、先程のお話の中にもずっとあったと思うんですけども、要約すると安倍政権に期待することは経済雇用対策だったり、日本海側の交通物流インフラの整備が進むことというふうな理解でよろしいでしょうか。


●知事

 そうですね。まず第1には、今足元の鳥取県経済の問題もありますので、やはり、いの一番に経済雇用対策、しっかりやってもらいたいということですね。それから2つ目には国土軸を新たに設定して国家構造を変えていこうという思想は大賛成でございます。それもぜひ進めていただきたい。特に日本海側の国土軸、これに光を当てていただきたいというふうに思います。それから3番目には地方分権がまだはっきりと見えてきません。これには配慮をお願いをしたいということ。そしていろいろな課題、外交の課題もありますし、また社会保障と税の課題もございますし、また子どもたちの教育であるとか、それから医療関係、また環境エネルギー対策、いろんな課題がございます。こういうところにぜひ現場の声を踏まえながら決めていく、そういうしっかりとした足取りの政治を望みたいと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 逆に、新政権への懸念というんですか、心配しておることというのはございますか。


●知事

 これについては、おそらく安倍新総理ご自身、安全運転という言葉を言われておられますけども、特に対外関係等で過度の軋轢を生んだりして、それが逆に経済に影響するとか、交流に影響するというようなこと等が過度になされないようにという思いはあります。早速、国防軍構想等を持ち出されましたけれども、これについてはまずは国民的コンセンサスが我が国の中で必要なことであります。そういう意味で安全運転と安倍新総理がおっしゃっておられますけども、掲げられた政策の中には、実現がなかなかハードルが高いものだとか、それからハレーションを伴うものも秘められているように思います。現場の意見、しっかりと踏まえながら着実に物事を進めていく、そういう政治を望みたいと思います。


○山陰放送 秦卓史 記者

 他、ありますでしょうか。


○中国新聞 川崎崇史 記者

 すいません。関連しまして、先程安倍政権、これから誕生の安倍政権について経済対策がいの一番にきていることは非常に評価できるということで、個別具体策ですね、日〔本〕銀〔行〕に対するこれまでの安倍総裁の考え方であったり、今後のこうあるべきだと決められる考え方ですね、その具体的な経済策に上げている部分について、知事はどのように評価をされていますか。


●知事

 当面ですね、これは非常に口先介入的ではありますけども、〔1ドル〕84円台の後半の方にいくとか、円高是正が進んでいることと、現実にはもう起き始めていると、現実になりつつあるというふうに受け止めております。そうしたことをしっかりと定着させていくために、大幅な金融緩和を行うという方針自体は正しいのではないかなと思います。ただ、その際に、後々の禍根を残すような、言わばやり過ぎてしまうようなことにならないように、そこは、一定の慎重さも持ちながら進める必要があるんではないかなと思います。インフレターゲット〔物価上昇目標〕2%等ですね、私は評価できる面はあると思っておりますが、あとは具体的な手法ですね、具体的な手法については、一定の慎重さも持ちながら着実に進めていただきたいというふうに思います。

 あと、経済雇用対策として、鳥取県のように、地方部の工場立地が急速に失われつつあると。それで離職されるかたっていうものは余儀なくされることがあると。このことには、私は構造転換を図っていくことで新規の雇用を作るとか、十分可能なんだろうと思うんです。ただ、我々地方で一生懸命、今やっているんですけども、企業誘致をやったり、それから離職者対策をやったり、さらにはどこもやっていないのは企業間を移動するような場合の助成金を考えたり、あの手この手でやっているんですが、限界はあるんですよね。やっぱり国全体でそういう地方部への工場立地を支える、事業場立地を支えるようなそういう経済対策というのもあっていいんじゃないかなと思います。

