(別紙)実地点検結果(平成27年度)

1 実施期日

平成27年9月17日、10月13日、10月14日、10月23日

2 点検対象所属・会計数

 所属  対象会計数
 人権教育課  1会計
 むきばんだ史跡公園  2会計
 鳥取西高等学校  4会計
 八頭高等学校  5会計
 倉吉総合産業高等学校  4会計
 日野高等学校  4会計
 米子養護学校  3会計
  計:7所属23会計 

3 点検内容

 県立学校における20会計については、県費外会計等取扱ガイドライン(平成18年11月13日付教育長通知。以下「ガイドライン」という。)、ガイドラインに基づき各学校が定める県費外会計等取扱要綱(以下「取扱要綱」という。)及び取扱要綱に基づき各学校が定める規程等(以下「学校規程」という。)に基づいた適正な会計処理が行われているか点検を行った。
    県立学校以外の3会計についてはガイドラインの適用がないため、各会計に係る内部規程その他に基づき適正な会計処理が行われているか点検を行った。

4 点検方法

各学校事務長その他会計担当者への聞取り、関係書類の確認 等

5 点検結果

 県立学校以外で点検対象とした2所属3会計については改善を要する事項等は認められなかったが、対象とした県立学校5校において以下の改善を要する事項が認められたため、改善指示及び改善指導を行った。
 

(1) 改善指示事項

○ 会計担当者(教職員)の私費による立替払

   公費に準じて取り扱う県費外会計において私費による立替払を行うことは公私を混同する行為であるが、2校の2つの部費会計において立替払を行っており、うち1会計においては常態化していた。

(ア) 鳥取西高等学校【1会計:現金管理】

   平成26年度中に22回の残高不足が発生しており、これについて顧問が立替払をし、最終的な赤字116円については顧問が私費で負担している部費会計があった。
   平成24年度には10万円弱、平成25年度には6万円強あった前年度からの繰越金が平成26年度はほぼゼロであり、年度初めの段階で必要な部費を確保できていなかったことが原因であると考えられるが、年度中途においても帳簿上の残高がマイナスになり立替払を行うといったことを繰り返していた。  

(イ) 八頭高等学校【1会計:現金管理】

   年度末に30,953円の赤字が発生したため、顧問が立替払を行っていた部費会計があった。
   原因としては、11月に受け取った請求書(47,800円)を未払のまま失念し年度末に督促を受けて支払ったことにより部費の残高が不足したことによるものである。当該立替払額については、平成27年度に保護者の合意を得て当該年度の2年生及び3年生から徴収した。
   なお、当該会計においては、領収書等の会計書類が支払時期、用途等に応じて整理されないまま束になった状態でまとめて封筒に保管されているといった会計処理の不十分さが認められ、収支状況が十分に把握されていなかったものと考えられる。

【改善指示内容】   

(ア) 公私を区別する意識の徹底

   どちらの会計においても会計担当者等に「立替払」は行うべきでないとの認識はなく善意で行っていた行為であった。しかしながら、県費外会計は公金に準じて管理しているものであり、「仮に一時的であっても立替払を行うことは公私の区別を混同する行為であり、行ってはならない」との意識を全ての会計担当者に徹底すること。   

(イ) 立替払の発生しない会計管理方法の検討・実施

   年間の収支について計画を立て、仮に年度初めに大きな支出が見込まれる会計の場合には一定の次年度繰越を制度化する、あるいは年度当初に必要金額を徴収する等、保護者の理解を得ながら残高不足の発生することのない会計管理方法を検討し、実施すること。
   また、請求書・領収書等については整理して管理し、支払いの失念や残高不足が発生することのないよう常に収支状況を正確に把握すること。

 

(2) 改善指導事項  

〔1〕 要件を満たさない現金管理が存在

   ガイドラインでは通帳管理を基本とし、例外として以下に該当するもののうち通帳管理が適当でないと教職員及び保護者で構成する検討委員会が認める場合のみ現金管理等を認めることとしており、各学校の取扱要綱でも概ね同様である。なお、学校規程等においてイの具体の金額等を規定している例が多い。
      ア 1回の支払で会計処理が終了する会計(※当該規定を設けた平成23年9月6日付のガイドライン改正の通知別添2-2にでは「短期間で会計処理が終了する会計」となっている)
      イ 金額がきわめて少額である会計
      ウ 通帳での管理が、教育活動及び会計処理に著しく支障を生じさせる会計
   しかしながら、現金管理会計のある4つの県立高校において以下の点でガイドライン、取扱要綱又は学校管理規程に沿わない運用が認められた。
     

