第27回「弥生時代の犬の話」(「とっとり夢ひろば」第90号 平成29年12月発行)

(これは、「とっとり夢ひろば」第90号(平成29年12月発行)へ掲載された記事です。)

今年も残すところあとわずか。来年は戌(いぬ)年、かわいい犬の絵をデザインした年賀状の準備を始めた方もいらっしゃるでしょう。

犬はペットとして身近な動物ですが、人間と犬が一緒に暮らし始めたのはいつ頃のことでしょうか?日本各地の縄文時代の遺跡から犬の骨が見つかっていることから、日本ではなんと数千年の昔から、人間と犬はともに暮らしていたことがわかります。

縄文時代に続く弥生時代でも、犬は身近な動物でした。「地下の弥生博物館」と呼ばれる史跡青谷上寺地遺跡(鳥取市青谷町)からは、350点以上(少なくとも20匹以上)の犬の骨が見つかっています。

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青谷上寺地遺跡から見つかった犬の頭骨
※井上貴央氏提供

お墓に埋められていた骨もあったことから、人間の大切なパートナーとして、青谷の人々と一緒に暮らしていたのでしょう。

青谷上寺地遺跡では、矢の先が刺さったり、解体されたことがわかるイノシシやシカの骨も見つかっているので、狩りを盛んに行っていたようです。

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銅鐸に描かれた犬とイノシシ
※梅原末治『銅鐸の研究』(昭和60年木耳社より復刊)より引用


香川県から見つかったといわれる銅鐸に犬を使ったイノシシ猟の場面が描かれていますが、青谷上寺地遺跡の犬たちもこの絵のように、猟犬として活躍していたのかもしれません。狩りを成功させた弥生人のまわりを、しっぽを振りながら歩き回る犬の姿が目に浮かびます。
  

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