 これからまだ具体図ははっきりしておりません。恐らく閣議決定も年明けになろうかと思います。私どもとしては、1月8日に示す、国会議員を初めとした国への要望をしようと思っておりますが、そのときに、地域の実情を赤裸々に訴えかけて、ぜひそうした実情への配慮を求めてまいりたいと思います。



11 ナノオプトニクス・エナジー記者発表 

○山陰放送 秦卓史 記者

 すいません。先程言われました産業構造の転換に関して、知事も先程おっしゃっていましたが、米子の工場を、いよいよ始まるナノオプトニクス・エナジーについてですけども、当初の計画よりはかなり縮小した雇用人数でスタートということになりました。そのあたり、こういったe-モビリティ関連の産業をより促進するために、国に要望するような具体的な案というのはお持ちなんでしょうか。


●知事

 実は、昨日〔12月25日〕発表に至るまで我々も、国ないし国の関係機関に積極的に働きかけをしてまいりました。例えば産業革新機構のようなところとか、経済産業省であるとか、そうしたところにe-モビリティ等の生産実現等を働きかけをしてきました。そうしたことを今後も1つには続けていって、国の方の支援を得たいと思います。今後、あそこは経済特区になっていますので、その特区の中でもこのe-モビリティ生産というのは支援対象になり得るものだと思います。この辺も規制緩和や助成、あるいは資金、金融融通等、その辺を国の方に特区関係でも働きかけをしてまいりたいと思います。


○山陰放送 秦卓史 記者

 当初よりも小さい雇用人数でスタートしたことについては、知事はどういうふうにお感じでしょうか。


●知事

 これはいわゆるベンチャー企業でありますので、そのベンチャー企業がいきなり大きな生産を開始するというのは、大企業と違ってできないものでありますので、まずは助走をしながら、要はマネーフローを作って、その資金の流れを作りまして、それで徐々に事業を拡大していくということだと思います。800名の雇用を止めたという発表ではもちろんなかったと思います。まずは10名具体的に雇うと。これは皆さまもこれまでの経緯を見ていただければ非常に大きな一歩であることはご理解いただけると思います。そうした雇用もして、本社機能も米子の方に置いて、それでいよいよ本格的スタートを遂げるということでありますので、地域としては応援をして、いずれ予定しているような雇用に向かうように促進策を図っていくことがいいんじゃないかなと思っております。



12 鳥取県民参画基本条例(仮称) 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 すみません。県民参画基本条例のことでお伺いしたいんですけれども、12月の県議会の常任委員会の中で執行部案というのが出てまいりました。かなり具体的な内容だったと思うんですけれども、知事としては2月議会にでも条例案を上程して議決を得たいというお考えなんでしょうか。


●知事

 これについては慎重に今、物事は進めてはいますけれども、2月議会の提出を目指したいと思います。12月まで、もう数次にわたりまして議会の本会議等での議論、やり取りを経てきました。そこでいくつか議会側の思いがあぶり出されてきたと思うんですね。その1つは議決、投票対象とする事項を広く認めるのか、それよりも言わば重要課題、最重要課題と言われるようなところに絞り込むのか、この辺の議論があったと思います。議会はどうも議論を聞いていますと、やはりこれは絞り込んで伝家の宝刀的な制度にすべきだと、こういうように受け止めました。デモクラシーでありますので、条例の制定は議会との共同作業になりますから、我々としてもそうした投票対象の重点化をやりながら、議案となる条例案を作っていく必要があると考えました。このようないくつかの論点がありましたけれども、それを整理をしたのを12月の県議会の常任委員会で提出をさせていただき、まずご意見を賜ったところであります。今後、県民の皆さまからのご意見もお聞きをしながら、可能であれば2月の県議会が次の議会になりますので提出を目指したいというふうに思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 それで、今いろいろと民間のかたとの意見交換って言うか、やっておられると思うんですけども、1つ若手経済人のかたとの意見交換会を取材させていただいたときに、このいわゆる住民投票を県内全域で行うとなると例えば今の選挙制度からいくと約3億円ぐらいかかってしまうと、そういう試算が、説明がありまして、あまりにも多額すぎると、1つ物事を決めるのに、それで今、県の方で民意を汲みとる手法としては〔県政〕参画〔電子〕アンケートですとかパブリックコメントがあるんですけども。