(ア) 収入総額の大きな会計について現金管理を実施

   各学校規程において上記イについて「収入総額5万円」「概ね10万円」等と定めているが、この金額を大きく上回る現金管理会計が複数存在【3校(鳥取西高等学校、八頭高等学校、倉吉総合産業高等学校):4会計】し、実地点検対象校中最大の現金管理会計は年間収入決算額が2,001,014円であった。
   なお、上記イについて具体の金額等を定めずに対象会計一覧を定めている学校においてはどの要件に該当して現金管理を認めているのか確認できなかったが、年間収入決算額50万円以上の会計も存在した【1校(米子養護学校):1会計】。     

(イ) ガイドラインの趣旨・取扱要綱の規定を超えて学校規程で現金管理を拡大

   学校規程において「単年度でその都度精算するもの」等について現金管理を認めるといった、規程自体がガイドラインの趣旨及び同校の取扱要綱の規定に沿わない事例があった【1校(八頭高等学校)】 。     

(ウ) 「授業等により銀行窓口に行く時間がとれない」等を理由として現金管理を実施

   部費に係る会計等について「授業等により、銀行窓口が開いている時間には銀行に行くことが困難」であること等を「教育活動及び会計処理への著しい支障」等ととらえて現金管理を行っている事例が複数存在した【2校(鳥取西高等学校、八頭高等学校)】。   

(エ) 検討委員会に諮らずに現金管理を実施

   各学校において学校規程は検討委員会に諮られているが、対象会計一覧を作成している学校以外は個別の会計について諮っていないことから、学校規程を超えた現金管理(上記(ア)・(ウ))については検討委員会を経ていないこととなっている。

【改善指導内容】  

(ア) 現金管理の要件の点検と学校規程等の改正

    県費外会計の管理は通帳管理が原則であり、現金管理は要件を満たし、かつ、「預貯金による管理が適当ではない」と特に検討委員会が認めた会計についてのみ例外的に認められるものである。このガイドラインの趣旨を理解した上で、学校規程その他による現金管理の要件がこの趣旨及び各学校の取扱要綱に反していないか確認を行い、必要に応じ、検討委員会に諮った上で学校管理規程等の改正を行うこと。   

(イ) 現金管理会計の要件適合性の確認と通帳管理への移行

   全ての現金管理会計について、(ア)の点検・改正後の要件に適合しているか否かの確認を行い、要件を満たさないものについては速やかに通帳管理に移行すること。
   この場合、上記(ウ)で指摘した事項については、キャッシュカードの作成・利用をすることで通帳管理に移行できるものと考えられるため、その点も含めた対応を検討されたい。
    なお、ガイドライン・取扱要綱等により現金管理会計の適否の判断は検討委員会が行うものであるので、要件適合性の判断については、現金管理を継続すべきか通帳管理に移行すべきか、及び現金管理を継続する場合にはそれぞれどの要件に該当するのか、について整理した上で検討委員会に諮って行うべきである。

 

〔2〕 現金・通帳の管理が不十分   

(ア) 担当の机等の中で現金を管理

  「土日等に現金を金庫から出すことが困難」等として会計担当者の机や個人用貴重品ロッカーの中で現金を管理している事例が存在した。現金を長期間にわたり会計担当者の机・ロッカー等の中で保管することは不正防止(内部けん制)から課題がある【3校(鳥取西高等学校、八頭高等学校、倉吉総合産業高等学校):4会計】。なお、このうち該当のロッカーはナンバー式で管理されており盗難の可能性は極めて低いが、机等での管理については盗難防止の観点からの課題もある。   

(イ) 内部けん制が働かない通帳管理方法等

   内部けん制を働かせる観点から、ガイドラインでは「通帳の管理については、会計担当者以外の者が行うなどして、常に出入金の状況を会計担当者以外の者が確認できる状況で管理すること」とされているが、会計担当者が通帳と登録印をともに自身の机・ロッカー等で保管している等、内部けん制が働いていない会計が存在した【3校(鳥取西高等学校、八頭高等学校、倉吉総合産業高等学校):7会計】。

【改善指導内容】  

(ア) 金庫等における現金管理等を検討

   現金の管理については事務室・校長室等にある金庫等での管理を原則とし、机の中等における保管は土日等に現金が必要である等の事情がある場合にあらかじめ必要額を金庫等から出して数日間保管する場合に限定する等、不正防止(内部けん制)及び盗難防止等の観点からの適切な保管を検討すること。  