●知事

 うん。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 ちょうどその住民投票との間となる、その間がすごく開き過ぎていて、3億円も使って住民投票やるか、パブリックコメントで終わるか、この間を補完するような制度があってもいいんじゃないかというような意見もあったようなんですけども、このことについてはどのようにお考えでしょうか。


●知事

 そういう意味で、今、住民投票がかなり集中的に議論されているように思いますけども、私が目指している県民参画基本条例は、今おっしゃる〔県政参画〕電子アンケート等の広報広聴手段全体を、幅を広げようと、それでその中で最後に住民投票という手段も選択的に用意をしておくと、こういう考え方であります。この間を埋めるというか、私は結構〔県政〕参画〔電子〕アンケート等が、言わば民意の投影として結構正確に出てくるんじゃないかなと思っています、経験的に。そうしたことを活用していけばかなりのことはできるだろうと思っています。住民投票は、今おっしゃるようにかなり労力も使うものでございます。だからこそ、それだけそういう必要性の高いアイテムに限って投票ということに踏み切るという姿を考えたいということであります。県内でも日吉津村、北栄町といったようなところ、住民投票の仕組みを作っているところがございます。確かに全国見渡してみて常設型で、住民投票制度を制度化しようというところは鳥取県が初めてになると思いますが、私は鳥取県民の民度ですね、即ちボランティア活動への参加率であるとか、それから地域への関心の高さ、こうしたことでは、私は住民投票制度も導入し得る土壌はあるだろうと思います。

 人口規模も58万人でありますので、全国で一番小さな経費で執行できるはずであります。ですから、まずは鳥取県のところで鳥取デモクラシーの創成を始めるというのが道筋ではないかなと思いますし、そういう役割も鳥取県は果たし得ると考えております。今後の地方自治あるいは我が国の民主主義への1つの試金石になるような取り組みであろうかと思います。ただ、それであるがだけにいろんなご議論もありましょうから、これまでも慎重に議論を進めてまいりましたし、今後も議会での議論も含めて県民の皆さまのご意見を踏まえた条例制定に向けて汗をかいていきたいと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 これはちょっと私の思い込みかもしれませんけども、県全体を揺るがすような住民投票にかける案件というのがどうしても思い浮かばなくて、1つ想定できるのがいわゆる道州制に絡んで、鳥取県が例えば中国州、関西州というのができたときにそこに組み込まれるか否か。こういった判断が1つのこういう大きな材料になってくると思うんですけども、知事の考えとしては、そういった将来も見据えて今この制度を作っていこうという気持ちがあるんでしょうか。


●知事

 今、おっしゃるような、例えば道州制への参加の可否を問うような投票を問うようなことが、我が鳥取県として決定しなければならないと、そういう権限が与えられた場合は、それは住民投票に付するという可能性は十分あると思います。また、都道府県合併というようなことをやる。こんなような基本的な存立に関わるようなこと、これは投票対象となり得る事項として列挙をしようと今考えております。ただ、どういう事象が発生するか今後読み切れないと思います。また、民主主義でありますので、この自治体運営をやっていますと、その時々でものすごい対立軸となってにっちもさっちもいかなくなるような事態というのは生まれる可能性があります。そういうような場合にも住民の発議や知事や議会の発議によって投票というやり方を選択し得るというのは、私は意味があると思っています。

 例えば鹿児島県の阿久根市のように2年あまりにわたって、何回選挙をやっても決着つかないと。市政が停滞するだけだったというようなことも起きました。それで、鳥取県にはその余裕はないと思いますので、そういうときには住民投票でさらっと解決をしてしまうというのも手なんだろうと思います。その際に選択肢がどういう選択肢になるか重要でありますので、今事務局の方で整理をさせておりますけども、アドボケイトプランニング〔住民の味方につく専門家を公費助成するシステム〕と言われるような公的に選択肢を応援しながら作っていくと、そういうようなことも含めて未来型の地方自治のモデル条例を考えてみたいと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 よろしいでしょうか。その住民投票の関係で、例えば道州制とかの問題になってきますと一部の住民が投票できないということがおられますよね。誰のことを言っているかと言うと、在日外国人のことを言っているわけですけども、今回の県の条例の中では、市町村に事務を委ねるからという理由で外れていると思うんですけれども、道州制なんかになってくると住民としてやっぱり関係があると思うんですが、その辺のことを知事はどう考えられていますか。


●知事

 ここはこの制度を組むときに、1つ論点になるところだと思います。ちょっと今の言い方、ちょっと正確でないところもありまして、正確に申し上げれば検討委員会が開かれました。その検討委員会の中で委員の皆さまがさまざま議論をしました。このことも重要な論点でありました。その結果として市町村の協力を得るためには、現在のその選挙人名簿を活用した投票ということが一番理解が得られやすいんではないか、執行経費の問題もあると思います。そういうことを念頭に、現在の有権者、法律的な有権者の仕組みをこちらでも使うというやり方であります。それで、その意図するところは、例えば国のその有権者のあり方ですね、公明党さんはそもそも在日外国人について投票権を付与すべきだという論を引いていまして、今回連立政権に入られるわけですよね、これからまたそうしたことも連立政権内で議論になるのかもしれません。今、選挙制度の抜本改革という話を連立協議の中でもやっていますから、その辺はよく分かりませんが、そこは国の制度に従って、これにも連動して動き得るところなんだろうというふうには思います。

 例えいずれにせよ現状は、在日外国人のかたに対して参加ができないという、そういう事実上の仕組みになっていることはおっしゃるとおりであります。それで、今回、議会でも議論ありました、12月の県議会で。それで我々としては、議会で特に議論がまとまったところについては修正をしましたけれども、そうでないところは基本的にはその検討委員会のベースを基本にして考えております。民主主義のルールでありますので、あんまり首長がああだこうだ決めてやるよりも、やはり皆さんがだいたい大方まとまれるというところでやっていくべきではないかと思いますので、自分のためのルールではありませんから。そうしたことで、基本的には検討委員会のベースでおかせていただきました。

 今回、常任委員会に出させていただくときもそういう書き方にさせていただいております。ただ、そこに実は付記してありまして、この点については県議会の多数の皆さんが、これ以外のその参加権の問題について、これ以外の考え方で出されてくれば、そちらで我々もその条例案を提出しますというようにして、我々としての意思表示をさせていただいております。これから実際提出までに、議会の方でそこを皆さんが多数になられて、これはこういうふうに修正した方がいいということであれば、我々も提出前にそこは差し替えていくという柔軟な姿勢で臨みたいと考えております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 議会の意見を聞くっていうのは分かるんですけども、ただ一般的に考えて住民として暮らしている人が、普通の住民として暮らしている人が、自分の生活に対して決める権限がないっていうのがおかしいんじゃないか、普通に思うんですよね。そのことを知事はどう考えられるかって、確かに首長が意見を出すべきじゃないっていうのは分かる気もしますし、あるいは検討委員会の土台なんだというのも分かる気もします。だけど、その中で知事自身がどう考えているのかっていうことをお伺いしたいんですけど。