(イ) 通帳管理における内部けん制体制を整備

   不正防止(内部けん制)及び盗難防止等の観点から通帳管理は会計担当者以外の者が管理する等、常に出入金の状況を会計担当者以外の者が確認できる内部けん制体制を整えること。

〔3〕 取扱要綱等に沿った会計管理ができていない事項が存在

   上記以外に、取扱要綱及び学校規程に定められた内容とは異なる取扱いをしている会計が散見された。   

(ア) 会計書類の未作成

   取扱要綱、学校規程等において義務付けている収支計算書、現金出納簿、収入支出伺いの全部又は一部の作成を行っていない会計が存在した【2校(鳥取西高等学校、米子養護学校):3会計】   

(イ) 証拠書類(通帳)の紛失

    平成26年度のものも含め過去の通帳の一部が紛失している会計が存在した【1校(日野高等学校):2会計】   

(ウ) 監査の不実施等

    検討委員会が定めた方法による監査が行われていない会計が存在した【4校(八頭高等学校、倉吉総合産業高等学校、日野高等学校、米子養護学校):6会計)】。
    た、監査を実施しているとのことであったが、監査書類や監査実施の記録が存在せず、監査の実施や内容を確認することができない会計が存在した【1校(鳥取西高等学校):1会計】。   

(エ) 中間報告の不実施

   取扱要綱等で定める、年度中間における会計担当者から校長への報告が実施されていない会計が存在した【3校(倉吉総合産業高等学校、日野高等学校、米子養護学校):8会計】。   

(オ) 保護者等への事前説明収支報告の不実施

   取扱要綱等で定める保護者等への金銭徴収目的等の事前説明及び収支状況報告について、双方又はいずれかが行われていない会計が存在した【2校(倉吉総合産業高等学校、米子養護学校):2会計】 

【改善指導内容】

   以下の事項も含め、ガイドライン、取扱要綱及び学校規程に沿った運用となるよう点検し、改善すること。
   

(ア) 取扱要綱に沿った事務処理の徹底

   収支計算書の作成、監査の実施、校長への中間報告、保護者等への事前説明及び収支状況報告といった取扱要綱等で定める事務を確実に実施するとともに、実施した記録を保存すること。   

(イ) 証拠書類の5年保存の徹底

   取扱要綱において証拠書類等の保存期間は5年となっていることを周知し、必要な書類の保管を徹底すること。

 

〔4〕 その他

   生徒が実習で生産した農産物や加工品等を販売した売上金を県歳入として入金する前に一時的に預金する口座において預金利息が発生しており、預金利息が当該口座に預金されたままとなっていた(1校(日野高等学校):1会計)。

【改善指導内容】

   生徒の実習に係る材料費等は全て県費により賄われているものであるため、その売上金を元本として発生した預金利息も県に繰り入れるべきである。また、今後は、例えば年度末に一括して県に繰り入れる等して口座に預金利息が残ることのないようにすること。

6 点検結果から判明したガイドラインの課題

 実地点検により複数の改善すべき点が認められたが、これらが発生する背景として、あるいはこれらの改善の観点から、ガイドラインやその解釈について以下の課題があると考えられるため、所管する高等学校課においては、各学校において適正な事務処理が徹底されるようガイドラインの改正や解釈の提示を検討すべきである。
 

(1) 現金の管理方法等に関する規定が不存在

    通帳の管理方法については担当者以外の者が行う、出納事務についても会計担当者以外の者の確認を受けて行う等として定めがある一方、例外として現金管理を行う場合についての管理方法等に関する定めがないが、内部けん制を働かせる観点あるいは盗難防止の観点等から規定が必要と考えられる。

  (2) 拡大解釈につながりやすい規定等

    ・ 現金管理を認める要件のうち「1回の支払で会計処理が終了する会計」の趣旨・内容がわかりづらく、各学校における拡大解釈につながっていた。
    ・ ガイドライン上は要件に該当すれば自動的に現金管理等が認められるわけではなく、要件に該当した上で「預貯金管理が適当でないと特に検討委員会が認めるもの」のみが対象となるものであり、例えば1回限りの支払という要件に該当しても、金額が大きい、収入から支出までに一定の期間がある、残額が発生し管理する必要がある等により現金管理が適当でない場合等もあり得るが、各学校において要件該当性のみで形式的に判断している傾向が見られた。
    ・ ガイドライン上は、現金管理が適当であるか否かと、収入・支出伺作成の要不要、簡易な方法による監査、収支計算書の作成の要否等はリンクするものではなく、それぞれの事務処理について原則の適用が適当でないか否かの判断をした上で個別に適用すべきであるが、現金管理とすればこれらの事務は全て不要と判断している傾向が見られた。

  

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