●知事

 私はむしろ国政全体で議論をされて、その局所戦をやるよりは、国全体の議論として、最高裁の判決もございますから、そこは立法裁量の余地が元々あるわけですね。そして、要は在日外国人の皆さまがどういうふうに政治に参加していくのか、その基本的な仕組みを国政全体でまず考えていただくのが本来の筋道ではないかなというふうに思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 地方参政権の問題と住民投票の問題は一緒にしちゃあいけないんじゃないかなと思うんですけどもね。地方参政権というのは確かに政治の問題でしょうけれども、住民投票というのは言ってみれば自分の生活に直結したものをどうしますかっていうふうに聞くわけですから、さっきの道州制賛成、参加にしますかっていう話よりも、何ていうんだろう、自分たちが暮らしている中で、道州制に入ることによってどう変化するかっていうことに対して、意見が言えなくなるわけですよね。地方参政権というのは、例えば首長を選んだりする選挙になりますよね、地方の政治的なものとそういう住民投票というのはまた別なんだろうと思うんですが、それを区別してかからないと、地方参政権が今ないから住民投票ができないんだっていう話もおかしいと思いますし、単純にその住民投票だけで考えることはできませんか。


●知事
 それは無理でしょうね。やはりその参政権の一部です、その投票行動というのは。ですから、そこは全然別物だという議論は多分ちょっと無理があります。ですから、本来は国全体で決着しなければならない課題なんだろうと思います。ただ、私自身はその参政権について否定的に考えているわけではなくて、まず国としてそこは議論していただければ、我々もそうした制度設計は十分可能だろうというふうに思っています。ただ、この点はその国論を二分するぐらい、言わばその政治的イシュー〔課題〕でございまして、今後自公連立政権の中でどういう話し合いが行われるかに注目するのかなと思っています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 もう1つ言いたいのは、日吉津村と北栄町が住民投票制度を設けています。それで、どちらとも在日外国人の投票権というのは認めていると思います。年齢制限が確か両方違うと思うんですけれども、言いたいのは、県内19市町村がそういう同じような住民投票制度を設けるまで、県の住民投票制度って待つことができませんか。そうすれば今の知事がおっしゃった公職選挙法というよりも、それをどの市町村の制度に乗っかってやることができますよね。


●知事

 だから、市町村がそういう、例えば18歳名簿を作る。それから外国人も入れた選挙人名簿を兼ねて作っておく。そういうことがなされれば、それを執行する余地は十分出てくるかもしれませんね。そのときは局面が変わるんだと思いますが、現状は違いますので、例えばこないだの鳥取市の住民投票もそうでありますけども、有権者としての投票になりました。現実は、今、太田〔満明記者〕さんがおっしゃったような状況ではございませんので、そこは揃ってくればそれは、言わばその局面の転換点になろうかと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 そのために働きかけるみたいなことはできませんかね。


●知事

 それは本末転倒ではないかと思いますね。やはり例えば鳥取市の住民投票制度、これはけしからん。その投票権についておかしいので直せという指導権限は知事の方が持つべきでないと思います。



13 老人クラブ補助金と事業棚卸し 

○読売新聞 加藤あかね 記者

 すいません。いいですか。老人クラブの件、昨日市町村の首長と懇談会があったと思うんですけども、改めてなんですが、老人クラブ、元々はその棚卸しから廃止ということが出て議論が始まったように思うんですけども、廃止議論というものは、位置づけですね。その廃止と出たものを結局は見直しということで廃止にはしないという検討をされるという部分で、今後について、その棚卸しの位置づけとその今回決定をされたことの関連性、考えかたをまず伺いたいんですが。


●知事

 〔事業〕棚卸しは重要な住民の皆さまの意思表示だと思いますので、それは丁寧に受け止めて、これまでも対応をしてきましたし、今回の老人クラブ補助金も同様であります。その趣旨を私どもなりにいろいろと解釈をさせていただきました、分析を、その当時の議論も含めて。それで、その根底にありますのは、〔老人クラブ〕加入率の問題、加入率が低いというものに対して県が漫然と補助をしているんじゃないかというようなこと。それからあと社会参加等、もっと担うべき機能があるんではないかというような問題意識だったと思います。それで廃止というのは、廃止か存続か的な何て言いますか、グレーのない今の答えの出し方になっています。○か×かという。ただ、そこはもしグレーがあれば、グレーを選択したかもしれないような議論の流れであったというふうに我々受け止めております。ですから、冷静に今老人クラブの皆さんとか、市町村と順次協議を重ねてきました。何度も会合をもってきております。老人クラブとか、市町村側からは強烈な反発が実はきております。廃止というのは以ての外だと。ただ以ての外というだけではなくて、理屈があるわけでございまして、健康づくりの場とかそうした機能を確かに老人クラブが果たしているというようなこと、それからこれが廃止されたらかえって加入率が落ちてしまうと。

 それで、要は存立にかかわるわけでありますので、さらに組織化が低下してしまうんではないかと、そういうようないくつかの議論が出されておりまして、それで我々としてもその現場の方の状況と棚卸しの考え方と調整をさせていただこうとしますと、県の方の〔補助金交付〕要綱を改正して、その運用を改めると。その中に棚卸しの問題意識であります加入率の低下への対処であるとか、それから社会参加、県民のお1人お1人として見守り活動などに携わってもらうとか、そういう社会参画、社会貢献、これを我々としてもその配分、補助金の交付の指針にさせてもらうと、それで市町村もそれを実行してもらうと。それでまた県の方が今個々の老人クラブの〔補助金〕使用の実態が把握できないというところも問題点で言われましたので、その辺の報告を県に上がるようにして、我々も把握をし、場合によっては物を申していったり、また補助金の執行について、県の方で言わばさじ加減を変えるとかいうこともやれるような、そういう仕組みにしておく必要があるのかなと思います。そういう考え方で、昨日市町村長に改めて諮ったわけでありますが、冒頭異論が、異論というのは廃止反対という議論は提出されたものの、その後、我々の案に対する反論もございませんでしたので、大筋受け入れられたんではないかなと思います。これから予算編成作業の中で具体的に考えていきたいと思います。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 特に予算規模というのは、上げるのか下げるのか、現状維持でいくのか、どうでしょうか。


●知事

 現状維持だと思いますね。はい。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 分かりました。国の予算も絡んでくるというか、確か国庫補助も出ていたように思うんですけれども。


●知事

 ええ。国が3分の1なんです。それで、あれはちょっと世上誤解を与えた部分があるんですけども、市町村の補助金なんですね。それで、市町村が主体の補助金でありまして、国の出すお金に県が随伴補助と言うんですが、県がそういうお金を乗せて、国のお金と一緒に市町村に出すと。それで執行主体は市町村です。ですから、県が全てコントロール、元々できる制度ではないですし、県が出さないとなったら市町村が国のお金も含めてこないということで、市町村の方もえらい迷惑を受けると。ちょっと非常に棚卸し対象としては微妙なものが残っちゃったということだったんだろうと思います。間接補助と我々言うんですけれども、そういうことでございますので、市町村の考え方は我々としてもポイントになろうかと思いまして、昨日も市町村長のご意見を聞いたということであります。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 もう1点だけ、そうすると今後なんですけれども、やっぱり今までのように存続していてあればお金を出すではなくて、ある程度の審査過程というか、基準ができるわけなんですけれども、そこに満たさないところというのは補助金が出ない、県としての補助金は出ないということもあり得るんでしょうか。


●知事

 それはあり得るという仕組みにしようと思います。ただ、昨日〔12月25日〕市町村長と話をしましたけれども、市町村もそこは折り合いながらやっていこうという考え方だと思います。ですから、棚卸しの評価者が評価をした懸念というのは運用で解消されていくものだと思います。


○山陰放送 秦卓史 記者

 すいません。それに関して先程知事が県は随伴の補助だというふうに言われましたけど、いわゆるこういう補助金の出し方のものというのは、今後棚卸しには適さないというふうにお考えなんでしょうか。


●知事

 それはちょっと庁内でよく議論をしてみたいと思います。実は、庁内でもいろいろと今回の一件もありまして、少々議論がございます。来年度の棚卸しのあり方は、また改めて考えてみたいと思います。元々これは事業見直しの民主党政権になって始められたこと、それが各地の自治体でも広がっていった経緯もございます。ただ、弊害も指摘されているのも事実でありまして、例えばスーパーコンピュータが1番が良いのか2番が良いのかという議論がございました。それで、そういうようなこともありましていろいろと批判もあった制度であります。だから、鳥取県としては棚卸しということで、そこを組み替えながら、現場にある程度フィットするやり方を導入したわけでありますが、今のやり方は絶対じゃありません。それで、これから各自治体もやり方変わってくるかもしれませんけども、私どもとしても何らか住民の評価を受けるという仕組みは続けたいと思いますが、事業棚卸しのやり方の見直しは検討対象に成り得ると思います。



14 人事評価の考え方 

○時事通信 小出秀 記者

 すいません。ちょっと発表外のことで恐縮なんですけども、人事評価に関する知事のお考えを伺いたいんですが、まず鳥取県の職員としてどのような能力を持っている人が昇任してしかるべきポストに就くのが正しいと知事ご自身がお考えになるのか、ちょっと聞かせください。


●知事

 実は、鳥取県は他の自治体と違って、思い切った評価制度を入れています。それは昇格にも使いますし、ボーナスの支給にも使わせていただいていまして、珍しい自治体だと思いますが、実はそのボーナス支給にも色がついています。差がつけられるようになりました、ここ数年のことなんですけど。そういうようなことでの評価を実は組織内部でやっていまして、その評価をある程度踏まえながら、適材適所で人材登用を最終的に決断して決めてやっていくということであります。やはりこういう組織でございますので、県民に対して評価してもらえるような組織にしなければなりませんので、能力の実証であるとか、その組織の統率力でありますとか、リーダーシップのことが大切であります。

 また、場合によっては非常に大きな論功があったような場合に、それに対して一定程度報いるということで組織の結果主義的な側面を少し前に出すというようなことも人事評価上はあり得るところだと思います。ただ、逆に言えばマイナスとしては、社会的正義に反するような行為に対しては他の組織よりも厳しめにやっていると思います。そういうことのマイナスとプラスとを兼ね合わせながら、我々としてできるだけメリット主義というんですけども、その人物を登用して組織のパフォーマンスを最大に持っていくように年々努力しているというとろです。


○時事通信 小出秀 記者

 今、おっしゃったのは、組織内部でそういった評価をある程度やっているといったようなお話でしたが、知事ご自身のお考えといったものは、その組織内部での、今行われている現段階で行われている評価といったものと合致しているものなんでしょうか。


●知事

 私自身も評価者の1人です。特に幹部職員については、その評価をしている実施者でもあります。そんなようなことで、そこは組織と私も含めた人事権者とそこは一体性のある議論ができていると思います。


○時事通信 小出秀 記者

 知事はあくまでも特に幹部級、次長級や部長級の人事にはやっぱりもちろんまとめる上でいろいろと知事のお考えが反映されるべきだと思うんですけれども、あるいは課長補佐や係長級になった場合はいかがでしょうか。


●知事

 それはポストによっては議論の対象に実はしております。あんまりこれ以上踏み込んでいくと非常に皆さんびびる人も出てくるんじゃないかなと思うんで、この辺かなと思いますけども、重要ポストについては、議論の対象にさせていただいておりまして、そういう中で県庁全体の執行をしています。ただ、やっぱりチームですので、例えばチーム商工労働部、チーム農林部といったものでございますから、そのチーム内でやっぱり周りを見渡して、人材登用を図りながらやっている面も併せてあります。


○山陰放送 秦卓史 記者

 他はどうでしょうか。では会見終わります。


●知事

 どうも良いお年を。ありがとうございました。


  

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